メディア・・・相変わらず、終っていますな。何、産科医療を崩壊させたいんでしょうね。

 

 この病院が大阪ですごく熱心にがんばっている現状なのを知っていて、飲酒してもお仕事に戻る医師に対して「バッシング」するのは自由です。

 

 ただし、取材する記者さんたちにも、万が一、飲酒していて、デスクから電話があっても「私、飲酒しておりますので、仕事にはいけません」と言ってください。取材者が飲酒していたら不謹慎ですよね。

 

 厚生労働省も、きっと大阪の産科医療をさらに崩壊させたいんですよ。現場の医師がもう当直だけでは無理です、当直医師だけで応じられないのなら、救急車を断りなさいということでしょうな。

 

 いえ、そういう風に考えます。病院の中で飲酒して毎晩宴会を開いていたわけじゃないんですよ。病院に仕事に戻る医師が悪いのなら、飲酒した人を病院で働かなくても、人数が足らないような現状を何とかしたらいいのに・・・厚生労働省の役人は「無責任」ですね。医師の労働状況を改善させずに、酒を飲ませず、放置ですか?もう産科医なんてやっている人はきっと言うでしょう「酒くらい自由に飲ませろ、でなきゃ、もう辞めてやる」ってさ。だって、呼び出しても無報酬で働かされている医師が実際にあちこち居るんです。都内でもね・・・酷い話ですなぁ・・・おっと、厚生労働省もそうでしたか。

 飲酒した医師に診させているのはお役所です。きっと(医師や患者の)人命軽視なんですな。そして、これからは飲酒した医師を呼び出しても「医師が応じるのは禁止」ということになりますね。

 

 

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宴席で飲酒後お産取り扱い 大阪の産科救急病院の副院長

朝日新聞 2009/04/20

 大阪府内の産科救急の中心的役割を担う石井記念愛染園(あいぜんえん)付属愛染橋病院(大阪市浪速区)の60歳代の副院長が、飲酒後に病院で「臨時当直」としてお産を取り扱っていたことがわかった。緊急対応の必要がないのに病院に宿泊し、臨時当直手当を受け取っていたこともあった。病院側は「逆子など困難なお産があったときには自分が診たいという熱意の表れ」と説明するが、厚生労働省は「あまりに常識外れ」としている。

 朝日新聞が入手した資料によると、副院長は06年1月~07年5月に計214回、勤務表に「臨時当直」と記入し、署名していたが、病院関係の宴会に出た後、臨時当直をしたケースが十数回あった。このうち、少なくとも3回は正常分娩(ぶんべん)を取り扱った記録が残っている。宴会後に病院に戻ったものの、分娩記録のない臨時当直も10回近くあった。

 07年5月、産婦から「酒のにおいをさせた男性医師が赤ちゃんを取り上げた。飲酒運転より悪質ではないか」と病院に投書があり、病院側が実態調査していた。

 同病院は274床を備え、リスクの高い妊婦に対応する総合周産期母子医療センターに大阪市内で唯一、指定されている。年間分娩数は約1700件で、常勤の産婦人科医は8人。毎日1人が病院で当直し、緊急時に備えた自宅待機の「宅直」も1人いる。

 副院長は取材に事実関係を認め、「飲酒後でも心配な患者がいる時は病院に戻った。飲んでから自宅に戻ると、深夜に緊急の呼び出しがあった際、車を運転して駆けつけられない。飲んだ時こそ病院に泊まらざるを得なかった」と話した。調査結果が出た後、病院から厳しく注意され、禁酒を心がけてきたという。

大阪府内の産科救急の中心的役割を担う石井記念愛染園(あいぜんえん)付属愛染橋病院(大阪市浪速区)の60歳代の副院長が、飲酒後に病院で「臨時当直」としてお産を取り扱っていたことがわかった。緊急対応の必要がないのに病院に宿泊し、臨時当直手当を受け取っていたこともあった。病院側は「逆子など困難なお産があったときには自分が診たいという熱意の表れ」と説明するが、厚生労働省は「あまりに常識外れ」としている。

