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本日は、全国の医師が注目する福島県立大野病院事件の、論告求刑の日です。
さてさて、m3.com橋本編集長からこんな気になる連絡が・・・
今日、3月21日は、福島県立大野病院事件の論告求刑の日です(これまでの公判については、「警察関係者に感謝申し上げたい」などをお読みください)。
同病院の産婦人科医だった加藤克彦医師が逮捕・起訴されたのは、約2年前のこと。医療事故が刑事事件に発展することへの懸念が、萎縮医療、ひいては“医療崩壊”を招いたという見方は、多くの医療関係者の一致するところです。
ところが、これを萎縮医療をさらに加速しかねない制度改革が今、行われようとしています(この解釈が、杞憂に終わるといいのですが…)。
医療事故で患者さんが亡くなったとします。遺族が医療過誤を疑い、警察に告訴。しかし、検察は嫌疑不十分で「不起訴」。
現在は遺族が「検察審査会」に不服を申し立てても、検察が再度、「不起訴」としたら、それで終わりで、この事故が刑事裁判に発展することはありません。
しかし、「検察審査会法」という法律が改正され、いくら検察が「不起訴」にしたとしても、起訴・刑事裁判につながる仕組みが導入されようとしています。法律の施行日は確定していませんが、「2009年5月27日までのいずれかの日」です。
これは、司法制度改革の一環です。この改革は、被害者保護の観点から進められているもの。現在、厚生労働省で検討している、診療関連死の死因究明などを行う“医療崩壊”の議論にも関係する話ですが、現時点ではこの問題に注目している方は少ないようです。弁護士の棚瀬慎治氏に解説していただきました。
橋本佳子
So-net M3
http://www.m3.com/tools/IryoIshin/080319_1.html
今は、検察が「不起訴」とした場合、被害者などが検察審査会に不服を申し立てることができます。検察審査会は、国民から無作為に抽出された11人で構成し、「起訴相当」(11人中8人以上の多数)、「不起訴不当」(過半数)、「不起訴相当」(過半数)のいずれかの議決をします。
しかし、「起訴相当」あるいは「不起訴不当」となっても、検察は検察審査会の意見には縛られず、あくまで独自に判断するのです。やや古いデータですが、2003年の場合、検察審査会で「起訴相当」「不起訴不当」とされた事件のうち、実際に検察が起訴したのは24.4%にすぎません。
医療事故の場合ですが、検察審査会は国民で構成するため、どうしても患者側の視点に立つためか、「起訴相当」あるいは「不起訴不当」とされるケースが多いようです。私の経験では、「不起訴相当」の議決を経験したことがありません。それでも、検察は医師の意見なども踏まえ、専門的な調査を行って「不起訴」としているため、検察審査会が「起訴相当」「不起訴不当」としても、起訴に至るのはごくわずかではないでしょうか。
(新しい法が)現行と異なるのは、検察審査会が第一段階と第二段階の二階建てになるという点です。(1)検察審査会が「起訴相当」とし、検察が「不起訴」などとした場合、検察審査会の再度の審査に付され、(2)検察審査会が再度、「起訴相当」とした場合に、検察に代わって「指定弁護士」が起訴する――という形になります。
また、第二段階の検察審査会では、弁護士は法的助言を行う役割も果たします。
つまり、新たな仕組みでは、検察審査会への不服申し立てから起訴に至るルートで、弁護士が関与する機会が増えます。
医療事故を扱う弁護士はそう多くはありませんので、医療に精通していない弁護士がかかわる可能性も十分に考えられます。しかも、検察審査会は国民で構成するため、どうしても患者側の視点に立つ傾向にあります。
現在の刑事裁判をめぐる問題として、医療に精通していない警察・検察が捜査・起訴を行うことが挙げられます。現在、厚労省は“医療事故調”の創設を検討していますが、それによりこの問題は解決するかのような説明をしています。医師などが参加する医療安全調査委員会で診療関連死の死因究明などを行い、報告書をまとめますが、そのうち調査委員会が警察に通報するのは、故意または重大な過失に限るとしているからです。また「遺族が警察に告訴しても、すぐ捜査はせず、調査委員会を使う」といった説明も聞かれます。
しかし、このように調査委員会で医療者が専門的に死因究明を行っても、検察審査会法が改正されれば、全く別のルート、つまり医療の専門家の視点を通さずに起訴されるルートが誕生するのです。
