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お年寄りの患者さんは一度入院すると、なかなか退院しない。
入院の原因になった病気が治っても
「長いこと寝ていて歩けなくなってしまった。歩けるようになるまで病院に居させて欲しい」
と言う理由がほとんど。
「歩けるようになるまで」の部分は
「身の回りのことができるようになるまで」
「もう少し体がしゃんとするまで」
「元通りの生活ができるようになるまで」
「寒いから暖かくなるまで」
「暑いから涼しくなるまで」
・・・
などなど、いろいろなバージョンがある。
確かに歩けないのに退院しても困るだろう。
でも、いつ歩けるようになるのか分からないのに、いつまでも入院していてもらうわけにはいかない。治療が必要な人が入るベッドがなくなってしまうからだ。
そこでできたのが
である。
以下、wikipediaから引用------
急性期病床削減による稼働率アップによる医療資源の有効活用と、患者を療養型病床群に入院することによる医療費の拡大を抑制し在宅復帰を目指すため2000年に新設された病棟。 但し、脳卒中や大腿部骨折、廃用症候群などある程度限定された患者が入院し、リハビリ医や理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)らの支援で集中的な訓練に取り組む病床。
-------------------------
病名や発症からの期間など制限があり、すべての患者さんが適応になるわけではないが、
回復期リハビリテーション病棟へ移っていただけば、
患者さんはゆっくりリハビリを行ってから家へ帰れるし
急性期病棟の稼働率も上がって
患者さんにとっても病院にとっても有益で 一石二鳥
・・・の筈なのに・・・
回復期リハビリテーション病棟へ移るように勧めると、拒否する患者さんたちがいる。
なぜか、というと、
「せっかくこの部屋に慣れたのに、病棟を移れとは何事だ!」
ということらしい。。。。(@▽@)
肺炎で入院したあるおばあさんが、肺炎は治ったものの、下肢の筋力が落ちて思うように歩けなくなった。
肺炎後の下肢廃用症候群としてリハビリの対象となる。
そこで、回復期リハ病棟に移ってゆっくりリハビリをしてから帰ったらどうか、と勧めたら、
「部屋を移るくらいだったら、もう退院する!」
と言い出した。原疾患は治癒しているのでこちらは退院してもらっても全然構わない。
しかし、退院当日になって
「やっぱり歩けない」と泣き出した。
だったらやっぱりリハビリをしましょうよ、回復期リハ病棟に移ればすぐ退院しなくてもいいですよと言うと
「リハビリなんかイヤダ!」
と言う。
それを聞いていた同室の他科入院中の患者が、聞えよがしに言った。
「まったく、なんでこの病院はさ、すぐ患者に部屋をかわれとか、病棟かわれとか言うのさ。
せっかく部屋でみんな友達になったって言うのにさー。
こっちだって金払って入院してんだからね!
部屋かわれと言われたって、言うことなんかきかなくったていいんだよ」
・・・・・・・・
何もわかっていらっしゃらない患者さんが多いようなので、
「あのう・・・病院にも病院の事情がありまして、
かくかくしかじかこれこれ・・・こういうわけで
何も病院が意地悪してお部屋を移るように言っているわけではないんですよ」
と、わかりやすくその同室患者さんに説明した。
すると、
「ほう、そうなんかい。はじめてわかった。
それならそうと、何で早く言わんかい!おまはんたちがちゃんとそういうことを説明しんから、わからんのじゃ!」
と逆切れ。(++)
***
で、肺炎治療後のおばあさんは
「明日になったら歩けるようになる!!」
と言い張り、急性期病棟に居座っておられます。
ま、現場はそんな感じで、
なかなか厚労省の考えるようにうまくはいきません。
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コメント
コメント一覧
義父(パートナーの父・80代)の
入院中の言動を思い出しました。
義父をめぐる騒動は現在も
続いていますが、本が出せるくらい
驚愕な話と、これから老後を
迎える人へのヒント的な
内容が詰まっていると感じています
(原稿を書き溜めています)。
今年初めに「腰が痛くて
歩けない」と言い出したものの、
「病院にはみっともないから
行けない」(!!)と言い張り、
結局1ヶ月手当てをせずに、
家で転倒して入院。
入院して2週間寝たきりでしたが、
「立ってすぐに歩けるように
なると思った」と言い、急性期
病棟から回復期リハビリ病棟に
移る際は、この記事のご婦人のように、
「病院から追い出すのか」と激怒、
MSWさんや理学療法士さんと私が
数時間説得して、ようやく移りました。
その後も「痛いからイヤだ」と、
リハビリを最小限しかせず、
結局まったく歩けないまま退院して、
自分の希望した有料老人ホームに
行きました。
義父は現役時代それなりに地位もあり、
(退職前は役員車で通勤していた
そうです)仕事では聡明な人でした。
でも、リハビリの重要性に対する知識が
ないために、入居後の現在さえ、
ほとんど動こうとせず、もちろん
リハビリも拒否し、ただ、「寝たきりに
なるように自分で仕向けている」
状態です。数百万円も払って
入居したのに!!
