がんや糖尿病などの治療を継続している患者らのうち、約7割が医療費の支払いに負担を感じていることが、東京大医科学研究所の研究チームの調査で分かった。医療費の高さなどを理由に治療の中止を考えたことがある患者らは約4割いた。年齢や所得に応じて治療費の支払いを抑える国の高額療養費制度の自己負担上限額が徐々に引き上げられたのに加え、景気悪化に伴う収入減が追い打ちをかけているとみられる。
研究チームは、慢性疾患の患者会約300団体と患者個人にアンケートへの協力を依頼。昨年12月から今年1月までに回答のあった計77種類の疾患患者ら227人分を分析し、5年前と比較した。
「先の見えない慢性疾患は、生きている限り続く生涯ローン」「安心して(病気の)子どもを残し他界できない」。アンケートから治療費負担にあえぐ患者の困窮ぶりが浮かんだ。
5年前に比べ年間医療費は平均30万円と変わらなかったが、世帯総所得は09年が平均430万円で5年前から20万円減少した。医療費の支払いに負担を感じている割合は09年が69%。5年前に既に発症していた患者ら(227人中144人)のうち当時負担を感じていた割合は49%で、約1.4倍に増えた。全体の38%は治療中止を考えたことがあり、そのうち83%が医療費の高さを理由に挙げた。
高額療養費制度を利用している患者らは全体の51%いたが、そのうち自己負担の上限額が「大変高額」「やや高額」と答えた割合は計92%に達し、90%は上限額を「引き下げてほしい」と答えた。月々に支払える金額を尋ねると、1万円が最も多く、5000円、2万円などが続いた。
一方、国の高額療養費制度は70歳未満の一般所得者の場合、最低でも月4万4400円で、患者らが無理なく負担できる金額とは隔たりがある。制度ができた73年、自己負担上限額は3万円だったが収入の増加などと共に引き上げられてきた。
血糖値を下げるインスリンを体内で作れず、インスリン注射をしなければ数日で昏睡(こんすい)状態に陥る1型糖尿病患者の千葉県の女性(34)は夫と2人暮らし。「医療費が家計を圧迫していて、子供を産んでもかわいそう。(糖尿病による)合併症が増える一方なのに、働かなければ生きてゆけない」とつづった。
乳がん患者も化学療法などのため治療費が高くなる傾向がある。夫と子どもと3人で暮らす栃木県の女性(50)は治療のため退職した。「長生きしたいと思うことが、家族の負担になることがつらい」と嘆いた。
調査した同研究所の児玉有子特任研究員は「国は上限額引き下げなど負担軽減に向けた議論を早急に始めるべきだ」と話している。【河内敏康】毎日
これらはほとんど薬代ですね!
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