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2008.02.26 23:05 |  診療  |  開業 / 病院経営  |  医療事故  |  春野ことり  | 推薦数 : 16

亀田テオフィリン訴訟

連載の途中ですが・・・

 

2月24日、東大医科研で亀田テオフィリン訴訟の事例を医学的に検討するオープンカンファレンスが行われました。

ロハス・メディカル ブログにその傍聴記が記されています。

亀田訴訟、国民は怒るべきだhttp://lohasmedical.jp/blog/2008/02/post_1088.php#more

以下、要約

 

2001年1月1日に、17歳の気管支喘息を有する患者が、亀田総合病院で亡くなった。

民事裁判となり、2007年12月13日に東京高裁判決が出て、病院側が負けた事例

 

 

2001年1月1日、午前4時30分に患者は悪心嘔吐で救急外来に歩いて受診。
当直医がたまたまその患者が入院していた時に知っていたため思い付きでテオフィリン濃度を測定し、中毒に気づいた。

 

テオフィリンの血中濃度は103.5μg/ml だった。(ガイドラインによる治療域濃度は5〜15μg/ml)

その後、検査室にストックしてあったものを調べたら
12月11日以降は、ほぼ血中濃度がゼロ。
血中濃度が突然高くなったのは真相は分からないが
ある程度まとまった量を飲んだとしか考えられない。
計算してみると、少なくとも45錠を一度に飲んだことになる。
(この時の処方量は1回6錠)

 

担当医は、脱水治療のために点滴を開始した後、腎臓内科に血液吸着を依頼
午前9時20分には活性炭で胃洗浄を行った。

血液吸着を始めるとカラム内で2回凝血した。
最初は抗凝固剤としてフサンを使用した。
2回目はヘパリンを用いた。
(最初にフサンを用いたのはテオフィリンは胃酸の分泌を亢進させることが知られておりテオフィリン中毒の剖検例では大量の消化管出血を認めた例があるため。
しかも胃洗浄で血液混じりの回収液があった。
このため最初から多い量のヘパリン投与は危険と考えた。)

 

血液吸着後、テオフィリン血中濃度は62.88まで下がった。
できれば40位まで下げたいということで
透析をしようと準備していた午後4時20分に全身痙攣を起こした。

挿管して人工呼吸器装着
午後4時45分に鼠径部からCVカテーテルを挿入した。
この際、カテーテルが血管内に留置されているか確認するため注射器を引いたところ、血液の逆流は確認できたものの
その血液が注射器の中ですぐに固まった。
すぐ直後に膀胱からも肉眼的血尿が認められるようになっており
先ほどの血液吸着の時と併せて同時に3カ所で凝固異常が起きていた。

これらから、カテーテルの挿入時には既に凝固異常があったと確信できる。

 

午後6時12分に脳出血、肺塞栓症の有無を確認するため
CTを撮影。
脳出血も肺塞栓もなかった代わりに
後腹膜内に出血していることが分かった。
入院時14あったヘモグロビン濃度も6.4まで下がった
このため輸血をオーダーするとともに
循環血液量を保つためアルブミン、ヘスパンダーの輸液を開始。
その量およそ9リットル。

午後8時35分 輸血開始

輸血が遅れた理由は血液凝固異常のために血清が取れず
血液型を決められなかったため。
(今は血漿から決められるようになっているが
当時の亀田総合病院では血清を用いて決定していた。)
さらにクロスマッチ時にフィブリンの凝固塊が形成され
判定できなかった。

そうこうしているうちにヘモグロビンが2.9まで下がったため
クロスマッチなしに5分間で24単位輸血した。
しかし午後8時40分、心停止した。

 

剖検の結果、肺鬱血が著明であり、
死因は急性心不全、ポンプ機能不全が挙げられている。

 

以上を報告した、本島新司・亀田総合病院呼吸器アレルギー科部長の締めの言葉

 

「最後に申し上げたい。
元旦という最も条件の悪い時に
担当医および協力した他科の医師たちは可能な限り治療を行った。
担当医は12月31日夕方から1月2日早朝まで寝ずに働いた。
その瞬間瞬間の判断に大きなミスはないと思う。
しかし救命できなかった。
私にはテオフィリン中毒が死因としか思えない。
次に同じ患者さんが来た時に私たちはどうすればよいのか。
判決に矛盾が多すぎ、仮定の上に組み上げられた空論が多すぎる。
今回のような事例はヒトで実験するわけにいかないのだから
世の中には分からないことがたくさんあることを認めていただかないと
医療は成り立たない。
さらに今回は異状死として警察へ通報したにもかかわらず
警察はまったく反応がなかった。
このために病院の中で病理解剖されることになった。
うちの病理解剖では血管は傷ついていないという所見だったのに
判決中では全く無視された。

これが司法解剖されていれば判決は違ったのでないかと残念だ」


 ロハス・メディカルの川口氏はこう結んでいる。

全国で救急医療の崩壊が起きている背景に
こんなトンデモない訴訟があったこと
それなのに今までほとんど国民に知らされていなかったこと
何より多くの人が被害を被っていること
もっと国民は怒るべきだ。
明日は我が身かもしれないのだから。

 

 

***

 

いかがでしょうか。

テオフィリン血中濃度がなぜあのように高濃度になったのかは不明ですが、自殺説なども浮上しているようです。そのような説は亡くなった患者さんへの名誉毀損と取られる可能性があります。

しかし、テオフィリン血中濃度が異常に高くなっていたのは事実です。大量に服用しなければ、血中濃度は上がらないはずです。

裁判ではそのことには触れられず、カテーテルを挿入したときに血管を損傷したために腹腔内出血がおこったことが死因とされ、病院が敗訴しました。

病理解剖では血管は傷ついていないという所見だったのに判決中では全く無視されたのです。

異状死と病院側が警察に届けたのに司法解剖されず、病院側の病理解剖の結果は法廷で無視される。

それならば私たち医療者はどうすればいいのでしょう。

 

 

このような裁判がまかり通るのであれば、医療行為をやめざるを得ないと私は思います。

 

参考:新小児科医のつぶやき 2007-12-25 千葉亀田事件控訴審判決文

 

なかのひと

 

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