2008年度診療報酬・調剤報酬改定から3カ月が経過した。

 今回の改定は医療制度改革が仕上げを迎える節目の中で行われたことから、今後の在り方を占うという点で重要な意味を持つ。今年度から後期高齢者医療制度をはじめ、特定健診・特定保健指導がスタートしたほか、社会保険庁の解体と再編、医療のIT化なども実施される。ここでは医療費適正化対策の一環としての後発医薬品使用促進策に対する薬局現場の状況を探ってみた。

◎ 調剤体制加算の算定は地域間で格差も

 08年度の調剤報酬改定では“施設維持フィー”である調剤基本料が引き下げられた一方、後発品の調剤実績を評価する調剤体制加算(4点)が新設された。算定の要件は過去3カ月の後発品調剤率が30%を超えていることで、複数の薬剤であっても後発品が1種類でも含まれていればカウントされる。

 30%という数値は中医協の調査で薬局の平均値から導き出されたもの。単純計算では半数の薬局が該当するはずだった。

 しかし、日本保険薬局協会・漆畑稔氏の定点調査によると、40%程度の薬局でしか算定されていないことが分かった。

 同調査結果は4月時点のものであり、個々の薬局で届け出が遅れたことを考慮する必要があり、5、6月と時間の経過とともに届け出件数は増えていくだろう。もっとも地域によってばらつきがあり、目立ったところでは新潟が70%、東京は50%となっている。

 同調査では算定している割合は20%と80%のところにピークがあり、地域間、薬局間で格差があるようだ。

 一方、6月に新潟市で開催された日本ジェネリック医薬品学会では薬局・薬剤師の意識を探る上で興味深い発表があった。それは年齢が高い薬剤師ほど後発品に対する否定的意識が強いということである。後発品が「ゾロ品」とべっ視されていた時代の意識を今日まで引きずっていると見ることもできる。あらためて指摘するまでもないが、後発医薬品は先発医薬品との同等性が保証された医薬品であり、わが国の承認審査基準は世界のトップレベルにある。かつての「安かろう、悪かろう」というイメージが残っているのは残念である。

◎ 不具合事象のデータ集積は薬剤師の役割

 「後発医薬品に変更した結果、患者に不具合が出た」という報告は少なからず存在する。色、におい、服用感などでこれまで服用していた先発医薬品に比べ違和感があるという訴えがほとんどだが、まれに有害事象の報告もある。しかし、それだからといって後発医薬品のすべてを否定する理由にはならない。むしろ薬局・薬剤師がなすべきことは、そうした有害事象のデータを集め、薬物療法の安全性・有効性の確保と適正使用への糧とすることだ。まさに医薬品の専門家としての薬剤師の存在理由がそこにある。

 ところで4月以降、病院の全処方せんに変更不可と記載されている事例も報告されている。病院が一体となって後発医薬品に対する疑義を抱いているとは考えにくいから、恣意(しい)的なものだろう。品質や情報提供、安定供給などの理由よりも、後発医薬品への変更に伴う薬局からの情報フィードバックが煩わしいのが本音であるようだが、少なくとも医療人の採るべき態度ではない。薬局の中には業を煮やして、社会保険事務所などに訴える、と意気込むところもあるが、「変更不可」が組織ぐるみであるとすれば、所管官庁も目をつぶるわけにはいかない。いずれ個別指導が入るのは必至だろう。

 後発医薬品使用促進策の一環で療養担当規則が改正された。薬局には後発医薬品調剤のための体制整備、薬剤師には調剤の努力義務、医師にも同様の義務が課せられた。療養担当規則は保険者との契約であり、医師や薬剤師はこれを順守する義務がある。

 さらに言えば、後発医薬品の使用促進は医薬分業という医療上のシステムで進められようとしていることを忘れてはならない。すなわち深読みすれば、医薬分業によって国策である後発医薬品の使用が促進されない場合には、別の手法を考えることが想定されるのである。国民皆保険制度を存続させるためにも薬局・薬剤師の的確な判断と行動が必要とされていることを肝に銘じたい。(藤田 道男)
じほう

地域差はあるけれど皆がんばらねば!

