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一般病院の要件早急に示せ 医療現場に混乱の恐れ 「患者の身体拘束」

 

 一般病院で認知症と診断された女性患者が、身体拘束されたことの是非を問われた訴訟で最高裁は「患者の身体拘束はやむを得ない場合にのみ許される。今回、病院の行った拘束は違法ではない」とした。患者の身体拘束の違法性が争われた裁判での最高裁の初判断だ。
 しかし、患者、病院側双方が求めた、身体拘束を認める具体的な要件は示さなかった。現場には、今回の判断が免罪符となって身体拘束が野放しになることを心配する声もある。
 精神病床では「医療や保護に欠くことができない限度」で身体拘束の特例が認められているが、一般病院には根拠法令はない。それでも手術後や興奮時などに身体拘束を行っている病院が少なくないのは、拘束しなかったために転落や転倒して負傷したなどとして、患者側が医療機関に損害賠償を求めるケースがあるからだ。
 厚生労働省は2001年、介護施設向けの「身体拘束ゼロへの手引き」をまとめた。
 身体拘束は「高齢者の身体機能の低下、寝たきりにつながり、人間の尊厳を侵す」と指摘、例外的に許される場合として(1)生命・身体の危険が著しい(2)代替方法がない(3)一時的-の3要件を示した。
 だが手引きが配布された後も、独自ルールを作ったり、患者側から同意書をとるなどして身体拘束を続ける介護施設や病院はなくならなかった。
 身体拘束は本当に廃止できるのだろうか。
 全国に先駆けて1980年代半ばから縛らない医療に取り組んできた東京都八王子市の上川病院では、入院患者のほとんどが認知症の高齢者だが点滴の人は少ない。食事のケアや水分摂取の工夫で点滴を減らし、ベッドから転落する恐れのある患者には、病室に置いた畳に布団を敷いて寝てもらうなど工夫している。
 理事長の吉岡充医師は「スタッフと家族が拘束の弊害を理解し、廃止に向けてコミュニケーションを図ることが大事だ」と強調。今回の判断について「認知症患者が一般病院に入院するケースは数多くあり、このままでは身体拘束をせずにケアしようというモチベーションが働かなくなり、安易な身体拘束がふえるのではないか」と懸念する。
 ミトン(ひも付きの抑制具)などでベッド柵にくくりつけられたり、ベルトで車いすから立ち上がれないようにされた家族の姿を見たい人はいないし、身体拘束を望む患者もいないだろう。だが、病院側から「点滴を外したら困るから両手を縛ってもいいか」と言われたら、家族は断れるだろうか。
 今回、最高裁は拘束の違法性を認めなかったが、かといって幅広く認めたわけではない。原則は拘束廃止だ。混乱を避けるためにも厚労省は、例外的に認められる一般病院向けの具体的要件を早急に示す必要がある。

共同通信社

心の通った医療が出来なくなるよ!

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