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2008.03.07 05:15 |  診療  |  仕事 / 職場  |  生活 / くらし  |  春野ことり  | 推薦数 : 9

我が子の死を乗り越えて

ずっと以前、4歳で急性骨髄性白血病に罹り、5歳という短い生涯を終えた航平くんの本を紹介した。http://blog.m3.com/Visa/20070217/2

その著者、航平くんのお母さんである横幕真紀さんの講演を聴いた。

 

横幕さんは今、二人のお子さんを育てながら、市から委託された子育てコーディネーターの仕事をしている。また、ボランティアとして、航平くんが治療を受けた病院で、小児癌で長期入院している子供たちの会「まるっけ会(まるっけというのは、抗がん剤で髪の毛が抜けて丸坊主になった状態のことらしい)を立ち上げた。

 

横幕さんはこう話した。

「なんでうちの子だけが」とは決して思わないようにしている。

「うちの子だけでじゅうぶん」と思う。

これは、航平くんと同室で、航平くんより先に亡くなった優真くんから教えてもらったことと。

航平くんと親友になった6歳の優真くんは、GVHDに罹り、全身の皮膚が焼け爛れたようにめくれてしまった。

その後、航平くんの皮膚も少しめくれかけた。それを知って優真くんはこう言った。

「なんで航くんまで?」

横幕さんはこれを聞いて、6歳の子供が自分よりも他人のことを心配するなんて、すごい!と思ったそうだ。

それ以来、横幕さんは優真くんを見習って 「うちの子だけでじゅうぶんだ」と思うようになったという。

 

 

 

横幕さんは、さらにこう話した。

航平を亡くしたことは不幸以外の何でもないけれど、

今、「幸せですか?」と聞かれたら、「幸せです」と答えます

 これには大変感動した。

自分だったらどうだろう。子供を亡くしてしまった後、横幕さんのように思えるかどうか、自信がない。

横幕さんは言った。

航平の死を受け入れることができて、初めて前に進むことができた。

航平くんが亡くなった後、横幕さんはどうして自分だけが生きているのかわからなかったという。航平くんと一緒に自分も死にたいと何度も思ったそうだ。

でも、生きているのではなくて、生かされているのだと考えるようになった。それなら、しっかり生きなければ。ああすればよかった、こうすればよかったではなく、航平の闘病中、すべてがベストだと思って選択できた選択肢のように、明日死んでも悔いのない人生を送ろうと思う。そして、胸を張って航平に会いたい。あれから、お母さんもがんばったよ、いい人生を送ってきたよ、と。 ずっとそばにいるよー天使になった航平ー あとがきより)

 

横幕さんは、航平くんの亡くなった病院へ通い、保育士の資格と経験を活かして、小児癌の子供たちと一緒に製作活動をしている。

子供たちからは「航平ママ」と呼ばれているそうだ。

子供たちの喜ぶ顔が本当に嬉しいと言う。

航平くんのことを皆に伝えていきたい、そんな想いが横幕さんに生きるエネルギーを与えている。

朝起きたら、生きていることに感謝、ご飯が食べられることに感謝、歩けることに感謝、話が出来ることに感謝

生きることは感謝の連続だと言う。

講演を聴いて、涙が止まらなくなった。

 

我が子の死に直面した後、それを受け入れられるかどうかは、その人の育ってきた環境、教育、思想などに左右されるのだろう。誰もが受け入れることは出来ないのかもしれない。

 

我が子の死----

この世でこれ以上辛いことがあるだろうか。

経験した人にしか分からないだろう。

 

我が子を亡くしたやり場のない悲しみを、訴訟という形にする人たちもいる。訴訟に勝ったところで、誰かを悪者にしたところで、果たして悲しみは癒えるのだろうか・・・

 

 

横幕さんには子育てコーディネーターというよりも、グリーフワーク支援に携わっていただけたらと思う。

子供の死を受け入れられない親御さんの心が少しでも救われるように・・・

 

 

 

 

航平ママ、本当に素晴らしいお話をありがとうございました。

最期まで病気と闘った航平くんと、航平ママに、心から敬意を表します。

 

なかのひとずっとそばにいるよー天使になった航平ー 

 

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「誰が日本の医療を殺すのか」 その1
誰が日本の医療を殺すのか―「医療崩壊」の知られざる真実 (新書y 180)という本を読んだ。この本は医療崩壊のもんだいを取り扱っている。章立てからすると、「医師不足」「財政」「過大な公共事業出費」と、... [続きを読む]
posted from 3番目の落書き帳 2008.03.08 21:42

コメント

コメント一覧

ことり先生、おはようございます。お久しぶりです。かわいい盛りで子どもを失ったこのママさん。。。。うちの母親がよく言うのですが「最大の親不孝は親よりも先に死ぬことだ」なんだそうです。もっとも、航平君も死にたくて死んだわけではないんだけど。ともかく、自分の子どもを失うっていうのは、大変なことなんですよね。

ところで、昨日、「貧乏人は医者にかかるな!」(永田宏著・集英社新書)を読みました。医師不足から医療問題を論じています。この本について、感想を書いていきます。医療関係者でない人間のコメントなので、腹を抱えるような文章しかかけないでしょうけど^^
3番目の落書き


~3番目の落書きさん、いつもコメントありがとうございます。
>「最大の親不孝は親よりも先に死ぬことだ」
私も子供の頃によく母から言われました。それを乗り越えるって、大変なことです。

「貧乏人は医者にかかるな!」面白そうですね。ぜひ読んでみたいです。
春野ことり
written by 3番目の落書き / 2008.03.07 04:31
すばらしいお話をありがとうございます。