こわいですねえ・・・
こわいですねえ・・・
こわいですね・・・
まさに現代における「魔女狩り」に他ならないと思います。
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「検察の意向にかかわらず、医療事故が刑事裁判に発展する」――。2009年5月27日までに施行が予定されている改正検察審査会法では、検察官が不起訴とした事例でも、起訴・刑事裁判に至る仕組みが導入される。厚生労働省が検討を進める“医療事故調”が設置されれば、「医学的に不当な起訴」を防止することができるとの期待が医療界にはある。しかし、「多くの医療関係者は、“医療事故調”ばかりに目が行っており、検察審査会法改正の問題の重大性に気づいていない」。こう警鐘を鳴らす、弁護士の棚瀬慎治氏に聞いた。
――先生は、医療事故の刑事事件も扱っておられますが、最近、傾向が変わってきたのでしょうか。検察は謙抑的になってきたという話もお聞きします。
医療事故を専門に扱う弁護士はそう多くはないのですが、その大半は民事事件が主で、刑事事件を扱う弁護士は限られています。
福島県立大野病院の産婦人科医が2006年2月に逮捕され、翌3月に起訴されましたが、それ以降、検察は医療事故の起訴に慎重になってきたと感じています。私が扱っている案件でも、最終的には不起訴となっているものばかりです。例えば、医療機関と遺族の間で示談が成立しなかった場合、遺族がすぐに刑事告訴したケースがありました。警察は告訴されると捜査せざるを得ないのですが、病院に示談を勧め、示談成立を待って、最終的には不起訴となったケースもあります。
――現在の検察審査会の仕組みをお教えください。
今は、検察が「不起訴」とした場合、被害者などが検察審査会に不服を申し立てることができます。検察審査会は、国民から無作為に抽出された11人で構成し、「起訴相当」(11人中8人以上の多数)、「不起訴不当」(過半数)、「不起訴相当」(過半数)のいずれかの議決をします。
しかし、「起訴相当」あるいは「不起訴不当」となっても、検察は検察審査会の意見には縛られず、あくまで独自に判断するのです。やや古いデータですが、2003年の場合、検察審査会で「起訴相当」「不起訴不当」とされた事件のうち、実際に検察が起訴したのは24.4%にすぎません。
医療事故の場合ですが、検察審査会は国民で構成するため、どうしても患者側の視点に立つためか、「起訴相当」あるいは「不起訴不当」とされるケースが多いようです。私の経験では、「不起訴相当」の議決を経験したことがありません。それでも、検察は医師の意見なども踏まえ、専門的な調査を行って「不起訴」としているため、検察審査会が「起訴相当」「不起訴不当」としても、起訴に至るのはごくわずかではないでしょうか。
――新たな仕組みでは、検察の判断によらず、「起訴」が可能になるわけですか。
2004年5月28日に、「検察審査会法を改正する法律」が公布されました。この法律は、2009年5月27日までに施行するよう定められています。
現行と大きく異なるのは、検察審査会が第一段階と第二段階の二階建てになるという点です(本文最後の図1)。(1)検察審査会が「起訴相当」とし、検察が「不起訴」などとした場合、検察審査会の再度の審査に付され、(2)検察審査会が再度、「起訴相当」とした場合に、検察に代わって「指定弁護士」が起訴する――という形になります。
つまり、検察の判断にかかわらず、起訴が可能になる新たな仕組みが誕生するわけです。患者遺族が捜査機関に告訴し、検察が「不起訴」としても、その後、検察審査会で再度「起訴相当」とされれば、「必ず起訴」されるのです。
――検察官に代わって起訴を行う、「指定弁護士」とは何でしょうか。
これは現行制度にはありません。裁判所が指定するもので、検察官の代替役を果たす弁護士です。検察審査会が第二段階で「起訴相当」とした場合、起訴を行います。その後の刑事裁判でも、検察官の代わりに指定弁護士が公判の維持に当たり、尋問などを行います。
また、第二段階の検察審査会では、弁護士は法的助言を行う役割も果たします。
つまり、新たな仕組みでは、検察審査会への不服申し立てから起訴に至るルートで、弁護士が関与する機会が増えます。前述のように、医療事故を扱う弁護士はそう多くはありませんので、医療に精通していない弁護士がかかわる可能性も十分に考えられます。しかも、検察審査会は国民で構成するため、どうしても患者側の視点に立つ傾向にあります。
