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はじめに、お亡くなりになった女性とそのご遺族様に心よりお悔やみ申し上げます。
8月20日、大野病院事件第一審判決の日
出勤前にテレビのアナウンサーが「本日、大野病院産婦人科医の判決が言い渡されます」と伝えるのを聞いた。
NHKのニュース番組である。テレビ画面に注視した。すると、映し出されたのは亡くなった妊婦さんのお父さんであった。
お父さんは言った。
NHKは長々とお父さんへのインタビューの映像を流し続けた。
加藤医師の逮捕に対し各学会が声明を挙げたことに関して
判決の日の朝から、こんな映像を見せられて、愕然とした。NHKはいったい何を考えているのだろう。
*
裁判の争点は医師に過失があったかどうかです。娘さんを亡くされたお父さんはお気の毒だとは思いますが、お父さんの感情と加藤先生に過失があったかどうかは全く関係がないことです。
「娘の出産に際して何の心配もしていなかった」
こういう言葉を流すNHKの意図は何なのでしょう。
一般論として(お父さんへの中傷ではありません)出産に際して何の心配もしない方がおかしいのではないかと私は思いましたが、これを見た皆さんはどう思われたのでしょうか。心配しないのが当たり前なんでしょうか?
誠実な対応をしろと言われますが、加藤先生は月命日に亡くなった女性の墓参りをし、墓前で土下座までしました。お父さんの言う誠実な対応って、何なのでしょう。
こんな事故が二度と起きないようにして欲しいとお父さんがいくら強く願っても、分娩時の死亡はゼロにはなりません。その前に、これは「事故」ではありません。まれな病気だったのです。
十分な説明がなかったとも仰られましたが、十分説明されても納得できなかったというだけではないでしょうか。納得するかどうかは個人の勝手です。
私はお父さんを非難するつもりはありません。遺族の感情というのはこんなものでしょう。グリーフケアの発達していない日本の社会システムが問題なのです。お父さんに必要なのは恨みを晴らすための裁判ではなく、胎盤癒着という珍しい病気で亡くなった娘さんの死を受け入れるためのグリーフケアでしょう。
私が許せないのはお父さんの言葉を大々的に取り上げてそのまま全国に流すという報道のやり方です。
お父さんもまたマスコミの被害者なのだと思いました。
新聞に目を通すと(東京新聞・中日新聞3面)http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2008082002000143.html
という見出し。
記事の間に
という小見出しが対峙していました。
なぜ、現場と遺族の対立のような構図を作りたがるのでしょう。
なぜ遺族に不当逮捕ではないと言い切れるのでしょう。感情に任せて言っているだけです。
遺族がこう言うのは自由だと思います。許せないのは遺族の言葉をそのまま見出しにする新聞記事です。
極めつけに、患者団体の代表者としてある方の言葉が載っていました。
どのブログのことを仰っているのかわかりませんが、この裁判と個人の医師ブログは全く関係がないことです。こういうコメントを載せる記者さんの新聞記者としての資質を疑います。
ごまんとある医師ブログの中には、ご指摘のような「医療事故の被害者をクレーマー呼ばわりするブログ」もあるのかも知れませんが
それを言うなら医師全員を犯罪者扱いする一般人のブログもたくさんあります。特定の病院や医療者の個人名を挙げて誹謗中傷しているサイトもあります。医療者も深く傷ついています。
この期に及んでまだ、患者と医者の対立という構図を強調する記事。ピントはずれもいい加減にして欲しいと思います。
さらに、無罪判決が出た後も、NHKの飯野解説員がひどいことを言ったそうです。私は見ていませんでしたが、
天漢日乗↓に詳細が載っています。
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2008/08/nhk_nhk721_471c.html
引用: 医療の素人と同じ立脚点で「みなさまの受信料」で運営されている公共の電波を用いて、扇情的な「意見」を垂れ流すNHK
民放ならまだしも、天下のNHKがこれではどうしようもありません。
この裁判の報道で、マスコミのクオリティの低さがあらためて露呈されたように思います。
まだまだありますが、眠いのでこの辺で・・
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コメント
コメント一覧
確かに、最近のNHKは、国民の受信料を無駄使いして有害電波を発信しているとしか思えない時があります。
まあ・・・NHKも、そこらの『み○もんたレベルの増すごみ』に成り下がってしまったのか、日本のマスコミの報道レベルが低下しているのか。
というよりも、マスコミ関係者の報道陣のモラルの問題なのでしょうか?
