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 先月の半ばからこっち、いろいろな方面で話題になって特に「臨床研究と治験」についてはじめてこんなにホットな議論(というか泥仕合?)になったのは驚きでした。

 

利益相反とメディアのミスリード■臨床研究は誰のため?

 でも書きましたが、自分は朝日新聞の「個人」をターゲットした誹謗中傷めいた報道は好みませんが、しかし重要なポイントを指摘しました。何故、未承認のワクチンなのに「治験」ではなく「臨床研究」だったのだろうか?

(注意:患者さんに安全な治療薬を一刻も速く届けるために、科学者としての次々と業績をあげ、科学論文を海外で発表される中村先生、そして癌研究のために患者さんとともに研究を続けている先生方を個人的に非難するつもりはございませんので念のため)

 

 

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◆ 朝日新聞一面記事「東大医科研でワクチン被験者出血、

他の試験病院に伝えず」2010年10月15日
http://www.asahi.com/health/news/TKY201010140469.html

◇「事実を歪曲した朝日新聞がんペプチドワクチン療法報道」
2010年10月29日
http://jams.med.or.jp/news/014.html
 
◇朝日新聞は不当な医療攻撃をやめるべき―因果関係ないのに有るかのように誤認混同させる報道
http://opinion.infoseek.co.jp/article/1066

◆  「オピニオン】 臨床試験を考える ~ 福島雅典・臨床研究情報センター長インタビュー ~
http://www.asahi.com/health/feature/opinion101110_interview.html 
朝日新聞 2010年11月10日

◇「福島雅典氏と朝日新聞は治験でない臨床試験はやめろと言いたいのか」
http://medg.jp/mt/2010/11/vol-351.html

 

◆  東大医科研の抗議、本社が反論回答書 臨床試験巡る記事
朝日新聞 2010年11月26日
http://www.asahi.com/health/clinical_study/101126_honbun.html

 

◆  朝日新聞社からの回答書
http://www.asahi.com/health/clinical_study

朝日新聞 2010年11月26日

 

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 もはや泥沼のような様相を呈していますが、朝日の報道の質が悪いという問題はともかく、この報道に対抗して、医療界は声を大きく反論しているように見えますが、実は違和感があります。

 

 大学で大変な思いをして臨床研究をされている先生方には異論があるでしょうが、

 

「治験でない臨床試験に対して、日本でも法による規制が必要か否か」の論議はこれから大切な問題です。

 海外はしっかりと規制されています(全てGCPに則ってやっているのが海外、日本はGCPには準拠しているのは治験のみで、臨床研究については倫理指針という罰則なしの規定で行っています)。

 

 さて、今回問題とされたペプチドワクチンは世界でもまだ最先端で、どこの国でも正式な医薬品としては承認されていません(今年に入って「メディケア諮問委員会が前立腺癌ワクチンProvengeの効果を支持」がありますがペプチドワクチンではないようです)。

 

 このあたり海外で使えるようになっている未承認薬問題とは切り離す必要があります。

 

 科学的に安全性について検証段階の薬を使っての、臨床研究はやはり安全性と有効性のバランスが未確立です(Risk & Benefitのバランスが悪くて、消えた薬は市販されてからでも結構あります、糖尿病薬ノスカール(一般名:トログリタゾン)、抗ヒスタミン薬トリルダン(一般名:テルフェナジン)、経口抗菌薬ガチフロ(一般名:ガチフロキサシン水和物)、抗ウィルス剤ユースビル一般名:ソリブジン

 

 もちろん有害事象がゼロの医薬品というのはありえません。 まして、抗がん剤などでは、安全性の高い薬でなければ、どんなに効き目がよくてもイレッサの訴訟を見れば明らかです。その意味では、「因果関係がないに決 まっている!」みたいなやや乱暴な反論をされてしまってはその先に進めません。

 なぜなら安全性データを収集目的にしている臨床研究の本質を見誤った意見だからです。

 

 がんワクチンの問題は研究者にとっては大切なテーマですが、一方、がん患者さんの希望は別に人体実験を早く受けたいのではなく、ちゃんとしたエビデンスのある治療を受けたいのですから。その辺はちゃんと説明していく必要がありますね。過度に「効く」と喧伝しすぎても行けません。

 

 というのは、「Phase I」の段階で承認が近いのではなく、医薬品はそこから先が長いのです。合格率はわずか20%とかそんなものです。ですから、下記のような指摘もまさに的を射ているとも言えます。

 

http://bit.ly/fiH6KM
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 たかだかPhase Iの段階で、臨床試験を実施してる者が、”必ず効くに違いない”という公言をしているのは如何なものか?
 Phase Iに参加する人は、個人の利益を度外視して、臨床研究に身を捧げる覚悟と理解が必要なのだけれど、その決意があるようにも思えない
 何故なら、臨床試験実施者がPhase Iの本当の意義を語らずに錯覚させているから(もっと言えば、誤解するように誘導している?)
 Phase Iの段階で、消化管出血を”ワクチンと関係ない”と結びつける根拠は何もない。
 本来は毒性試験なのだから、粛々と有害事象としてDLTの中に組み込むべきはずのこと。
試験管からいきなりの臨床試験でPhaseIIのような強気の発言が飛び出すのは、PhaseIの真摯な理解を患者さんに求めてない根拠となりえると思える
ゾンビのようにリンパ球療法が生き延びている中で、がん免疫学会というものの倫理性も問われることでしょう
  やはり学会および医科研の倫理を締めるネジが何本か抜けている可能性が高いと思われる
投稿者:永久治験丸山ワクチンを他山の石にしましょう | 2010年11月04日 08:16