こういうことこそ、メディアが、こぞって大きな記事で世間に啓蒙してほしいものです。

グリーフワークは重要だと思います。
患者側だけではなくて、医療者側にも。

なんちゃって救急医


~なんちゃって救急医先生、コメントありがとうございます。
先生からそのように言われると、大変嬉しいです。
グリーフワークは医療者と遺族の間の溝を埋める作用もあると思います。こういうことこそメディアに大きく報道して欲しいものです。
春野ことり
written by なんちゃって救急医 / 2008.03.07 09:14
>生きているのでなく、生かされている。

今一度、自分にいい聞かせました。
大変勇気を頂きました。
いつもありがとうございます。
侍脳外科医


~侍脳外科医先生、コメントありがとうございます。
「生かされている」
そう自分に言い聞かせることで生きる目的がはっきりしてくるのだと思います。
こちらこそありがとうございます。
春野ことり
written by 侍脳外科医 / 2008.03.07 12:35
私は一番大切だった同居人を亡くし、勿論凹みましたが、立ち直りは早かった様に思います。(まだちょっと完全ではありませんが・・・)
でも、これが自分の子供を亡くした方だったら、どうやって立ち直るのか?と想像も付きません。

私の母がその同居人が亡くなる前、まるで息子の様に彼を思っていた母は、私にこう言いました。
「『親の死に目に遭えない』って言うのは、そう言う意味なのよ」と。

本、読んでみたいと思います。
きっと泣いちゃうと思いますが・・・

「生かされている」間は、やっぱりちゃんと生きていないと、天国で再会した時に恥ずかしいかもって思っています。
あ、私が天国に行けるかは、かなり疑問ですが・・・!


ドリカムの新しいアルバムの"AND I LOVE YOU"もちょっと聴いてみて下さい。

マーボー


~マーボーさん、おひさしぶりです。コメントありがとうございました。
最愛の人に先立たれたら、どうやって立ち直ればいいのか、私にもわかりません。
天国、きっと行けますよ。天国で胸を張って彼に再開できるように、精一杯生きてくださいね。
ドリカム、懐かしいです。新しいアルバム、聴いてみますね。
春野ことり


written by マーボー / 2008.03.08 01:39
先日”小児癌のテレビ”で拝見させていただいたお母さんとその周囲にも感銘しました。
一医療従事者として、ついつい日々の仕事に流されがちですが、1年に1度くらいはお母さんの言葉を心に仕事をしていかねばと思いました。

厚生省主導、ADRのように難しい言葉・組織でなくても、グリーフワークできる環境が存在していることを、メディアの方にも知っていただき、伝えていただきたいと思います。
ハッスル


~ハッスル先生、コメントありがとうございます。
忙しい臨床の現場では、医師は患者家族の心のケアまで手が回りません。グリーフワークが制度として普及したら、医療訴訟も減るのではないだろかと思います。
春野ことり
written by ハッスル / 2008.03.08 12:06
優真の母です。航平君と航平ママとの出会いで、とても最悪な闘病生活が、楽しい思い出と変わりました。優真も前向きに頑張れたのも、大親友のお陰だと思います。航平ママと同じで、優真との別れはとても辛かったですが、本にも書いてあったとおりの頑張りが、いつかまた会える日に「かあちゃんも頑張ってたねっ」って言われるように人生を送りたいと思ってます。もっともっと、命の重さを考える時間を色々な人に作ってもらいたいです。
優真っちかあちゃん


~わお!!優真君のお母さんですか!はじめまして。
優真君のお母さんからコメントをいただけるなんて思いもしませんでした。ありがとうございます(涙)。
お母さんたちが悲しみを乗り越えて強く生きていらっしゃる姿にはただただ敬服します。優真君たちやお母さんたちの姿は航平君の本や講演を通して、多くの人に生きる勇気を与えています。私も心にしっかり刻んで生きていこうと思います。
春野ことり
written by 優真っちかあちゃん / 2008.03.14 17:01
どうも

信じてくれないかもしれないですけど、
航平君のお母さんの講演を聞いたことがあります。
いま、僕は中一で、小6のときに聞いたときの
感想です。


学校で5歳でなくなった航平君のお母さんが
              いらっしゃいました。
家族思いの航平君が白血病とゆう恐ろしい病にかかり
でも、決して直す事をあきらめずに…
クリスマスの日には、弟二人に、
自分がもらったプレゼントを分けてあげたり
すごく親切な子だったそうです。
航平君が、血が足りなくなった時は、
弟が航平君のために11本もの針を背中から刺して、
血を分けてあげたそうです。
お母様は、今、
「ずっとそばにいるよ -天使になった航平ー」
という本を出版しています。
この本を通じて「命を大事にして欲しい」
ということを伝えているんだと思います。
短い文章ですが命の大切さを
分かってもらえるとありがたいです。

と、あるブログに書いていました。
講演を聴いているときは涙が止まらず
話が終わってからも心の中で涙が止まりませんでした。
横幕真紀さんにお礼の手紙を書くときは、
「命の大切さを教えてくれてありがとう」
など一枚の紙には、おさまりきらないほど
話の感想を書きました。
僕にも弟がいるので
航平君のような
弟思いの兄になりたいです。
少しの間でしたが
ありがとうございました。
チャオ


~チャオさん、コメントの確認とお返事が大変遅くなり、申し訳ありません。
航平君のお母様のお話を聞かれたのですね。
私も、涙が止まりませんでした。
命の大切さを教えてくれてありがとう。
心からそう思います。
チャオさんは優しい方ですね。
このブログへコメントいただいて、どうもありがとうございました。

春野ことり


written by チャオ / 2009.04.30 18:09

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