日本のメディアは、明らかに霞ヶ関主導の意見というのが目につきます。もちろん、へき地医療や救急医療の解決には、医師が必要です・・・。読売新聞の月曜日の社説「医師不足対策 計画配置する仕組みが必要だ」は一見ご立派でした。
ですが、計画配置ってもどうするんでしょうかね?そういえば、病院というのはすでにあるのですが、再編することについては「地域の病院が役割を分担し、救急や産科などを集約」とは書いてあるけど、病院の統廃合については何も書いていないような気がします。
表向きは、医師を配置し直すという題目は一見良さそうですが、将来にわたって、大都市周辺部で「足りない」状態の病院には都市部からの補充で間に合っている現状があったりします。
へき地医療のためにも地域への医師派遣は必要でしょうが、病院自体の役割分担を考えると、病院への医師の強制配置などでは医師不足は簡単に解消せ ず、むしろ人口の移動にともなう老人の偏在によって医師不足が明白なのは地方ではなく、都市部周辺への「病院の再配置」が必要なことがわかります。
これは国鉄が1980年代に大赤字で不採算の鉄道を廃止したり、事情がゆるせば地元自治体に移管して、第三セクター方式にして延命させました。
しかし、それから約25年。ほとんどの赤字ローカル線は結局は、採算が取れずに再度ひっそりと消えて行こうとしています。もちろんバスにしてもい いですが、結局、地域にとって必要性が高い公共交通機関が採算が取れないような自治体にも立派なのは病院ではなく、経営リスクを持たない開業医の先生なの かもしれません。
鉄道と同じように「病院」も住民が減れば、「診療所」になり、老人が増えれば小児科/産科から整形外科、内科へとニーズは変化します。
病床を見ると、はっきりしますが、「必要な急性期病床は46万床」—東京医科歯科大・伏見教授が推計
で言われているように、手術や救急車で入院するような急性期病床は46万床でいいと現時点では判断しています。もちろん一般病床は半分にしろという単純な話ではないです。
現在、日本の急性期病院はほとんどDPCになりましたが、民間病院などではまだ加入できていない施設もありますし、今後、日本の高齢者が増えるにつれて、急性期病院以外の一般病院の役目が変化します。
日本はいわゆる受け入れ困難な「急性期病院」こそ医師が必要で、そこに勤務医が働き続け、残れるように労働条件を緩和するなどが必要でしょうね。
日本のお役所は、病院側に任せるではなく、医療体制の変化のためにいろんな手を打って来ています。それで効果が出て、機能分化は進んだ一方、労働条件は置き去りで、しかも強制配置。
イソップ童話の「北風と太陽」みたいに、もう少し「勤務医にはすばらしい働き」に対して、少なくとも人間らしい暮らしが出来るようにと願っています。
<修正のお知らせ>
で、イギリスの救急車は意識がない人は運ばないかのような記述をしてしまいましたが、ミスでした(ご指摘ありがとうございます)。
ロンドンの救急システムによれば、救急患者の3分の1は心肺停止患者だそうです。
日本の救急車は、自力で歩いて降りれるような人を大勢運ぶのですが、イギリスはどうもちょっと違うようですね。
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医師不足対策 計画配置する仕組みが必要だ
(10月25日付・読売社説)
救急や産科などを中心に医師不足が深刻化している中、厚生労働省が初めて医師への求人状況に着目し、全国の病院などを調査した。
回答した約8700施設には、計16万7000人の勤務医がいるが、1万8000人足りないとして募集している。十分な診療体制をとるためには、さらに6000人が必要だという。
今回の調査は、医師不足の本質を「勤務医不足」ととらえ、地域や診療科ごとに深刻さの度合いを測るという意味では、実態把握の第一歩になろう。
例えば、東京都は医師を現状より8%増やせば病院が求める人数を満たせる。対して、岩手県では40%もの増員が必要だ。全国の診療科別で見ると、リハビリ科や救急科などでは30%近く増やさねばならず、不足感が最も強い。
医療の人材をどのように配分すべきか、ある程度の優先順位は浮かんでくる。
ただし、医師を増やせば勤務医不足が解消する、といった単純な話ではない。
医師国家試験の合格者は毎年約8000人おり、引退する医師を差し引いても、年に約4000人のペースで増えている。
さらに、医学部の入学定員は今年度に360人、来年度も約90人増員される。人数だけの問題ならば、いずれ充足するだろう。
今回の調査はあくまで、現在ある病院に状況を聞いたものだ。だが、無計画に病院が設置されていること自体が、勤務医不足の要因でもある。
近隣の自治体が競い合って、同じような総合病院を作っているケースが少なくない。
産科や小児科など昼夜を問わず診療を求められる部門も、民間病院や自治体病院に、広く薄く医師が配置されている。このため診療体制に余裕がなく、医療事故のリスクも高い。耐えかねた勤務医は開業医に転身していく。
この状況をそのままにして医師の養成数を増やしても、勤務医不足は解消されず、地域や診療科による偏在は進んでしまう。
地域の病院が役割を分担し、救急や産科などを集約する。開業医も連携して病院を助ける。研修医など若手医師を計画的に配置していく。そうした対策を、強い権限をもって進める仕組みが要る。
都道府県ごとに、大学医学部や基幹病院、自治体、医師会が協力し、利害を超えて医療機関と人材の計画配置に取り組むべきだ。調査だけでは事態は改善しない。
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「必要な急性期病床は46万床」—東京医科歯科大・伏見教授が推計
キャリアブレイン 2010/10/27
急性期病床として必要な病床数は全国で合わせて約46万床との推計を、東京医科歯科大大学院の伏見清秀教授(医療情報システム学分野)がまとめた。現在 の一般病床の半数ほどに当たり、伏見教授は「残りは不要なのではなく、亜急性期や慢性期の病床として機能するべきではないか」とし、医療資源の適正配分の 観点から、機能分化の必要性を指摘している。10月27日の日本公衆衛生学会総会で報告した。
推計は、患者調査のデータとDPC調査のデータを基に、手術患者と手術を受けていない在院日数30日以下の患者を急性期とみなした上で、平均在院日数を 12.0日に設定。急性期病床の平均的な病床稼働率0.8を標準稼働率として計算した。厚生労働省の医療施設動態調査によると、病院の一般病床数は今年7 月末現在、約90万4300床。
また、この推計に基づき医療従事者の充足率を試算したところ、北海道と東北では医師不足の傾向が、関東と東海では看護師不足の傾向がみられたという。伏見教授は「必要病床数の推計により、どのくらい医師不足があるのかも定量的に評価できる」としている。
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