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2008.06.07 06:31 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  医療事故  |  春野ことり  | 推薦数 : 9

国公立病院の医師は守られない

前々回の記事、

医療裁判と「公務員バリア」に関して

日本をダメにした10の裁判 [日経プレミアシリーズ] (日経プレミアシリーズ 4)

の著者さまから、メールをいただきました!著者さま、ありがとうございます!!

ご本人の承諾を得られたので、メールを引用いたします。(配色はブログ主によります)

------------------------------------

まずは言い訳から入ります。一般向け書籍ということで、しかも各テーマについてスペースが限られており、「これだけは」というエッセンスを大づかみに伝えることを最重視しました。その結果、それなりに重要なポイントであっても、書くとかえって紛らわしくなる、書くと長々しい説明をつけざるをえない、といった理由で触れなかったものが、いくつもあります。

「公務員バリア」は、国家賠償法1条によるものですが、そこでは、「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が・・・」と、国家賠償法の適用対象になる場合が限定されています(本で言うと90頁に条文が出ています)。この点もそれなりに重要なポイントなのですが、本では特に取り上げていません。

と前置きが長くなりました。何が言いたいかというと、実は、公立病院の医師が通常の医療行為をする場合には、「公権力の行使」には該当しない、よって、国家賠償法ではなく、民法が適用される、と一般に解されております。民間病院で行う医療行為と業務の性質が同じだからです。裁判では、定期健康診断でレントゲン写真の誤読影をした保健所勤務の医師について、「公権力の行使」に該当せず、とした例があります。このような場合には、国の責任は、国家賠償法1条ではなく、民法715条で、医師個人の責任は民法709条で、それぞれ問えることになります。

では、公立病院の医師がする医療行為はすべて「公権力の行使」不該当か、というとそうでもなく、ここがややこしいところです。裁判例では、予防接種法に基づく予防接種、刑務所での医療行為、措置入院患者に対する治療などは、「公権力の行使」に該当するとされています。このような場合は、医師個人への民法709条による請求はできず、「公務員バリア」に守られることになります。

今一度、この「公務員バリア」の章を読み直してみましたが、医師の方が読まれた場合には、医療行為について、ブログに書かれたような読み替えをされるのは、全く無理ないことです。くどくない程度に「公権力の行使」について説明すべきだったと反省していますし、そのことに気づかせて頂き、あらためて感謝したいと思います。

戻って、「公権力の行使」による区別ですが、これの有無で医師の個人責任の有無が変わってくることに合理性があるとは思えません。

むしろ、ご指摘になっているように、「公立病院か、民間病院か」とか「公権力の行使か、そうでないか」といった基準で区別するのではなく、医療の特性に照らして、他の業務とは違う基準で判断されるべきだろうと思います。ではどんな基準で?と言われると、たいへん難しい問題で、軽々しく意見できません。

----------------------------------------------

 

なあんだ

なあんだ

なあんだ

 

通常の医療では、公立病院の医師はやはり守られないんだ。。。

 

遊佐奈子先生からトラックバックいただいています。相変わらず鋭い切れ味!

  • 救命救急で死んだら4400万円勝ち取れます(裁判) (女医^^遊佐奈子の政治と医療・裁判員制度と冤罪)
  • 以下共感する部分を抜粋引用

    医療ミスが全くなく
    後遺症が残っても救命できたら奇跡、というような症例ですら、

    訴えれば、何の落ち度もなくとも巨額の賠償金で和解に持ち込めるんだと。

    どうせ、、、支払う賠償金の出どころは税金。
    病院がこれでつぶれる訳でなければ。自分の退職金が減るわけでもないお役所仕事?。

     

     

    こんな症例で和解する市民病院や国立病院はとても多い気がする。。。

     

    助かる見込みがないなら、救急で駆け込むなら国公立系病院へ!
    たんまりとお金が儲かりますよ。。。
    (引用ここまで)

     

    いや、全く同感です。

    国や公共団体を相手取った医療裁判、とても多いですよね。

    多額の賠償金を得やすいからだと思います。

    出所が税金なわけで、誰の懐も痛まない。面倒くさい裁判からさっさと逃れたいから、徹底的に戦うこともせず、過失もないのに病院側は和解に応じます。

    それでも、医師個人の責任は問われないという「公務員バリア」で守られるのなら。。。と淡い期待を抱いたのが前々回の記事でした。

     

    甘かったです。

    国公立病院の医師は国や公共団体から守られません。

     

    簡単に訴えられ、守られない公立病院勤務医。

    院長から、医師の過失がなくても「医療ミスがあった」と簡単に言われ、「トカゲの尻尾切り」をされます。

     

    あなたはそれでも国公立病院で働きますか?

     

    (ちなみに夫は国立病院外科系医師です)

     

    なかのひと

     

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    2008.06.06 08:20 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  医療事故  |  春野ことり  | 推薦数 : 2

    訂正とお詫び

    前回の記事

    医療裁判と「公務員バリア」の訂正です。

    日本をダメにした10の裁判 [日経プレミアシリーズ] (日経プレミアシリーズ 4)

    の著者さまから、メールをいただきました!

    「公務員バリア」(著者の造語)は医師には当てはまらないんだそうです!!