 朝日新聞が入手した資料によると、副院長は06年1月~07年5月に計214回、勤務表に「臨時当直」と記入し、署名していたが、病院関係の宴会に出た後、臨時当直をしたケースが十数回あった。このうち、少なくとも3回は正常分娩(ぶんべん)を取り扱った記録が残っている。宴会後に病院に戻ったものの、分娩記録のない臨時当直も10回近くあった。

 07年5月、産婦から「酒のにおいをさせた男性医師が赤ちゃんを取り上げた。飲酒運転より悪質ではないか」と病院に投書があり、病院側が実態調査していた。

 同病院は274床を備え、リスクの高い妊婦に対応する総合周産期母子医療センターに大阪市内で唯一、指定されている。年間分娩数は約1700件で、常勤の産婦人科医は8人。毎日1人が病院で当直し、緊急時に備えた自宅待機の「宅直」も1人いる。

 副院長は取材に事実関係を認め、「飲酒後でも心配な患者がいる時は病院に戻った。飲んでから自宅に戻ると、深夜に緊急の呼び出しがあった際、車を運転して駆けつけられない。飲んだ時こそ病院に泊まらざるを得なかった」と話した。調査結果が出た後、病院から厳しく注意され、禁酒を心がけてきたという。

 

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「病院内で飲酒せず」 愛染橋病院副院長

産経新聞 2009年4月21日

 石井記念愛染園(あいぜんえん)付属愛染橋(あいぜんばし)病院(同市浪速区)で今井史郎副院長(62)が飲酒後にお産に立ち会っていた問題で、今井副院長は20日、記者会見し「病院内で飲んだことはないが、病院関係者の宴会後に病院に戻って分娩(ぶんべん)室に入ったことはある」と説明した。

 今井副院長によると、過去15年間で数回、飲酒後に分娩室に入り若手医師らを口頭で指導。当直の産婦人科医とは別に、飲酒後も必要に応じて病院に泊まることも多かったという。

 同病院では平成19年6月に病院内での飲酒の禁止を徹底する通達を出したが、今井副院長は「通達が出てからは、自宅でも酒をほとんど飲んでいない」と話した。 

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2009.04.20 08:40 |  開業 / 病院経営  |  生活 / くらし  |  崩壊  |  SkyTeam  | 推薦数 : 2

明石焼き・・・野原汗

 

 「今回は実質的な民間病院からの引き抜きだ」と病院関係者

 

 医師の引き抜きだなんて・・・よっぽどスタークラスの医師ならともかく、他人のせいにしちゃいけません。自分とこの管理が悪いのを棚に上げていませんか?


 ま、他も続けて崩壊しちゃうのかは知りませんが「他人のせい」って発言しているうちは改善の余地は厳しそう。

 

 個人的には、「医師」がお金を求めて右往左往するというよりは、きちんとした労務管理ができていない上に、頑張れないように仕向けてきた可能性が高いです。

 

 お金よこせというより「普通」の会社員と同様に、頑張ってる。だのに立ち去られた病院は「被害者面」。他人のせいにする前に、自分の不始末は一切ないのかは謎ですね。

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市民病院の消化器外来休止 医師確保 先行き不透明
読売新聞 2009/04/18

 

 11人いた医師のうち8人が3月末までに退職した明石市立市民病院の消化器科で、新たな外来患者の受け入れが今もストップしている。病院は医師の派遣を医学部がある大学に要請しているが、交渉は難航しており、先行き不透明だ。(山村英隆)

     *   *

 大量退職は、消化器科長が1月中旬、退職届を提出したのがきっかけだった。科長は3月、市内の専門病院長に就任した。病院内で日本消化器病学会が認定する唯一の指導医だったため、研修医や中堅医師らも「指導を受けられなくなる」と相次いで辞表を提出。医師3人態勢になった。

 今は救急患者の受け入れも中止し、長期の入院患者には転院を勧める。約10年にわたり慢性すい炎を患う男性患者(45)は「症状が悪くなったらすぐに入院しないといけないが、痛くなってから病院を探すのでは遅い。大きい病院なのに不安だ」と話す。