――新たな制度が始まれば、“医療事故調”を設立しても、「医学的に不当な起訴」の問題は、必ずしも解決しない恐れがあると。
現在の刑事裁判をめぐる問題として、医療に精通していない警察・検察が捜査・起訴を行うことが挙げられます。現在、厚労省は“医療事故調”の創設を検討していますが、それによりこの問題は解決するかのような説明をしています。医師などが参加する医療安全調査委員会で診療関連死の死因究明などを行い、報告書をまとめますが、そのうち調査委員会が警察に通報するのは、故意または重大な過失に限るとしているからです。また「遺族が警察に告訴しても、すぐ捜査はせず、調査委員会を使う」といった説明も聞かれます。
しかし、このように調査委員会で医療者が専門的に死因究明を行っても、検察審査会法が改正されれば、全く別のルート、つまり医療の専門家の視点を通さずに起訴されるルートが誕生するのです。
――そもそも、なぜこうした仕組みが導入されたのでしょうか。
一連の司法制度改革の一環です。2009年度から裁判員制度がスタートするほか、刑事裁判の法廷で被害者・遺族らが被告人や証人に直接質問ができる制度が導入されます。これらと同様に、検察審査会法の改正は、犯罪被害者保護の視点から進められてきました。2001年6月12日に取りまとめられた司法制度改革推進審議会意見書によれば、「検察官に独占的に付与されている公訴権行使の在り方に民意を直截に反映させていく制度をより拡充すべきである」とされており、このような流れで検察審査会法の改正に至りました。
医療者は“医療事故調”の議論ばかりに目が行っており、この問題の重大性に気づいていないように思います。そもそも検察審査会法の改正は、医療事故に限らず、すべてに適用されますので、かえって医療者が気づきにくいのかもしれません。
――最後に、“医療事故調”をめぐる議論について、先生のお考えをお聞かせください。
“医療崩壊”といわれる折、今、一番必要とされるのは、医師が安心して働くことができる環境づくりではないでしょうか。医師の「立ち去り型サボタージュ」を防ぐためにも、医師が納得できる制度という視点が第一だと思います。
確かに、医療事故が刑事事件になるケースは少ないのが現実です。しかし、福島県立大野病院の例でも分かるように、数の問題ではなく、1件でも不当な事例があれば、それで医療は崩壊の危機に直面してしまうのです。“医療事故調”だけでなく、検察審査会法改正についての議論も早急に行う必要があります。
図1 法改正後の検察審査会の仕組み(首相官邸のホームページより)
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コメント一覧
魔女だと思われたが最後、刑事裁判の被告人として、人生を賭けたTrialにさらされます
Trailで最高に得られるものは無罪であっても、ゼロに過ぎずプラス部分は何もありません
単に原告(自称”被害者”)の感情の慰撫に役立つだけの話です
もう法律が施行されるだけの段階で、今からの抵抗は無意味かもしれませんが、このような制度を作るだけで、社会基盤が崩れるという懸念を持たなかったのかと、法律を作った人の想像力の無さを恨みます
Med_law
~Med_law先生、コメントありがとうございます。
コメントへの返事が遅くなりすみません。
>Trailで最高に得られるものは無罪であっても、ゼロに過ぎずプラス部分は何もありません
その通りですね。死と関わる診療科の医師は、誰が魔女にされてもおかしくありません。
明日はわが身と思います。
春野ことり
大野病院事件の検察側求刑がありましたね。
検察側の求刑の根拠は、医学的理由に基づかず、単に遺族の復讐心に沿ったものであることがハッキリしています。
検察側の主張の説得力のなさにあきれ返るばかりです。
医療裁判は、あくまでevidence based medicineすなわち医学的な根拠に基づいてのみなされるべきであり、感情論で採決をくだすのは明らかに間違いです。
以前、先生にご紹介した世界標準であるWHOのPatient Safety(メインページhttp://www.who.int/patientsafety/en/から各サブカテゴリーにリンク)でも、刑事罰なしの診療関連死報告制度の情報を共有することが医療安全につながると結論付けられています。
欧米の先進国は全てこのシステムをとっています。
ところが、日本もWHO加盟国の一員にも関わらず、世界標準とはかけ離れた医療裁判が行われているのは医療行政の怠慢だと思います。
