日医と医療機関に別の文書送付か-厚労省
厚生労働省が作成した診療報酬改定に関する資料について、全国保険医団体連合会(保団連)が「資料は調査データを不正流用して作られた」と指摘している問題で、保団連は7月3日、記者会見を開き、資料作成の経緯などをただした質問状に対し、厚労省が回答を“拒否”していることを明らかにした。調査をめぐっては、「異なる使用目的」を記載した2種類の文書が医療機関に送付されていたが、厚労省が日本医師会に協力依頼した際には、同省が掲げる目的とは別の内容が記載されている文書が送られていたことが新たに判明した。
問題となっているのは、4月の診療報酬改定で導入された、医師が再診時に算定することができる「外来管理加算」の“5分ルール”に関する内容。厚労省は昨年12月の中央社会保険医療協議会(中医協)に、「内科診療所における医師一人あたりの、患者一人あたり平均診療時間の分布」と題する資料=グラフ=を提出した。この中で、約9割の医療機関の平均診療時間が5分以上であることが示され、“5分ルール”の参考資料とされた。
資料では、平均診療時間が30分以上の医療機関が圧倒的に多く、保団連が情報公開法に基づいて資料の出典開示を請求。その結果、外来管理加算の対象となる再診患者に対する診療時間の調査ではなく、厚労省の委託を受けた業者が行った「時間外診療に関する実態調査結果」の数値を基に作成されたことが分かった。
保団連は「外来管理加算の時間要件(5分ルール)と別の目的に使用したのは、明らかな不正行為」と批判。これに対し、厚労省は、業者委託して調査を行う際、「今後の診療報酬改定の検討資料とすることを目的に実施するとした文書を送付しており、不正流用には当たらない」と反論し、保団連に新聞とホームページに訂正文を掲載するよう申し入れていた。
しかし、保団連の調べで、調査に当たり、「診療報酬改定の検討資料」とする厚労省と、「時間外の診療体制のあり方を検討する」という業者と、互いに調査目的の異なる2種類の文書が医療機関に送付されていたことが判明。
加えて、医療機関への調査協力を依頼するため、厚労省が日医にあてた文書には、同省のいう「診療報酬改定の検討資料」ではなく、業者の文書と同じ「時間外の診療体制のあり方を検討する」という文言が記載されていることも明らかになった。
保団連は会見後、資料を作成した厚労省保険局医療課と話し合った。この中で、同省の担当者は「(厚労省が出した)お願い文には『今後の診療報酬改定の検討資料とすることを目的に』と書いてあり、不正流用には当たらない」と繰り返し強調。業者や日医の文書には、「時間外の診療体制のあり方を検討する」と、異なる目的が書かれていたことについては、同省は関知していないとの態度を示したという。
保団連では、「資料は、医療機関ごとの『診療時間』を患者数で割っただけの単純なもので、今回の算定要件である個々の患者に対する医師の診察・指導の時間である『診察時間』とは、全く性格が違う」と指摘。厚労省に対し、質問状に答えるなどの説明責任をあらためて求めている。
外来管理加算
「入院中の患者以外の患者(外来患者)に対して、厚生労働大臣が定める検査ならびにリハビリテーション、処置、手術などを行わず、計画的な医学管理を行った場合は、外来管理加算を算定できる」などと定められている。今年4月の診療報酬改定で、外来管理加算を算定する場合には、おおむね5分を超える診察時間を要することになった。
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