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前回の記事を、鴛泊愁(セレネ)さんという医療者でない方が、ブログで紹介してくださいました。
そこに書かれた、私の記事を読んでのご感想を皆さんにも読んでいただきたくて、ご本人の了解の上、逆紹介させていただきます。
ブログ 月の光に照らされて より
http://tsukinohikarini.blog41.fc2.com/blog-entry-603.html#more
以下、感想です。
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前々回、たくさんのコメントいただきましたが、個別にお返事していなくてすみません。とりあえず更新を優先させていただきます。
前回、救急隊から「吐き気」という主訴だけを伝えられて応需した救急患者が、実は「転倒して後頭部を打撲した後の吐き気」を訴えており、到着後、胸痛、背部痛を訴え、大動脈解離かと思いきや、胸椎圧迫骨折だった、という症例を提示した。結果的には命に別状はなかったわけだが、診断がつくまでの間、冷や汗ものだったことは、臨床医の皆さんにはご理解いただけることと思う。
この事例で最初に「転倒」「頭部打撲」というキーワードが伝えられなかったことは問題だったと感じ、前々回の記事に、「救急隊からはめられたような気持ちになった」と記載した。その件に関し、ある救命士の方がコメントをくださり、私の地域の救急隊に代わってお詫びの言葉を述べて下さった。こちらこそ救急隊の方に対して失礼な記載をしたこと、お詫び申し上げたい。
救急隊も搬送先を探すのに苦労していることはよく分かる。早く搬送先を確保したいという一心で、状態を簡潔に伝えようとするために大切な情報が漏れてしまうこともあるかも知れない。また、状態が搬送中に変化することもあるだろう。救急車が到着してみると、患者の状態が電話で聞いていた状態と全然違っていることも多くの医師は経験している。
もしも、「頭部を打撲した後の吐き気」とわかっていたら、私は受け入れを断っっていた。もとより、その情報があれば、内科の私ではなく、外科医が呼ばれた筈である。失礼を承知で言えば、救急隊は患者を病院へ運びこんでしまえばそれで仕事は終わりだが、受けた医師にはそのあと結果次第で訴訟が待っているのだ。
一般の方たちはご存じないことだろうが、たとえ救急指定病院と名がついていても、ほとんどの病院では救急患者に備えて医師が待機しているわけではない。ましてや今どき、どこの病院でも医師は欠員状態である。通常、医師は外来患者や入院患者の診察、検査の合間に救急車に対応しているため、重症患者を受ければたちまち病院の機能がストップしてしまうのだ。
この場合も「吐き気」だけであれば、診察にはそれほど時間を要しないとの算段で受けたのだが、実は「意識消失」にて転倒し「頭部打撲」していることが判明し、「胸痛、背部痛」の訴えも加わり、診断をつけるための検査に1時間以上を要した。もしも大動脈解離や急性心筋梗塞などと診断されれば、高次医療機関に転送しなければならず、転送先を探し救急車に同乗するのに更に1時間以上はかかるであろう。その間、入院患者に急変があったりしたら、どうすればいいのだ。医師が不足している病院で救急を受けること自体無謀である。
しかし、救急患者はこちらの事情などお構いなしにやってくる。救急車に限らず、歩いて地雷患者がやってくることだってある。受けたら全責任を持たなければならない。
マスコミはそんな事情を考慮することなく、「受け入れ拒否」「たらいまわし」と書き立てる。「恥を知れ」「それでも医者か」「また義務を忘れた医師たち」など、これまで医師は痛烈なペンの暴力を受けてきた。
最近は「日本医療政策機構」のお偉い様が「医師は応召義務を果たしていない」「医師は被害者意識を捨てよ」などと書いた。http://s03.megalodon.jp/2009-0116-1648-02/www.cabrain.net/news/article/newsId/20127.html
自分は安全な場所にいながら、前線にいる兵士に向かって「体を張って戦死しろ」と言っているようなものだ。そんな考えに誰が付いていくだろう。
救急医療を行うとき、どうしても頭に浮かぶのが、加古川心筋梗塞訴訟事件http://www.geocities.jp/vin_suzu/iryou4.htmや、奈良心タンポナーデ事件http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20061108
である。
最近は重症患者を高次医療機関へ転送しようとしても、断られることが多くなった。転送先を探すのに時間がかかる。もたもたしていて患者が亡くなったりすれば、加古川訴訟の二の舞になってしまう。
かかりつけの患者ならともかく、背景の分からない患者を救急で受けるなんて恐ろしくてできない。
もう救急なんていやだと、小さな声でつぶやいてみる。
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前回の質問にたくさんのコメントいただき、ありがとうございました。
皆様の回答結果
1位 急性大動脈解離 (stanford Aで脳への血流低下→失神)
2位 急性心筋梗塞 (一過性房室ブロック→失神)
3位 くも膜下出血
その他 気胸、高血圧脳症、脳挫傷、VTなど
でした。
私も皆さんと同じように考えました。
しかし、正解者は一人もいらっしゃいません。
では、つづきをどうぞ
患者「うう・・・背中が痛い」
大変いやな予感がした。
解離か?
