原爆症の認定申請を却下した国の処分を不服として、仙台市の被爆者の男女2人が処分の取り消しと1人あたり300万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が28日、仙台高裁であった。
井上稔裁判長は1審・仙台地裁判決を支持、いずれも原爆症と認定して国に処分取り消しを命じた。国が認定条件を緩和して4月から運用している新基準を踏まえた判決は初めて。原爆症認定の集団訴訟は全国の1審で国の敗訴が相次いでおり、仙台高裁も原告の1人の二次的な疾病と放射線との因果関係を認めるなど、新基準より広く認定した。国への損害賠償請求は棄却した。
被爆者援護法の原爆症認定条件は〈1〉疾病と放射線との因果関係(放射線起因性)〈2〉医療行為が必要な状態にあること(要医療性)。国は新基準で、放射線起因性について見直し、爆心地からの距離など一定条件のもと5種類の疾病患者を原則認めることで救済範囲を拡大した。一方、要医療性の判断は従来通りとしていた。
訴えていたのは、広島市の爆心地から1・8キロの路上で被爆した波多野明美さん(69)(仙台市太白区)と、2キロ離れた兵舎内で被爆した新沼みつ雄(お)さん(84)(同市泉区)。(みつは「式」のエが「三」)
波多野さんは胃がんと手術後の障害、新沼さんはぼうこう腫瘍(しゅよう)を訴え、2002年に国に原爆症認定を申請したが、却下され提訴。仙台地裁は昨年3月、国に却下処分取り消しを命じた。
控訴審では新基準を受け、仙台高裁が今年4月に弁論を再開。国は、新沼さんについて放射線起因性を争わない方針に転じたが、「治癒している」として要医療性がないと主張。波多野さんについては「二次的症状」と主張していた。
原爆症認定の集団訴訟は15地裁6高裁で原告305人が係争中。30日には大阪高裁でも判決が言い渡される。
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