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2008.02.04 23:35 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  医療事故  |  春野ことり  | 推薦数 : 16

北風と太陽の話

なな先生が以前ブログで、イソップ童話「北風と太陽」を引用していらっしゃいました。http://blog.m3.com/nana/20080127/1

「もっと働いて、もっと頑張って」と言われ続けている現状を「北風」に

「これ以上頑張らずに済むには、どうしたらいいのか」という温かい視線を「太陽」

それぞれ喩えていらっしゃいました。

大変よい喩えだと思います。

 

 

大村秀章衆議院議員(医療紛争のあり方検討会座長)は日経メディカル・オンライン のインタビューでこんなことを言っています。

 

──現場からは反対意見も結構出ているようです。

大村 私どもの案がもしご不満で、「こんな制度は要らない」というのなら、別に構いません。案を流して白紙にしてもいいと思うんですよ。その代わり、21条(注:異状死の警察への届出)はもっと強力にいくと思いますよ。

 残念に思うのですが、いろいろと話を聞いていますと、「医者は一生懸命やってるんだから免責にしろ」という意見があるんです。でもそれはやっぱり非常識だと思うんです。遺族の意見を聞くと、「病院は隠す、ごまかす、逃げるので困るから、客観的に判断する制度を作ってほしい」という要望があるんです。今の状況では、医療界から「ぜひやってください」という意見を表明していただくしかないと思います。

 

 

ここで、私見ですが、医療事故調査委員会が客観的に判断できる制度 だったら、大歓迎なんですよ。

しかし、厚生労働省が提案している委員会とは、遺族の代表者を含むというものです。(参照:診療関連死法第2次試案

 

遺族の代表者が入って、客観的な評価ができますか?

そちらの方がよほど非常識だと私は思います。

 

 

 

インタビューのつづき

──(処分する、しないの)線引きは難しくないですか。

大村 難しくないですよ。これまで判例の積み重ねがいろいろある。本当にひどい例以外は刑事処分にならない。本当にひどい例とは、医師の間でも満場一致で「それは刑事処分で当然」と決まるようなもの。腎臓を取り違えたとか、こういうのはダメだと思う。故意ももちろんだめですよ。そういった線引きは、これまでに判例もあるし、線引きは可能です。これを医師の間で公開の場で議論していただければ、おのずと基準はできてくる。医療行為にどんどん網がかぶせられ、しょっぴかれるという心配は全くありません。

 その判断をしっかりやるために、医療界から人的資源をしっかり投入していただかなければなりません。もちろん予算はきっちり手当てします。

***

 

ここからは私見です。

「処分する、しないの線引きは難しくない」とあっさり言い放つ大村議員は、医療のいったい何を知っているというのでしょう。

現在、医師が刑事責任を問われているのは、実際のところ「重大な過失」ではなく、「重大な結果」によります。

福島県立大野事件の加藤先生にどんな「重大な過失」があったのか、公判の傍聴記を追っても全くわかりません。

分かるのは、妊婦が死亡したという「重大な結果だけです。何度も書いていますが、結果だけで重罰に課せられるならば、リスクの高い診療科から医師はいなくなりますね。

遺族の代表者が医療事故調査委員に加わった場合、「結果」だけで医師に厳罰を求めるのは明らかではないでしょうか。事故調は「恨みを晴らす場所」であってはならないと思います。

 

また、 「医療界から人的資源をしっかり投入していただかなければなりません」とのことですが、

現場の医師が不足している現在、医療事故調査に投入する人的資源が医療界のどこにあるというのでしょう?

 

さて、こちらは一般人(医療者ではないという意味)のazukiさんのブログです。↓

医師に刑事責任を問うことは、医療を崩壊させるということかもしれない

 

azukiさんは福島県立大野病院事件について詳しく考察をされ

そして、こう結んでいます。

ーーーーーー

 

医者だって、人間です。

医療は、ある意味、半分手探りで行われる部分も多々です。

大野事件のように、自然にあたりまえに起きることが、起きない・・・ということが、
医療現場で、今後全くないとは言い切れません。

想定外はいつでも起こる可能性があり、そういう事態であっても、医師は確実に、命をすくわねばならないという「使命」を背負い、現場で仕事をしています。

・・・

『あのときの、これが問題だった(そうしなければ、助かった)』

そのように、適切な医療行為上で起きた不測の事故においても、刑事責任が問われるようであれば、医師は自らの医療行為に、自信が持てなくなってしまうのでは、と危惧します。

医師の裁量権(適切な医療行為である)の範囲内においての事故であるなら、
その場合において、刑事責任は問われないことが、医師の権利を守るために、また
安心して医療行為が行われるために、重要ではないかと考えます。

ーーーーー

 

一般の方からこんな風に言っていただけると、本当に心が安らぎます。

 

 

「医者は一生懸命やってるんだから免責にしろ」という意見は非常識だ

という大村議員は「北風」

「刑事責任は問われないことが、医師の権利を守るために、また
安心して医療行為が行われるために重要」

というazukiさんは「太陽」

 

と感じるのは私だけでしょうか。

 

イソップ童話の結末は、みなさんご存じのとおりですネ。

 

ご存知ない方は、「続きを読む」へどうぞ

なかのひと

 

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