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飯野奈津子様、初めまして
私は地方で内科勤務医をしている者です。「福島県立大野病院事件」にかねてより関心を抱き、この裁判に注目をしてきました。8月20日、時論公論であなたが酷い報道をされたことをネットを通して知りました。
私は報道を見ていませんので、ブログ時論公論 「産科事故裁判からの問いかけ」 に基づいて意見を述べさせていただきます。
まず、この部分
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<事故の課題>
しかし、裁判で無罪判決が出たからといって、今回の事故に問題がなかったわけではありません。刑事責任を問うほどの過失がなかったとしても、遺族にとっては見過ごせない問題がありますし、医療界の反応にも納得できない部分があるからです。
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質問です。判決結果は「過失による医療事故」ではなく当時の医療水準に照らすと標準的な治療による不幸な病死であるというものでしたが、それにも関らず、なぜ「事故」という言葉を使われているのでしょうか? あなたが、裁判所の判断に逆らって、この事件を「事故」と言い切る根拠はどこにあるのでしょうか?ぜひ教えていただきたいです。
次にいきます。
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▲ まず、警察や検察の問題です。捜査によって明らかになった事実もあって、遺族は警察や検察に感謝したいと話しています。手術が始まってから女性が亡くなるまでの間、病院からの説明は一切なく、その後も納得のいく説明がなかったからです。お産の場合、とりわけ家族の期待が大きく、いくら説明しても納得してもらえないという話を産科医からききます。その難しさもあるでしょうが、医療は不確実で専門性が高い分野だからこそ、医師の側が真摯に説明して、理解を得る努力が、必要ではないでしょうか。その努力を怠ったまま、警察の捜査を批判しても、納得は得られないと思います。
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「大野病院では当時被告の医師一人だけで、地域のお産をすべて担わざるを得なかった」とあなたは前述しておられます。手術中に不測の事態となり担当医は一人で懸命に女性の命を助けようとしました。そんな時にどうやって家族への説明をするのでしょうか?分身の術を使えとでもおっしゃるのでしょうか?
これは担当医の責任ではありません。あなたもご指摘のように「担当医が一人で地域のお産を担わざるを得なかった状況」が問題なのです。
あなたはなぜ被告医師が真摯に説明して、理解を得る努力を怠ったと言い切れるのでしょうか?あなたは医療者サイドへの取材をされたのでしょうか? 患者さんやそのご家族の中には、医師が説明をしても耳を傾けない方がいます。説明しても「聞いていない」という方もいます。なぜ一方的な遺族の言い分だけ聞いてそれを鵜呑みにされるのでしょう。
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▲医師不足の問題についても、だから死を避けられなかったというのでなく、だからこそ、慎重に手術に臨んでほしかったというのが、遺族の思いです。
今回、執刀した医師は、手術の前に輸血や子宮摘出の可能性を遺族に説明しており、難しい手術であることは認識していたとみられます。それなのに、輸血血液も十分供給されず、一人しか医師がいない体制で、なぜ、手術に臨んだのか。手術の前に、大きな病院への転院や医師の応援要請を、関係者から助言されたのに断っていたことも、裁判の過程で明らかになりました。医師不足の中でも、医療機関が連携するなど、安全を確保する努力を重ねることが、医療側に求められているのだと思います。
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またもや「遺族の思い」ですか。「遺族」「遺族」ということばが何度も出てきますが、これは「民事裁判」ではなく「刑事裁判」です。遺族の感情は判決に関係がありません。
あなたはこの裁判の争点について冒頭で述べられていますね。「癒着胎盤という危険な状態だと、手術の前に予測できたかどうかという点」と「手術を始めて癒着胎盤と分かってから、そのまま胎盤をはがす処置を続けたことが適切だったどうか」ですよね。その結果が「手術前に予測するのは難しかったとした上で、処置を続けたことについても、大量出血の可能性は予測できたものの、当時としては医療水準に即したものだったとして、無罪判決」となったのですよね。