     *   *

 「今回は実質的な民間病院からの引き抜きだ」と病院関係者は漏らす。「1人の勤務医は年1億を稼ぐ」と言われ、医師の確保は病院の収益に直結する。しかし、公立病院医師の給与は条例で定められ、明石市の場合、科長クラスで年収1300万円程度。これが民間の場合、2000万円になることもあるという。

 このため、高額の報酬を提示する公立病院も出てきた。大阪府の阪南市立病院は昨年、医師の平均年収を800万円増の2000万円に引き上げた。泉佐野市立泉佐野病院も麻酔科医を最高年3500万円の報酬で募集した。ともに医師の大量退職がきっかけだった。

 泉佐野病院の番匠隆雄総務課長は「市民からは『そんな高額な報酬はいかがか』という意見も寄せられるが、麻酔科医がいないと手術ができない」と説明する。

 これに対し、明石は報酬引き上げに慎重だ。3月末まで病院事務局次長を務めた和田満・市政策部長は「高額報酬は緊急避難的なもの。続けてやると、ほかの医師との格差も問題になり、いずれ病院の経営が破綻(はたん)する」と危惧(きぐ)する。

     *   *

 市民病院は3月、国に提出する5か年の改革プランを公表した。診療科のセンター制への統合など改革への意欲的な言葉が並ぶが、医師確保を前提にして作った計画となっており、市役所内部には「今の状況では、絵に描いたもちに過ぎない」との指摘もある。

 医師を派遣する大学との交渉では、大学側も「医師不足」を理由に難色を示しているといい、消化器科の完全再開への道のりは遠い。病院だけでなく、市全体の問題として、取り組みを本格化させる時が迫っている。

<クリップ>明石市立市民病院 1950年に民間から市へ移管された。18診療科、398床あり、昨年の入院と外来を合わせた患者数は1日平均1300人を超える。大腸など消化器の病気を専門にする消化器科は、1日平均100人の外来があり、内科、整形外科に次いで患者が多かった。医師不足で産婦人科も昨年6月から、分娩の受け入れを休止している。

(2009年4月19日 読売新聞)

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 個人的に電子カルテには抵抗がない世代です。オーダリングも数年前から仕事で使っていました。もちろん、完全電子化OKですが、実は紙のカルテの方が「患者さん」と向き合いながらゆっくり診察できたことも事実です(何せ画面を向かわなくてもいいので)。

 

 電子カルテ=利便性、先進性

 

 があることは逆に「紙」にはないマイナス面もあることは指摘されるかもしれません。

 

 つまり「高齢の医師にやさしくない」「追加出費が求められる」などです。

 

 

 まずは、IT系の新聞を、そのあと、ある先生の投稿を読んで見ます。

 

《IT化遅れる医療市場》 レセプトオンライン化で周辺機器への参入好機か、ASP・SaaS採用で新市場も

東京IT新聞 2008年12月09日(火)

 

 IT化が遅れている分野のひとつに医療がある。専門性が高い上に、医師不足や健保の赤字問題などIT化以前に解決すべき課題が山積していることがその理由だ。しかし、医療会計の電子化(レセプトオンライン化)が2010年4月1日から義務化され、今年4月からは400床以上の病院では電子化加算(IT化すると保険の点数が加算される)が開始。400床未満の病院では1年早い09年度に義務化が行われ、11年度からはレセプトの完全オンライン化を進めるなど、医療IT化推進の全体像が固まりつつある。電子カルテの分野では大・中規模病院向けには富士通、CSI(NECと提携)とNECが上位3位を占めているが、中小病院・診療所向けではシェア状況はまったく異なる。医療ITの現状を探った。



 医療のIT化には大きく、電子カルテと医療会計(医師の診断の種類によって保険に請求する点数が決まっている)の電子化・オンライン化がある。病院で長時間待たされる理由のひとつがこれまで膨大な手間ひまをかけていた会計処理であった。医療会計がオンライン化されるメリットは大きい。そして、レセプトのオンライン化とともに電子カルテの市場も拡大してきた。

