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「臨床研修医の大学へのUターン率に地域格差(負の連鎖が止まらない)」
                        マルチメディア局次長
                              佐藤正久

 先日、京都府立医大外科同門会での懇談の中で、医学部卒業後、民間病院などで
2年間の研修を終え、大学病院に戻った新人医師は56%にとどまった調査結果が
話題になった。
調査は、医学部を持つ全国80大学を対象に行った模様だが、新臨床研修医制度の
導入前と比べると約15%減少しているという。
医局人事が崩壊している、大学への愛着が少ないといった意見も聞かれるが、
大学に戻り、研究や後進の指導に当たりながら医療を行うより、負担が少なく
給料面の処遇がよい民間病院を選ぶ若者が増えているということだろう。
しかしながら、医療研究の分野が疎かになってしまっては、日本の国益上も、
国民の生命を守る観点からでも望ましくない。
給料面ではない、やりがい、想い、モラルといった医師にとって、とても大事な
「心」の分野が薄れているような感じを持たざるを得ない。
6年間の医学部教育においても、精神教育、心の教育も重要であるといった
私の意見に同意される医師もおられた。
また、調査で明らかになったことは「地域間格差」である。
関東地方の82.3%に比べ、低いのは四国28.7%、東北32.7%、
中部39.1%、中国39.7%とかなりの差である。
人口別にみても、50万人以上の都市のある都道府県の大学に戻ったのは
69.4%、50万人未満の都市しかない県の大学に戻ったのは36.7%と
若手医師は、地方を避け、都市部に集中する傾向にあることがわかった。
これでは、地方とりわけ、四国、東北等の医師が足らないのは当たり前で、
この傾向が続けば、小さな都市しかない地方の医師不足の状況は変わらない。
悪循環に歯止めがかからず、更に深刻になる。すなわち若手医師が来なければ、
現在の中堅医師の負担は更に増え、地方病院を辞めて都市部に移る、
あるいは開業する医師も増えてくるだろう。
そうなると、地方大学の医学部も、やむを得ず自治体病院等へ派遣していた医師を
大学に引き上げ(いわゆる医師の引きはがし)、その結果、地方の自治体病院等は
更に医師不足になり、診療科の閉鎖にも繋がる。まさに負の連鎖である。
さらに、調査で明らかになったことは診療科別格差である。
激務で残業や休日出勤も多く、救急患者を抱え、かつ訴訟リスクも多い外科や
脳外科、小児科を避ける傾向にあったという。
以上をまとめると、地方の大学病院、とりわけ四国や東北の大学病院の外科や
小児科等は若手医師を確保することは特に難しい。
そのような地域の自治体病院等は、結果として大学からの派遣医師に頼る部分が
多いために、医師確保は更に厳しい状況といえる。
実は細かく見ると、同じ都道府県内でも地域間格差があり、全体では医師確保状況が
比較的良い京都府でも、京都市や南部に比べ、北部の舞鶴や福知山等での医師確保は
難しい状況にある。
こうした負の連鎖を断ち切るために、医師数の増員、医療以外の雑務の軽減、
研修医の是正など、いろいろな施策が採られているが、現場や地方の意見を
よく聞いて、きめ細やかな現場に立脚した政策を推し進めることが重要である。
今回の意見交換を通じ、現場主義が医療の現場にも求められていると感じた。

はやく改定して欲しいもんです。

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