固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

臨床研修制度「産科の必修、意味がない」

 舛添要一厚生労働相は7月10日、へき地や離島などの地域医療に従事できる医師を養成している自治医科大(栃木県下野市)を視察し、高久史麿学長や、同大地域医療学センター長の梶井英治教授らと意見交換した。地域で患者の総合診療を行う「総合医」や、新医師臨床研修制度の問題点などについて、「新臨床研修制度での産科必修は意味がない」「二次医療機関に『認定医』を置くべき」など、さまざまな意見が上がった。(熊田梨恵)
 同大は、地域医療の確保や発展などを目的に、各都道府県の共同によって1972年に設立された。へき地医療の確保のため、指定されたへき地・離島などにある診療所や病院などで卒後9年間勤務すれば、在学中は貸与となっている学費の返済が、全額免除になるシステムをとっている。ただ、9年間の義務年限修了後にへき地勤務を辞めてしまう卒業生がいるなどの問題も指摘されている。


■二次に「認定」医を

 視察では、まず高久学長が同大の沿革や役割、卒業生の勤務状況などを紹介。同大では、これまで3084人の卒業生を出しており、このうち65.8%が、9年間の義務年限を終了している。しかし、2005年度までに卒業した2579人のうち、へき地で勤務しているのは1072人で、へき地外の1507人を下回るという。勤務先や開業後の状況を開設者別に見ると、33.5%が市町村立病院、18.8%が都道府県立、11.8%が開業、医療法人等が11.0%など。

 高久学長は、患者を総合的に診療する「総合医」について、「医師会と学会で認定制をつくる必要があると個人的に考えている」と述べた上で、日本医師会が2006年度から日本プライマリケア学会などと共同で、臨床経験年数によって3段階に分かれているカリキュラムを修了することで認定が得られる「日医認定かかりつけ医(仮称)」を説明した。

 その上で、一次医療機関には「総合医」、二次医療機関には「認定医」、三次医療機関には「専門医」を置くべきと主張。「一次医療機関は診療所の開業医がいるが、そこには総合的な診療能力持った『総合医』がいて、三次には専門能力を持った『専門医』がいる。二次病院には、総合医よりはもう少し専門性があり、専門医よりは幅広いといった、例えば耳鼻科なら目、耳、喉だけでなく全体を広く診る耳鼻科の『認定医』が必要。三次に来たら鼻が専門(の『専門医』がいる)、というように考えている」と説明した。


■「何でも相談」だが「何でも治療」ではない

 
続いて、梶井教授が総合医に求められる役割などについて紹介した。
 「総合医については、できるだけ住民に分かりやすく『何でも相談できる医師』と言っている。何でも相談できるが、何でも治療できるわけではない。一定のトレーニングを積んだ総合医なら、普段の健康上の問題の7-8割は解決できる。総合医は『診療所・病院』という枠組みでなく、地域の医療を広く担う役割がある」
 医療資源の少ない地域でも、同大の卒業生と行政や地域住民らによる連携で地域医療がうまく提供できている地域があるとし、そうした地域の共通点として、▽幅広い診療を提供▽後方病院との円滑な連携(病診、病病連携)▽行政との強い連携▽住民からの厚い信頼-を挙げた。その上で、「『地域医療づくりは街づくり』という言葉をイメージする」と述べた。

 また、「地域を担う医師確保のヒント」として、▽地域医療に対する行政(都道府県)の明確な方針▽行政と(同大)卒業生の密な意見・情報交換▽地域医療に従事する医師の組織▽へき地で働く医師の支援体制の充実▽全県の地域医療を見守る中心的医療機関の存在▽生涯研修の保障-を提示。これらをすべて満たしたのが高知、島根、長崎とした。

 「今のわが国の医療に最も必要なのは『医療の流れ』づくりで、▽医療機関の機能分担▽総合医の育成▽住民への啓発▽相互の信頼と理解―の4点。限りある医療資源の効率的な利用ということは言うまでもない。この『流れ』づくりのモデルが全国にたくさんできており、これに倣って地域を挙げて取り組めば日本もよくなる。総合医が国民にまだまだ認知されていない側面がある。総合医を国民が求めていることが明確になっていけば、総合医を志す若い医師は少なからず居る。そういう医師が総合医として活動を担っていってくれると思う」


<厚労相と高久学長、梶井教授の意見交換>


■「認定医」国での位置づけは?

