人工島への移転に強い反発 福岡のこども病院建て替え
小児医療で全国的にも高い水準を誇る福岡市立こども病院(同市中央区)の建て替え場所をめぐり、福岡市と患者家族らが対立している。市は敷地を安く確保できるとして東部で造成中の人工島への移転を打ち出したが、家族らはアクセスのいい中心部の現在地での建て替えを要望。経済性と利便性をめぐり議論は平行線をたどっている。
こども病院は、西日本で初めての小児専門病院として1980年に開業。ベッド数は190床。先天性の心臓病手術は年間400回を超え、全国トップクラスの実績だ。集中治療室(ICU)はいつも満床で、北海道網走市からヘリコプターで運ばれてきた患者も。福重淳一郎(ふくしげ・じゅんいちろう)院長は「この病院の医療を求め全国から患者が集まってくる」と話す。
だが築30年近くになる建物は老朽化が著しい。医療機器の大型化で病室が手狭になっている上、耐震性にも問題があるため、市は建て替え予定地として、現在地を含めた6地点を検討した。
交通の便、敷地の確保、経済性などを考慮した結果、福岡市は昨年12月、利便性は劣るが広い敷地を安く確保できるとして、現病院から約10キロ北東で市東部の人工島が適地との方向性を打ち出した。
試算では、現在地での事業費128億円に対し、人工島では88億円に抑えられるといい、「将来にわたって高度医療を提供するには今の倍は敷地が必要。コスト面を考えると人工島が最適」(市幹部)と説明する。
これに対し、人工島は公共交通機関がバスしかないことや、本土との間の橋で渋滞が心配されることなどから、患者家族らは反発。長男(23)がこども病院で心臓病の手術を受け、現在も通院を続ける佐野寿子(さの・ひさこ)さん(47)は「緊急時は1分1秒を争う。子どもの命を考えるなら、少しでもアクセスのいい場所を選ぶべきだ」と訴える。
治療のため病院の近くに引っ越した患者もおり「市は利用者の視線で考えていない」という批判もある。移転反対の署名は半年で7万4000人を超えた。
人工島は港湾や物流機能の拠点化と新産業の集積を図るため、福岡市が約4600億円かけて開発中の大型プロジェクトだが、企業誘致の成果は芳しくない。
このため「病院の移転は人工島の土地売却のためでは」との批判もくすぶる。開業以来勤務する病院幹部は「通院が不便な場所に移れば患者が減り、病院の経営は圧迫される。人工島への移転は政治的思惑が強い」と疑念を示す。
こうした中、福岡市の吉田宏(よしだ・ひろし)市長は「人工島への移転が基本」との立場を崩しておらず、近く患者らへの説明会を開いた後、7月中に建設地を正式決定する。
共同通信社
医療など公的なものは税的な面で考えてくれないとダメですよね!本当につぶれていきますよ!
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