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ご存知のように東京で、脳内出血を起こした妊婦さんが亡くなりました。
まずは亡くなられた妊婦さんのご冥福を心よりお祈り致します。
報道をみて、思う。
相も変わらずマスコミは、「受け入れ不能」と書くべきところを
「拒否」「拒否」「7病院受け入れ拒否妊婦死亡」
と、あたかも、病院が本当は受け入れられるのに拒否してそのために妊婦が死亡したようなニュアンスの報道をし、医療者の神経を逆なでする。全くデリカシーのかけらも感じられない。
22日、テレビは墨東病院の産婦人科部長のコメントと、かかりつけ医の記者会見を放映した。
墨東病院産婦人科部長
「当直医は当初、下痢、嘔吐という症状を聞いただけだった。脳内出血と分かっていれば最初から受け入れたはず」
と、かかりつけ医の状況説明が悪かったと取れるような発言をした。
これに対し、墨東病院に受け入れを依頼した江東区のかかりつけの産婦人科医院も会見し、担当医がこう述べた。
「病院に七転八倒して『頭が痛い、痛い』と言っていると伝え、脳疾患の意味合いも含めたつもりだった」
これではまるでマスコミの思うつぼではないか。
医療者同士が「言った」「言わない」で対立している場合ではないのだ。
マスコミがインタビューに来ても、ホイホイと答えるべきではない。彼らは長いコメントも自分たちの都合のよい部分だけ切り取って、視聴者受けするように作り上げてしまうからだ。
問題はそんなことではなく、総合周産期母子医療センターでさえ、医師が不足していて、十分な対応ができないというところだ。
24日、舛添要一・厚生労働大臣は
墨東病院を視察した後の会見で
「一番構造的な問題は医師不足」と発言し、メディアはそれを大きく報じた。
問題が根本に戻ったように思ったが、そこからがいけない。
舛添大臣が「都には任せられない」と東京都を非難し
石原都知事が「医師不足は国の責任だ!国なんかに任せられない」と反論。
テレビは彼らの対立する様子をこれぞと面白がって放映した。
本当にマスコミはこういう内輪揉めの構図が大好きだ。
マスコミが好きというよりも、国民がこう言うのを見て喜ぶからいけないのだろう。
今は、対立している場合なんかではないのだ。
こんな報道の仕方で、産科医療が本当に危機に瀕していることは、国民に伝わっているのだろうかと不安になる。
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追記10/28 :ご遺族の会見がありました。大変立派な考え方で、涙が出ました。あらためてお悔やみ申し上げます。
10月27日21時13分配信 時事通信
東京都内で8つの病院に救急搬送を断られた妊婦(36)が脳内出血で死亡した問題で、夫の会社員男性(36)が27日夜、厚生労働省で記者会見し、「妻が浮き彫りにしてくれた問題を、力を合わせて改善してほしい。安心して赤ちゃんを産める社会になることを願っている」と訴えた。 夫によると、妊婦特有の高血圧もなく健康だった妻の容体が変わったのは4日夕。掛かり付けの産科医院に着くころには頭痛が激しくなり、医師が搬送先を探している間中「痛い痛い」と言い続けていた。「こんなに医療が発展している東京でどうして受け入れてもらえないのか、やりきれない思いだった」。 約1時間後、都立墨東病院での受け入れが決定。救急車では「痛い」とも言わなくなり、「目を開けろ」と言ったら辛うじて開ける状態。「病院に着くころにはもう開けなかった」と振り返り、声を詰まらせた。 搬送要請で、医師は頭痛が尋常でない状況を伝えていたといい、「伝わらないはずがないと思うが、誰も責める気はない」と夫。最初に断った同病院の当直医について「傷ついて辞めるようなことになったら意味がない。絶対辞めないでほしい」と話した。 さらに脳死状態で3日間を過ごした妻が亡くなる日、保育器に入ったままの赤ちゃんを連れてきて妻の腕に抱かせてくれて、親子水入らずの短い時を過ごしたエピソードを披露。「墨東病院の医師も看護師も本当に良くしてくれた。彼らが傷つかないようにしてほしい」とした。 夫は、医師不足や搬送システムなど浮き彫りになった問題について「のど元過ぎれば忘れるのではなく、具体的な目標を持って改善に向かってほしい。何かが変われば『これを変えたのはおまえのお母さんだよ』と子供に言ってあげたい」と話した。 |
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コメント
コメント一覧
マスコミ批判の声の中には、よく見ると、対立を擁護する意図が見え隠れするものもあります。
対岸の火事ならまだしも、火事の渦中に居る人間が、火事を煽って、大切なものを燃え尽きさせてはいけません。
(一部の風の噂(?)では、今回の一連の報道は『仕組まれたもの』と指摘する声もあります。対立を煽って医療を崩壊させようと企んで、何の得があるのか不明ですが、マスコミの意図として、『何か』があると考えたほうが賢明かもしれません。)