時折このような話題は私のブログ
【介護・老人問題】記事で書いて
きましたが、義父を見ていると、
「お金や地位があっても、
幸せな老後になるとは
限らない、大事なのは
ものごとへの考え方」と
痛感します。
http://tsukinomidori.cocolog-nifty.com/happy/cat20076658/index.html
長々失礼しました。
また今後も楽しみに拝見致します。
たびたび失礼致します。
介護予防、寝たきり予防や
リハビリの重要性などを
もっと厚労省が先頭になって
お年寄りに啓蒙活動をしないと、
この記事のご婦人や私の義父の
ような話はなくならないと
痛感しております。
このあたりは医師の方にはなかなか理解してもらえないですね。最も分かって欲しい厚生官僚にはもっと絶望的ですね。
要するに、患者の立場、患者の視点を全く無視して、医療費削減を進めようとして、20年ほどかけて今のように効率最優先の医療制度へと変わってきたわけです。
結局、制度に従わないと、病院は経営できないし、制度に従うと多少経営的にはましでもますます忙しくなる(なにせ書類の数も、この20年でハンパじゃなく多くなりました...)。
そして、ますます医師と患者の信頼関係を築く時間的余裕が奪われつつあるのが、今の状況です。
不幸な患者さんをたくさん見てきました。できるだけのことをしようと思って頑張っていた時期もありますが、あらゆる部署から、特に上層部から圧力を受けます。
私が開業する前、すでにかなりの状況でしたから、今の病院はもっと大変です。経済財政諮問会議も厚労省も、そして、コイズミ以来の自民党も、医師は機械的に患者の心を無視して効率よく働け、と言っているのです.
今、全国でネットワークづくりなどが進められている背景には、効率よく患者さんを時期に合わせ転々と動かす必要に迫られているのです。
じっとしていたい患者さんと、動かさなければ潰れる病院...
こんなむちゃくちゃな制度、誰かが直してくれなきゃ、個々の医師にはどうにもなりません。.(きっと、次の選挙で、医療関係者は相当はっきりと投票行動で意思表示をするはずです。勤務医も開業医も気持ちは同じ方向です。ごく一部の医師を除いて...)
お久しぶりです。コメントありがとうございました。
皆さん、大変な思いをしていらっっしゃいますね。
退院を促すと「病院から追い出すのか」と激怒する患者さんは決して珍しくありません。
>「お金や地位があっても、
>幸せな老後になるとは
>限らない、大事なのは
>ものごとへの考え方」と
>痛感します。
私も日ごろ全く同じことを思っています。
ぜひ、原稿をまとめて本にしてください。
~ひげおやじさん、こんにちは。
コメントありがとうございました。
患者さんが部屋を変わりたくないお気持ちも解りますが、だからとそのまま急性期病棟に居座られても困ってしまいます。
「もしあなたがまた病気になった時に、部屋をかわるのが嫌だという人たちでベッドがいっぱいで、入院できなかったらどうしますか?」とお話しすると、たいていの人は納得してくれますが。
~ Doctor Takechan、コメントありがとうございました。
ななロス症候群はよくなりましたか?私もショックでしたよ。
>じっとしていたい患者さんと、動かさなければ潰れる病院...
そうなんですよね。なんだか病院が患者さんに意地悪しているように思われているみたいで、悲しいです。納得しない患者さんを説得するために医師、看護師、MSWが余分な時間と労力を費やされます。ただでさえ、スタッフが不足しているというのに。現場の混乱は厚労省にはわからないでしょうね。
回復期リハビリテーションの主要対象は、脳卒中、大腿骨頚部骨折、そして、廃用症候群です。このうち、脳卒中、大腿骨頚部骨折に関しては、数ヶ月入院してリハビリテーションを行う方が多いので、回復期リハビリテーション病棟に行くのが当たり前という立場で指導してくれます。「長くてもうちの病棟にいれるのは3~4週間です。それ以上は、回復期リハビリテーション病棟という良いところがありますので、そちらに移ってもらいます。」と入院後約1週間以内には説明されます。患者さんや家族も病院を移動するのが当たり前という雰囲気になり、むしろ、評判が良い回復期リハビリテーション病棟はどこか、という情報交換をしているくらいです。
問題は、廃用症候群の方々です。主治医や病棟スタッフも慣れていないので、どんな方を紹介したら良いかということで二の足を踏んでいる場合が多いようです。一方、受け取る側でも、病気のコントロールが不安定だとそのまま治療にかかる費用が持ち出しになるため、敬遠しがちです。さらに、今年度の診療報酬改定で、廃用症候群だと毎月面倒くさい書類を出さなければならなくなり、ますます嫌がられるようになっています。
結局、病院間をまたがる患者移動は、急性期と回復期との信頼関係がないと難しいのでは、と考えています。うちの病院でも、廃用症候群という病名がついている方はだいたいが院内紹介で、外からの紹介はほとんどありません。足腰が悪いお年寄りの場合には、ちょっとした病気で入院してもすぐ歩けなくなるのでリハビリテーションをした方が良いことは間違いないのですが、なかなか現実はうまくいきません。
詳しい解説をいただきありがとうございます。
私も脳卒中の患者さんには入院時に「落ち着いたら回復期へ」と説明をしています。廃用症候群は入院時にそこまで想定できない場合があり、トラブルを起こしやすいかも知れません。やはり廃用症候群での外からの紹介はほとんどないですね。回復期病棟も在宅復帰率を上げなければならないし、何かと足かせが多くて大変です。
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