     

    取り急ぎ、訂正とお詫び申し上げます。

    詳しい記事はまた後に書きます。

     

    なかのひと

     

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    2008.06.05 04:15 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  医療事故  |  春野ことり  | 推薦数 : 5

    医療裁判と「公務員バリア」

     

    日本をダメにした10の裁判 [日経プレミアシリーズ] (日経プレミアシリーズ 4)
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    今、「日本をダメにした10の裁判」という本を読んでいます。

     

    第5章「公務員バリア」の不可解な生き残り   

    目からウロコでした。

    本章の内容の要点

    会社員と公務員では、業務上の不法行為を行った場合、大きな違いがある。 

    会社員の場合、個人として損害賠償を負い

    会社員個人に加えて、雇主である会社も、同様の損害賠償責任を負う。(民法715条)

    被害者の立場からみると、訴訟を起こす場合、会社員個人のみを訴える、会社のみにする、あるいは両方にする、といった選択を、被害者自身が行える。

     

    公務員の場合

    たとえば国に勤務する公務員が業務上不法行為をすると、国が被害者に対して責任を負うことになる。

    その法律上の根拠は、民法ではなく、国家賠償法1条である。「国または公共団体の公権力の行使にあたる公務員が、その職務を行うについて、故意または過失によって違法に他人に損害を加えた時は、国または公共団体が、これを賠償する責に任ずる」

    では、加害者である公務員個人の責任はどうかというと、驚いたことに、被害者から公務員個人に対して訴訟を提起しても棄却されてしまう。それが確立した裁判例である。

    公務員は会社員には与えられていない、特殊な「公務員バリア」の保護下にある。

    ------------------------------

     

    これを、ブログ主が勝手に医師の場合に置き換えてみると、こうなる。

     

    民間病院勤務医と公立病院勤務医では、業務上過失行為を行った場合、大きな違いがある。 

    民間勤務医の場合、医師個人として損害賠償を負い

    加えて、雇主である病院も、同様の損害賠償責任を負う。民法715条

    被害者の立場からみると、訴訟を起こす場合、医師個人のみを訴える、病院のみにする、あるいは両方にする、といった選択を、被害者自身が行える。

     

    公立病院勤務医の場合

    たとえば国立病院に勤務する医師が業務上不法行為をすると、国が被害者に対して責任を負うことになる。

    その法律上の根拠は、民法ではなく、国家賠償法1条である。「国または公共団体の公権力の行使にあたる公務員が、その職務を行うについて、故意または過失によって違法に他人に損害を加えた時は、国または公共団体が、これを賠償する責に任ずる」

    では、加害者である医師個人の責任はどうかというと、驚いたことに、被害者から医師個人に対して訴訟を提起しても棄却されてしまう。それが確立した裁判例である。

    公立病院勤務医は民間病院勤務医には与えられていない、特殊な「公務員バリア」の保護下にある。

     

    --------------------------

     

    公立病院を相手取った医療訴訟では、医師の過失があるとは思えないような事例でも、驚くような巨額な損害賠償支払い命令が下されていることが多い。

    もしかして、法曹の方々は、「公務員バリア」の存在を周知しているがために、「公立病院勤務医個人の責任は追及されないのだから、医師が傷つくことはないだろう」と考えて、原告側に偏った判決を下しているのではないだろうか?

    もしそうだとしたら大間違いである。

    そもそも、医師は医局からの派遣で病院を数年ごとに変わるシステムになっていて(医局崩壊後はどうなるかは知らないが)、あるときは公立病院に勤務し、あるときは民間病院に勤務する。その業務内容に違いはなく、どこの病院に勤務しているかによって、医師自身に「今は公務員」であるとか「今は非公務員」であるという自覚は乏しいだろう。

    訴えられているのがたとえ医師個人でなくて国や公共団体であろうと、医師側から見て非常に理不尽な判決が下されているニュース(非常に多い)を見たとき、医師の心は折れる。

    こんなことで訴えられて負けるのであれば、いつかは自分に降りかかることもありうる。そう思った医師は、危険な現場から去るしかなくなるだろう。

    それが勤務医の「立ち去り型サボタージュ」である。

     

     

     たとえば、最近のニュースではこんなものもある。

    doctor-dさまのブログより

    仰天!医療にミスはなくても救命センターで人が亡くなったら4400万円の和解勧告

    「4400万円で和解」
    http://www.tonichi.net/news.php?mode=view&id=23831&categoryid=1

    02年6月、豊橋市内に住む男性(当時51歳)が呼吸困難を訴えて豊橋市民病院を外来受診してそのまま入院、容体が悪化したため当直医が気管挿管を試みたが、失敗し、低酸素脳症による植物人間となり、今も続いている医療事故訴訟で、控訴していた病院側が和解勧告に応ずることになり、2日開かれた市議会議会運営委員会に報告した。和解金額4400万円。6月市議会定例会に議案として上程し議決後、正式な和解手続きに入る。

     この男性は92年から気管支ぜんそくなどのため同院に通院していた。呼吸困難を訴えて外来受診し入院した際、夜になって血中酸素状態が悪化し集中治療室に入ったが、容体悪化に伴い当直医が気管挿管を試みた。しかし肥満、猪(い)首、咽頭浮腫(ふしゅ)などのため挿管が困難で、心停止に陥った。

