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実質的なストレート研修を認める方針か
来年度から卒後臨床研修プログラムを「モデル事業」の形で見直し


 厚生労働省の医道審議会医師分科会(医師臨床研修部会)が7月18日開催され、来年度の研修から、スーパーローテーション方式の現行制度を見直し、産婦人科など特定の科に重点を置いた研修を実施できるようモデル事業を行うことを決めた。さらに、地域枠・奨学金を受けている医学生については、マッチング制度の対象外とすることも決定した。厚労省は、これにより診療科や地域の医師の偏在解消を狙う。  

 これは6月18日の「安心と希望の医療確保ビジョン」(『「医師の養成数増加」を提言、閣議決定を変更』を参照)で、医師不足対策として、「臨床研修制度の見直し」を指摘されたことを受けた対応だ。同ビジョンでは具体策までは明記していなかった。

 大学病院などで「モデル事業」の形で見直し

 現行の卒後臨床研修のプログラムは2年間で、「内科、内科、外科および救急部門(麻酔科を含む)、小児科、産婦人科、精神科及び地域保健・医療については、必ず研修を行うこととし、研修期間はそれぞれの科目について少なくとも1月以上とすること」となっている。  

 これを見直し、大学病院を中心に「モデル事業」の形で、医師不足が生じている内科、外科、救急、小児、産婦人科など、特定の診療科を重点的に研修する研修プログラムを認める。前述の必修科については、「1カ月」ではなく、「任意の期間」で済む形にする。「任意の期間」は未定だが、例えば、産婦人科を1年間研修し、残る1年、他の診療科を研修するというイメージだ。

 医師不足が指摘されている診療科を専攻する医師を初期研修の段階で確保するほか、仮に3年目以降、専攻を変えた場合でも、1~2年目の研修医を戦力として活用することを期待した見直しだ。

 今年のマッチングのスケジュールは、7月24日が参加病院の登録締め切り、8月28日が医学生の希望病院の登録締め切りとなっている。日程的に厳しいが、厚労省は早々に通知を出し、大学病院でモデル事業を実施できるようにする予定。

 もっとも、委員からは「総合的に患者を診ることができる医師を養成するという卒後臨床研修の根幹がなし崩しになるのでは」と疑義が呈された。前述の通り、現行で必修とされる診療科の研修は「任意の期間」となっているので、これが短期間で済めば、スーパーローテーションではなく、実質的にストレート研修になるからだ。

 この点に関し、厚労省は、あくまで「卒後臨床研修の趣旨は守る」としている。「モデル事業」で実施するのは、「診療科による偏在解消に効果があるか否かが分からない。効果があれば拡大していく」と説明している。

 そのほか、「特定の科を重点的に研修できるプログラムを設けても、果たしてそれを選ぶ研修医がいるのか」「初期の2年間特定の科で研修しても、果たしてその後も当該科に進む保障はあるのか」などの声も上がった。

 「研修は地域医療を支えるために行うのではない」 

 また、都道府県などから「就職先を限定した地域枠あるいは奨学金を受けている医学生」は、2009年3月の卒業生で4大学38人(次年度は46人)。これらの卒業生の地域定着を図るために、マッチング制度の対象外とする。ただし、奨学金制度の仕組みなどによっても異なるため、マッチングの代わりにどんな形で研修先を選択する形にするかは未定。

 さらに今日の検討会では、「地域枠を導入してはどうか」という提案も上がった。これは、例えば、東京都など研修医が集中する地域・都道府県において、研修医の定員の上限を設け、その分、地方に研修医が流れるようにするという考え方だ。

 もっとも、「地方の大学になぜ研修医が行かないのか、その根本から分析すべきではないか」など、疑問視する声が少なくなかった。さらに、「卒後臨床研修は地域医療を支えるために行うのではない。いかに研修の質を高めるかという視点で、研修のあり方を議論すべきでは」と本質論に言及する委員もいた。

 確かに、卒後臨床研修の必修化で、大学病院で研修する医師が減少し、また都市部に集中する傾向があることから、地方の大学が医師不足に陥った。その結果、「医師の引き揚げ」が起こり、大学医局に医師派遣を依存していた自治体病院を中心に、医師不足に陥った。しかし、「初期研修」という部分、しかも2年間だけの研修を切り離し、診療科や地域の偏在解消に焦点を当て、研修制度を見直すのは果たして妥当なのだろうか。小手先の対応で、研修医が翻弄(ほんろう)されることのないよう、厚労省は留意すべきだろう。

この制度始まったときから困った制度と思っていました。新人医師は振り回されているね。

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