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連日のマスコミによる医療報道は何が言いたいのかよくわからない。
Atsullow-s caffe先生のブログより拝借http://blog.m3.com/Fight/20080124/2
これらの見出しは、読む人に、あたかも11の病院が受け入れを拒否したために95歳の女性が亡くなったかのような、言い換えればすぐに受け入れられたら女性は死ななかったかのような印象を与える。
こちらは、なな先生のブログ
http://blog.m3.com/nana/20080124/2
<7病院断り、16歳少女死亡=拒食症で治療拒否-大阪>
この記事に関し、なな先生は、報道の仕方を間違っていると訴えている。
拒食症の少女は7病院が断ったから亡くなったのではない。なな先生が提示した症例のように、例え病院に入院していてただちに医師に蘇生術を施行されても、亡くなることはある、拒食症とはそういう病気なのだ。
医学生の時、精神科の臨床実習で拒食症は亡くなることがある病だと習った。しかし、当時の私は、この医学の発達した時代に、将来のある若い命が拒食症で亡くなってしまうことが腑に落ちず、精神科の医師に質問したのを覚えている。
「高カロリー輸液をすれば亡くなることはないのではないですか」
質問された医師はこう答えた。
「そんなこと言ったって、無理やり高カロリー輸液をずっと行うことなんてできないんですよ」
今、自分が学生から同じ質問をされたら、やはりその医師と同じ返答をするだろう。拒食症患者を無理やりベッドに括り付けて高カロリー輸液を行うことなど、それこそ患者の尊厳を無視した行為である。しかし、机上の医学知識だけを持ち、臨床を知らない学生だった私はその答えを聞いてもまだ納得ができなかった。
その後、医学部の同級生が拒食症で亡くなった。病気のため何年も留年していた彼女とは、会話をしたことがなかった。階段教室の一番後ろの席で講義を受けている姿を何度か見かけたことがある程度だ。下宿の部屋で亡くなっているところを発見されたそうだ。医師への志を果たすことなく天に召された若き女性がいたことを私は忘れない。
繰り返すが、拒食症は死に至ることのある病である。
マスコミさんに言いたい。
ぜひとも、病院が受け入れを断ったために患者が死亡したかのような報道はやめていただきたい。
再び、Atsullow-s caffe先生のブログ
http://blog.m3.com/Fight/20080122/3
1月22日、「ヘルニア手術で誤って女児の卵巣を切除した」というような報道がいっせいにされた。
しかし、「術前のインフォームドコンセントでも、卵巣が切除される可能性は十分に説明されており、家族も納得している。不幸な事故 ではあるが、避けることの出来なかった非常に稀な症例であり、術前診断も不可能であった。」ということである。詳しくはAtsullow先生の記事を読んで欲しい。
なぜこのようなことが 「医療ミス」とセンセーショナルに報道されなければならないのか、理解に苦しむ。しかも3年前に起きたことがなぜ今になって競うようにいっせいに報道されるのだろう。
ソケイヘルニアなんてよくある疾患である。その手術で卵巣を誤って切除されてしまうなんて!なんて恐ろしいミスだ!!
世間一般の人はこう思うだろう。
マスコミの狙いはまさにそれなのだろう。
このように、医療ミスなのかよくわからないような例をあたかも「恐ろしい医療ミス」のような報道をすることはやめていただきたい。
これら一連の報道は医師の立場から見ると、医療者を悪意を持って責めているようにしか思えないのである。これも一種の被害者意識なのかも知れない。いままで医師は散々マスコミから叩かれ尽くされてきた、いわば被害者なのだ。
「たらい回し」という言葉ひとつをとっても、マスコミは何の考えもなく発しているようだが、医療者はそのことば一つに非常に傷つくのである。
こちらは なんちゃって救急医先生のブログ
メディア報道が生んだクレーム について書かれている。
昨今の救急報道に関する私見 こちらもぜひ多くの方にお読みいただきたい。
文中より引用
病気・死は、戦うものではなく付き合い受け入れるものだと個人的には思っています。
そして、そのような受容感が社会風潮として浸透していくことを願ってやまないとも思っています。
私も全く同じことを思う。
そして、マスコミの報道が、国民にそのような受容を促すように方向を変えれば、医療崩壊は少しは食い止められるのではないだろうか。
しかし、マスコミにそんなことを期待するのは無理なのだろうか。
暗い話題ばかりだが、緩和ケア医のaruga先生のブログより、こんな明かりを灯すような話題も
<3つのスローガン>
・時間外診療をひかえましょう。
・そのためにも、かかりつけ医をもちましょう。
・日頃からお医者さんに「ありがとう」を伝えましょう。
を抱えて、小児科医療を守ろうという会が発足しているとのこと。
aruga先生のブログによると、その「守る会」には全国の医師から激励のメッセージが送られており、「守る会も守られている」と感じていると・・・。
aruga先生はこう結んでいる。
守る会を応援することが
きっと、日本中に
医療が温かさをとりもどす
大きなエネルギーになるだろうと
感じた今日でした。
素敵なニュースをありがとうございました。
このような話を聞くと
日本の医療にも灯りが見える思いがします。
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コメント
コメント一覧
最近の医療報道の問題点が浮き彫りになるエントリーですね。
同じ思いを抱える医師として、胸のすく思いです。
また、最後のお話には感動しました。
焼け野原になりつつある産科医療現場に、美しい野の花を見たような気持ちです。