     心臓マッサージや蘇生(そせい)処置により心拍は戻ったものの、脳への酸素供給停止となり、低酸素脳症による植物人間となった。

     そのため迅速な挿管に失敗したことが後遺障害の原因だとして04年7月、病院を相手取って総額8443万円を求める訴えを起こし、06年9月、担当医師の判断ミスを認め、5142万円を支払うよう命ずる名古屋地裁豊橋支部の第一審判決が出された。

     病院は、医師個人の処置ミスはないと主張し、判決を不服とし控訴していた。

     名古屋高裁から今年3月、和解勧告があり、①医師に過失があったかどうか、肯定することは困難②ほかの医師との連携が十分であったかどうかは争点とされるべき③三次救命救急センターのICU内で管理中の症例であったことから、気管挿管困難症に適切に対処できる病院の態勢は不十分であり、これが事件に結びついた―とし、和解金4400万円が示された。

     同院では、担当医師の過失は認められないという判断が出て、賠償額も減額されたとして、応じることを決めた。


    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

     

     医師の過失がなくても4400万円の和解金?

    まったく理解できない。

    肥満、猪(い)首、咽頭浮腫(ふしゅ)

    これだけそろったら、私も絶対に挿管は失敗する。

    これを医師個人のミスとされたら、全国の医師は危険回避のために医療行為そのものをやめなければならなくなるだろう。裁判所もその辺りは解かっているのだろう。だから医師個人の過失は認められないとした。しかし、4400万円の和解金?これは納得ができない。

     

    誰の懐も痛まないから、植物状態になったお気の毒な患者さんの救済処置として払っておけばいいっていうことか?

    それならば、裁判とは切り離して、患者救済ための保障制度をつくるべきである。

     

    なんにせよ、こういう裁判例が医師のやる気を損ない、医療崩壊につながっていることは間違いない。

     

    誰か、「医療をダメにした100の裁判」という本を書いてくれないかしら・・・

    と、ふと思った。ネタはいくらでもありそう。

     

     

    日本をダメにした10の裁判 [日経プレミアシリーズ] (日経プレミアシリーズ 4) チームJ (新書 - 2008/5/9)

    実は、高校の同級生が分筆しています。ここで紹介したのはほんの一部だけです。他の項目も面白いですよ。

     

    なかのひと

     

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    2008.05.28 16:02 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  連載  |  春野ことり  | 推薦数 : 6

    延命治療、おいくらですか?③

     

    さて、本題に入りたい。

    「人工呼吸器をつけると費用はおいくらかかるんですか?」

    と聞いてきたタカコさんの息子さん、彼が知りたい費用とは延命治療にかかる実費なのか、自分が支払うべき負担金なのか、どちらだろうか。

    問うまでもなく、彼に請求される負担金であろう。実費がいくらかかるかを気にする患者など全くいないわけではないのだが、まずお目にかかることはない。

    人工呼吸器をつけて中心静脈栄養を行い、高価な抗生剤の点滴を行えば、1ヶ月で100万円近い保険請求額が発生する。

    しかし、いくら高額な治療を行っても、70歳以上の患者に請求される額は収入によって異なるものの一般には1ヶ月で数万円である。

    数万円という数字を更に正確にするため、私はタカコさんの場合の自己負担額を医事課に電話をして問い合わせた。

    回答は、24600円だった(注1)。実質100万円かかろうが、200万円かかろうが、負担金はたった2万4千6百円である。「それならばできるだけのことをやってもらった方が得だ」と息子は考えるかも知れない。

     

    私はこれまで何百人もの老人の診療に当たってきたが、「医療費が払えないから高額な治療や検査はやめて欲しい」という高齢者の患者にはまず会ったことがない。

    むしろ、医療費が払えないからと必要な検査を拒否するのは、70歳未満の患者である。

    私が医師になった頃は、70歳以上の老人は自己負担額がゼロだった。一方60代の患者は年金生活の上に国民保険で3割負担のため、検査などを勧めても、すんなりとは受けてもらえないことが多かった。そのために発見が遅れ、病状が進行してしまった患者もいた。その彼らが70代に突入するやいなや、何でもやってくれとホイホイ検査を受ける態度に豹変する姿を見てきた。60代のうちは自己負担金がかかるからと医師が勧める検査を断り、70代になったら医療の受けたい放題、これには矛盾を感じていた。

    まもなく、高齢者の自己負担が1割になった。この時、医師会は当然のごとく猛反対した。建前は患者のためだったが、高齢者が不必要な受診を控えて開業医が減収になるのを阻止したかったためではないと神に誓って言うことはできないであろう。

    しかし、自己負担が1割になっても、受診する高齢者は減ることはなかった。たとえ自己負担額が発生しても、必要なものは必要なのだ。水を使うのに水道料金を支払い、電気を使用するのに電気料金を支払うのと同じである。

