日経ビジネスオンラインの連載「守るべき弱者はどこにいる?」
第九回「もうこれ以上、医療を支えられない」というショッキングなタイトルで、看護師さんの労働環境が取り上げられていました。ライターの方の労作です。
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もうこれ以上、医療を支えられない「看護師の35歳女性のケース」
日経ビジネスオンライン 2010/02/01
「毎日が精一杯で、看護のやりがいなんて忘れてしまった」
看護師の松田裕美さん(仮名、35歳)は、しばらく沈黙したままだった。2人目の子供を出産後、育児休業を取って2年が経つが、仕事と育児に追われ、記憶がなくなるくらい忙しいのだ。
裕美さんは東北地方で生まれ育ち、地元の市立病院に併設された看護学校を卒業後、そのまま市立病院に就職した。新人の頃は救命救急センターに配属された。結婚し、2003年に子供を授かったが、救命救急センターは昼も夜もなく激務が続いた。
動けない患者の体位を変えたり支えたりすることで、妊娠中の体に負荷がかかり、お腹が強く張っていた。張り止めの薬を飲みながら勤務したが、そのうち出血が始まった。
<以下リンク参照>
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100128/212468/
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日本経済新聞は経済のことがメインですが、案外「ストレス」や「うつ」といった働く人の現場の問題を取り上げることがあります。
先週末には中原裁判について記事を掲載していました。こういう記事一つ一つは小さいきっかけかもしれませんが、日本の医療現場は夜中も厭わず働く熱心な「看護師」や「医師」の献身的な活動によって支えられているということを考えると、やはり
「水道トラブル5000円、トイレのトラブル8000円で、 おまえの体のトラブル2400円だぞ。便器以下かおまえ」
というのは本当の問題ですね。数百円の再診料の引き上げやら病院と診療所の間の価格差の統一で、あれこれ中医協で争ってたりしますが、保険診療とかでそこまで安く視るのはどうみても数を視るために診察時間を減らすという対応することで、逆効果かなと思ったりします。
きちんとした診察料を支払っていいサービスを受けたいと日本の患者さんは考えています。ですが、なかなか難しいようです。要は「安い」=「質を高く」というのは乱暴だと気づいていると思うのです、エコノミークラスで豪華なシャンパンが出ることがない事は誰もが知っているはずです。
日本において盲腸で入院すると、一週間入院&手術代で、30万円くらい。はいはい。格安ですね。日本の医療費が安 いことは「誰か」が犠牲になっているのです。医療安全を求める声に応えるためにも、医療費の引き上げは必須要項です。限られたパイを取り合う醜い争いより も違うんじゃないかな?と思ったりしていたら、こんな本が出ているようです。
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三流になった日本の医療
若倉 雅登 (著)
内容紹介
海外の病院で盲腸炎を手術したらいくらかかるか? アメリカなら2泊3日で約200万円、ヨーロッパなら同じく約100万円。日本だと1週間の入院で約30万円、自己負担3割なら10万円弱だ。
これは日本の医療費が「公定価格」で、国の医療予算を節約するために世界の常識から外れた不当に安い値段で現場に高度医療を強要しているせいだ。
その結果、何が起こったか。
日本の大病院のスタッフはアメリカの10分の1、相次ぐ病院の倒産・閉鎖、医療事故の多発、医師の自殺、看護師の「燃え尽き」症候群、産婦人科医・小児科医の激減、妊婦のたらい回し、等々。
日本はすでに国際的に見て「医療三流国」なのだ。
本書は、先進国として恥かしい、たった9兆円の予算しか負担しない政府の不勉強・不見識を、医療現場の怒りを代表して告発した問題作。著者は創立125年の伝統を誇る日本初の眼科専門病院の院長であり、日本屈指の「神の手」をもつ眼科専門医。
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社会保障ウオッチ、医師の過重労働、患者の不安に
▼環境改善には国民の負担も。
2010/01/30 日本経済新聞 夕刊
一つの裁判の行方が医療関係者の注目を集めている。1999年8月、都内の病院の小児科医が過重労働で心身のバランスを崩し自殺した。この遺族が病院を相手取って起こした損害賠償請求訴訟だ。病院の小児科や産科などは今も医師が不足、現場は厳しい。医師の労働環境改善につながるような結論が出るかどうかが焦点だ。医師が疲れ果てていれば患者も不安。一般国民にも無関係な話ではない。
自殺は当初、労働災害とも認められなかった。このために遺族が起こした行政訴訟は一審で勝訴し労災と認められた。国は控訴せず判決が確定する。ところが病院に対し過重労働を防ぐ義務を怠ったとする民事訴訟は一審、二審とも敗訴。遺族は2008年11月、最高裁に上告受理を申し立てた。1年以上たち、受理か棄却かいつ決まってもおかしくない状況が続く。
亡くなった医師、中原利郎さんは遺書を残していた。政府の医療費抑制政策によって病院の経営環境が悪化。その中で手間がかかる割に収益が上がらない小児科はお荷物となり、合理化が迫られ、スタッフの疲労が蓄積していく様子がつづられている。最後は「経済大国日本の首都で行われているあまりに貧弱な小児医療。…この閉塞(へいそく)感の中で私には医師という職業を続けていく気力も体力もありません」と結ばれていた。
残された妻ののり子さんは「二度とこんなことが起こらないよう、夫の思いを伝えていくことが私の役割」という。その言葉に呼応するような動きも出始めた。時間や状態などお構いなしに安易に小児科を受診するような状況を改めようと母親たちが勉強する組織などが登場。現政権も医師数の増加などをうたう。「裁判所にはそんな流れに逆行するような結論を出してほしくない」(のり子さん)
ただ裁判の結果だけですべてが変わるわけではない。医療スタッフを増やすにはお金もかかる。それが安心につながると考えて、国民が医療にかける税金や健康保険料の負担増を受け入れるのか。そんなことも問われている。
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