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"魔法のつえ"でも赤字 PFI病院、見直し加速か

PFI病院、市営転換へ 経営難、重い金利 全国初、滋賀・近江八幡 

 滋賀県近江八幡市の冨士谷英正(ふじたに・えいしょう)市長は1日、民間資本を活用して建設、運営するPFI方式を導入した市立総合医療センターについて、PFI契約を解除し、市が一括で買い取る方向で、運営主体の特定目的会社(SPC)「PFI近江八幡」と合意したと明らかにした。病院の経営難や重い金利負担が理由で、市の直営に転換する方針。
 内閣府によると、PFIを導入したり予定したりしている公立病院は全国で12施設あるが、解除は初。自治体の財政負担を減らす妙案とされるPFIが失敗した形で、ほかの病院にも影響を与えそうだ。
 冨士谷市長は1日の市議会で「今の病院の収支状況を続けると経営破たんに向かう」と述べた。
 医療センターは、病院としては全国に先駆けてPFI方式を導入、2006年10月に開院した。ゼネコン大手の大林組を代表とするSPCが約145億円で建設、運営。医療センターが建設費を分割払いし、30年後に所有権を市に移す契約だった。
 しかし入院患者数が伸びず、当初計画で年間100億円と見込んだ医業収益が、07年度は84億円にとどまり赤字となった。さらに建設費に加えて支払う総額約99億円の金利も財政を圧迫し、市が財政再生団体に陥る恐れが指摘されていた。
 冨士谷市長は1日、病院施設を一括で買い取るために市が約118億円の借金をする病院事業債発行の議案を市議会に提出した。
 契約解除で市はSPCに多額の違約金を支払わねばならず、金額について交渉を進めている。
 PFI近江八幡の平山賢一(ひらやま・けんいち)取締役は「まだ協議中なのでコメントできない」としている。
▽PFI
 PFI 「プライベート・ファイナンス・イニシアチブ」の略で、民間の資金やノウハウを活用して公共施設を整備する手法。事業に参加する民間事業者でつくる特定目的会社(SPC)が建設から維持管理、運営を担う。刑務所や図書館で導入され全国での事業数は約320件。財政難で解除した例は「名古屋港イタリア村」がある。病院では高知医療センター、島根県立こころの医療センターなどが導入し、最近では東京都や大阪府、神戸市が導入を決定した。

 民間活力で自治体の財政負担が軽くなり、国も導入を後押ししたPFI。"魔法のつえ"とも呼ばれるが、既に導入した各地の公立4病院のうち、1日に解除を決めた滋賀県近江八幡市立総合医療センターを含む3病院は赤字だ。全国的な公立病院の経営難も背景に、見直しの動きが加速する可能性もある。
 高知県と高知市が設立した高知医療センターは2005年3月に開院した。医薬品や注射器などの材料費が安くできるとの期待は外れ、約20億円の減価償却費も加わって07年度は18億9000万円の赤字となった。
 「想定と逆転してしまった」。同センターの事務担当者は嘆く。直営方式にした場合の材料費や委託費用を試算し、PFIとどちらが安くなるか検証中だ。
 「コストは削減できたが、不採算医療も担う公立病院では厳しい」と明かすのは大阪府八尾市立病院。患者サービスが向上し、人件費も削減できたが、赤字続きで市からの繰入金は不可欠だ。「軌道に乗るまで持ちこたえる自治体の財政力が必要」と同病院事務局。
 一方、近江八幡市立総合医療センターの関係者は、市が開院時に病院の所有権を持たなかったことが失敗の原因とみる。市所有なら固定資産税分を特定目的会社に支払う必要はなく、今年2月に開院した島根県立こころの医療センターの担当者は「なぜ自治体が不利になる方式を採ったか疑問」と首をかしげる。
 近江八幡市が昨年12月に設置した検討委員会は今年1月の報告書で「経営の基本的な考え方が欠落したまま『PFIありき』で進んだ恐れがあった」と指摘している。  共同通信社

病院は良いんだけど?

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