新人医師に2年間義務づけられている臨床研修制度について、国が、実質1年に短縮できる見直し案を提示している。医師不足に対応するため、地方の国立大学病院などの要望に応じた。だが、医師の診療能力を高めようと導入された制度の趣旨がゆがみかねないと、批判の声も上がる。(野瀬輝彦、和田公一)
21日午後、東京・永田町であった自民党の議員連盟「医師臨床研修制度を考える会」。厚生労働省の担当者は、臨床研修の必修科目を内科や救急など最も基本的な診療科に限り、現在は必須となっている精神科や小児科などを選択制にする「見直し案」を説明した。この案だと、2年の研修期間のうち後半の1年は、将来専門としたい診療科での研修を主軸にできる。
同省は、この案を文部科学省とともに開く専門家の検討会に「たたき台」として提示。10年度からの実施を目指し、3月末までに最終報告書をまとめたい考えだ。
見直しの狙いは、地方の国立大学病院などに若手医師を確保すること。様々な診療科を回る期間を短くすることで、小児科や産科、外科などの専門医を早く育てたいという要望が寄せられていた。
臨床研修が必修化された04年より前は、新人医師の7割が大学で研修を受けていた。だが開始後は5割以下に。若手が不足した大学は、地域の病院に派遣していた医師を引き揚げざるをえなくなった。
「医師が行きたがらない地方に若手を派遣してきたのは、大半が国立大学病院。現状では、そうした派遣機能が維持できない」と厚労省幹部は見直しの背景を説明する。
今後、地域別に研修医受け入れ人数の上限を決め、地域偏在を正す方法も検討する。
だが、見直しで医師不足にどこまで対応できるのか。今でも2年間の研修が終わった後、指導体制や給与など待遇への不満を理由に、大学に戻る医師は外科などで年々減る傾向にある。「この見直し案では、かえって医師の偏在を助長するのではないか」と、検討会の委員の一人は懐疑的だ。
また、学会などは「基本的な診療能力を向上させる」という現行制度の目的が損なわれると、案に反対する。
見直しで必修科から外れる可能性が高まっている精神科。臨床医や学者、病院経営者らでつくる「精神科七者懇談会」は見直し反対の要望書をまとめ、検討会の高久史麿座長あてに提出した。日本精神神経学会の小島卓也理事長は「心の問題や自殺予防対策などは、専門外の医師でも精神科医療の基礎知識と診療能力が要る。見直しは時代の流れに逆行している」と厳しく批判する。
全国の6割以上の病院が加入する「四病院団体協議会」も昨年12月の会見で、見直し案に疑問を呈した。日本病院会副会長の堺常雄・聖隷浜松病院長は「地域や診療科ごとの医師の偏在は臨床研修制度の開始前からある。制度自体は医師の質を向上させており、なぜいま見直しをしなければならないのか」と話す。
《臨床研修制度》 医師に基本的な診療能力を身につけてもらおうと04年度から必修化された。原則として医師国家試験合格後の2年間に7科・部門を順番に回り、先輩医師から指導を受ける。研修先は自由に選べるため、症例数が多く経験を積める都市部の民間病院に研修医が集まり、地方の大学病院などで若手が不足する原因となった。
昔のインターンですね。私たちが学生の時反対デモしてたんですが、、。
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