国鉄改革のあと、JRは無事に民間企業として経営が成り立っていますが、日本航空の慢性的な赤字で、運輸行政(今は国土交通行政?)もゆらいでいます。
残念ながら、補助金漬けで維持されているものは、変化に対して非常に弱いです。 これは補助金を交付する条件を国や地方自治体が、条件をつけるからで、そのかわり「付帯業務を義務づけ」られたり、あるいは「ひも付き」助成金にありがち な、他の事業には流用できないなど弾力性が欠けるからです。
民間企業ならば、とっくの昔に撤退したり、ほかの企業に買収してもらって身を引けるのに、病院や道路などのインフラ系はライフラインのために、いったん出来上がると地域住民が撤退を許しません。
電電公社がNTTに、郵便局がJPに。さて、公立病院は?あんまりいいアイデアがわきませんね。参考になるのは、日本の事例がまだそろっていないからです。
地域ごとに医療状況が異なるため、公立病院の再編は時間がかかります。ただ、そのための準備は進んでいて、公立病院の経営について「総務省」が2007年に「公立病院改革ガイドライン」を策定。
自治体は各病院の経営目標や再編計画などを盛り込んだ計画を2008年度中に策定しなければならない。とされていますが、そのあと、各地域ごとに病院の再生が進んでいるはずですが、役人さんの作文通りにいかないのが世の中の相場です。
大学時代に、戦後、人口流出が続いて過疎地になった中国山地をドライブしたことがあります。ちょうど竹下元首相や亀井静香大臣らの選挙区で、彼ら のふるさとに該当しますが、立派な国道沿いには、廃屋が並んでいました。ただし、そこの集落があった証拠として地区名を示した看板はまだしっかり残ってい ました。
戦後の高度成長期に労働力を日本は地方に求めたため、地域から都市へと移民が行われました。地方で生まれたのですが、昭和の終わりごろ「ふるさと 創世」を訴えた竹下元首相のふるさとはすっかり「田舎」ではなく、活力を失い、その後も平成の御代の間にも衰退が続いています。
地域ごとに必要な医療は異なりますが、あと10年か15年して問題になるのは地方から都市部へ流入した団塊の世代。
その受け皿となる「ふるさと」はすでに本当のふるさとである故郷ではなく、東京や大阪の大都市周辺です。しかし地域社会のネットワークが脆弱なので、非常に今後大変なことが予想されます。
団地での孤独死や介護負担。さらに核家族化の進行と女性の社会進出にともなって家庭内で介護するのであればマンパワーの問題。
これらを単純に回答をだすのは難しいのですが、おそらく「夕張」にそのヒントがあると思います。
今年の夏、夕張にうかがいました。(過労死とさようなら!北海道の先進的事例を学ぶのあとですが)。村上先生には地域医療の大切さ、禁煙、ワクチン接種による疾病予防が医療費削減に役立つこと、入院診療よりも在宅診療の方が患者や家族と顔の見える、地域が求める医療の在り方を直接教えてもらいました。
夕張は炭鉱が全盛期に人口が13万人いた町です。今は人口が1万3千人
程度です。町の経済が1/10になったのですから病院もそして公共サービスもそのサイズにならなければならなかったのに、なれなかったため、最終的に過重な投資が招いた赤字による「破綻」です。
今後北海道や東北が直面している医師不足は、早急に回復することは難しいのです。
「病院に医師をよこせ」的なやり方を変えなければなりません。地域ごとに活力の源が医療だったり福祉サービスの可能性もあります。
そういう意味でヒントとなる本として 村上先生の講演が掲載されている本を紹介します。今後、増える高齢者の抱える疾病は「治療」できる病気もあるとはいえ、むしろ病気とともに生きる患者さんをささえていく知恵や、体制を作るためにぜひどうぞ。
メディカルタウンの地方学
30年後の医療の姿を考える会(代表・秋山正子 白十字訪問看護ステーション所長)
出版年月: 2008年9月 頁数・版型:128頁 A6判
定価:1000円(本体952円+税) ISBNコード:978-4-9902695-7-9
目次
はじめに
価値観の転換~柳田邦男に聞く~
司会のことば 秋山正子
柳田邦男
吉川菜穂子
シンポジウム「メディカルタウンの地方学」
【第一部】
基調講演 高齢化社会における地域再生の試み 村上智彦
提言1 入院医療から在宅医療への移行支援 宇都宮宏子
提言2 長崎在宅Dr.ネットの取り組みについて 安中正和
提言3 看取りのできる地域社会に向けて 村田由佳
提言4 生活支援、地域SW、安心して死ねる場所、地域力 鈴木信行
村上智彦
宇都宮宏子
安中正和
村田由佳
鈴木信行
【第二部】 パネルディスカッション
コーディネーター
パネリスト 中村/秋山
村上/宇都宮/安中/村田/鈴木
コーディネーターのことば
おわりに
付録・来場者アンケートより
あとがき
中村順子
樋野興夫
加藤敦子
東尾愛子
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