    現在、後期高齢者医療制度が非難の的になってるが、入院に関して言えば、いかなる高額な治療を行っても自己負担はたった数万円というところは全く変わっていない。

    これに対して、70歳未満の患者は、高額療養費制度といって、一定額を超えた分は申請すれば後から還付されるという制度はあるものの、高額な治療を受けた場合はそれに一定の率をかけた高額な負担金を一時的に窓口で支払わなければならない。(注2)

    私の経験では、50代や60代の患者さんから、たとえ一時的でも医療費が払えないという理由で治療を拒否されたことがある。

    50代の患者から必要な治療を拒否された後、病棟で植物状態の老人が、まさにその50代の患者が高額だからと拒否した治療薬を並々と投与されているのを見たときは、やり切れない気持ちがした。その50代の方は亡くなってしまったが、植物状態の老人は生き延びた・・・。

     

     

    さて、聞かれた以上は答えなければならない。

    「タカコさんにかかる負担金は、いかなる高額な治療を行っても、一ヶ月で24600円です」

     

    さて、これを聞いた息子さんはどう選択するのか。

     

    つづく

     

    なかのひと 

    (注1)住民税非課税世帯の限度額  限度額は所得によって異なります。ちなみに、タカコさんと息子さんは別世帯です。

    (注2) H19年4月以降は70歳未満の方も入院に関してのみ、希望により一定の手続きを経れば70歳以上の高齢者の方と同様に窓口で限度額以上の請求をされない制度ができました。
    この取り扱いを望む場合の手続きとしては、窓口での支払に先だって保険証の発行主体に低所得区分の方は「限度額適用・標準負担額減額認定申請書」を提出して認定証の交付を受け、それ以外の区分の方は「限度額適用認定申請書」を提出して認定証の交付を受け、保険証とともに医療機関の窓口に提出する必要があるようです。

     

     

     

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    2008.05.23 00:06 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  医療事故  |  春野ことり  | 推薦数 : 3

    ボールペン作戦よろしく

     ボールペン作戦ってなんぞや?

    と思われた方、こちらをクリックしてみてください。

    ボールペン作戦メインサイト

    ボールペンで福島県立大野病院事件の加藤先生を支援しようという運動です。

    どうぞよろしくお願いします。

     

     

    こちらも参照ください。

    ボールペンで産科医療を救う! (「やぶ医師のつぶやき」〜健康、病気なし、医者いらずを目指して)

     

    なかのひと

     

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    2008.05.22 18:02 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  医療事故  |  春野ことり  | 推薦数 : 8

    「誹謗中傷」の定義は?

     連載の途中なんですが

    先日、こんな記事が ありました。

    ネットで横行、患者中傷 医療事故被害者が標的

    http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/145906/

    「不良患者」「医療テロリスト」-。医療事故の被害者を中傷する書き込みがインターネット上で横行しており、事故被害者の遺族らが実態把握や防止策の検討に乗り出した。悪質な事例には刑事告訴も辞さない方針だ。遺族らは「偏見に満ちた書き込みは、医師専用の掲示板などに多い。事故の再発防止を願う患者や遺族の思いを踏みにじる行為」と指摘している。

     
    厚生労働省も、悪質なケースで医師の関与が確認された場合、医道審議会で行政処分を検討する。

     中傷を受けた遺族や支援する弁護士らが4月、大阪で対策協議会を開催。協議会によると、中傷の多くは「医師に事故の責任はなく、悪いのは患者」との趣旨で、患者や支援団体を「医療
    カルト集団」とののしったり、事実と異なる内容を書き込むケースもあるという。

    ----------------------------------------------

    ちなみに「医療事故被害者」と呼ばれる方の中には

    本当に医療事故被害に遭った方のほかに、医師が最善を尽くしても助からなかった方も含まれています。

     

    wikipediaで誹謗中傷を調べると 

    http://ja.wikipedia.org/wiki/誹謗中傷

    誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)とは、他人をそしる(誹る・謗る)こと、あるいは根拠のない悪口を言うこと(中傷)嫌がらせの一種で、非常に陰湿極まりない行為である。

    明確な根拠がある場合、すなわち事実を表明することで他人の悪事などを暴露し、結果的にその人の名誉を失墜させることは、誹謗ではあっても、中傷や悪口とは言わない

    特に公共の利害に関する目的で、例えば組織などの悪事を暴露する事は内部告発などのように法的にも正当な行為として認められる。ただしその目的が公共の利害に関係したことでなければ、公表したことが事実であったとしても名誉毀損に該当する。

     

     

    以前、福島県立大野病院事件第12回公判に関連した記事を書きました。

    http://blog.m3.com/Visa/20080128/1

    まずは、なくなられた妊婦さんに心から追悼の意を表します。

    私は決して亡くなった妊婦さんやご遺族を誹謗中傷するつもりはありません。辛いご心境、お察しいたします。

    ロハス・メディカル ブログより引用

    公判での、亡くなられた 妊婦さんのお父さんの陳述

    癒着胎盤が極めて稀で、1万分の1、とか、2万分 の1とか、難易度が高いとか、大出血は稀だとか、亡くなったのは娘のせいだとか、言われました。これらは、娘に対する人権侵害、誹謗であり遺族は逆境の中にいます。」

    --------------

     