つまり、医師に過失はなかったと判断されたわけです。その裁判所の判断を無視するかのように「慎重に手術に臨んでほしかったというのが、遺族の思いです」これでは筋が通りません。
「手術の前に、大きな病院への転院や医師の応援要請を、関係者から助言されたのに断っていたことも、裁判の過程で明らかになりました。」
「関係者からの転院の助言を断った」という主張を多くの記事で見受けますが、関係者というのは助産師で、助産師がなぜそう言ったかという根拠も明らかにはされていません(第3回公判)。医師が助産師の助言に従わなかったから罰せられるという道理はありません。医師を逮捕して何度も公判を開いてわかったことがこの程度しかないのです。鬼の首を取ったように書くことではありません。
また、医師の応援要請を断ったと書かれていますが、被告医師が応援医師の要請をしたことは第11回公判で証言されています。
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<まとめ>
今週初め、今回の事故で亡くなった女性の父親に会うことができました。帝王切開手術で生まれたお孫さんは今年3歳。上のお孫さんは7歳です。2人の孫のためにも、娘の死を無駄にせずに、二度と同じような事故が起きないよう、取り組みを進めてほしいと、静かに語っておられました。無罪判決は、刑事責任を問うほどの過失がなかったと判断したにすぎません。遺族の思いを受け止めて、今回の事件を教訓に、安心して医療を受けられる態勢を整えていくことが、何より必要なのだと思います。
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最後まで一方的に遺族の考えばかりを主張していらっしゃいますが、こういう報道を偏向報道と呼ぶことにご自分ではお気づきになりませんか。
「無罪判決は、刑事責任を問うほどの過失がなかったと判断したにすぎません」
あなたは被告医師に刑事責任を問うほどではないにしろ過失はあったと言いたいようですね。では、どんな過失があったと思われているのでしょう。あなたの文章から推測すると、「関係者(助産師)からの転院の助言を断って一人体制で手術に臨んだこと」でしょうか?
医師不足のために一人で手術をしなければならなかったことは被告医師の責任ではありません。今回のケースで、術前に判明していたのは帝王切開後の前置胎盤だけです。専門家が吟味した結果「癒着胎盤を手術前に予見するのは難しかった」という判決です。このような1%の可能性で危険かもしれないという症例をすべて高次医療機関に送っていたら、高次医療機関がパンク状態になることはお分かりになりませんか?
最後に「遺族の思いを受け止めて、今回の事件を教訓に、安心して医療を受けられる態勢を整えていくことが、何より必要」
と書かれていますが、そのためには具体的にどうすればよいとあなたはお考えでしょうか? ぜひ聞かせていただきたいものです。
比較しては悪いですが、女性自身 6月24日号シリーズ人間(p.76-82)の記事は公平中立な立場でよく取材され、素晴らしいものでした。あなたのものとは雲泥の差です。ぜひバックナンバーを取り寄せてご一読されることをお勧めします。
今後はNHK解説委員の名に恥じないように、勉強に励まれますことをお祈りいたします。
かしこ
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コメント
コメント一覧
情報不足(意図的にそうしたのかもしれないが?)でメディアリテラシーの感じられない一方的な報道は視聴者に誤った知識を植え付けてしまうことになります。
決して返事が来るものとは思えませんがこうしてアピールすることは非常に貴重なことと考えます。
先生のバイタリティに感謝を申し上げます。
今後とも決して無理することなく、子育てに、診療にご活躍されることを祈念いたします。なにかあった時、この国では国家も病院も患者さんも決して先生を守ってはくれないのですから(自分自身に言っているのかもしれません・・)。。
saki
~sakiさん、お言葉ありがとうございます。
>なにかあった時、この国では国家も病院も患者さんも決して先生を守ってはくれないのですから
悲しいことに、本当にそうですね。。。
でも、おかしいことはおかしいとこれからも声を上げて行きたいです。
春野ことり
lighe
~lighe 先生、同感です。飯野奈津子氏は私の中では有罪です。
春野ことり
私もはらわたが煮えくり返っていましたが、先生ほどの文章力が無いので、どうしたものかと思っていました。
私も海外から、日本の状況を見守りつつ先生の活躍もみさせていただいています。
kmiya
~kmiya先生、そうおっしゃって頂けると、寝不足になりながら書いた甲斐があります。
ありがとうございます!
