財政構造改革部会というのは、「財政制度等審議会 財政制度分科会 財政構造改革部会」で、財務省の中で開催されているようですね。
海外の医師の給与なんてあんまり目に触れないですし、日本の場合、開業医で個人事業主となった医師の給与など、平均値が2000万円以上だなんて作り話を聞くたびに、
「そんなに儲かるならみんな開業するだろうけど・・・開業資金の返済も含めると決して「おいしい話」なんてことはない」
・・・ってことを、医師なら誰もが気づいています。まぁ、時々、官僚が流す作文をそのまま載せるメディアの存在([誰が世論を操るのか・・・]開業医の年収問題 ,[産経を見習う・・・朝日・毎日・読売・にジャーナリストの資格はあるのか?] )は気にせずに話はそのまま続けます。
財務省がわざわざ、経済人の方を前にして、この数字を提示したことは、非常に興味深く感じます。
ただ、医師の開業について規制を行うというのは、この不景気のご時世に「規制緩和」と逆行しますなw。
なんで、過疎地にや医師が偏在するのか?それは理由があります。
経済的な理由もありますが、不足している地区では、大病院で働く専門医よりも、総合的に診ることができるプライマリケアの専門医というものが必要 とされるからですが、残念ながら、日本の場合、十分な数の総合医を育成できていませんでした(地域医療のために貢献する医師にインセンティブもなきゃ、田 舎で学会もろくに出かけられない状況が続けば、そりゃ続かないでしょう・・・)。
大学医局を中心とする専門医育成システムで何が欠落していたか?そういう目で見直す必要があります。
5月9日号の「日本医事新報」にて専門医制度についてかなり突っ込んだ話が出ていました。
日本の専門医制度は博士号のかわりに取得が進められましたが、学会が中心となって、誰でも取得できるような雰囲気となってしまいました。
昨日、日本医療政策機構の朝食会で、「『複雑系』から読み解く医療システム」と題された中田力先生(新潟大学脳研究統合脳機能研究センター長・カリフォルニア大学教授)のお話を聞いてきました。
講演を受けるまで複雑系のお話は医療のお話と無縁かなと思いましたが、実は医療そのものが、実は複雑系であるということは、自分の経験からも確かにそうであると思いました。
医療について決める大事なパラーメータとして「お金」と「医師」である。この二つのパラメータについて、日本の場合、第一に、お金をかけなさすぎ る(アメリカの医療費は200兆円、人口の4割強の日本で、医療費は34兆円、アメリカの半分以下しか使っていません)。それは明白なことです。
しかし、中田先生が特に言及されたのは、日本の専門医制度がおかしい。という指摘がありました。
たしかに、学会が行う専門医試験さえ通れば「誰でも専門医」を名乗れるのも変です。アメリカでは1910年、フレックスナーのレポートに基づいているそうです。
少し長いですが引用します。
【1910年にフレックスナーが提示した定義を採用することにする。フレックスナーは、プ ロフェッションは、以下の6つの特質をもっていることとしている。プロフェッションとして認知されるための6つの特質とは、
(1)知的な職業であり、当該 職業に従事している者が適切な選択を実施し、かつ判断を下す際に重大な責任を負っていること、
(2)特定分野に関する高度な体系的知識を所持し、かつ長期 間の教育訓練を受けていること、
(3)体系的知識が現場で応用できうるように実践的な性格をもっていること、
(4)特別な技術あるいは技能を擁するだけで なく、知識だけで事態に対処できない場合には獲得した技能によって物事に対処できること、
(5)専門職団体(professional association)が組織化されており、専門職団体がプロフェッショナル教育の内容および専門職に参入する際の資格の認定などを規制しているこ と、
(6)当該職業に携わっている人物に公共への奉仕(public service)志向があること、
となっている。このフレックスナーの定義に関する基準が明示されて以来、上記に挙げた特質をもっている職業が、アメリカでは、プロフェッションとして公的に制度化されるようになった。
プロフェッションに要求されている高度な体系的知識と特別な技能という点から鑑 みると、プロフェッションが公示する技能は、高度に知的かつ科学的なもの である。したがって、こうした知識・技能の習得のためには、一定の特殊な教育・訓練、すなわちプロフェッショナル教育が必要となり、かつプロフェッショナ ル教育を経て、一定の能力をもつと認められた者に対してのみ、国家あるいは社会が資格あるいはライセンスを授与することになる。
このプロフェッショナル教育を実施する機関が、「プロフェッショナルスクール」と呼称される専門職大学院であり、プロフェッショナル教育の「アクレディテーション(認定制度)」 は、専門職団体によってなされている。】
(アメリカの専門職を支えるアクレディテーション・システム 同志社大学 文学部 助教授山田礼子)
フレックスナーは各地を回り、きちんとした医師を育成できない医学校を閉鎖させたそうです、地域で求められる医療を提供できる医師を育成できる組 織だけが残され、そういう要件をすべて満たす医師だけが専門医となれたのです、この伝統を守って専門医を育成してきたのがアメリカ。
日本は逆にある程度の会員としての在籍年数と最小限の「手続き」だけで専門医となれてしまう。この点が非常に異なり、医師の質を今一度問われるべきというのが中田先生のお考えでした。
自分も何がしかの試験で取得した専門医を持っていますが、はたして6つの条件をすべて今、満たせているか?そして地域に貢献できているかというと疑問です。学会の商売としての「専門医制度」に乗せられたような気がしないでもありません。
アメリカは、各地域ごとにその疾患領域の患者数に適正な数しか専門医を育てていません。日本の場合、逆で、参入規制もないため、やたらと認定医や専門医を乱発しすぎました。
結局、「専門医の質」を担保できていないという指摘は本当、そう思います。というのは、日本には医師はわずか28万人しかいません、しかし循環器専門医は実は1万人以上いますが、循環器学会の所属する会員の半分が専門医ということになります。
また、救急救命センターもABC評価がありますが、すべてのセンターがA評価です。これってありえないですね。
専門医制度はアメリカでは「年収」の差につながります。また4年生大学のあと、さらにメディカルスクールの学費が高いために、学費のローンがあり、それこそ早期に返済を行うためにも、厳しい修行の上に、専門医の資格取得は、必須でもあります。
さて、日本の医療の専門医制度は、どうなんでしょうか?資格にふさわしい医療を行った医師をそれなりに評価できているか?この問題について専門医の団体や学術団体がリードできているのは限られているように感じました。
学会の中でもきちんと質を保証できる医師にだけ専門医を認定してきた学会はどれくらいあるでしょうか?そして専門医の資格をもつ勤務医の過重労働 は「戦前の日本」と同じで、消耗戦に入ってしまい、救急医療に従事するため、勤務医が多忙で、トレーニングを受けたりするために、国内の専門学会に満足に 参加できなかったり、日々進歩する医療を学ぶ機会を持てない状況は好ましいものでしょうか?
