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これまで正しいと信じてきたことが根底から覆されるような経験ってありますか。
私は禁煙の奨励が医療費を削減すると信じて、患者さんへの禁煙指導を行っておりました。
ところが、しばらく前に「改革」のための医療経済学を読み、ガーンと頭に石でもぶつけられたような気がいたしました。
その中にはこうあったのです。
p.223
たとえばタバコ増税によって喫煙量、喫煙率が低下し、その結果、タバコがリスクを上昇させる肺ガン等の患者が減少すると、社会全体で、「短期的」には総医療支出が削減されます。しかし、一次予防の典型例である禁煙によって肺ガンによる「早死にを予防」できた人は、長生きすると禁煙後も当然何らかの病気にかかり医療費を使う上、年金受給の気管も延長するため、社会全体で「長期的には医療費と年金支出を上昇」させる可能性が高いと、欧米の一連の厳密な実証研究は報告しています。
このように、医療全体はもちろん予防医療のうちでも医療費節約につながるものはきわめて少なく、資源配分の効率を改善する予防医療であっても医療費上昇を引き起こす可能性は常に存在します。したがって、予防医療を安易に個人に強制することは、長期的な社会全体の収支を計算する経済学の視点からは正当化が困難な場合が多いのです。
・・・
ということは、私たちはタバコを吸っている人を見たら、肺ガンや脳卒中、心筋梗塞などで早死にして将来の医療費と年金の支出を減らしてくれるのでありがとう、と感謝しなければならない??
長生きしたら色々な病気にかかって医療支出が上昇するというのは、納得です。日本の医療支出を含む社会保障支出は先進国中最低レベルです。医療にもっとお金をかけるべきだ!という声はごもっともです。しかし、財源には限りがあります。(どうして限りがあると言い切れるんだと叩かないでね)
実は本書を読んだのはもう何ヶ月も前なのですが、どう書いたらいいのか分からず、なかなか記事にできませんでした。
この本を読んだ後も私は患者への禁煙指導を続けています。
将来の医療費や年金支出のことはともかく
目の前の患者さんが健康で長生きできることを願って・・・
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コメント
コメント一覧
目の前の患者さんに迷わず指導しています。受動喫煙の問題はこの報告では考慮しているのでしょうか?喫煙者だけの問題ではありませんから。
~Tai-chan先生コメントありがとうございます
そうです。受動喫煙の問題が無視されていますね。タバコの自動販売機も撤去して欲しいと思っています。外国人が見ると、びっくりするそうですね。 春野ことり
予防医学が医療費削減につながらない現実で、厚生省の方針はどうなのでしょう。医療費削減のためのメタボ対策といってますが。
政策で予防したのに医療費削減できませんでした…現場の医療機関の怠慢です、診療報酬を下げます…とならないか心配です。
~rinzaru先生、コメントありがとうございます~
メタボ対策って、医療費削減につながるとはとても思えませんが。医療者の責任にされてはたまりませんね。 春野ことり
出来るとしたら、新しい治療は(薬も含めて)すべて自己負担にすればできると思いますが。
昔から、あることだけしていたら削減できるかもと思います。
~よっしー先生コメントありがとうございます~
医療費削減、絶対無理だと思います。日本国民全員が病気になったら諦めるという考えに至れば別ですが・・・。 春野ことり
医療費削減を言うなら車も廃止しなくては、歩かなくなり肥満につながる、排気ガスで健康を害する、道路を作る為木が少なくなる、酸性雨で木が枯れる・・・
年金問題と同じで健康保険制度の根本から変えて行かないと
~たぬくまぞうさん、いつもコメントありがとうございます~
確かに仰るとおりで、車を廃止して空気をきれいにして原始に戻った生活をしよう・・・ということになりますね。医療費の問題も年金問題も、一筋縄ではいきません。 春野ことり
でも、それってほかの予防とかにもいえるんで。
最近はやりのメタボリック症候群とかいったって。
仮に、生活習慣病になるのが遅れても、長生きして結局ガンになって死んだら。
それまでの、介護費用や医療費は、それ以上にかかりますからね。
前に自分のブログでも書いたのですが。
トータルの医療費は変わらないけど、同じ金額で長生きできる。
って考えれば、一年当たりの医療費は減りますから。
個人としては、オーケーかと思いますね。
国としては、駄目なのかもしれませんけど。
~Dr.I先生、コメントありがとうございます~
先生もお読みになっておられましたか。禁煙指導している者にとっては、これショックですね。
予防医療はかえって医療費を上昇させる可能性があるのは納得です。政府はそれを分かっていながら国民や医療者を騙そうとしているのか?
先生の仰るとおり、予防医療は個人としてはオーケーですよね。やはり目の前の患者さんのことしか考えられません。 春野ことり
禁煙指導は銭金の為ではなく
患者の幸せのためだと
そうすると「吸ってる方が幸せ!」
という人にはそれなりの対処が必要になってくる
~いのげ先生、はじめまして。コメントありがとうございます~
「吸ってる方が幸せ!」「タバコがいきがい」
という人をいかに説得して
「ああ、あんなものやめてよかった」と言わせるようになるかが腕の見せ所です。
しかし、実際はやめる気のない人にいくら言っても無理なので、深追いはしていません。
好きなタバコを吸って早死にして、将来の医療費と年金を減らして国民の負担を減らす・・・それもいい生き方かも。
そう思うとこちらも楽です。 春野ことり
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