春野ことり
当方、転院を受ける側の大きな病院に勤務している産婦人科医です。
大野事件をきっかけに、これまでだったら他の分娩施設でも充分対応可能だった軽微な合併症とも呼べない状態の妊婦さん(肥満、小さい子宮筋腫など)が送られてくるようになり、大変なことになっています。
いきおい帝王切開率が上がりますのでope枠はパンパンですし、手術に適した時期が妊娠37,8週と限られていますので融通が効かず、手術日以外にも手術がはみ出し、日常業務に支障を来しています。そればかりか、今年はとうとう夏休みなのに出勤して予定帝王切開をせざるを得ませんでした。「大きな病院」も、もう限界です。何でもかんでも大規模施設に送ればいい、というものではありません。専門家である加藤先生が、苦しい現場の事情と患者さんの病状を考慮して「送らない」と判断したことに、結果だけで批判するのは明らかに筋違いでしょう。論説委員の話としては、あまりにも内容が薄過ぎます。
産婦人科医として敢えてこの点だけ挙げましたが、エントリー全文に深く同意します。
なな
~なな先生っ♪
コメントありがとうございます。この文章、そのまま飯野解説員に読んでもらいたいです。
本当にNHK解説委員が社会への影響を考えずに遺族の主張ばかり垂れ流していてはお話しになりません。社会にとって有害以外の何でもありません。
天漢日乗のブログにも書かれていましたが、この人の趣味はゴルフなんだそうです。第一線の臨床現場で働く勤務医にはゴルフをする時間などありません。夏休みさえろくに取れずに医療に奉仕している医師を批判する資格はこの人にはありません。
なな先生をはじめ、多くの産科医の先生たちが人間らしいゆとりのある生活ができる社会がくることを心より願います。どうかご無理なさらないように・・・。
春野ことり
筑紫の里
~筑紫の里先生、コメントありがとうございます。
NHKの解説委員がこれでは、あきれてものが言えません。
社会的影響を考えればこういう報道をする人こそ有罪ではないかと思います。
春野ことり
志村さんのおっしゃる事も良くわかります。マスコミであれ、それ以前に会社という大きな組織であればあるほど『わが社ルール』のように、まあ、暗黙のルールというか、暗に守られている、あくまで社内間でだけ通用する常識のようなものが存在していて、内部にいる人たちにとっては、それが関係者以外の人からみて、どんなに非合理なものであっても、それも空気のようで、全くおかしいと感じないのです。
だから、悪意はなくても、こうした雰囲気と、勉強不足が相まって、このような発言を生んでしまった、と言えるかもしれません。
azuki
~azukiさん、コメントありがとうございます。
今はネットが発達していますから勉強不足で間違った報道すればすぐにボロが出てしまいます。報道までに時間がないとか専門家でないからとかいう言い訳は許されません。飯野解説委員自身も医療界に対し「医師不足は関係ない」という意味合いの厳しい発言をされているのですから。そう言うからにはご自身もプロとしての厳しい覚悟で報道に臨んでいるものと思います。
この報道はどうしても許すことができません。彼女は遺族に感情移入してしまう優しい心の持ち主なのでしょうけれど、それで判断力を失うようなら情報発信者として失格だと思います。
春野ことり
僕はたまたまTVを夜中見ていたのですが、ご指摘のようにあまりの偏った内容に、おもわずTVに怒鳴ってしまいました。飯野さんは比較的医療に詳しいはずなのに、これですからねえ。メディアのレベルの低さには驚きます。そのわりには影響力は大きいですからねえ。
球児
~球児先生、コメントありがとうございます。
私はこの報道を見なくてよかったと思います。きっと怒りで眠れなかったでしょう。思わず怒鳴ってしまう気持ちよくわかります。
春野ことり
なな先生の置かれている現状は決して例外的ではないと思います。専門外の私が論ずるのもためらいがありますが、この方は一度宮崎県の産科医療の現状を取材なされてはいかがと思います。また彼女の論理を他の分野にも適用するなら、3次救急施設の<ドミノ倒し的崩壊>は加速してしまうでしょう。他局ですがNEWS ZEROもご覧になっていただきたい。
今後の同解説委員の言動は注視していきたいと思います。あまりにも影響力の大きい報道媒体だけに・・・。
kampapa
~kampapa先生、コメントありがとうございます。
<ホントに同じ人物?
