製薬企業を現在襲っているのが2010年問題というのですが、さらに次が2015年問題だそうです。というのは産経新聞でも「バイオシミラーって何? バイオ医薬品の“ジェネリック”」なんて記事を載せるくらいです。
薬価の高い分子標的薬がなかなか特許切れになっても、後発品が出てこないのは、いわゆる低分子薬と違って製造方法が違うからです。さて、世界の状況からまずご紹介します。
の記載によると
『世界にBCMO企業(Biopharmaceutical Contract Manufacturing Organization)は200社存在すると言われていますが、主力企業は欧米に固まっています。ベーリンガーインゲルハイム(独)、ロンザ(スイス)、DSM(オランダ)、サンド(独)が上位4社であり、これら4社は世界のバイオ医薬品受託市場の5割以上を占めています。次いでダイオシンスバイオテクノロジー(米)、セルトリオン(韓国)、アベシア(英)が続き、上記7社が世界市場をリードしています。
一方、日本は、技術・設備対応力において海外に大きく遅れをとっており、旭硝子と東洋紡バイオロジックスの2社がかろうじて国際レベルに達していると言えるに過ぎません。 』
ちなみに、BCMOというのは「バイオ医薬品受託製造企業」のことで、遺伝子組み換え、細胞融合、動物細胞・微生物培養などからなるバイオテクノロジー技術をベースに、バイオ医薬品を受託製造することを主たる事業として展開している企業のことなんだそうです。
しかし、日本の製薬企業の顔ぶれはあんまりなさそうです。さて、ここで突然、韓国に戻ります。
実は大学院の旅行は韓国のバイオ企業の工場見学も含まれていたのです。
↓行ってみた本社工場
工場を見て素直に、なんかでかい・・・汗。本社の方にお話を聞いてみると、インチョンの経済特区にGenentech社が開発中のワクチン向けの工場として造ったのですが承認が得られずに、撤退したのを買収した会社の工場でした。
韓国というと、基本的には後発品のメーカーしかないのですが、この会社は後発品の会社も買収しており、ジェネリックメーカーとしてやっているだけでなく、治験の受託をするCROビジネスもしつつ、バイオ後発品の受託製造で収益をあげられるようにビジネスモデルを変換しようと、がんばっているそうです。
調べると世界中でバイオ医薬品のパテントが切れていくのにあわせて日本化薬とも提携(2製品はレミケード、ハーセプチン)したり、シンガポールの国営ファンドのテマセクが提携というか出資したり・・・かなり本格的な企業らしく、世界中から注目をされているようです。
KBS 2010/3/10
FDAによる製造品質管理基準であるGMP承認もすでに済ませているいるようですし、1000人くらいしか働いていないけど、5万Lものバイオリアクターの工場(隣の敷地へ拡張計画があって、それが完工すれば15万L)はそうそうないらしく日本の企業も結構提携に興味津々とのことで、海外からの引き合いが多いようです。
ちなみに見学した本社工場は、大学の実験室と同じクリーンベンチがあり、それをフラスコ、培養タンク、そしてスケールアップした培養タンクといったものが秩序だって並んでいました。もちろんマスクや厳重なマスクテクニックで防護して上での見学でした。
■ちなみに・・・ ある先生に教えてもらった内容
『バイオ医薬品は細胞を培養して作ります。当然のことですが、タンクごとに生育環境を調整する必要があり、細胞を増殖させるだけではなく培養液の製品製造率が利益率を決めます。
既存の製品でも新規タンクで製品が作られるまでの調整に半年はかかると言われていて、巨大製造施設が存在しない理由です。
バイオシミラーは製造量が価格を決定しますから同じような巨大施設建造の試みを発表した企業は多いのですが、失敗しています。挑戦を楽しみにしています。
組み替え微生物によるバイオ医薬品の製造規模で大きいのがL-リジンなどのアミノ酸製造工場、医薬品としては三菱田辺のメドウェイが過去最大でした。
メドウェイを製造するバイファは一つのタンクが高さ18mで8万リットルの容量なのですが、石油基地みたいにタンクが並びます。』
ていうことで、世界中で特許が切れて、世界中に向けて製造が可能になっても日本の後発品であるメーカーは世界市場に参入できるのかなぁ?というところでした。
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配信元:産経イザ 2010/09/18
【社会部オンデマンド】
「最近、バイオシミラーという薬があることを知りました。薬代が安くなるとのことですが、どんな種類があるのでしょうか? また、安全性に問題はないのですか?」=さいたま市の主婦(45)