私「どんな感じの痛みですか?締め付けられる感じ?背中が裂けるような痛み?」
患者「うーん、なんというか、胸全体が締め付けられるような・・・。息をするのも痛いです」
下壁梗塞で失神か? 呼吸に伴う痛みなら気胸があるかも・・・?
頭部CTも撮らないと・・
とりあえず、ざっと頭部、胸部の単純CTを撮影。(注:大動脈解離の診断には造影をしないといけません)
頭部CT 出血はなさそう・・(微小なクモ膜下出血は診断できる自信なし)
胸部CT 気胸なし、胸部大動脈径 拡大なし
(うーん・・・、わからない)
採血
トロポニンT 陰性
CPK 698 U/Lと上昇 他はすべて正常
次は心エコーか・・
私「心臓のエコーを撮りますから、左下に横向きになれますか」
患者「痛い!そっち向くと痛い!ああ」
私「左向くと痛い?」
患者「はい。動くと痛い」
私「・・・もしかして、背中も打っていますか?」
患者「覚えていません」
患者の妻「私も、倒れるところを見ていなかったので・・。でも、打っているかもしれません」
私は患者の胸椎を一つずつ押してみた。
患者「ああ!!そこ!痛い!!」
ある点で圧痛があった。
私「整形の先生に診てもらいましょうか」
*
整形外科診察の結果、
第6.7胸椎圧迫骨折だった。
まさか、「吐き気」を主訴とする救急患者が胸椎圧迫骨折とは、思いもしなかった。
その後、吐き気の訴えはなくなり、安静によって痛みも徐々に軽快していった。
意識消失の原因は精査中である。
つづく
いやー、ヒヤヒヤしましたよ。ほんと。
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遅ればせながら、みなさま、あけましておめでとうございます。最近、更新が滞っていますが、本年もよろしくお願いいたします。
今年初の更新は、
終了してしまったのですがいつも勉強させていただいていたブログ 日々是よろずER診療) 風にいきたいと思います。
ある日のこと、救急隊から受け入れ要請の電話があった。
「吐き気を訴えている45歳男性、意識清明、歩行も何とかできます。」
救急隊からの情報はこれだけだった。
吐き気だけで救急車?と思ったものの、断る理由もなく応需した。
ストレッチャーに乗って運ばれてきた患者。確かに意識は清明だが・・・
救急隊員「ショッピングセンターで買い物中に倒れて、その後から吐き気を訴えています」
私「えっ、倒れたんですか?その時の覚えはありますか」
患者「覚えていません」
私「意識消失発作ですね!」
救急隊「いえ、私たちが到着した時は吐き気の訴えがあっただけで、意識消失があったかどうかは確認できていません」おいおい!
患者の妻「あのー、頭を打っているみたいなんです」
救急隊「後頭部を打撲したようで、耳介後部に切創があります」
私「・・・!!」
なんと、「吐き気を訴えている患者」とは
「買い物中に意識消失を来たして転倒し、後頭部を打撲したあと吐き気を訴えている患者」
だった。
この瞬間、救急隊にはめられたような気持ちがした。
私「頭は痛くないですか?手足は動きますか?しびれは?」
矢継ぎ早に質問しながら身体所見をとる。四肢 麻痺なし、感覚障害なし 瞳孔 異常なし
患者「頭は痛くないですが、胸が苦しいんです。この辺が・・・」と、みぞおちの辺りから左前胸部をなで回す。
血圧は180/95 脈拍118/分,整 SpO2 96%
救急隊「検診で高血圧と言われているけれど、治療していないそうです」
私「心電図とります!」
患者「ああっ、背中も痛い。痛い!痛い!息も苦しい・・」
苦しそうに呻く患者。
私の頭の中に、さまざまな地雷疾患がよぎった。
***
さて、診断は「吐き気を訴えている患者」という最初の触れ込みからは到底思いつかないような疾患だった・・・。
皆さんは何だと思いますか?
つづく
注;年齢など微妙に変えてあります。
1~2日の間、コメント預かりますので、よろしくです。
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