    以下は私見です。

    「病気が稀で(治療の)難易度が高い」ということが「人権侵害で誹謗」に当たるのならば、医師は人権侵害や誹謗を日常的に行っていることになってしまいます。

     

    もちろん、患者さん個人をあげて中傷するようなことはあってはならないと思いますが、この産経の記事によると

    「医師に事故の責任はなく、悪いのは患者

    という中傷が多い

    とのこと。

    これは事実を歪曲していると思います。自分を含めて医師が訴えていることは、

    「医師に事故の責任はなく、悪いのは病気

    ということです。

     

    「あなたの病気は悪性の疾患でなおりません」

    と医師が患者に話した場合に、患者が

    「それは中傷だ!」

    と怒るのと同じことではないでしょうか。

     

     

    私は、「患者」vs「医師」という構図は何も生み出さないと思っています。医療を破壊する意味しかないでしょう。

    この記事のように

    「患者」vs「医師」

    という構図を意図的に作ろうとするマスコミには怒りを通り越して呆れます。

     

    参考ブログ 天漢日乗

     マスコミさん、緩衝材になってくれ:日本をよりよくするために

    患者も医者も中傷はいけない

    なかのひと

     

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    連載の続きはしばし、お待ちを

     

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    2008.05.14 14:00 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  仕事 / 職場  |  春野ことり  | 推薦数 : 3

    沈みかけた船(追記あり)

    前回のエントリーで、沈みかけた船のお話を書いたところ、コメンテーターの方が別バージョンを作ってくださいました。

    まずは原作をどうぞ

     

    沈没しかかっている船がありました。

    船には、赤ちゃんから老人まで乗っていました。

    沈没を防ぐためには、重量を減らさなければなりません。

    船頭さんは苦渋の末、意を決してこう言いました。

    「お年寄りからこの船を下りてもらおう!」

    老人から反発の声が上がりました。

    「年寄りは死ねっていうことか!ひどいじゃないか!」

    「人殺し!」

    船頭さんは黙り込んでしまいました。

    若者や子供たちも何も言えませんでした。

    そして、船は沈没しました。

    子供も若者も老人も、みな命は平等です。

    だから、みんな一緒に海の底に沈みました。

     

    おしまい

     

     

    欧州の消化器科医先生の作品です

    その①

    ・・・・・

    老人から反発の声が上がりました。

    「年寄りは死ねっていうことか!ひどいじゃないか!」

    「人殺し!」

    船頭さんは黙り込んでしまいました。

    若者や子供たちも何も言えませんでした。

    しかし、いよいよ沈み始めた時に乗員で争いが始まりました。

    若者は「これまで十分生きたじゃないか、頼むから死んでくれ」

    老人は「なにを、ばちあたりな。誰のおかげでここまでこれた?」

    「メタボから先に下りろ」

    そして殺し合いが始まりました。

    船頭は傍観していました。

    ちょうど適度に殺し合いがすんだ頃合いに、船頭は

    「ああ、沈まなくて良かった。でも、残った乗員の消耗がひどくて、船が進まなくなったなぁ。安くて良く働く、外人でもいれるか」

    そして、残った乗員と外人とでまたしても争いが果てしなく続きました。

    そのうち、誰が本当に悪いのかに乗員は気づきました。

    乗員と外人の怒りは船頭に向き、船は漂流していくのでした。

     

     

    欧州の消化器科医先生の作品 その②

    ・・・

    老人から反発の声が上がりました。

    「年寄りは死ねっていうことか!ひどいじゃないか!」

    「人殺し!」

    船頭さんは黙り込んでしまいました。

    でも、若者や子供たちはどうにかしようと考えました。

    老人達といっしょに知恵をしぼりました。

    まず、船に不必要な物を捨て始めました。

    不要な箱ものを捨てました。

    そして、船頭達が実はお宝や利権を隠し持っていたことをつきとめました。

    それを元手に船を大きく改築し、沈みにくくしました。

    さらに、船頭達の不要な大量の持ち物も捨てました。

    そして、二度と不正蓄財、利権集中ができぬように船内の規則を作り替えました。

    船頭もみんなの幸せを考えられる人を選びました。

    そして、老いも若きも力を合わせるようになった船は再び力強く進むこととなりました。

     

     

     次はakoさんの作品です。

     

    沈没しかかっている船の近くには豪華客船がありました。

    救命ボートを投げれば全員助かりそうです。でも、救命ボートは自分たちの乗っている船の乗客用に用意したものだから別の船の乗客のために使えないといって投げようとしません。

    沈没するような貧弱な船に乗る料金しか持てなかったあなたたちの自己責任、と。

     

     

    私が書いたものが平等主義日本型バージョンというならばこれは市場原理主義アメリカ型バージョンというべきでしょうか。

    欧州の消化器科医先生のその②のような結末になるといいのですが。

     

    他の作品もお待ちしておりますw

     

     

    たぬくまぞうさんとchristmasさんからもいただきましたのでご紹介します。

     

    まずは、たぬくまぞうさんバージョン

     