 調査会社シード・プランニングによると、2007年時点での電子カルテ市場は病院で938億円、診療所も加えた全体で1000億円を超えた。08年には病院だけで1000億円を超す市場に達すると予想される。導入率では、400床以上の大病院での電子カルテ導入率は37.7%、100~339の中規模病院で14.8%で、今後小中規模病院、そして診療所への普及が期待される。(以下略)
 
( 丸山隆平 )

《電子カルテ普及が本格化》 市場争う富士通とNEC

2009年01月13日(火)

 

 前回(08年12月9日号1面)、医療分野のIT化が遅れていることを指摘したが、2001年12月に国から「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」が発表されて以降、IT化が進められており、レセプト(診療報酬明細書)のオンライン化が2011年から完全実施される予定だ。一方、普及が遅れていた電子カルテ分野も、レセコン(レセプトコンピュータ)と電子カルテが密接に関連しているため、今後は導入が本格化すると予想されている。財団法人医療情報システム開発センターの2007年度の調査によると、電子カルテを運用中の病院は19%、構築中が4%、検討中が28%で半数以上が電子カルテを前向きに捉えているのが現状だ。一方で「導入の予定なし」も49%あるが、「必要性を感じない」と否定的にとらえているのは12%に過ぎず、「導入したいが費用がかかる」が42%と最多。続いて「時期尚早」の36%が続く。条件さえ整えば、電子カルテの導入を前向きに考えたいという病院が多いことが分かる。(下のグラフ参照)

( 丸山隆平 )

 

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 産業界は新しいビジネスチャンスと見ているのは明らかですが、一方「義務化」に対しては異論が医療界から出されているのは事実です。

 

 新しい規制によって医療が崩壊とはいえませんが、新しい風が吹く時でもあります。もう少し使いやすく、そして値段の安いサービスを利用できるように、利用する医師側の規制(サーバ管理を自院でさせるなど)を緩める方がいいかもしれません。

 

 また、入力したりする分、手間がかかるのも事実で、手薄な現場のマンパワーを補充するような仕組み(つまり電子請求したら導入に必要な雇用できるような財政的な補助)があるといいのですが。

 

 そういえば、富士通さんもパソコン通信時代からの懐かしい名前を使ってオンライン請求用のインフラ提供したり、NTTも乗り出しているようですね。

FENICSメディカル・グループネットサービス

インターネット環境を使ったレセプトのオンライン請求を可能にするIPsec+IKE接続サービス

 

NTT-ME、SaaS型の電子カルテシステムの提供開始

 NTT-MEは、NTTのフレッツ光サービスを利用した、SaaS型の電子カルテサービス「Future Clinic 21 ワープ」を、4月20日(NTT西日本は6月以降提供予定)より販売すると発表した。

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レセプト電子化にまつわる幻想」

□多田 智裕:ただともひろ胃腸科肛門科
JBpress 2009/04/01

 

Summary: レセプト電子化を延期するのは「医師会の利権を守るため」と認識されていることが多いようです。本当に医療の現場を理解した上でそういう記事が作成されているのなら、問題はありません。けれども、私にはとてもそうとは思えないのです。

■高齢医師とコンピューター

 3月9日の日本経済新聞に、「レセプト完全電子化を後退させるな」という社説が掲載されました。社説の概要は以下の通りです。

 レセプト(診療報酬の明細書)の完全電子化は必ず成し遂げるべき医療制度改革の柱である。請求事務の効率化や人件費の圧縮を通じ、国民医療費の増大を抑えるのに役立つからだ。さらに過大請求や不正請求があった場合は即座に見抜けるようになる。

 政府は11年度から完全に電子化すると閣議決定済みだが、この公約をほごにして「完全電子化」を「原則電子化」に変え、3月中に閣議決定し直すよう求める声が自民党内に急速に広がりつつある。同党の支持基盤である日本医師会、日本歯科医師会、
日本薬剤師会の反対運動を受けた動きだ。背景には、次の衆院選で電子化への反対を掲げて医師会などの票を取り込もうとする一部の野党の戦術があるようだ。