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 最終的には新薬の承認については政府(厚生労働省の薬事・食品衛生審議会薬事分科会)が判断する事ですが、ここに日本で開発しても世界中で売れなかった薬というのがあります。いわゆるローカルドラッグという奴です。昔は脳循環改善薬でいっぱいありましたが、それらは消えましたが、まだあります。

 具体的名称でいうと、「ラジカット(一般名:エダラボン)」そして「アンサー20(結核菌熱水抽出物、通称丸山ワクチン)」

 

 これらの薬は日本でしか売っていません。日本での承認のあと、いろんな動きがあったかもしれませんが、今となっては海外では使ってもらえません。

 

 このペプチドワクチンも、有効性がはっきりしていても、ローカルドラッグに終わってしまわないかと心配です(余計な心配ですが世界市場の1割以下のサイズしかありません>日本の製薬市場)。

アメリカは去年の武田のDPP4(ネシーナ錠)を申請を受け付けたあとに出した心不全のリスク評価のガイドラインを理由に却下しておいて、他社(欧米企業)のDPP-4を承認するというダブルスタンダードばりばりの国です(日本の厚労省はさすがに承認しましたが)。(米FDA 武田薬品工業の新糖尿病治療薬の承認遅らせる。糖尿病ブロックバスター薬アクトスの特許切れ後の行く末は?)。

  神戸TRIセンターの福島先生から教えてもらったのですが、「アメリカがフェアな国だと思ったら大間違い、連中は自分の国が有利になるためなら何でもする」国と聞いていますが、これはもう仕方ありません。

 

 もちろん、国内市場だけでしたら日本の当局を満足させるだけのデータでもいいですが、アメリカやヨーロッパのがん患者さんにも利用されるような商品にするためにはやはり、国際規格であるGCP(Good Clinical Practice:医薬品の臨床試験の実施に関する基準)である必要があります。

 日本の臨床研究のデータが承認申請にはそのまま使えないのは明らかに治験と異なり質が異なるからだと思います(研究成果をそのまま薬事申請に使えるようにするためには相当なDocument Workが必要です)。

 

 日本発の薬やワクチンが世界に認めさせるには、それ相応にマンパワーと資金、人材が必要なので、日本人としてはオンコセラピー社の治験はがんばってもらいたいです。

 むしろ、医科研を中心とする先生たちの反論は、臨床試験の問題と個人攻撃報道の問題が混在されて議論されてかなりわかりにくい状態です。(署名活動もそうですが患者さんにも臨床研究がそのまま新薬へのルートにつながるような期待はミスリードとなります)

 国産のがんワクチンを国際的に認められる存在にしたければ、国際共同治験も含め、臨床研究ではなく、世界水準のデータ作成と手続きを行って同時申請する必要があると考えています。そして武田は前述のFDAの却下のあと、アメリカに開発拠点を移動させています(もはや日本の製薬企業で海外に研究拠点を持たないデメリットが目立ってきています)

 

 実験段階の研究を「あたかも新薬の治療を受けられる」かのような雰囲気になっていますが、それは異なります。今回の臨床研究は、あくまで臨床の患者さんを使ってのTrialであって治療に使っていいかの確認作業中です。

 世界的な新薬競争の中で、今世紀になって「丸山ワクチン」のようなものをまた日本で作ってしまわないか心配です。


 FDAの問題はともかく、まだ開発段階であり、当該医薬品については治験中、今すぐ困っておみえのがん患者さん団体も巻き添えにして騒いでいるけど、どうも「看板に偽りあり」のような気がしないでもないです。

 

 もっと国をあげてバイオ産業を起こそうというのなら、このあたり日本で臨床研究をきちんとやって世界中に誇れる医薬品産業の種をきちんと育てって欲しいのが本音ですし、シンガポールでも開発に着手といった国際的な環境で臨床研究を行うというのはいいことです(そういう意味では非常に評価しているのです)。

 

 今回の報道は日本の臨床研究をさらに質の高めるための議論のきっかけになるものだったと思います、メディアの方も研究者団体の意見が一見まとまっているようでも、実は医学界でも統一した見解があるのではなく、様々な意見があるはずです。

 本質的には「朝日新聞が何を問題提起しようとしたのか?」という点についてはしっかりと検証するべきで、最初は研究所を非難する朝日新聞の記事を追従しておいて、あとになってからは朝日の記事を反論する意見をそのまま掲載するだけが、マスコミの仕事というのはどうも疑問符がつきます。

 

 また研究者の方も、現状の補助金ではしっかりした臨床研究が難しいというのはわかります、しかしきちんとこの問題「治験でない臨床試験に対して、日本でも法による規制が必要か否か」をそして「日本発の薬がローカルドラッグで終わってしまわないように、政府はどこまで関わっていくべきか」について前向きに取り組んでってもらいたいです。

 

 

参考文献

治験と臨床研究の統一でシンポ 厚労、文科、経産の担当官と医療関係者が意見交換
ミクスオンライン 2010/09/08

 

池田正行Drのローカルドラッグについてのページ
http://square.umin.ac.jp/~massie-tmd/localdrg.html

 

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