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8月から治療を再開したが、その後から気管支喘息の症状を伴うようになった。9月、Fさんが呼吸困難を訴えて受診した。気管支喘息重積発作の状態で、そのときの酸素飽和度は88%だった。入院を強く勧めたが、Fさんは「これ以上仕事を休んだらクビになってしまう」と頑なに拒否した。
外来のベッドで酸素吸入をしながら、ステロイドとテオフィリン製剤の点滴を行うと、Fさんは「楽になった」と言って帰宅した。その後しばらくの間、Fさんは受診せず、代理人の女性が薬だけ取りにくることが続いた。
ある日、Fさんの妻と名乗る女性と高校生くらいの娘が、病状を聞きたいと言って私を訪ねてきた。しかし、その女性はいつもFさんの受診に付き添ったり、代理で薬を取りに来たりしていた女性とは別人であった。Fさんには妻子があったが、それ以外の女性と暮らしているようだった。
私は困惑した。いくら妻や子であっても、個人情報保護法により、本人の承諾なしに患者情報を教えることはできない。
Fさんの承諾は得ているのかと聞くと、妻と名乗る女性はFさん自身が私の名前を出して病状を聞いて来いと言ったのだと答えた。私の名前を挙げることができるのは本人だけであることから信頼性があると判断し、Fさんの病状がかなり悪いことや、お金がないからという理由で治療を拒否してきたこと、通院は不規則で最近は受診していないことなどを話した。妻と娘は神妙な面持ちで病状を聞いていた。
Fさんはその後もほとんど受診しなかったが、H(XX+5)年元旦、気管支喘息重積発作で救急外来を受診した。かなり重篤な状態で、当直医はFさんを救急車で大学病院に搬送した。
一時人工呼吸器管理になったそうだが、すぐに離脱できた。
しかし、その後の気管支鏡検査で、なんと、肺癌の再発が発覚したのだった。
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