考えさせられます。
azuki
~azukiさん、いつもコメントありがとうございます。
一部の報道を取り上げてNHK全体を批判してはいけないのかも知れませんが、「公正中立」な立場で報道する義務のあるNHKがこんな報道をしてはいけません。
春野ことり
大野病院事件で、加藤先生の無罪判決が出て、ホッとしました。
多くの先生方や、加藤先生を支援していた一般市民のかたも同じ気持ちでしょう。
もともと、故意でない診療関連死を刑事事件で裁くことが、間違いですし、医療安全の多くの資料が示すように先進国も、こういう事例の刑事刑事事件化はしていません。
刑事事件化を起した関係者は、世界の医療安全の考え方が全くわかっていないのでしょう。
また、診療行為の医学的判断をする能力も検察や警察にはありません。
彼らは、専門家ではないからです。
また民事で白黒つけることも間違いです。
スウェーデンなどの北欧諸国やニュージーランドは制度として、医療裁判を事実上、シャットアウトしています。
大手のマスコミで診療関連死の記事を書く記者は、勉強をしていませんから、医療安全のシステムや考え方ががわかっていない。もちろん臨床医学にも無知です。
たとえ専門家でなくても、勉強すれば知識は得られますが、その努力を怠っているのです。
だから、専門性という視点で判りやすく記事を書くことができず、的外れの感情論に終始しています。
専門性もなく、専門知識もない記者やテレビ人が、判決文の医学的解説ができずに、的外れの感情的な記事を撒き散らしているだけ。
昔なら、それで終わっていました。
しかし、今はインターネットの時代です。
記事が出たら即座に、専門家や専門知識のある人たちが、記事の間違いを指摘できるようになり、医療人も一般人も情報を共有できるようになりました。
そのお陰で、大手マスコミやテレビの発信する情報のお粗末さばかりが、指摘されるようになり、大手マスメディアの信頼性は失われています。
生き残るとしたら、専門性と専門知識を身につけることですが、彼らは努力を怠っていますから、今後も期待はできません。
ネットを通じて、永遠に彼ら大手マスメディアの発する情報の間違いが指摘され続けるだけです。
家族のかたが刑事裁判で、自らの望むような真相を期待していたのなら、難しいでしょう。
医学的な判断が是が非かを判定するのが、裁判であって、それを受け入れなければ、延々と上級審による裁判が続きます。
今回、医療側は、100%ではないけれど、判決の結果を真相として受け入れています。
裁判ではない形で、起こった診療関連死を検討し、結論をだし和解にするシステムの導入が言われています。
また、過失はないけれど、有害事象が起きた場合の補償制度が先進国では導入されつつあります。
どんなに手を尽くしても救えない命がある、また死亡や有害事象の起きた原因は一つではなく、いくつかの要素が組み合わさっている、予測もしないし防ぎようもないことが医療では起きるんだ、とうことを一般の方々に充分、認識していただくより他はないと思います。
今回は、産婦さんはお亡くなりになりましたが、お子さんは元気に生まれて育っています。
医療が介入しなければ、どちらも死亡していた、介入があったがらこそ、一人の命は失われたが、別の命は救われた、ということは家族のかたは心に銘記していただきたいと思います。
同じ程度には有害だと思います。
でも他の放送局でも遺族の感情に走ったコメントのみ流していましたが。(さも医者だけが悪いとの印象を与えている)
病院で亡くなる人がいなくなるまで、この様な状態は続くのでしょうかね、やはり政府のきちんとした恒久的な対応が望まれます。
神に与えられた命のローソクの意味を間違って理解している人が多すぎます、(特に報道関係者に)報道関係に携わっているからにはもっと勉強して欲しい。
医者には黄泉の国まで行って連れ戻せと言うのでしょうかね。
私も元NHK人ですが、前夜の放送と解説の一部を見ました。相変らず、浅いなあと思いました。担当者は当事者に会うと、多少なりとも感情移入して、言われたことは本当だと思うものです。だから反対側の人にも会うとか、資料をよく読むとかしないと、一方に偏ります。手抜きをすると、こういうことになるのですが、出てしまった放送の影響は大きいですね。どしどし批判して、改めてもらうしかありません。
いつもブログ本文よりもはるかに素晴らしいコメントありがとうございます。
ちゃんと勉強している記者はごくわずかなようですね。ほとんどが遺族の感情論や医療の不透明性などを前面に出しています。大野事件に限っては隠蔽とは全く関係がないのに「隠ぺい」とか「かばいあい」などと書いている馬鹿な記事もあって、本当に腹立たしいです。
この機会にマスコミには、どんなに手を尽くしても救えない命があるということを報道して欲しかったです。遺族に取材に行って、それを垂れ流して「かわいそう」ではお話しになりません。小学生の作る番組じゃないんだから、社会的な影響まで考えてきちんと報道してくれないと困ります。
先生のコメントの最後の文章にも激しく同意します。
まったくまったくその通りだと思います。裸体を全国に放映しているのと同じことです。報道者のモラルが問われます。
民放は見ていませんでしたが、きっとひどい報道だったのでしょうね。中にはきちんと勉強している記者さんもいるのですが、残念です。
