「薬剤師に採血や聴診器を」
6月12日に開かれた厚生労働省の「第3回薬剤師需給の将来動向に関する検討会」は、危機感にあふれた議論となった。2008年春の薬剤師国家試験の合格者が初めて1万人を超え、さらにこれからも増加が間違いない状況。「薬剤師余り」がすぐそこに見えている中で、議論は「薬剤師の職能拡大」へと向かった。
口火を切ったのは、金城学院大薬学部の網岡克雄准教授。「職能あるいは権限の拡大というと、職能団体同士のいろいろな問題も出てくるとは思うが、この場は検討会ということで、意見を述べさせていただく」と前置きした上で、持論を展開した。
「医師不足、看護師不足という状況の中で、既に医療の担い手として参加している薬剤師の権限の拡大は、こうした状況を緩和することになる。救命救急センターで薬剤師をしていた経験から言えば、座薬の投与や、褥瘡(じょくそう)などでの軟膏の塗布などは、薬剤師でもできるのではないか。また、鎮痛剤などの限られた薬に対する処方も、条件付きでできるようにする、という可能性も考えられる」
さらに、バイタルサインのチェックや非侵襲的な検査も可能性があるとし、簡易キットによるインフルエンザの検査や性感染の診断キットなどを例に挙げた。
この発言を受け、東北薬科大理事長の高柳元明委員は、「医療人としての薬剤師、ということを考えると、患者さんとじかに接する機会がほとんどない、というところがネックになる。もし、薬剤師が採血ができる、あるいはバイタルサインのチェックができるということで、聴診器を持って病棟を回るようになれば、医療人としての心構えが違ったものになるはず」と述べた。
また、日本病院薬剤師会会長の堀内龍也委員は、「病院薬剤師は、徐々に病棟に入って服薬指導などを行うようになっている。チームの一員として、専門性を発揮しつつあると言えるのではないか。そう考えると、例えば、バイタルサインをチェックするということはあり得るのでは。現に、副作用が起こっているかどうか、見ただけでは分からない。基本的に、チームなら誰がやってもいいのでは」と問い掛けた。
阪大大学院薬学研究科長の小林資正委員は、「現状を考えると、6年制であれ、そこまで育て上げるのは厳しい。今は認められていない医療行為の一部についての研修を行い、新しい認定薬剤師のような制度を構築して、セレクトした薬剤師をつくればどうか。そうした薬剤師が医療行為の一部を担っていくことで、地位向上にも、権限の拡大にも、ひいては収入増にもつながるのでは」と提案した。
これに対しては堀内委員が反論。「基本はやはり、薬剤師全体の地位向上だということ。6年制教育もそのためのもの。スペシャリストの養成は必要だが、それよりもまず全体の底上げだ」と述べた。
キャリアブレイン
医師、薬剤師 、看護師、パラメディカルの仕事の内容の境界線があいまいになってきた、。
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