厚労相
「まず総合医と認定医の件だが、厚生労働大臣として何をすべきか。総合医は『(安心と希望の医療確保)ビジョン』でも取り上げ、北海道で活躍している例もある。標榜科としてこれを上げる方向に入っているが、(問題は総合医や認定医の)中身や内容についてだ。それぞれの学会で自由にやってもらい、国が『これとこれのカリキュラムをやらなきゃだめ』という方向じゃない方がいいと思っているが、その点がまず一つ。二次医療機関が崩壊状態にあると、各地でよく聞く。(高久学長が)『認定医』や『総合医』のことなどを言っておられた。『認定医』という形で医師会の方でもやっていただけるとありがたいが、国の行政の中でどう位置付けるか。きちんと機能させるために必要なことだ。わたしの立場で何をすればいいか」


■「広告を認めて」

高久学長
「『総合医』については、20年前に厚生省(当時)が『家庭医構想』を出した。(家庭医が診る患者を)人頭割としたから、医師会が猛烈に反対して、構想がつぶれたが、医学的な家庭医構想をつくっておけば、今のように患者さんが病院に集中してパンクすることはなかったと思う。(昨年に)厚労省が『総合科』の構想を出した。新聞の報道なので本当かは分からないが、『厚労省が(総合医を)審査・認定する』と言ったので、医師会がまた反発した。
 米国も英国も『家庭医』という言葉を使っている。米国では、インターンが終わって大体3年程度の後期研修を終えて初めて『家庭医』や『地域医』になれる。日本でも本来なら、初期研修が終わって2年間ぐらいは、総合医としてのトレーニングを受けないと、住民が信用しない。本来は開業医を通して病院に来るべきだが、自由標榜だから開業医がどんな能力を持っているか分からない。日医では、『生涯教育』の内容を『総合医教育』に改める方向を示している。インターネットなどEラーニングで勉強してもらってテストして、今開業している人たちに『総合医の資格を与えようじゃないか』というのもある。
 亀田総合病院などは『家庭医』という(後期研修)コースを持っている。それを通った人は看板を出していいようにしてほしい。厚労省が掲げる9つの『外形基準』(法人格を有する、会員数1000人以上など、学会に対する9つの基準)を(学会が)満たせば、(学会認定の)『専門医』の広告が認められるが、『認定医』という看板は出せない。総合医はある意味、専門領域の幅の広い総合的な専門医だが、総合医の認定制をつくった時に総合医の看板を出せるようにしてほしい。がん治療の認定制ももうすぐ始まる。同じ形で総合医を認めていただきたい」


■総合医「トリアージできるかに尽きる」

厚労相「それとも関係するが、プライマリケアが大事だと(高久学長と梶井教授が)おっしゃった。若干意地の悪い質問かもしれないが、総合医やプライマリケアというのは、いかにトリアージをやるかに尽きる、とある意味思う。さきほど(梶井教授が)7割方(健康上の問題が)分かるとおっしゃった。プライマリケア専門の先生方に、極めて重篤な患者を診ている経験がなければ、何がプライマリで何が重篤であるか(判断できない)。つまり、本当のトリアージは、すべての段階を見ておかなければできないのではないか。そうすると、プライマリケア学会や医師会がプライマリケア(のカリキュラムを)やるにしても、今言った問題を研修できちんとやるような病院があるか」

高久学長「大学ではむしろ重症な患者を勉強している。研修指定病院でも、2年間でいろんな患者を診る。自治医大の卒業生も島に行くと重症な患者を診て、ヘリコプターで送るとか、決断を迫られることがある。家庭医の後期課程を持っている亀田総合病院なども、そこはうまく回していると思う。そうしないと、慢性疾患ばかり(診る)というわけにはいかない」

厚労相「研修も含め、カリキュラムの中にそれを位置付けることは可能か」


■「カリキュラムで位置付けできる」

梶井教授「可能だ。病院で重篤な患者もしっかり経験させ、連携している地域に出て診療所や病院で幅広いプライマリな部分を学ぶカリキュラムのある学会もある。例えば、輪番の枠組みでも、診療所だけでなくある日は病院の救急医にもなる。軽い患者を診るのでなく、地域全体のニーズに応えるというコンセプトが非常に大事」