    沈没しかかっている船がありました。

    船には、赤ちゃんから老人まで乗っていました。

    沈没を防ぐためには、重量を減らさなければなりません。

    船頭さんは苦渋の末、意を決してこう言いました。

    「お年寄りからこの船を下りてもらおう!」

    老人から反発の声が上がりました。

    「年寄りは死ねっていうことか!ひどいじゃないか!」

    「人殺し!」

    船頭さんは黙り込んでしまいました。

    若者や子供たちも何も言えませんでした。

    船頭さんは考えました

    老人には食料を少なくして

    治療もしない事にしました

    弱った老人はどんどん亡くなり

    海の藻屑と消えて行きました

    お陰で船は沈まずにすみました。

    めでたしめでたし


    続き

    若者と子供達は考えました

    将来同じ目に合うのかと

    船で暴動が起き

    船頭は海に投げ込まれてしまいました

    それから船は何処を漂流しているやら。

    おしまい

     

     

    次は、christmasさんの目指せ!印税生活バージョン

     

    船底に亀裂が入り、船はまさに沈没寸前です。慈愛あふれる屈強な男たちは海へ飛び込み、船の周りを泳ぎだします。一人、また一人と波間に消えました。
    「それでも男かっ!」と老人たちに責められ、ひ弱な男たちも渋々泳ぎ出し、波にのまれていきました。
    赤ん坊がインフルエンザっぽい症状を出し、子供たちが海に捨てられます。ある母親が赤ん坊を追って波に飛び込みます。
    「母性はないのかっ」の叱責に、今度は母親たちが海へ消えました。船上に残った中年女性は、老人たちのゲートボールで慣らした素晴らしいチームプレイで、簡単に船から突き落とされてしまいました。
    こうして老人たちは、無事、天国へのビザを手に入れたのでした。。。
    しかしながら、、、海に消えた人たちの中には、無人島に泳ぎ着いた者もいました。彼らは島で生活を始め、やがて集落を作り…。ある日、他島に流れ着いた同朋たちと交流すべく、一艘の船で宴会を始めました。が、船が沈没しかかって…。
    「ふふん、昔が懐かしいけど、俺たちゃ昔とは違う。経験豊富なサバイバーじゃ~」。バージョンアップして、第二ラウンドの始まりです。。。

     

    いやー、christmasさん、過激です(>▽<)。

    みなさん、想像力が豊かですw

     

    なかのひと

     

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    2008.05.12 23:40 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  仕事 / 職場  |  春野ことり  | 推薦数 : 7

    終末期相談支援料廃止

    以前、 終末期医療:延命治療の有無、「生前意思」に診療報酬 についての記事を書きました。

     

    1ヶ月でもう廃止になりそうです。

     

    http://www.chunichi.co.jp/article/politics/news/CK2008051202010539.html

    終末期支援料の廃止も 高齢者医療批判の一因、政府が検討

    2008年5月12日 中日新聞 朝刊

     政府は11日、75歳以上が加入する後期高齢者(長寿)医療制度の診療報酬体系の一つである「後期高齢者終末期相談支援料」について、廃止を含めて見直す方向で検討を始めた。患者団体などが「延命治療の中止を迫られ、治療を受けられなくなる」と強く反発したことに加え、同支援料が制度全体への批判の一因となっているとして、見直しが避けられないと判断した。

     同支援料は、医師や看護師らが、回復の見込みが薄いと判断した患者と、▽現在の病状と予想される病状の変化▽介護などの生活支援▽病状急変時の治療の希望内容▽救急搬送の希望の有無-などについて話し合い、医師らがその内容を文書や映像などにまとめた場合、診療報酬2000円を支払う制度。

     厚生労働省は患者団体などの批判を受け、4月28日付で都道府県などに、病状急変時の治療方針などについて患者の希望が「不明」「未定」でも診療報酬の算定を認めると通知し、延命治療に関する意思決定を強要することはないと強調していた。

     しかし、野党に加え、与党内からも「医療費抑制のために支援料を導入したと思われている。お年寄りに早く死ねと言うことにつながる」との懸念が強まったため、廃止も含めて見直すことにした。

     

    -------------------------------------

    患者団体の反発は想定内でしたが、4月1日から制定され、もう廃止とは、早いです。

    週刊ポストはこの制度に関して、こんな見出しの記事を載せていました。

    後期高齢者の終末医療「延命やめたら医師に〈お手当〉2千円」 団塊世代はやがて47万人が斬り捨てられる

    新聞広告で見ただけなのですが、まるで医師が2千円欲しさに延命をやめるかのような誤解を与える、ひどい見出しだと思いました。よほど抗議をしようかと思いましたが、抗議をするためには週刊誌を買って内容を読まなくてはいけないので、あほらしいので止めました。

     

    それにしてもこの制度の「算定要件」は以下の通り

    1. 終末期における診療方針等について十分に話し合い、文書(電子媒体を含む)又は映像により記録した媒体(以下、「文書等」という。)にまとめて提供した場合に算定する
    2. 患者に対して、現在の病状、今後予想される病状の変化等について説明し、病状に基づく介護を含めた生活支援、病状が急変した場合の延命治療等の実施の希望、急変時の搬送の希望並びに希望する際は搬送先の医療機関の連絡先等終末期における診療方針について話し合い、文書等にとりまとめ提供する
    3. 入院中の患者の診療方針について、患者及び家族等と話し合いを行うことは日常の診療においても必要なことであることから、入院中の患者については、特に連続して1時間以上にわたり話し合いを行った場合に限り算定できることとする
    4. 患者の意思の決定に当たっては、「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」(平成18年5月21日医政発第0521011号)及び「終末期医療に関するガイドライン」(日本医師会)等を参考とすること

     

    しかも、医事課によくよく聞いてみると、外来患者さんの場合、死亡時にしか算定できない、入院患者さんの場合は退院時か死亡時のみ算定できる、というものだそうです。

     

    1時間以上かけて話し合い、それを文書にまとめるとさらに時間がかかります。その報酬がたったの2千円というのはふざけています。しかも、すぐに算定できるわけではなく、いつ算定できるかもわからない。こんな手間のかかることを誰が好き好んでやるでしょうか?

