春野ことり
More プロフィール

Search

Calendar

<< 2007/10 >>
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

新着コメント

新着トラックバック

2007.10.29 23:45 |  診療  |  開業 / 病院経営  |  医療制度 / 行政  |  春野ことり  | 推薦数 : 8

「薬、捨てました」

よっしい先生のブログの

薬って、誰のもの?

を読んで、私も思うことがあります。

「お薬を失くしてしまったので、もう一度出して欲しい」

という患者さんは時々いらっしゃいます。

よっしい先生が書いている通りで、これは本当は保険を使ってはいけないのかも知れません。でも、そんなことを言うのも、患者さんが気の毒なので、もう一度出しています。

 

しかし、中には処方してもらった薬を捨てている人もいます。

これは医療費自己負担のない人に多いです。

 

80代半ばの陳旧性心筋梗塞の女性、トシ子さん(仮名)

前回、パート医師から高コレステロール血症のお薬が1ヶ月分出されていました。

「お薬の効果を見るために、もう一度採血しましょう」

と私がいうと、トシ子さんは

「え?薬って何のことですか」

私「コレステロールのお薬ですよ」

トシ子さん「あ、あれね。捨てました

 

私  「は? 捨・て・た? なぜ?」

 

 トシ子さん「だって、見たこともない先生から出してもらっても、信用できないんですもの」

トシ子さんは重度身障者手帳を持っていて、医療費は無料。お薬代はただです。

捨てられたお薬はスタチンという種類のお薬で、1錠190円くらいします。一か月分で、6千円弱の医療費がゴミ箱に捨てられてしまったのです。

私、内心ピキピキしましたが、トシ子さんは軽度の認知症で、1人暮らし。怒ることもできず。

お薬は二度と捨ててはいけません。信用できないと思ったら、遠慮なくそのときに断ってください、とやや強めの口調で言い、トシ子さんは「わかりました。もう捨てません」と言っていました。そして帰り際に

「先生から出された薬だったら、絶対に捨てないんですけどね」

だから、そういう問題じゃなくって・・・

 

他にも、高血圧でかかっていた70代男性患者、ヨシオさん(仮名)

あるとき、こんなことを言いました。

「実は僕、市民病院の内科にもかかって、むこうでも血圧のお薬をもらってるんだけど、

あちらのお薬は捨てています。」

 

なぜ二箇所の病院にかかっているかというと、ブランド志向のヨシオさんは、検査や入院するときは市民病院と決めているようです。

ただ、市民病院は外来の待ち時間が長いし、風邪などのちょっとしたことではかかりにくいし、点滴なども気軽に頼めないので、敷居の低い民間病院である私の病院と二本立てで通院しているそうです。

私、さすがに怒りました。

薬を捨てるなんて、むこうの先生に失礼じゃないですか!市民病院の先生はちゃんと飲んでいるものと思っているんですから、正直にお話して、こちらの薬か、向こうの薬か、処方はどちらか一方にしてください。

ヨシオさん「あ~、すみません。向こうの先生に断りますから、先生の方で出してください」

と言いましたが、本当に断ったかどうか、わかりません。

ヨシオさん、その後、軽い貧血が現われたため、便潜血の検査をしたら、陽性。大腸ファイバーの検査を勧めたところ、私の病院でもできるんですが、「市民病院でやるから」と言って、長いこと現われず。

数ヶ月経って外来にひょっこり現われたヨシオさん、市民病院の検査で早期の大腸癌とわかり、手術を受けたとの事。

その後も市民病院に入退院を繰り返しているようですが、

先日も私の外来にやってきて

「先生、今、腎臓が悪くて入院しているんですけど、先生にずっと前に出してもらった漢方薬、また出してもらえませんか?あの薬飲むと調子よかったんで・・・どうか御願いします」

どうやら市民病院の主治医には内緒で来たみたいです。

「主治医の先生に電話して聞いてみて、もしもいいって言われたら出します」

と言ったら、

「ひぇー!!そんなこと電話したらやらしいじゃないですか!

だったらいいです。先生、ぜったい電話なんてしないでくださいね。」

と言って帰っていきました。

 

なんだか、憎めない患者さんたちなのですが、

医療費は限りがあるわけなので

薬を捨てることだけは絶対にやめてください。

 

 それから、生活保護の患者さんというのは医療費自己負担がないのですが、欲しい薬を紙に書いてきて、まるで病院をドラッグストアのように考えている人がいます。

「今日は~、ビタミン剤と~、湿布と~、あ、熱いのはだめ。冷たいヤツね!あれ、かぶれるから。

それから~風邪薬と~、それから~」

「風邪薬って、いま風邪ひいてるんですか?」

「いんや、今は引いてないけど、風邪引いたときの予備のためよ」

「そういう処方はできません」

「えっ、なんでさ。他の先生は出してくれたのに」

「いいですか。薬が必要かどうかは医師が判断することです。それに、今かかってない病気の薬を出すことは、法律違反です」

そういうと、患者は「もういい」と捨て台詞を吐いて帰っていき、二度と私の外来には来ません。そういう患者さんは他に薬を出してくれる医師のところへ行くだけです。(薬を出す方が悪いのかも知れません)

 

最近は、薬代が高いからと、ジェネリックを希望する一般の患者さんも増えてきました。

しかし、税金や保険料を全く支払っていない生活保護の患者さんは、一流メーカー品を出されています。

生活保護の患者さんが自分から「ジェネリックにしてください」と言ってくることはありません。

あなたは生活保護だから自動的にジェネリックになります。とは、なかなか言いにくいです。だから、一流メーカー品です。

 

一方、税金や保険料を納めている患者さんが薬代が高いからと安全性もよくわからないような後発品を自ら希望し、政府は医療費削減のためにそれを勧めようとしている。

なんだかおかしいんじゃ、と思うのは私だけ?

 

なかのひと 

 

人気blogランキングへ←応援よろしくお願いいたします。

 

限りある医療費は、無駄にしないように、医師も国民も一人一人が心がける必要がありますね。

 

天国へのビザ Amazon

天国へのビザ ←楽天ブックス 

全国書店でお取り寄せできます。

 

 

 

 

固定リンク | コメント (13) | トラックバック (1)