公的医療保険がないために、破産の理由の第二位が疾病となっているアメリカで、ようやく医療保険改革が進みそうです。
何よりもクリントン大統領の時代から数えると15年以上もの時間をかけた問題ですし、クリントン長官を蹴落とし、ホワイトハウスの主にオバマ氏を 据えたアメリカ国民の原動力ですから、これをきちっと守ろうとしているとも言えます。しかし、この話を表とすれば逆に裏側ではアメリカの現在の雇用で先行 きが明るいのは「医療」と「IT」と思います。
金融は、しばらくは公的資金返済を済ませたといえ、完全復活は難しいですし、新興国よりも高い成長性を上げるには相当「際どい事」を続ける羽目になりますし、アメリカの商業不動産価格がとりあえず低下しているうちは、なかなか復活はなりません。
ところが、医療は直接「雇用」を産みますし、さらに「IT投資」によって、アメリカの医療産業が大きく近代化すると見られます。日本もようやく診療データベースを作って、薬の副作用などの監視に使おうとしています(第3回医薬品の安全対策等における医療関係データベースの活用方策に関する懇談会より「病院情報システムからの標準データ形式によるデータの取り出しと2次利用(浜松医科大学 木村通男教授) 全体版(PDF:2,120KB)」)が、医療の質をはかったり、効率性の高い医療を行っているかの検証のためにデータベースを活用する基盤はまだまだです。
アメリカは医療の効率化を上げるために積極的にITへ投資を行い、より競争力を高めるために努力しています。
これを単に「医療保険制度改革」によるオバマ大統領の公約死守と単純に見誤ると、大変なことになります。日本よりも費用を投下して、競争力を引き 上げることでアメリカの医療産業全体がイノベーションに向けて大きく進歩しようとしている姿を「オバマ政権の賭け」と見るのはちょっと・・・な気がするの ですが。
もちろん、日本の現在の政権与党にはそんな余裕も頭もないのですが、アメリカのオバマ政権は先を見据えた国家戦略があると見ます。
もちろん、健康保険の高騰によってGMが倒産したことも反省にあるのは確かですが。日本も大きい会社がつぶれないとだめなんでしょうか?(どこが犠牲になるかは知りませんが・・・きっと有名な会社でしょうが、さもなくば国民皆保険制度でしょうか?)
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CIO Japan 2009/11/30
2011年から5年間で政府支援金を500億ドル投下。その獲得に向け、医療機関のCIOは何を考え、どう動いているのか
米国で約8,000億ドルという巨額の景気刺激策が可決されたことで、今、医療業界のIT化に注目が集まっている。「病院や診療施設にある医療情 報を電子化することで、年間数十億ドルに及ぶコストの無駄や、数千件に上る医療ミスを減らしたい」というのがオバマ大統領の意向である。
医療機関は、ITを利用して根深い医療問題を解決する見返りとして、2011年の190億ドルを皮切りに、5年間で総額500億ドルの連邦資金を 獲得で きる。その一方で、有効なITシステムを導入しなかった医療機関は、「2015年にメディケア(老人保健医療制度)の支払いを1%カット」という金銭的な ペナルティを受けることになる。しかも、2017年には、カット額が3%に増やされる予定だ。医療機関のCIOは、ITの調達やスタッフの採用と並行し て、オバマ大統領が奨励金の受給資格にどのような基準を設けるかを予想しながら、商機に目を輝かせているベンダーをうまくかわさなくてはならない状況に置 かれている。
(以下略)
CIO Japan 2009/12/08
医療電子化への期待と不安。2011年の奨励金開始に向けて奔走するCIO
米国のクリニックと病院に対し、2011年からの5年間で、電子医療記録システムへの投資が連邦政府より還付されるこ と が決まった。ただし、その詳細はまだ確定しておらず、医療機関のCIOたちは、いわば見切り発車でシステム導入への対応を迫られている。医療IT化推進へ の期待と不安が交錯する中で、CIOの奔走は続く。