TB送らせて頂きました。
なな
~なな先生、コメントありがとうございます。
このコメントをいただいたのと同じ時間に、私、なな先生のブログにコメントしてました。以心伝心かしら。ふふふ
最初に推薦ポチしてくださったのも、きっとなな先生ですね。私も今朝のなな先生のエントリーは一番にポチしましたよ。わーい
最後のお話はいいですね。産科医療を焼け野原にしないためにも、「守る会」が産科医療にも広まることを期待しています。
こちらからもTBいたしました。
春野ことり
「11病院で受け入れられなかった」
「95歳の老人が死去した」
この2つの事実をどういう接続詞でつなぐかによって、全く意味が違ってきます。
あと「受け入れ拒否」というのも適切な用語とはいえませんね。例えば、私がラーメン屋に言ったときに満員だったので入れなかったとしますよね。新聞屋さんによれば、「ラーメン屋が私を拒否した」と書くのでしょうか?また、新幹線の指定席を取ろうとしたら満席でダメ。産経新聞さんによれば「JRが私を拒否した」と書くのでしょうか?そうじゃないでしょ?なぜか、満室であろうが多忙であろうが「病院は患者を受け入れなければならない」という「甘えの認識」があるのですね。。。ちょっと話がそれちゃいましたね。
3番目の落書き
~3番落書きさん、いつもコメント、TBありがとうございます。
>新聞の見出しは短い語句で読み手を引き込まなければいけない
たしかにそうなんですよね。記者さんも好きでこういう見出しをつけているのではないのかも知れませんが。
「受け入れ拒否」についても、適切な解釈をありがとうございます。うんうん、本当にその通り!と思わず頷いてしまいます。
春野ことり
小児科を守る会のご紹介、本当にありがとうございます。
記事の最初の、95歳の方の話。
マスコミの報道は論点がずれていると、先生と同じく私も感じました。
救急搬送されると心肺蘇生は必須行為となることが社会的に認知されていないように感じています。死に直面した状況で救急車に乗れば、年齢に関わらず挿管されてしまうわけで、それが患者さんの希望であればよいのですが、不本意な延命になってしまうケースが少なくないこと、日頃から急な場合どうするかをかかりつけ医と共に話あっておくこと、マスコミにはこうした点を取り上げて欲しかったと思いました。
守る会のお母さん達の活動は、的を得ています。
先生がこうして取り上げてくださったことで、さらに、この活動が多くの方に伝わり、輪が広がっていくことでしょう。
本当に、本当に、感謝です!
aruga
~aruga先生、こちらこそ感謝です。
>日頃から急な場合どうするかをかかりつけ医と共に話あっておくこと、マスコミにはこうした点を取り上げて欲しかったと思いました。
本当に同感です。
「守る会」の運動が全国的に広まれば、小児科だけでなく瀕死の危機にある産科、救急医療も救われるのではないかと期待します。
春野ことり
医療サイドから槍玉にあがるような記事は、ほとんどが社会部の記者が書いているでしょう。
記事の掲載を決める社会部デスクや、私も含めて医者側が呆れるほど低レベルの某新聞の論説(社説)も含めて、
社会部記者のほぼ全てが、いわゆる文系出身で状況や科学的データの分析や検証の方法をまるっきり知らない。
テレビのコメンテーターなんて、それ以下なので論外です。
だから、記事の内容がズレまくりの内容になるのです。
中には伊関先生みたいに、しっかり大学院で勉強された文系出身の医療経済の専門家もいらっしゃいますが。
(伊関友伸のブログ http://iseki77.blog65.fc2.com/)
同じ新聞社でも医療専門のコーナー(医療ページってありますよね)では、ある程度は基本的な医学知識や医療システムを勉強している記者が書いているから、社会部の記者が書いているほど酷くはない。彼らは理科系学部を出ていることが多いです。
例えばアメリカの大手の新聞、ニューヨーク・タイムスやボストン・グローブやロサンジェルス・タイムスなどは、大学院で科学ジャーナリストの専攻をしてから新聞記者になったり、休職して大学院で学び直しますから、医療の裏にある科学的データや状況を理解した上で記事を書きますから、ズレまくりの内容であることが少ないのです。
日本の医療記事、特に社会面で掲載される記事のレベルの低さは、新聞記者の採用や運用の方法が改善されないかぎり、永久に続きます。
では、どうしたら良いか。
今はインターネットの時代です。記事が出たらすぐに医療サイドから、間違いを指摘したコメントがネットを通じて情報発信されます。
”医療記事検証”とか、”医療サイドから見た医療ニュース”、みたいなネット配信記事を充実させて、無知な社会部記者の記事では判らない医療問題の真実を国民の皆様に知っていただく必要があるでしょう。
鶴亀松五郎
おっしゃる通り今はネットの時代ですね。新聞自体の存在がこの先もあるのかどうか疑問です。ネット上のニュースには専門家がコメントを書き込めるようにして、間違った報道はただちに訂正されるようなシステムが必要と思います。
春野ことり
たぬくまぞうさん
~たぬくまぞうさん、久々にコメントありがとうございます。
そうですね。色々な言い回しがあるものだとある意味感心してしまいます。
春野ことり
鍼灸マッサージ師のなあと申します。
このたび、「県立柏原病院の小児科を守る会」の活動に触発されて、「医療再生を願うネット市民の会」を発足いたしました。
よろしければ私のブログのバナーからおこしください。
なあ
~なあさん、はじめまして。TBありがとうございます。コメントの確認が遅くなってご迷惑をおかけいたしました。
早速、すばらしい行動力ですね。感動しました。医療崩壊を喰い止めるためにこのような輪が広がることを切に願います。
春野ことり
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