現場の意見を無視して医師削減、医療費削減を続けてきた今までの政治の責任だと思いますが、マスコミはその点をあまり追求しませんね。
視聴者受けする(?)どうでもいい(と私は思う)医療機関、都と大臣の対立の映像ばかりを流していて見ていてうんざりします。許認可の関係で首根っこをつかまれているので言えない事情があるのかもしれませんが情けないです。
遺族の方には是非、病院、医師の問題ではなく、(財務)官僚主導で医師削減、医療費削減をしてきた国の姿勢に目をむけ、医療に予算をつけない財務省、歴代厚生労働大臣の姿勢を問題視して欲しいです。それでこそ不幸にして亡くなられた妊婦さんの死の意味があり、無駄にしないことになると思っています。
マスコミが何かを企んで世論を形成することは可能だと思います。恐ろしいですね。
>akoさん、コメントありがとうございます。
そうなんですよね。マスコミは問題の根本に触れようとせず、どうでもいいことばかり大きく取り上げていて、腹が立ちます。NHKさえも大衆受けを狙っていてだめです。
ご遺族の方が医師や病院を敵視せず、akoさんのおっしゃるような問題意識を持ってくださればいいのですが。。。
>たぬくまぞうさん、お久しぶりです。
お元気でしたか。
本当にマスコミは面白おかしければいいようですね。その場限りの報道で後のことや社会への影響を考えませんから。たぬくまぞうさんのようにテレビを見ないのは賢明です。
大手マスコミの医療記事の内容が浅いのは、分析力不足と現状認識力不足が根底にあるからです。
彼らは所詮、医療の素人。経験豊富な第一線の現場の医療職ではありません。また、臨床医としての充分なキャリアやスキルを持っている人から参考意見を聞いているわけもありません。聞いたとしても、要点がつかめていないのです。
したがって、記事の内容が現状と大きく乖離したものになります。
別に、医療職でなくても、医療の現状を学び取って、充分な認識を持つことか可能なのですが、大手マスコミには医療問題を正確にとらえることのできる能力のある人材がいないのでしょう。
今後も、能力のある人材が大手マスコミに現れる可能性もありません。そもそも、そういう能力のある人は大手マスコミに就職しないから。
多くの医療職は、大手マスコミの医療記事になんの期待もしていません。
ネットを通じて、情報収集と情報発信ができますから。
なな先生のブログでコメントさせて頂いていた、わんこと申します。
ご遺族の方の会見があった様です。
以下エキサイトニュースから転載致します。
2008年10月27日 22時12分
共同通信
「妻の死無駄にしないで」 妊婦の夫が会見
東京都立墨東病院(墨田区)を含む8病院に受け入れを断られた妊婦(36)が脳内出血で死亡した問題で、妊婦の夫(36)=都内在住=が27日、厚生労働省で記者会見し、「妻の死を無駄にしないでほしい。誰かを責めるとかではなく、妻が死をもって浮き彫りにした問題を、力を合わせて医師、病院、都と国で改善してほしい」と産科をめぐる救急医療の改善を訴えた。
akoさんや、春野ことり先生のおっしゃる様な内容で、不謹慎ながら少し嬉しく思いました。
いつもコメントありがとうございます。まだNHK記者でさえ「たらいまわし」という言葉を使っていました。いい加減に勉強してほしいと思います。
医療問題に関しては先生のご指摘のように『分析力不足と現状認識力不足』を感じざるを得ません。
>わんこさん、
なな先生のブログにいつもコメントされていた『わんこ』さんなのですね。ようこそお越し下さいました。
ご遺族の会見を教えていただき、ありがとうございました。
ご遺族は本当にお辛いことと思いますが、素晴らしい考え方で、涙が出ました。
なな先生のブログが終了してしまい、寂しいですね。あのような素晴らしいブログは書けませんが、よければまたお越し下さい。
ご遺族の方の記者会見を見て私も本当に感銘を受けました。
奥様が亡くなったことを安易に医者を責めるようなことはせず、ただ、ただ、このようなことが起こってますます救急の担当医がいなくなってしまうことを憂慮してましたね。
立派で、それでいてこのような素晴らしい見識がある方に限ってこのような事態に遭遇してしまうなんて・・・涙が出ます。 春野先生のような立派な方には久しぶりの納得のいくというか、存在意義のある報道だったと思われます。
天国へのビザは、新書で出版されればいいと思うのです。 そうすれば沢山の人が今の医者不足の状況を薄いページ数になりますが、若い人には手にとって貰いやすくなると思います。
先生のような本当の医者が増えることをお祈りしています。
なんだか、私や拙著のことを過大評価されているようで、恐縮ですが・・。
ご主人はつらい立場でも他社への配慮のできる立派な方ですね。ただ、この会見の報道も各社によって料理の仕方が違うようです。次のエントリーに立てました。
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