 コンピュータの投資負担が重い、高齢の医師が経営する過疎地の診療所では対応できないなどの理由を挙げているが、言い訳ではないか。患者や国民の立場より圧力団体の利益優先を競う風潮があるとすれば、憂うべき事態である。

 これに対して医師会をはじめ医療関係者からは、「 事実誤認に基づく内容であるだけでなく、全国各地で真摯に地域医療を支えている医師や医療関係者と患者との信頼関係を揺るがすものであり、断じて容認できない」、そして「これ以上医療崩壊を加速させてはならないという切実な危機感からの反対を『言い訳』と歪められたことは極めて遺憾」などの抗議声明が相次ぎました。

 いったい何が起こっているのでしょうか? そして本当に解決すべき課題は何なのでしょうか? このレセプト電子化にまつわる問題を考えてみたいと思います。

●レセプト電子化の延期は、医師会の利権優先のため?

 「レセプト(診療報酬明細)」とは、医療機関が患者に治療や処方を施した際に、健康保険負担部分を支払ってもらうために、健保組合などに提出する請求書のことです。その請求書のやり取りを、オンライン上のコンピューターを介して行おうというのが「レセプト電子化」です。

 日経新聞の社説では、2010年度から「完全電子化」されることが決まっていたレセプトが、「原則電子化」に変更されるのは、選挙を前にして、圧力団体である医師会の利益を優先した結果ではないかと論じています。

 2月28日にも、産経新聞に「レセプト請求 完全オンライン化先送りへ 医療制度改革後退」と題する記事が載り、その中で「衆院選を控え、日本医師会などの反対論に配慮した」ということが書かれていました。

 どうやら、レセプト電子化を延期するのは「医師会の利権を守るため」と認識されていることが多いようです。

 本当に医療の現場を理解した上でそういう記事が作成されているのなら、問題はありません。けれども、私にはとてもそうとは思えないのです。

●日本の開業医の平均年齢はなんと60歳

 日本医師会では、約7万2000件の医療機関を対象に調査を行い、「オンライン化に対応できないため廃院を考えている」という開業医の先生が、80歳以上で35.0%、70~79歳では23.2%もいるという結果をまとめています。

 「そんな高齢の医師は、現場から退場したっていいじゃないか」と思われるかもしれません。でも、そう思うのはちょっと待って欲しいのです。

 なぜなら、現在、開業医の全国平均年齢は60歳なのです。そして、若い医師たちが開業しているとはいえ、開業医の平均年齢は上昇し続け、2020年には65歳になると推定されているのです。

 地域によっては開業医の先生の4割が70歳以上であったり、また、産婦人科の開業医の一番若い先生が64歳だったりするような地域もあります。実際に、私の隣のタワーのクリニックの先生は76歳です。もちろん元気に働いており、平日は連日夜8時まで、土日も午前診療をしています。私の年齢を足して2で割ると約60。平均年齢60歳というのは、そういうことなのです。

●返せる見込みのない借金を前に「心が折れた」状態に

 社説では、レセプト電子化の「投資負担が重い」というのは「言い訳」に過ぎないと断じています。でも、税制上の優遇措置「情報基盤強化税制」には、診療所が活用する製品で基準条件を満たすものがありません。

 そして、「加算制度もある」と指摘された電子化加算は初診のみ30円。多くのクリニックでは月5000円程度の収入にしかならなりません。システム導入費用の300万円はおろか、月々の保守料金3~5万円にも全然足りないのです。

 高齢な先生方は、あと何年働けるか分からないけれど、できる限りは患者さんのために頑張りたいと思っているに違いありません。 それでも返せる見込みのない借金を背負わねばならないとするならば「心が折れた」状態になってしまうのではないでしょうか。

