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今、「日本をダメにした10の裁判」という本を読んでいます。
第5章「公務員バリア」の不可解な生き残り
目からウロコでした。
本章の内容の要点
会社員と公務員では、業務上の不法行為を行った場合、大きな違いがある。
会社員の場合、個人として損害賠償を負い
会社員個人に加えて、雇主である会社も、同様の損害賠償責任を負う。(民法715条)
被害者の立場からみると、訴訟を起こす場合、会社員個人のみを訴える、会社のみにする、あるいは両方にする、といった選択を、被害者自身が行える。
公務員の場合
たとえば国に勤務する公務員が業務上不法行為をすると、国が被害者に対して責任を負うことになる。
その法律上の根拠は、民法ではなく、国家賠償法1条である。「国または公共団体の公権力の行使にあたる公務員が、その職務を行うについて、故意または過失によって違法に他人に損害を加えた時は、国または公共団体が、これを賠償する責に任ずる」
では、加害者である公務員個人の責任はどうかというと、驚いたことに、被害者から公務員個人に対して訴訟を提起しても棄却されてしまう。それが確立した裁判例である。
公務員は会社員には与えられていない、特殊な「公務員バリア」の保護下にある。
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これを、ブログ主が勝手に医師の場合に置き換えてみると、こうなる。
民間病院勤務医と公立病院勤務医では、業務上過失行為を行った場合、大きな違いがある。
民間勤務医の場合、医師個人として損害賠償を負い
加えて、雇主である病院も、同様の損害賠償責任を負う。民法715条
被害者の立場からみると、訴訟を起こす場合、医師個人のみを訴える、病院のみにする、あるいは両方にする、といった選択を、被害者自身が行える。
公立病院勤務医の場合
たとえば国立病院に勤務する医師が業務上不法行為をすると、国が被害者に対して責任を負うことになる。
その法律上の根拠は、民法ではなく、国家賠償法1条である。「国または公共団体の公権力の行使にあたる公務員が、その職務を行うについて、故意または過失によって違法に他人に損害を加えた時は、国または公共団体が、これを賠償する責に任ずる」
では、加害者である医師個人の責任はどうかというと、驚いたことに、被害者から医師個人に対して訴訟を提起しても棄却されてしまう。それが確立した裁判例である。
公立病院勤務医は民間病院勤務医には与えられていない、特殊な「公務員バリア」の保護下にある。
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公立病院を相手取った医療訴訟では、医師の過失があるとは思えないような事例でも、驚くような巨額な損害賠償支払い命令が下されていることが多い。
もしかして、法曹の方々は、「公務員バリア」の存在を周知しているがために、「公立病院勤務医個人の責任は追及されないのだから、医師が傷つくことはないだろう」と考えて、原告側に偏った判決を下しているのではないだろうか?
もしそうだとしたら大間違いである。
そもそも、医師は医局からの派遣で病院を数年ごとに変わるシステムになっていて(医局崩壊後はどうなるかは知らないが)、あるときは公立病院に勤務し、あるときは民間病院に勤務する。その業務内容に違いはなく、どこの病院に勤務しているかによって、医師自身に「今は公務員」であるとか「今は非公務員」であるという自覚は乏しいだろう。
訴えられているのがたとえ医師個人でなくて国や公共団体であろうと、医師側から見て非常に理不尽な判決が下されているニュース(非常に多い)を見たとき、医師の心は折れる。
こんなことで訴えられて負けるのであれば、いつかは自分に降りかかることもありうる。そう思った医師は、危険な現場から去るしかなくなるだろう。
それが勤務医の「立ち去り型サボタージュ」である。
たとえば、最近のニュースではこんなものもある。
doctor-dさまのブログより
仰天!医療にミスはなくても救命センターで人が亡くなったら4400万円の和解勧告
「4400万円で和解」
http://www.tonichi.net/news.php?mode=view&id=23831&categoryid=1
02年6月、豊橋市内に住む男性(当時51歳)が呼吸困難を訴えて豊橋市民病院を外来受診してそのまま入院、容体が悪化したため当直医が気管挿管を試みたが、失敗し、低酸素脳症による植物人間となり、今も続いている医療事故訴訟で、控訴していた病院側が和解勧告に応ずることになり、2日開かれた市議会議会運営委員会に報告した。和解金額4400万円。6月市議会定例会に議案として上程し議決後、正式な和解手続きに入る。
この男性は92年から気管支ぜんそくなどのため同院に通院していた。呼吸困難を訴えて外来受診し入院した際、夜になって血中酸素状態が悪化し集中治療室に入ったが、容体悪化に伴い当直医が気管挿管を試みた。しかし肥満、猪(い)首、咽頭浮腫(ふしゅ)などのため挿管が困難で、心停止に陥った。
心臓マッサージや蘇生(そせい)処置により心拍は戻ったものの、脳への酸素供給停止となり、低酸素脳症による植物人間となった。
そのため迅速な挿管に失敗したことが後遺障害の原因だとして04年7月、病院を相手取って総額8443万円を求める訴えを起こし、06年9月、担当医師の判断ミスを認め、5142万円を支払うよう命ずる名古屋地裁豊橋支部の第一審判決が出された。
病院は、医師個人の処置ミスはないと主張し、判決を不服とし控訴していた。
名古屋高裁から今年3月、和解勧告があり、①医師に過失があったかどうか、肯定することは困難②ほかの医師との連携が十分であったかどうかは争点とされるべき③三次救命救急センターのICU内で管理中の症例であったことから、気管挿管困難症に適切に対処できる病院の態勢は不十分であり、これが事件に結びついた―とし、和解金4400万円が示された。
同院では、担当医師の過失は認められないという判断が出て、賠償額も減額されたとして、応じることを決めた。
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医師の過失がなくても4400万円の和解金?
まったく理解できない。
肥満、猪(い)首、咽頭浮腫(ふしゅ)
これだけそろったら、私も絶対に挿管は失敗する。
これを医師個人のミスとされたら、全国の医師は危険回避のために医療行為そのものをやめなければならなくなるだろう。裁判所もその辺りは解かっているのだろう。だから医師個人の過失は認められないとした。しかし、4400万円の和解金?これは納得ができない。
誰の懐も痛まないから、植物状態になったお気の毒な患者さんの救済処置として払っておけばいいっていうことか?
それならば、裁判とは切り離して、患者救済ための保障制度をつくるべきである。
なんにせよ、こういう裁判例が医師のやる気を損ない、医療崩壊につながっていることは間違いない。
誰か、「医療をダメにした100の裁判」という本を書いてくれないかしら・・・
と、ふと思った。ネタはいくらでもありそう。
日本をダメにした10の裁判 [日経プレミアシリーズ] (日経プレミアシリーズ 4) チームJ (新書 - 2008/5/9)
実は、高校の同級生が分筆しています。ここで紹介したのはほんの一部だけです。他の項目も面白いですよ。
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