    はじめから現実味のない制度なので、廃止になろうがなかろうが、ほとんど何の影響もなさそうです。

     

    ところで、後期高齢者医療制度に関して、マスコミの論調は

    「年寄りは早く死ねということか!」の一点張りです。

     

    政府もあわてて、長寿医療制度なんて、名前を変えたりしていますね。

     

    ところでこんな話を思いつきました。

     ---------------------------------------------

     

    沈没しかかっている船がありました。

    船には、赤ちゃんから老人まで乗っていました。

    沈没を防ぐためには、重量を減らさなければなりません。

    船頭さんは苦渋の末、意を決してこう言いました。

    「お年寄りからこの船を下りてもらおう!」

    老人から反発の声が上がりました。

    「年寄りは死ねっていうことか!ひどいじゃないか!」

    「人殺し!」

    船頭さんは黙り込んでしまいました。

    若者や子供たちも何も言えませんでした。

    そして、船は沈没しました。

    子供も若者も老人も、みな命は平等です。

    だから、みんな一緒に海の底に沈みました。

     

    おしまい

     

     --------------------------------------

    欧州の消化器外科医先生から、このお話の変更バージョンのコメントいただいていますので、ぜひ、コメント欄もご覧ください。秀逸です。

     

    注:このブログのコメントは承認制です。

     

     

    なかのひと

     

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    2008.05.04 01:00 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  医療事故  |  春野ことり  | 推薦数 : 15

    妊婦死亡はすべて医療事故か?

     こんなニュースがありました。

     

    病院 「急変予測できず」妊婦・胎児死亡 遺族は提訴検討
    読売新聞 2008年5月3日

    http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shizuoka/news/20080502-OYT8T00771.htm
     静岡厚生病院(静岡市葵区北番町、265床)は2日、同病院で4月27日に手術を受けた静岡市駿河区の妊婦(24)と10か月の胎児が死亡する医療事故があったと発表した。玉内登志雄院長は「典型症状ではなく、急激な悪化を予測できなかった」と述べ、想定外の事態だったことを強調したが、遺族は病院の対応に不信感を募らせている。同病院によると、妊婦は初めての妊娠で、昨年9月から同病院に通院。妊婦は、死亡する約14時間前の27日未明、陣痛が出たため同病院に電話したが、応対した看護師や助産師が「痛みは強くない」と判断、いったん自宅待機となった。

     同日早朝、再び陣痛が強くなり入院。胎児の心音が確認できず、呼び出された産婦人科医が、分娩前に胎盤が子宮内ではがれる「胎盤早期剥離(はくり)」と診断、帝王切開したが、胎児は死亡していた。手術後、妊婦も血圧が急激に低下し、大量出血を起こして死亡した。
     胎盤早期剥離は妊婦の1%程度にみられ、胎児に酸素が供給されないため、胎児死亡率は30~50%と極めて高い。妊婦も出血を起こすことが多いが、死亡率は一般に10%未満で、妊婦、胎児とも死亡するのは「妊娠5000~1万例中に1例」(玉内院長)とまれだという。玉内院長は「胎盤早期剥離は予防できず、早期発見するしかない」と言うが、「死亡2日前の診察では異常は見られなかった」ともしている。

     妊婦の父親(55)は読売新聞の取材に、「事故当日、病院は『出血はさほどなく、(死亡の)理由はわからない』と言っていたのに。今の時代に、母子ともに死亡するなんて信じられない。提訴も検討したい」と話した。

     -------------

     

    まずは、亡くなられた妊婦さんと赤ちゃんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

     

    しかし、これは、「医療事故」でしょうか?

    「胎盤早期剥離」は病気です。

    「医療事故死」ではなく、「病死」だと思います

     

    詳しくはこちら産科医の先生方のブログをお読みください↓

    http://obgy.typepad.jp/blog/2008/05/post-1341-1.http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2006/01/post_754a.html

     

     

    前回、「医師アタマ」についての記事を書きました。医師の常識と患者の常識は違うというものです。

    その記事のコメント欄で、「医師アタマ」があるなら「患者アタマ」がある、という話題が出ました。

     

    まさしく、

     

    今の時代に、母子ともに死亡するなんて信じられない

     

    これこそ、おそろしい「患者アタマ」ではないでしょうか。

     

     

     

    常位胎盤早期剥離は母子ともに死亡に至る可能性があるというのは医師の中では常識です。

     

     

     