 ただでさえ医療の世界は高齢化が進んでいます。半数以上の診療所には跡継ぎがいないという、共同体の機能を維持するのがギリギリである「準限界集落」のような状態なのです。

 厳しい現実ですが、レセプト電子化によって8.6%もの医療機関が消えてしまっては、地域医療が崩壊してしまいかねない。それが開業医の現状です。

●結局は紙で打ち出しているという現状

 医師の高齢化という問題だけではありません。そもそも「レセプト電子化」によって、本当に大きなメリットが生まれるのでしょうか。

 電子化することで「請求事務の効率化や人件費の圧縮を通じ、国民医療費の増大を抑える」とされていますが、現時点においては、現場はさみしいものです。

 私のクリニックでは2年以上前にレセプト電算化を行いました。しかし、健保組合にフロッピー1枚でレセプトを提出したのに、打ち出した書類が段ボール一箱分になって返ってきて肝をつぶしたことがあります。フロッピーで提出したところで、結局は紙に打ち出して審査しているわけで、紙代の節約にはなっていないということです。

 もっとも、システム導入がどんどん進めば、コンピューターの画面上で処理されるようになり、解決されることなのかもしれません。本当に「適正な審査」を効率的に行えるようになるのか。

 そんなことよりも、私が最大の幻想だと思うことがあります。それは、電子化により「過大請求や不正請求があった場合は、即座に見抜けるようになる」と解説されていることです。

 本当の意味での不正請求は、現時点でもごく一部の話でしょう。なので、「適正な審査がよりいっそう効率的に行われるようになる」という狙いが大きいのだと思います。

 しかし、本当にそうでしょうか。実際の審査がどのようなものなのかを知らないと、審査が適正かどうかは判断できないのではないかと思います。

 審査と言えば、こんなことがありました。

 少し前のある日、私に配達証明で社会保険事務局から手紙が届きました。それは、不正請求の防止を最優先の目的として行う「個別指導」への出頭命令でした。

 この個別指導は、時として医師に対して厳しくプレッシャーをかけすぎることがあり、過去には個別指導が原因で医師が自殺したという事件も起きています。

 指導の内容として最悪の経過の場合、保険医剥奪もあり得ます。新規開業医にとっては、借金を背負ったままクリニックを閉鎖しなければならないということです。それほど強大な権限を持った指導なのです。その個別指導への出頭命令が、いきなり私あてに届いたのです。

■不正請求を見抜くのは誰?

 厚生労働省は当初「完全電子化」を掲げましたが、「原則電子化」という流れに変わりつつあります。その背景には開業医の高年齢化という厳しい現実があるということを説明しました。

 それでも、「完全電子化が延期される裏には、医師会にとって何か隠された利権があるからなのでは?」と思われる方もいると思います。本当にそんな理由で延期されるのでしょうか。

 続けてレセプト電子化の意味と課題を考えていきたいと思います。

●レセプト電子化はデータを単純に電子化するだけのもの

 そもそもレセプトを電子化するとどのようなメリットがあるのでし ょうか。

 レセプト電子化と言うととても画期的で、大きな変化のように聞こえますが、これまで紙に印刷して健保組合などに提出していたデータを単純に電子化するだけなのです。それ以上でもそれ以下でもありません。

 地上波デジタル放送のように、映像と文字放送が融合されて、これまでとは違うテレビの楽しみ方ができるというものではないのです。

 そして、レセプト(請求書)を提出しないで隠していたところで、単に仕事をした分の保険収入がなくなるだけです。株券のように自動的に配当がもらえるわけではありません。なので、タンス株券よろしく「タンスレセプト」があぶり出されてくることもないのです。そもそも隠されたレセプトなど、どこにも 存在しないでしょう。

 つまり、レセプト電子化は、データが整理比較しやすくなるという効果しか見込めないのです。電子化で過大請求や不正請求を本当に見抜けるのかだとすれば、今まで紙で提出されていた際に見抜けなかった過大請求や不正請求が、電子化しただけで即座に見抜けるようになるものでしょうか?