厚労相「新しい研修制度をきっかけに、大学病院の医師派遣機能が落ちたと。これが今の医師不足の元凶という意見がかなりある。こういう点についてどうか」


■臨床研修制度「結果として医師不足」

高久学長「今までの研修制度が2年間必修になって、お金も出るようになったことは良い。大学に行かなくなり、卒業生が地方の病院に行ったのも現実。大学は医局に勝手に入らせ、半分労働力として使うことで安住していた。大学の研修制度に問題があったことも事実。そこで研修病院が『留学できる』とか、魅力的なカリキュラムをつくった。そして大学に行かなくなり、医者が足りなくなって引き揚げ、結果として医者が足りなくなったのは事実。いま国立大学のカリキュラムなどで地方に呼び戻そうと努力しているから、少しずつ増えてくる可能性があるのでは。3年後に戻ってくる例もある。一度出た医師を戻すことはなかなかできない。若い人は、昔のように医学博士よりも専門医への志向が強くなった。それも大学離れの一つの原因。医局がなくなりつつあって教授の権限がなくなり、『行って来い』と言っても、あまり聞いてくれなくなった。(新医師臨床研修制度が)一因とは思うが、すべてとは思わない」

梶井教授「(医師不足の背景には)いくつかの要因が組み合わさっている。若い医師の大学離れはその前から進んでいる。臨床研修制度がそれに続いたという形だ」

厚労相「研修の中身について。オールラウンドに学ぶことでレベルは全体的に上がったと思うが、逆に、何もかもやる必要があるのか。『自分は絶対に産科にはならない』と決めている人が、分娩までやる必要があるのか。専門性と総合性という観点からどうか」


■研修の産科必修「意味がない」

高久学長
「産科はどうしても見学になる。仮に3か月回るとしても、(その経験だけで)将来的に産科やお産をすることは不可能では。研修制度は自分が診るかもしれない患者、特に総合医なら高齢者や精神的な疾患を持つ人とか(を診ることが必要)。地域によっては小児も診ないといけない。そういう意味で言うと、産科(研修の必修)とかはあまり意味がないと思っている。もう少し選択制にして充実した方がいい。コアが多過ぎると思う。地域別実習でも、地域の診療所・病院に行くのはいいが、保健所は意味がない。ああいう風に専門家の中を回ってもプライマリケアの勉強にならない」

梶井教授「産科に関しては卒業生のニーズを見ても、必ずしもやらなくてよいのでは。こういう時代だから、できるだけ速やかに専門化につなぐことが大事。わたしは今まで地域に出て(『総合医』として診療して)いてもトラブルが起こったことはない。自分が『ここまではできる』ということを踏まえていればいい」

厚労相「地域格差の中で、医療格差が一番大きな問題になっている。医学部定員を削減する方向だった11年前の閣議決定を見直し、増やすことになった。養成数を増やすに当たって、自治医科大の定員を増やすべきとか、こういうものを拡大してほしいとか、要望は。総務相や文部科学相と相談しないといけないが」


■「全国に自治医大版できる」

高久学長「(定員を)今年度に10人増やしてもらい、現在の110人になった。さらに来年度には113人に増える。キャパシティとしてはこれ以上難しい。(緊急医師確保対策で医学部定員が)各県で5人、北海道も15人増える。自治医大版として、その人たちと一緒にやっていくことを考えようと思っている。同じこと(注)をやるわけで、われわれには30年間の実績もある。割り当てられた5人の枠組みを自治医大枠に入ってもらい、一つの活動を一緒にやっていければと思う」


(注)昨年に決まった緊急医師確保対策では、大学医学部の入学定員について、全都道府県を対象に来年度(公立大学は今年度)から最大9年間にわたり5人増(北海道は15人)を認めている。入学定員を増やす都道府県は、医師の確保が必要な医療機関で9年間以上勤務することを返還免除の条件とする奨学金を設定し、地域への医師の定着を図ることとしており、自治医大と同じシステムをとることになる。

 

 

 

 キャリアブレイン

制度の違いで医師の配置がかわってくるので、バランスいいものに変わる制度にしてもらわないと、、。

固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

shushu
More プロフィール

Search

Calendar

<< 2008/07 >>
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

新着コメント

新着トラックバック