■国内ではまだ2品目
薬には大きく分けて低分子を化学合成してつくる「化学合成薬」と、遺伝子組み換え技術を応用して生産される「バイオ医薬品」とがある。風邪薬や抗菌剤など昔からある一般的な薬の多くは化学合成薬。一方、インターフェロンや成長ホルモン、抗体医薬などがバイオ医薬品だ。
バイオシミラーとは、これらバイオ医薬品の特許が切れた後に、別の会社が先行薬に似せて製造した薬の総称で、「バイオ後続品」などとも呼ばれる。化学合成の薬の特許消滅後に発売される「ジェネリック医薬品」(後発薬)は最近知られてきているが、バイオシミラーはバイオ医薬品におけるジェネリックのようなものだ。
国立医薬品食品衛生研究所の川西徹薬品部長は「ジェネリックと同様に薬価が2~3割下がり、患者の負担軽減につながることが期待されている。特にバイオ医薬品は高額なものが多い。薬の値段が下がれば、経済的に助かる患者も多いだろう」と話す。
例えば高額なバイオ医薬品として知られる抗がん剤「リツキサン」。60キロの人で1カ月の自己負担額は20万円にもなる。仮にバイオシミラーができれば、自己負担額は数万円単位で減ることになる。
国の医療費削減にも効果があると期待されており、ドイツではバイオシミラーが普及することで、2020年までに約80億ユーロ(約9000億円)の薬剤費を削減できるとの試算もある。
最近では化学合成薬が生まれにくくなり、製薬各社がバイオ医薬品に力を入れる傾向もある。ジェネリックメーカーとしても、バイオシミラーは「避けては通れない道」だ。
さらに2015年前後には、バイオ医薬品の特許切れが相次ぐ「2015年問題」も控えており、国際競争の観点からは、待ったなしの状況となっている。
ただし、バイオシミラーの歴史はまだ浅い。国内で使われているバイオシミラーは、昨年6月に承認された独サンドの成長ホルモン剤「ソマトロピン」と、今年1月に承認された透析患者の貧血を改善する「エポエチンアルファ」(日本ケミカルリサーチなど)の2品目のみ。
最も普及が進む欧州ですら、欧州医薬品審査庁(EMEA)が承認したバイオシミラーはまだ十数品目。米国は承認のガイドラインすらまだ未整備で、米食品医薬品局(FDA)が個別に審査を行っている。
■承認手続きは新薬並み
期待が高まるバイオシミラーだが、化学合成の薬と比べると構造が複雑で、製造には高度な技術と多額の費用が必要となり、参入の壁は高い。一般的な化学合成薬の分子量は200~500程度。しかし、バイオ医薬品は、単純な構造のソマトロピンでも2万2000程度あり、複雑な抗体医薬になれば分子量は15万にもなる。
さらに菌やほ乳類の細胞を介して培養されるため、ジェネリックのように、先行品とほぼ同じ製品をつくることが難しく、安全性と有効性の確認のためには、承認審査もジェネリックより厳格に行う必要がある。
厚生労働省は昨年3月、バイオシミラーの開発ガイドラインを作成。承認申請に必要な添付資料は、ジェネリックが最大4種類なのに対し、バイオシミラーは最大20種類で、新薬(最大25種類)並みだ。
後続品という性格上、価格を抑えないと先行品には対抗できないが、安全確保のために取られている厳しい審査が、バイオシミラー参入の障壁をより高くしている。
国立成育医療研究センター内科系専門診療部の横谷進部長も「バイオシミラーは新薬とあまり変わらないくらいの手間や開発費がかかる。ビジネスモデルとしてまだ確立しておらず、参入できる素地を持った企業も多くない」と現状を説明する。
こうした厳しい状況だが、世界ですでに3種類のバイオシミラーを出しているサンドの辻俊樹バイオファーマ本部長は強気だ。
「ジェネリックも当初は見向きもされなかった。いまバイオシミラーがその状態だが、将来的に市場が広がるのは間違いない。参入障壁が高いのはむしろチャンスで、今から地道に取り組み、技術力を高めていきたい」
<参考資料>
YakugyoJiho 2010年10月10日号『開幕 バイオ後続品時代』 じほう社発行より
バイオ後続品事業の参入に名乗りを上げる企業が、続々と現れている。 一方でバイオ後続品には、化学合成の「後発品」とは比較にならない高額な開発コストや、国内市場への浸透度を測りきれないといった不安要素も多い。
欧米のようには後発品が普及していない、日本独自の医療環境も懸念材料だ。 今後数年で続々と特許が切れるバイオ医薬品市場の中で、後続品はビジネスとしての光を放つことができるのだろうか。


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