この機会にこそマスコミは命のローソクについて人々に伝えるような報道をしなければいけなかったのです。
「遺族がかわいそう」→「だから医者を罰せよ」という論調には呆れかえります。中世の魔女裁判と同じですね。
志村さんに申し訳ないなあと思いながらも、NHKを批判してしまいました。飯野解説員のように遺族側だけに取材をしていてはいけません。亡くなった方のお子さんに逢って感情移入してしまわれたのでしょうが、それならば産婦人科医の悲惨な状況についても現場に行ってちゃんと取材すべきです。こんな報道ならしない方がいいです。
ここで批判しているだけではNHKの目に触れないいので、きちんと抗議しようと思っています。民放には期待していませんが、NHKにはよい番組を作ってほしいから。
Thoth
~Thoth様、コメントありがとうございます。
せっかくのお言葉ですが、この場合は「まだ判決が確定していない刑事裁判における遺族のむき出しの感情」です。オリンピックと同じにされては困ります。
医師の過失を問う刑事裁判の「判断」に、「加工」しようがしまいが、そもそも遺族の感情は必要ありません。殺人事件で遺族の感情を放映するのとは訳がちがいます。その点をマスコミは何もわかっていません。
春野ことり
医師に対する社会の偏ったイメージ、本当に強いですね。
たくさんの医師たちと四半世紀、働いてきましたが、ほとんどの先生達が卒業して臨床に出ると、どんどん技術も習得していく姿は驚きでした。夜間休日もなく、責任感と使命感で働いている先生達が大多数だと思います。
これでもか・・・と頑張っている人たちを、簡単に批判する最近の風潮は、何なのでしょうか。
そして今回の裁判は、医療事故というだけでなく、医療の限界を社会が認識する大きな転機であったと思いますが、さらりと医師の能力のせいや、患者さんの「真実を知りたい」という言葉に置き換えてしまう報道の仕方に驚きです。
こうしてブログでこの裁判を取り上げ続けてくださった方々の力は、とても大きく、そして広がっているのではないかと思います。ありがとうございます。
しかし、大手メディアのひとつですが、共同通信の記事もひどいですよ。
アンタ(共同新聞の記者)、ちゃんと医療安全委員会のこと、勉強してんのかよ、記事の内容が浅すぎるよ・・・WHOのガイドラインや海外の医療安全のシステムを少しは勉強してから記事かけよ!・・・と吼えましょう。
で、アンタ(共同新聞の記者)、産婦人科学会のコメントや日本内科学会のきちんと読むこと、と言いましょう。
とにかく、記事の内容が浅すぎ、専門知識なし、背景の理解力なしの記者が書くと●のようなくだらない記事になります。
●刑事免責、素人排除... 事故調創設に注文次々 緊急連載企画「広がる波紋―大野病院事件判決」(共同通信)
キャリア・ブレインとm3の記事から。
https://www.cabrain.net/news/article/newsId/17830.html
http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&articleId=79047
◎福島県立大野病院事件についての福島地方裁判所の判決に対する声明(日本産婦人科学会・平成20年8月20日)
http://www.jsog.or.jp/statement/statement_080820.html
◎医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」に関する意見書(日本内科学会・平成20年8月12日)
http://www.naika.or.jp/info/info080818.html
本当に、なぜこんな酷いことばかり言われなければならないのでしょうね。
産婦人科医は仕事内容がきつくて大変なので若手医師が専攻を避ける傾向は以前からありました。そもそも楽をしてお金儲けしたいというような人間ははじめから産婦人科医にはなりません。使命感と責任感を持ち一人医長として頑張ってきた医師にこの仕打ちですから、日本社会が狂っているとしか思えません。
こうしてブログで声を上げても、聞く耳を持たない人には何も聞こえないかと思うと、本当に悲しくなりますが、フィッシュさんのように応援してくださる方がいるのは本当に嬉しいです。
共同通信は本当にひどいです。医療記事を書く資格なし!と思っています。記事を書くからには最低限の勉強はsべきです。
私は日本のTVを見ることができないのでインターネットの記事を読んでいましたが、各社偏った報道にものすごく憤りを感じました。遺族の感情をマスコミが煽りすぎでは?!と頭にきました。
マスコミに利用されているようなご遺族がなんだかお気の毒だと思いました。
そして、そのマスコミの報道に一般の方々は誤った認識をされてしまうのではと心配です。
Hi
~Hiさん、おひさしぶりです。コメントありがとうございます。
日本のマスコミの偏向報道、本当にひどいものです。ネットでみる記事もひどいですが、テレビはもっとひどいです。遺族が話す映像をそのまま長々と放映するのですから、活字よりもはるかに国民への印象操作が大きいです。
断固、抗議します。
春野ことり
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