確かにそう思いますね。
私もこの方にはぜひ産科医療の現場に取材に行ってほしいと思います。そして自分の論理展開がいかに間違っているかということに早く気づいてほしいものです。
春野ことり
私も同じ思いです。
反応が返ってきましたら、ぜひお聞かせ願えればと思います。
桜井純一郎
~桜井純一郎先生、コメントありがとうございます。
印刷して封書とFAXの両方でNHKに送りました。「反論があればお返事ください」と付け加えましたが、果たして反応は返ってくるのでしょうか?
春野ことり
送付前に、ご連絡を下されば良かったのに(笑)。
いずれにせよ、1日か2日だけ、臨床の現場を診ただけ、あるいは、きちんと調べて医療の実態と診療のプロセスを理解することもせず、解ったつもりになって浅い認識の論説をするのが、飯野解説委員の特徴です。
大野病院事件以外のことでも、彼女の発言のいくつかを以前を読みましたが、的はずれだなぁ、と、その都度感じていました(受け取り手によって、感じ方が違いますが)。
同じような的外れの解説や記事は大手メディアの記事に多いですね。
そこらへんが、医療問題を語るときの大手メディア(新聞、テレビ、ラジオ)の限界かと思います。
大野病院事件の背景を深く掘り下げた記事は、大手メディアにはないです。ネットを通じたメディア=オンライン・メディアです。
同じ様に、医療安全委員会の議論でも、厚生省の試案や大綱案の問題を鋭く指摘したのは、大手メディアではありません。
ネットです。
両方とも、インターネット(オンライン・メディア)から発信された情報が、流れを変えたのです。
鶴亀松五郎
~鶴亀松五郎先生、
今度から抗議文を送るときは先生に連絡します(笑)
hirakata
~hirakata先生、お久しぶりです。
コメントありがとうございます。ご意見フォームから送ろうとしたら、字数制限があって送れませんでした。回答は一応来るのですね。もし来たら、先生にご報告します。
春野ことり
建設的な事を言っていたように思います。少なくとも産科医に不備があった様なことはいわずに、今後のあり方をどうしたらよいかという話でした。春野ことり様の抗議が効果あったかもしれません。
一産婦人科医
~一産婦人科医先生、コメントありがとうございます。そうですか。教えていただいてありがとうございます。抗議の声が届いているといいです。
春野ことり
今のところ、反応はありません。
大学卒業後は何の資格もとらず、卒後研修もない。学会発表もないし、論文なんか書いたこともない(=科学的思考能力のトレーニング皆無)。間違った情報をタレ流しても、逮捕はおろか民事訴訟の心配もない。K先生の倍以上の給料もらって、週末はゴルフ三昧・・・
なんか、マジメに医者やるのが馬鹿らしくなるなあ・・・
clonidine
~clonidine先生、コメントありがとうございます。
おお!先生からも抗議を送っていただけたのですね。嬉しいです。私のところも何の反応もありません。
先生のブログ記事「真夏の夜の夢」も読ませていただきました。本当にいつから日本人はこんな他罰的な国民になってしまったのでしょうね。こんな風潮では医療崩壊しない方がおかしいです。
春野ことり
天国からの手紙
~天国からの手紙さん、
「議論」に勝ったとはどういう意味でしょうか。
あなたがいう大切な事とは具体的に何を指しているのですか。
せっかくコメントをいただいても、これでは何がおっしゃりたいのか理解できません。
春野ことり
まろ
~まろさん、コメントありがとうございました。
そうおっしゃって頂くと、恐縮です。医学部に進学する生徒さん達に明るい未来が待っていることを願っています。
春野ことり
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