まぁ、いろいろと考えながら、今日はとりあえず、筆を置きます。
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日本の現在の専門医制度は、国民に対して医療の質を十分に保証するものとはなっていないー。
こうした危機感から、患者の視点に立った専門医制度を確立し、医療提供体制の崩壊を食い止めようという機運が高まっている。
日本の専門医制度はどうあるべきか、海外の制度に詳しい専門家へのインタビューやキーパーソンによる対談を通して専門医制度のこれからを考える。
・専門医制度を巡る動き
・海外から学ぶ
アメリカの専門医制度 ー中田 力氏(新潟大統合脳機能研究センター長)
ドイツの専門医制度 ー岡嶋道夫氏(東京医歯大名誉教授)
・特別対談 ー専門医制度のこれから
池田康夫氏(社団法人日本専門医制評価・認定機構理事長)
×
桐野髙明氏(国立国際医療センター総長)
・専認機構加盟学会の会員数および専門医数
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●先進各国の医師開業規制制度、医療の価格設定方式を比較表で提示 財政構造改革部会
Online Medニュース(2009.5.19)
・アメリカ家庭医の報酬は1900万円、財務省が提示
ドイツで保険医の開業規制が行われていることを紹介した財務省は5月18日の財政構造改革部会に、他の各国でも何らかの規制が行われていることをまとめた国際比較表を補足説明資料として提出、医療の価格設定や患者の医療へのフリーアクセス度を含めた問題意識を示した。また、アメリカの医師の専門科別の報酬を実額と家庭医との比較で示した。
開業規制については「医師の自由度」として、「地域と診療科の選択、開業の自由、競争性」の視点でまとめている。
フランスでは、研修医には全国試験に基づく「地域・診療科枠」があり、また開業医はセクター1医師(診療費の請求を協約料金のみに限定)とセクター2医師(協約料金以上の請求が可)に区分されている。
イギリスでは、病院勤務医は公務員であり、一般家庭医の開業については偏在を防ぐために地方機関が目標を設定して調整している。
アメリカでは、専門医制度の資格の取得で診療科間の医師数を調整しているとした。
ドイツは、保険医重要計画に基づく開業規制を行っている。
これに対し、日本では、「地域・診療科の選択や開業は自由」と記載している。
医療の価格設定のあり方については、「政府、保険者、民間の関与度」の視点からまとめている。日本は、「公定価格」だが「診療所・病院の区別なく、中医協の決定を受けて厚生労働大臣告示で決定」と記載。
これに対し、ドイツは「保険者との協約による価格決定」が行われ、開業医は「連邦レベルの評価委員会で統一評価基準を策定」、病院については「連邦または州レベルの病院と疾病金庫との契約による報酬点数表と患者当たり定額の療養費」となっている。
フランスも保険者との協約による価格決定が中心で、公的病院は予算制。イギリスは保健省予算を国民健康サービス(NHS)内で配分。アメリカは民間保険については保険会社が独自に医療保障プランを提供」と紹介している。
アメリカの医師の報酬については、米国医療団体協会(AMGA)の2008年調査のデータを示している。内科・小児科・産科・婦人科・精神科、老人科など幅広い範囲の訓練を受けていることとされる「家庭医」の報酬は19万ドル。
これに対し、放射線介入診断は46.3万ドルで2.44倍、心臓科は38万ドルで2.00倍、麻酔科は35.3万ドルで1.86倍と続き、産科は27.4万ドルで1.44倍、内科は20.0万ドルで1.05倍、小児青年科は19.4万ドルで1.02倍、老年科は17.9万ドルで0.94倍となっている。
資料1:社会保障(補足説明資料)(PDF4ページに「医療に関する規制の国際比較」、5ページに「米国の医師報酬」)(財政制度審議会財政構造改革部会)(財務省)
http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/siryou/zaiseib210518/03.pdf
資料2:5.18財政構造改革部会配布全資料(財務省)
http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/siryou/zaiseib210518.htm
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