国の医療行政の中心にいる人々がWHOのPatient safetyのポリシーを知らず、仮に英文で書かれた内容を読んだとしても充分な臨床医経験のない彼ら医系役人には、その内容を把握して日本の医療行政に反映させる能力もないのでしょう。
診療の結果で医師を刑事事件の犯罪人扱いすることは、今回の大野病院裁判でピリオドを打ちましょう。
鶴亀松五郎
~鶴亀松五郎先生、いつもコメントありがとうございます。
>診療の結果で医師を刑事事件の犯罪人扱いすることは、今回の大野病院裁判でピリオドを打ちましょう。
全くです。
春野ことり
3番目の落書き
~3番目の落書きさん、いつもコメント、TBありがとうございます。
>警察の皆さんが時々やる「誤認逮捕」も犯罪ということになってしまいますね。または、マスメディアがよくやる「誤報」も犯罪にしなければいけませんね
私も全く同じことを思います。
日本中犯罪者だらけです。
春野ことり
あくまで、治療行為上すなわち人命を救うための行為のうえで、起きたことであり、それを一般的な「殺人」と同じレベルで扱うことは、それこそ医学の冒涜に近い行為であると思います。
意図的に不都合な結果になるような治療をする医師が、この国に存在するとは、私には到底思えないからです。
法律とか・・・
文系が強く支配しすぎるということも、考え物かもしれません。
azuki
~azukiさん、いつもありがとうございます。一般の方にも関心を持っていただけるのは、大変有難いです。
医師が意図的に患者を殺そうとした場合、医師は当然罰せられるべきですが、患者を助けようとして懸命に治療を行った場合でも結果次第で医師が逮捕されるというのは、絶対に間違っています。
この逮捕劇が医療界に及ぼした影響は計り知れません。
春野ことり
検察に論告求刑の説明では、被告側証人にたった産婦人科学会に所属する産科専門医の証言は信用できない、とありました。
えっ!?はぁー?と思うでしょう、先生も。
一般的に臨床系の専門医資格を取得するためには学会の会員となって、学会の指定する病院でトレーニングを受けて専門医試験を受験します。
つまり臨床の専門医資格を取得している医者なら、原告側でも被告側であれ専門医学会に所属しているはずです。
検察側の言い分なら、学会に所属していない医者=すなわち、専門医資格を持たない医者に証言してもらうわけですか?(研修医を証人にするようなもので、専門の臨床トレーニングを受けていない医者と同義語です)
それこそ、信用できない証人ではないですか。
驚きを通り越して、あきれました。
検事は医学のシステムも医療のシステムも全く理解していません。
こんな愚かな根拠で、裁判が続いているのですね。
この裁判、即刻中止すべきです。
もともと、この裁判自体が無意味なんです。
診療行為の是非は学会の論争の範囲内のものです。
私は産科専門医ではありませんが、聞くところによるとアメリカ、カナダ、ドイツ、フランス、イギリスの産科教科書やガイドラインでは加藤先生の診療は正当な行為に当たるそうです。
日本でも当てはまるでしょう。
検事の頭の中では、臨床医学の正当な診療行為の判断は検事自身の妄想を根拠としているようです。
医学的な根拠がでたらめなんです。
こんな馬鹿丸出しな検事もいるんですね。
同時に検察側の根拠の無さといい加減さを知って、そして検事の言い分のあまりの馬鹿馬鹿しさに唖然としてしています。
ロハスの川口さんもおっしゃっているように、検事側には公判でひとつもいいところがなかった、だから医学的根拠に基づいた被告側の証人を全て否定している。単なるヒステリーですね、検事さん。
5月の判決では加藤先生の無罪を確信しました。
高裁では原告側の控訴が却下されて、裁判にすらならないかもしれません。
そう思わせる、あきれた論告求刑です。
鶴亀松五郎
~鶴亀松五郎先生、ご立腹はごもっともです。
この裁判の愚かさには本当に呆れ返ります。即刻中止すべきと私も思います。
春野ことり
鴛泊愁
~鴛泊愁さん、コメントありがとうございます。
そうですね。公判の前半で、加藤医師のことをあれだけひどい極悪人のような言い方をした割には求刑が軽く、検察側が何が言いたいのかよくわかりません。
加藤先生が有罪になったら、日本の産科医療はもう終わりでしょう。その余波は他の科にも瞬く間に及ぶはずです。
春野ことり
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