同学会や厚生労働省(厚労省)が行った調査から,全国1,069の病院小児科のうち,1小児科当たりの医師数が1人,もしくは2人しかいない施設が全体の半数を占めており,規模の小さな病院小児科が分散している傾向が明らかになっている。さらに休日・時間外診療の増加などが重なり,小児科医の過重労働の軽減と医療の質の確保は緊急の課題とされている。
同学会では危機的状況にある小児医療提供体制の改革を目指し,全国の学会地方会にモデル案策定委員会を設置するとともに,全国の病院小児科,小児科医を対象に勤務状況や労働環境に関する調査を行ってきた。それらの結果をもとに,今回,小児医療体制改革案として二次医療圏における病院小児科の集約を主眼とした“地域小児科センター”認定制度の実施に向け検討を重ねた。
今回の認定制度では,病院小児科の集約化により,医療体制の強化を図るとともに,病院小児科医の労働環境を改善することが最大の狙い。
地域小児科センターは,人口30万~50万人程度につき1か所を目安に,複数の市町村にまたがる二次医療圏に設置され,医師,コメディカル,設備を集約,二次救急医療を提供する。一次時間外診療については,地域の開業医,病院小児科医らが連携して実施し,三次医療は大学病院などの中核施設が担うこととされている。
地域小児科センターの設置に伴い,小児科医の経験や専門分野,年齢に応じたキャリアパスを連動させることも視野に入れているようだ。医療の集約化とともに,医師1人当たりの過重労働を減らすことで研修医から指導医,専門医がそれぞれの状況に合わせて無理なく勤務を続けられ,病院小児科医の減少に歯止めがかかることも期待されるという。
同学会会員からは,集約化が果たして若手勤務医の増加につながるのか,そもそも小児科医の総数が足りていない現状で集約化が実現できるのか,また,診療報酬など病院経営にかかわる問題や,看護師の夜勤要請といった人的・システム面の変革をどう推進するかといった点など,学会主導の構想がどこまで実効性を発揮できるのか,今までにない試みだけに,戸惑いの声も聞かれた。
同認定制度は2年後の2010年末まで暫定的な認定基準にのっとって運用され,翌2011年から本格運用される見込み。同学会のシンポジウム「地域小児科センターの認定基準をめぐって」で,認定制度の概要説明を行った日本小児科学会理事の藤村正哲氏(大阪府立母子保健総合医療センター総長)は,この認定基準は,学会が国民にとって望ましい小児医療の核となる病院小児科の在り方を提案したものだとし,「ただ,“よい医療を提供したい”というのは抽象的だ。何を改善すればどのようなアウトカムが得られるのか,具体的な取り組みを進めることこそが私たちの目指す方向ではないか。皆さんの建設的な意見をいただきながら,小児の医療の将来をよりよいものにしていければ」と制度実現への理解と協力を求めた。
(坂口 恵)
いい方法を提唱してよくなればいいんです。
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