    「医師アタマ」と「患者アタマ」、この大きな隔たりを縮めるにはどうしたらいいのでしょう。

    このニュースを読む限り医師がいくら「患者アタマ」を理解して歩み寄ろうとしても無理です。

     

    「患者アタマ」が明らかに間違った認識を持っている場合、「患者アタマ」の側から「医師アタマ」に近づいていただくしかないでしょう。

    つまり、一般の方々に医療の正しい知識を持っていただくことが必要です。

     

    そのためには

     

     まずは、メディアが個人の感情を垂れ流しにせず、社会に正しい情報を流すこと

     

    それが第一歩ではないでしょうか。

     

    でも、もう遅すぎるかも知れません。

     

    産科医療はどうなっていくのか

     

    心配でたまりません。

     

    産科医がいなくなって、皆が自宅出産をするようになって

     

    周産期死亡率が発展途上国並に上昇してみて

     

    はじめて今の医療のありがたみがわかるのでしょう

     

     

     

    本当に悲しいです。こういうニュース。

    産科医たちの心はボキボキに折れているのではないでしょうか・・・

     

    なかのひと

     

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    2008.04.29 05:42 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  連載  |  春野ことり  | 推薦数 : 8

    町医者の心を折るもの②

     正常値を示す検査伝票を見せられて娘さんは叫んだ。

    「そんなバカな!正常なんて、信じられない!」

    どうやら「不信」という色眼鏡をかけてしまうと、白いものも黒くしか見えないようだ。

    私は娘さんの反応に困惑しながらも、腫瘍マーカーというものは癌があったら必ず上がるものではないことを説明した。

    しかし、その説明に娘さんが納得したのかどうかはわからない。ただ、聖人でも君子でも聖母マリアでもない普通の人間の私は、この時点でもうこの方とはお話ししたくないと思ってしまった。

    「まだご質問はありますか?私も病棟の回診の途中なので、あまり時間が取れないものですから」

    そっと言葉に棘を忍ばせたつもりだった。そもそも、事前にアポイントメントがあったわけでもなく、突然襲来されたのである。こちらの事情にも配慮してしかるべきだろう。

    娘は検査データのコピーが欲しいと言った。後は事務員に託し、私は足早に病棟へ戻った。

     

    歩きながら考えた。私はマモルさんに何か悪いことをしただろうか。娘から責められるようなことをしただろうか。

    肝硬変になったという事実を告げ、マモルさんを気づかい、日常生活の指導をし、行うべき検査を勧めてきた。そして自覚症状のないうちに癌を発見し、しかるべき病院へ紹介した。

    それでも娘はなぜもっと早く見つからなかったのかと言い、腫瘍マーカーの検査結果を見て「信じられない」と叫んだのである。

    もしも一つでも行うべき検査が欠けていたら、私はどんな罵声を浴びせられたのだろう。

    「死」や「病気」が「悪」ならば、それを防げない医者は皆「悪人」なのだろうか。

     

    福島県立大野病院産婦人科で逮捕された加藤先生のことを思った。何の過失もないのに、妊婦が亡くなったという事実に基づき逮捕されたのである。

    極論を言えば、「死」を受け入れられない遺族がいて、「不信」という色眼鏡を通して「医師が殺した」「医師が悪い」と思い込めば、警察への通報につながることはいくらでもあり得る。

     

    現在、医療事故調査委員会の第3次試案が厚生労働省から提案されているが、そんなものが出来ても何の意味もなさない。4月22日の国会質疑において警察庁米田刑事局長は「遺族の方々には訴える権利があり、警察としては捜査する責務があり、捜査せざるを得ない」と答弁しているのだ。http://mric.tanaka.md/2008/04/28/_vol_52_1.html#more

     

    このままでは命にかかわる診療科は絶滅するだろう。

     

    「病気」は「悪」なのだろうか。

    「死」は「悪」なのだろうか

    決してそうではない。「病気」も「死」もその人の一部分である。

     

    以下は、日々是よろずER診療生と死は対立ではない

    からの引用である。

     

    荘子 内篇・太宗師篇では、荘子の死生観が語られている章があるのだが、そこには、こんなことが書いてある。

     

    夫れ大塊我を乗するに形を以てし、我を労するに生を以てし、我を佚にするに老を以てし、我を息わしむるに死を以てす。故に吾が生を善しとする者は、乃ち吾が死を善しとする所以なり

    その解釈は次の通り。

    そもそも自然とは、我々を大地の上にのせるために肉体を与え、我々を労働させるために生を与え、我々を安楽にするにために老年をもたらし、我々を休息させるために死をもたらすものである。(生と死は、このように一続きのもの)だから、自分の生を善しと認めることは、つまりは、自分の死をも善しとしたことになるのである。(生と死との分別にとらわれて死を厭うのは、正しくない)   荘子第一冊  金谷 治 訳注 岩波文庫P184

     

     

    今も思い出せるのは、ご自身の病気を受け入れて、こちらの説明に不安げな表情を見せながらもじっと耳を傾ける、優しい瞳をしたマモルさんである。

    天に召されたマモルさんは、娘さんと私のやり取りをどんな想いで天国から見ていたただろう・・・。

     

     

    なかのひと

     

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