病院は、小売店のように「1個買えば、もう1個無料でサービス」という商売のやり方をしているわけではないが、顧客の獲得をめぐって同業者と競争 している点では、他のビジネスと同じである。だが、他の業種とは異なり、医療業界はITによる効率改善でライバルより優位に立とうという意識が薄い。カイ ザー・パーマネンテのCIO、フィル・ファサノ氏によると、米国で包括的に電子医療記録システムを利用している病院は、全体の1.5%にすぎないそうだ。 氏は「いまだに手書きで仕事をしているありさまだ」と嘆く。
だが、電子化に集客効果があるのは周知の事実である。NCRが1,000人の消費者を対象に実施した調査では、62%が医療費の支払いや用紙の 記入、診療予約をオンラインで行える病院を選びたいと回答しており、携帯電話で予約をとりたいと希望する人も53%に上っているのだ。ところが、 iPhoneを持つ患者に医師の診療日時を公開することは、奨励金の受給資格となる「テクノロジーの有意義な使用」とは見なされない。
(以下略)
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オバマ米政権悲願の医療保険改革 さらなる長期化は政権の致命傷に
産経MSN 2009.12.24
【ワシントン=渡辺浩生】オバマ米大統領の悲願である医療保険改革が視界に入った。米上院本会議で24日、改革法案が可決され今後、下院との法案一本化を 経て、20世紀初頭にセオドア・ルーズベルト大統領が最初に掲げた「国民皆保険」が実現する運びだ。ただ、国民の半数以上が改革に不支持を突きつけ、来年 1月で就任から1年となる大統領の政策運営に対する信任は大きく揺らいでいる。
「国民全員に保険がカバーされていない唯一の先進国」(全米科学アカデミー医学研究所)が、米国だ。
高齢者や低所得・貧困層向けの公的保険はあるが、保険の大半は民間に委ねられ、無保険者は国民の15%、約4600万人に上る。失業し保険を失う人や、既 往症を理由に保険への加入を断られる人が後を絶たず、貧困層のみならず中間層も無保険という悲劇的な状況に置かれている。
無保険者に補助金を出すなどして加入を促し、国民皆保険化の実現を狙うオバマ政権の医療保険改革は「近代、例がない重大な国内政策の転換」(米紙ニューヨーク・タイムズ)だ。
歴代政権は党派を問わず改革に挑み挫折してきた。戦後、トルーマン大統領が国民皆保険化を試み、1970年代にはニクソン大統領も包括的な改革を提案し た。最近ではクリントン大統領が失敗している。その間に、医療費の支出は先進国の中で最高水準に達し、企業経営や国家財政を圧迫した。「米国経済の国際競 争力を衰えさせている」(カンター元通商代表部代表)といわれるほどだ。
世界的な経済危機の最中に就任したオバマ大統領は、2月に景気対策法案を成立させた後、医療保険改革を内政上の最優先課題に位置づけた。金融規制改革など喫緊の課題は他にあった。だが、「危機は大きな仕事を成し遂げるチャンス」(エマニュエル首席補佐官)と踏んだのだ。
ところが、審議は、政府介入の拡大に反対する共和党の抵抗に加え、民主党内のリベラル、保守両派の意見対立を招き、難航の一途をたどった。すでに保険に加入している国民は、自身が享受している医療サービスの低下を恐れ、改革への不支持が支持を上回った。
国民の最大の関心は10%という高失業率にある。だが、政権は医療保険改革に時間と労力を奪われ、雇用対策は後手に回った。地球温暖化対策など他の重要法 案も、軒並み越年となった。大統領の支持率が1年目の終盤にして5割を割った背景には、政策運営に対する国民の不信がある。
そうした状況下で、上院で医療保険改革法案が可決されたことは、大統領にとり極めて大きな前進といえる。大統領は米紙ワシントン・ポストとのインタビューで「われわれが今年、前進を決断しなかったら」改革の機運は失われていた、と強調したが、それも事実だろう。
ただ、年明けに本格化する上下両院案の一本化調整が難航し長期化すれば、政権の政策運営の手足をさらに縛ることになりかねない。そうなれば来年秋の中間選挙にも影響しそうだ。
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