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高齢者から遠ざかり始めた米国医師

〔米オハイオ州クリーブランド〕既に,米国の医師は米連邦政府の公的医療保険メディケアに加入している65歳以上の患者を相手にしなくなり始めている。これはメディケア診療報酬の削減案が出されているためで,同案が予定通り可決されれば,この傾向は加速しそうだ。医療グループ経営協会(MGMA)や米国医師会(AMA)が会員医師に行った調査で明らかになった。

診療から完全撤退のケースも

 グループ診療を行う全米約27万人の医師を代表する組織であるMGMAは,高齢者医療費の削減案はもちろん,既に行われている削減にも反対しているグループ診療の医師にアンケートを行った。
 あと数か月で施行予定の法案では10.6%の削減が見込まれているため,MGMAの調査に回答した医師のほぼ半数が「メディケア患者の診療を停止するか,件数を抑えなければならなくなるだろう」と述べている。
 MGMAのWilliam F. Jessee会長兼最高経営責任者(CEO)は,削減が行われれば医療への投資が犠牲になるとしており,「特に心配なのは,支払いの遅延や不足が,医療のIT化や設備への投資力に及ぼす影響だ」と述べている。
 MGMAよりはるかに大規模の医師の組織であるAMAも声高に反対しており,削減案が予定通り施行されれば,メディケア患者の受け入れが制限されるという見解でも一致している。
 AMAが9,000人の会員に行った調査では,過半数が「10%削減案が可決されれば,65歳以上の患者の診療を減らすだろう」と回答した。
 被害を受けるのは患者だけでなく,医師も同じである。回答者の半数が「職員の数を減らす」と回答しており,14%は「メディケア取り扱いを停止する」と断言している。

締め出された高齢者の行き先は?

 近年,米国医療の新しい傾向として,"リテールクリニック"と呼ばれる簡易診療所が全米で展開されている。リテールクリニックは薬局や小売店に併設されている診療所で,医師ではなく上級専門看護師(APN)と薬剤師が配置されていることが多い。最も有名なのは,小売業界で世界最大手のウォルマートで,今後数年の間に2,000のクリニックを店舗に併設する予定であることを発表した。2005年以来,既に12州の76か所に,客が立ち寄れるクリニックを開設している。
 プライマリケア医も,経営を維持するために新たな戦略を考え出しており,いくつかの州では独自の保険モデルを立ち上げた。ただし,州が"無免許の保険会社"とみなすケースもある。
 こうした牽制を無視し,独自プランを州議会に認めさせた医師がいる。ウェストバージニア州ホイーリングのVic Wood氏で,これまでに100人の患者と契約を結んでいる。契約患者は個人単位なら月額83ドル,家族単位なら月額125ドルで,制限なくプライマリケアと救急医療を受けることができる。しかし,同氏は自身の保険モデルによる新たな診療所の人件費などの採算を取るために,1,200人の契約が必要だろうと推定している。

アメリカでも同じ運命か?高齢者は?

 

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