「医療費で財政は破綻しない」
医療機関への受診時の患者負担が原則無料となっている欧州諸国の「常識」を目指し、日本でも窓口負担をゼロにしようと、神奈川県内の医師らが立ち上げた「医療費の窓口負担『ゼロの会』」。「医療制度構造改革」を強力に推進した小泉政権時代を振り返り、小泉政権の約5年で、国民医療費は約3兆円増にとどまりながら、国債残高が約246兆円増加した実態などを挙げ、「医療費が財政を圧迫しているとは言えない」と、国の社会保障費抑制策を見直す必要性を強調している。
「ゼロの会」は、厚生労働省の統計を基に、約5年間にわたる小泉政権時代の2001-06年度の国民医療費や国債発行残高の推移などを分析=表=。6月28日に神奈川県保険医協会で開いた学習懇談会で解説した。
国民医療費は、01年度には30兆1418億円だったが、06年度には33兆1289億円に増加。約5年間に2兆9871億円増加し、対国民所得比では0.9%増だった。このうち、国庫負担は8690億円増え、国民医療費の構成比では0.4%増。企業の保険料負担は1364億円減り、構成比では2.5%減に。一方、患者の自己負担は7281億円増え、構成比では1%増加した。
国債(内国債)の残高は、01年度には約430兆円だったが、06年度には約676兆円となり、約5年間で約246兆円も増加した。
小泉政権は、「改革には痛みが伴う」などとして、社会保障費を圧縮する政策などを推進したが、「ゼロの会」は、国債発行残高が政権発足当初より大幅に増えたことを示し、「これは、医療費など社会保障費が原因ではない。医療費が増えると財政が破綻(はたん)すると言う国には誤りがある」などと反論した。
また、高齢者医療についても検証した。老人保健の給付費は、01年度には10兆2399億円で、国民医療費に対する構成比が34%だったが、06年度には10兆6353億円で、構成比が32.1%に。支出額としては3954億円増えたものの、比率は1.9%減少した。
「ゼロの会」は、「国は『お年寄り(の医療)には金が掛かる』と言っているが、国民医療費全体に占める比率は減っており、実態としては高齢者医療を抑制している」と、国の姿勢を批判した。
さらに、消費税率見直しの動きについて、1989年度から2007年度までの消費税の累計が約188兆円に対し、法人3税(法人税・法人住民税・法人事業税)の減収分が約159兆円との実態を示し、「消費税が社会保障の充実に充てられたかには大きな疑問が残る」などとして、消費税率の安易な引き上げに反対するとともに、所得税や法人税などを含めた税制全体の在り方を見直す必要性を指摘した。
更新:2008/06/30 15:56 キャリアブレイン
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