昨日の「新型インフルエンザ対策は十分か?」は不十分な感がいなめませんでしたが、韓国はタミフルの備蓄が少ないために特許を無視してコピー薬を作ろうという話でしたが、日本の医薬品産業もどうやらあんまり明るくないようです。

 

 先週のエコノミストの特集は「バイオ医薬」というタイトルではっきりいって、専門外には「はぁ?」という感じかもしれませんが、日本の医薬品産業をめぐる未来を描いていました。

 

 お手元になければぜひ、手に入れてみてください。

 

◇【特集】バイオ医薬
週刊エコノミスト 8月25日号

 

・化ける創薬-「抗体医薬」革命の衝撃  井上 良一
・ファイザーと武田にみる戦略差  井上 良一
・Q&A バイオ医薬の基本  尾崎 弘之
・国内大手「抗体医薬シフト」を斬る  井上 良一
・収穫期のベンチャー、大手と提携続々  山崎 清一
・インタビュー
  協和発酵キリン 研究開発から生産まで一貫の強み 花井 陳雄(常務執行役員開発本部長)
  中外製薬 国産初「アクテムラ」を世界商品に 有沢 幹雄(常務執行役員ポートフォリオマネジメントユニット長)
・バイオ株復活、注目のゲノムファンド  和島 英樹
・次の目玉「核酸医薬」めぐる世界再編  竹内 慈

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 製薬企業も2010年問題、すなわち大型のブロックバスター製品の特許切れが世界中で問題になっています。今後、低分子薬といった分野では目覚しい薬が出ることは期待薄の中、特許切れでジェネリック(後発品)に市場を侵食されるままでは新薬メーカーは生き残りが困難です。

 

 日本の製薬企業もいち早く、分子標的薬やワクチンのように特許に左右されにくい分野に力を入れていればよかったのですが、この特集を読んでいると厳しい未来が待っていそうです。

 

 こちらに世界の大型医薬品売上高ランキング 2008年 トップ 50(ユートブレイン)があります。日本から出た製品は10品(赤枠で囲みました)ありますが、ほとんどはパテント切れが間近だったりします。

 また、高分子薬はありません。ほとんどが従来の低分子薬です。

 結局、日本はTop50の薬のうち40品目は海外から得た外貨で外国から薬を輸入しているのです。

 

 

◆日本のメーカーの創製品

上位50製品のうち、日本のメーカーがオリジンの製品は、2007年より1つ増えて10製品となり、トップは2007年のアクトスから、2008年にはクレストールが抜いて日本オリジンのトップ製品となった。1つ増えたのは第一三共のARB剤であるオルメテックが2007年の55位から、2008年は49位に上昇したため。

 ただし、上位50品目では日本の創製品が20%を占めるが、ユート・ブレーンのまとめでは、51位~128位(10億ドル超)の78製品では、わずか4 製品しかない。つまり、日本のメーカーもクレストールやオルメテック以降の大型品があまり開発できていない。日本の上位製品も2011年までにパテントの切れるものが多く、世界的大手と同様に「売るべき製品不足」の状況となっている。

 

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 という記載があります。

 

そして、こちらに政策研(医薬産業政策研究所)という日本の製薬企業によるシンクタンクのリサーチペーパー政策研ニュースの最新号No.28 があります。ここに「世界の医薬品市場の構造変化と製薬産業の収益基盤」という記事があります。

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政策研ニュースNo.28 平成21年08月発行
http://www.jpma.or.jp/opir/news/news-28.pdf
<目次>
Points of View 創薬プロセスに関わるバイオマーカーの研究環境
 -アンケート調査と特許出願の分析にみる日本の課題-
日本における新医薬品の臨床開発の動向
改良型イノベーションと医薬品の付加価値
世界の医薬品市場の構造変化と製薬産業の収益基盤

目で見る製薬産業 日米における医薬品の特許期間
国籍別にみた医療経済研究の論文数

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世界の医薬品市場の構造変化と製薬産業の収益基盤

 

<まとめ>
 日本の製薬企業は、世界の医薬品市場の量的、質的変化への対応という面において、欧米企業に比べて必ずしも優位な立場にはない。すなわち、米国市場への収益依存度が相対的に高く、米国での売上高の5割以上を占めるブロックバスターが今後5年間で特許失効を迎える、新興国市場への進出が相対的に遅れている、ベンチャー企業買収などによりワクチンを含めたバイオ医薬品の導入を進めているものの、欧米企業に比べてバイオ医薬品の数及び売上高に占める割合ともに相対的に低い、などの課題に挑戦していく必要がある。
 世界の医薬品市場の構造変化に対応し、国際競争力強化を進めていくためには、これまで以上に戦略的投資を積極化する必要がある。戦略的投資を継続的に進めていくために必要不可欠な収益基盤の維持・強化は、日本の製薬企業が早急に取り進むべき重点課題である。

 

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 この構図は将来どうなるか?簡単です。日本の製造業と同じく大手製薬企業は没落しつつあるのです。

 

 韓国のコピー薬騒ぎなど笑っていられません・・・10年後、日本の医療現場にある薬はほとんどが、格安の後発品か高価な舶来品に置き換わっている可能性があるのです。

 

 医薬品産業は実は裾野が広いのです。研究開発だけではなく、市販後の臨床研究も含めイノベーションがある分野ですが、実際は日本発の臨床研究についていえば、年々衰えている様子は、こちらにも描かれています。もちろん「医師不足」からくる「研究者不足」もあるでしょうが、アメリカのNIHのように3兆円ものお金をバイオ&ヘルスリサーチ研究にお金を投じることができないため、マンパワー不足、資金不足になっていくことは目に見えています。

 

 また、今後は「利益相反マネジメント」(利益相反マネジメント☆不透明な資金提供はお断りしましょう)の点からも、きちんとクリアしないと科研費も得られない現状であることを考えても目を覆うばかりの状況になることは想像に難くありません。

 次期政権がかかえる問題は決して小さくありません。日本発の科学振興をいかに行うか?アメリカが製薬産業を大切にしてきたのと反対側に土俵際までおいつめられた日本の製薬産業の姿がここにあります。

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