 企業会計に置き換えて考えてみましょう。決算書が電子公告化されたところで、決算書の不正がなくなると考える人はいないでしょう。

 電子化されれば、より多くの人たちが見ることができるようになりますし、過去との比較も簡単にできるようになります。でも、それだけのことです。最終的には「決算書を読みこなす力」が問われるのです。

 レセプト電子化も同じことです。それがうまく機能するかどうかは、ひとえに健保組合などの保険者の審査力、つまりレセプトの裏を読み通すような高度な知識と経験があるかどうかにかかっているのです。

 レセプトに載っている情報は、「病名」「処置内容」「点数(金額)」などのごく限られたものしかありません。そして、審査を担当する医療事務は、専門学校を卒業した人たちでさえも、1000ページ以上に及ぶ医療点数表のさわりを学んだ程度です。「病名」「処置内容」の知識はほぼ皆無と言ってよいでしょう。よって審査は、どうしても担当者が理解できる「点数(金額)」重視にならざるを得ません。

●レセプト上の金額だけで不正請求を疑われた?

 前回のコラムで、以前、社会保険事務局から私あてに、不正請求予防を目的とする「個別指導」に出頭するよう通知が来たという話を書きました。

 もちろん不正請求なんてした覚えはありません。どうやら私のクリニックの「平均点数が高い(1人当たりの治療費が高い)」ということで呼び出されたようでした。

 私のクリニックでは日帰り内視鏡手術などをやっているので、通常のクリニックより1日に診察する人数は少ないのです。結果的に1人当たりの治療費は高くなります。

 ただし、医療費全体の枠組みで見れば、入院代金を発生させないわけですから、医療費削減にかなり貢献しているはずなのです。しかし、審査する人たちは病名や処置内容などは理解しないで、レセプト上の金額しか見ていなかったようなのです。

 「入院治療費」と「外来治療費」は別枠で算定されます。大枠で医療費を減らすはずの日帰り手術は、外来治療費の単価を上昇させます。そのため、膨大な量のレセプトの中で自動的に「不正請求の可能性が高い」とピックアップされてしまい、指導の対象となるのです。

 私が出頭した個別指導の場では、そういう状況を理解した先生が間に立ってくださって、「入院が必要なものまで(売り上げを伸ばそうとして)無理に日帰りでやらないように」という指導を受けただけで終了しました。逮捕はされたけれど、不起訴処分といったところでしょうか。

 それでも、診療日を1日つぶすわけですし、指導前のプレッシャーを考えると気分の良いものではありません。

●レセプト電子化における最大の課題は審査する側の力量

 医療界特有の価値観を持たない人たちが、客観的な立場でマネジメントを行うのは、確かに意味があることなのかもしれません。しかし、レセプトに記載されている限られた事項だけで「個人の特性に応じた治療」かどうかを判断するのは、たとえ専門医であってもものすごく困難なのです。

 現場で創意工夫をこらして、何か新しいことをやるたびに、コンピューター上では「前例と違う」という理由で「不正請求の可能性が高い」とピックアップされてしまいます。そして、医学知識のない方たちが中心となって査定する場合、大部分がそのまま指導対象になってしまうことでしょう。

 現場の医師からすると、新しくて高度な医療をやればやるほど、不正扱いされてしまうわけで、モチベーションが下がることでしょう。その結果、個々の患者に対応した医療が減っていき、ひいては医療の水準が低下してしまうのではないかと思うのです。

 内容を整理すると、レセプト完全電子化をめぐる騒動には、大きく2つの問題があると思います。

 まず、「これから進んでゆく開業医の高年齢化をどうするのか」という問題。そして「医療費コントロールのために適切な審査を行いつつも、医療水準を保つ」のは、現実問題としてものすごく困難だという問題です。

 コラムで引用した新聞記事では、開業医の高年齢化問題はもとより、レセプトの審査体制については全く議論されていませんでした。それらに対する議論なしに、「レセプト電子化で請求事務が効率化され、不正請求が即座に見抜けるようになる」と考えるのは、幻想にすぎないのではないかと思うのでし た。
 
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