北海道・オホーツク地域で中核的存在の北見赤十字病院(北見市)が4月、医師の大量退職で内科外来の休止に追い込まれた。86人いた内科入院患者は全員転院。周辺の病院に患者が殺到するなど、地域医療全体に影響が広がっている。
▽担当表は空欄
「総合病院に内科がないなんて信じられない」。空欄となった医師の診察担当表に目をやりながら、約15年間通院していた女性会社員(54)は嘆いた。
「勤務医は夜間救急、外来・病棟診察、手術までこなし365日、休めない」と同病院関係者。大量退職の背景には、以前から指摘される過酷な勤務状況がある。地元医師会や日本赤十字社が医師派遣などで支援しているが、いずれも緊急避難的な措置にすぎない。
同病院を訪れた自民党の谷垣禎一政調会長は「緊急医師確保政策を議論し、施策を展開しようとしているが、問題が山積している」と吐露した。
北海道室蘭市の病院でも、内科医不足から救命救急センター廃止が決まった。民主党の鳩山由紀夫幹事長の地元だ。同党は国立大医学部入学者の地域枠拡大や医師派遣制度創設を検討しているが、事態打開のめどは立っていない。
▽外国人医師でも
各地で同様のケースが続発しているため、"非常手段"に訴える自治体や病院もある。
新潟県は昨年11月、外国人医師の医療行為を認める構造改革特区構想を提案した。しかし厚生労働省は3月、「現行制度で対応可能」との結論を出した。
同省医事課は「言葉や文化の壁がある。人間的な付き合いが必要なへき地医療には対応できない」と指摘。研修目的の外国人医師に医療行為を認める臨床修練制度を活用すべきだとする。
同制度には前例がある。岩手医大付属病院が2006年、協力関係にある中国の病院から日本語が堪能な産婦人科医を招いたが、2年の任期が終わると帰国。日本語能力の問題もあり後任は来ていない。新潟県の泉田裕彦知事は「地方には医師不足対策に有効な対策を立てる(権限の)範囲が狭い」と不満を漏らした。
▽看護師買い
「当院で勤務していただける看護師をご紹介賜りたい。看護師の報酬は380万―700万。応分の紹介料をご用意する」。佐賀市と佐賀県武雄市の2つの病院に昨秋、静岡県伊豆地方の総合病院から看護師長あての手紙が舞い込んだ。
医師や看護師の確保に苦心する佐賀県医師会は激怒。医師会長名で「看護師確保の困難さは理解するが、倫理観をもって行動してほしい」と抗議した。
まだ応じた看護師はないというが、こうした"看護師買い"は小泉内閣時代の診療報酬改定が影響したとされる。「入院患者7人に看護師1人」との手厚い体制を敷ける医療機関なら報酬増となったため、大病院が看護師を獲得する一方、中小病院が苦境に立たされる格差を生んだ。
佐賀市を地盤とする民主党の原口一博衆院議員は「看護師全体の需給関係を考えず、財政最優先の小泉改革が招いた事態だ」と批判。原口氏と争う自民党の福岡資麿衆院議員は「重度の患者を診る病院の体制強化のため、現場の声を受け導入した制度だ」と反論しながらも、医師や看護師の増員、待遇改善が急務と指摘する。
× × ×
国会は、道路特定財源問題をめぐり与野党攻防が続いている。しかし課題はそれだけではない。次期衆院選の争点になりうるテーマについて地方の訴えを聞いた。
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