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 医療訴訟と言うと、かなり「医療サイド」のミスを厳しく問われたりして、非常に多くの医療事故が生じ、訴訟で次々と医師が敗訴しているかのように報道がなされていますが、下記の記事をよんでみたところ、非常に数は少ないのです。

 

 民事訴訟は年間15万件程度、医療裁判はその1%以下の1000件くらいです。

しかし、そのことについてはよくわかっていない部分も多いですし、患者さんもそして医療者側も、医療訴訟の概要を知りません。

 

 ある製薬会社のサイトにこんな記事がありました。本来ならば医師向け専用ということでしょうが、もっと世間全体に知られてもいいと思います。常識的には毎日医療訴訟の結果、医師が断罪されているかのように勘違いしていましたが、実際はこんなものでした。

 

 

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医療現場のリスクマネジメント


第1回 日本の医療事故の現状と問題点


第1回 日本の医療事故の現状と問題点
 日本大学医学部社会医学系 法医学分野 教授(研究所) 押田 茂實 先生

1 医療事故をどう捉えるか?

■医師と患者さん・ご家族との間にはギャップがある
  医師は医療について教育を受けているわけですが、患者さんやご家族は病気や医療について系統だった知識がなく、両者にギャップがあることをまず認識する必 要があります。患者さんやご家族は、実際に自分の身に降りかかっている病気が今後どのように変わっていくかということに大きな恐怖をもっていますが、正確 な知識や対応方法については理解できていません。
 そのため医師は最初の段階でこの部分のギャップをしっかりと説明して埋めておくことが非常に重要なのです。 

■患者さん・ご家族に信頼してもらうことを一つの目標とする
  これは言うのは簡単ですが現実には難しいものです。いくら医師が説明しても、医療について素人である患者さんとご家族が医療従事者と詳細な部分に関して同 程度に理解できるわけではありません。まず大筋を分かっていただいて、あとは信頼してもらうということを一つの目標にしなければなりません。
 実際悪い結果や予想外の結果が出た時、やはり患者さんやご家族が反発することがあるので、同席したご家族の理解を得ておくことが大切です。 


2. 医療事故イコール医療過誤ではない! 

年間100万人を超える人が病気で死亡
実 際、去年1年間で100万人を超える人が病気などで死亡しています。ガン(悪性腫瘍)で30数万人、心臓疾患で約16万人、さらに脳疾患で約14万5千人 が死亡しています。つまりどんなに最先端の治療、あるいは適切な治療を受けても年間に60万人以上の人がこの3種類の病気で死亡しています。
医療従事者が一般の方々に対してこの事実をどう説明するかが大きなテーマであり、医療従事者には両者の認識のギャップを埋める努力が求められています。

■過失によって生じた“医療事故”のみが“医療過誤”
 “医療事故”と“医療過誤”はどこが違うのでしょうか?医療事故というのは医療に関連して生じた予想外の事故を言い、予期したことは副作用なのです。
たとえば、腹部の手術で腸が癒着するというのは予期したことです。ですから“医療事故”イコール“医療過誤”ではありません。
  “医療過誤”は過失によって生じた“医療事故”のみを言います。“医療事故”と“医療過誤”を混同している人が多いのですが、患者さんとご家族と医療従事 者との話し合いは決してうまくいきません。そのため医療従事者は一般の方々に対して“医療事故”と“医療過誤”を混同しないような啓発活動を行う努力が必 要です。

■“医療事故”と“医療過誤”と混同している!
 医療の特徴を理解せずに、“医療過誤訴訟”という言葉を不用意に使ってしまっている場合があります。“交通事故裁判”とは言いますが、“交通過誤裁判“とは決して言わないことからもこの違いは明らかです。

3. 医療紛争はどれだけ起きている?

■国内で約1万件の医療紛争が起きている!
 “医療訴訟”は、2004年がピークで1年間に約1000件起こっていました。現在は少し減って900件台です。
 もし100件の医療紛争が起こったとすると、患者さんやご家族がクレームをつけただけで終わるのが約30件、数万円程度のお見舞金で済むケースが約40件、弁護士を立てて大金の示談金が成立するのが約20件、残りの10件が医療裁判になります。
つまり日本全体で、“医療訴訟”の約10倍の約1万件の医療紛争が起きていると推測されます。

■100件の“医療紛争”のうち、裁判に持ち込まれるのが10件、
患者さん側が勝訴するのは1件

 もし100件の“医療紛争”があったとすると、裁判に持ち込まれるのが10件で、そのうち和解が5~6件、裁判の中止が1件、実際に判決までたどり着くのが3件しかありません。
  判決が出た3件のうち、患者さん側が勝訴して損害賠償金が認められるのが1件です。実際に裁判を起こすとなると、裁判には弁護士費用など、多額の費用が必 要であるにもかかわらず、患者さん側が判決で勝てるのは医療紛争の100分の1というのが悲しい現実だとマスコミは報道しています。
 しかし、よく分析してみると、100件の医療紛争のうち、見舞金(40)・示談金(20)と和解(5~6)も金額は別にして医療側がお金を支払っています。

4. 実際に医療事故が発生した時、法的にどうなるか?

■医療事故の詳細な検討
 実際に重大な医療事故死亡例が発生した時に、刑法で問題となるようなケースは24時間以内に警察署に届け出て、司法解剖を行う、あるいは専門家である臨床医に詳細に検討してもらう、場合によっては専門家が鑑定を行います。
医療訴訟は、最終的には民事裁判として裁判官が判決を下す、あるいはその前に和解するということになりますが、その時には専門家が鑑定する場合もあります。
 この辺については現在流動的であり、大きな裁判所では医療裁判専門の民事裁判のための専門的な裁判官が担当するというシステムが動き始めています。

■医療過誤が発生した場合に問われる法的な責任とは?
  医療過誤が疑われるような医療事故が発生した場合、法的な責任として、刑法の業務上過失致死傷罪に問われるかどうか、損害賠償の訴訟が起こるかどうかが、 争点となります。さらに刑法で有罪になると、医師法に基づいた行政処分として、医師の業務停止、あるいは医療職の業務停止などが検討されています。

第2回 医療事故の真相究明は意外に難しい

■医療の特性と医療統計的事実をよく踏まえた議論も必要
  医療において発生する死亡・後遺症・合併症などの悪しき結果は、患者さん側の方から見ると、突然自分の身に起こった不幸だと思うわけです。日本の医療統計 では、1年間で100万人以上の人が病気で死亡しており、団塊の世代が60歳を迎えたことを考慮すると、20年後には今の1.5倍、160万人ほどの人が 1年間に死亡することが予測されます。我々は医療の特性とこのような医療統計的事実をよく踏まえた上で医療事故に関して議論しなければなりません。 

■医療事故の真相究明には難しい点がある
  殺人事件の真相究明と医療事故の真相究明とは全く異なります。殺人事件では強制捜査をして、例えば、被疑者が殺人を否認している場合には、解剖結果を含め て科学的な証拠で真相究明をしますが、医療事故の場合には、まだ生きている人を切り開いて調べることはできないわけですから、真相究明を難しくしていま す。

 も う1つの真相究明の難しい点は、病気を持っている人が亡くなるということです。例えば、ガン末期で亡くなる患者さんの最後の様子は、一般の方が思い描いて いるような様子とは異なり、吐血して亡くなるようなたいへん辛い場合もあります。一般の方がこのような医療現場の真の姿について知る機会がほとんどないの が現状です。
  実際には事故が起こった後に、原因を調査しても全ての原因が分かるわけではありません。それはなぜかというと、患者さんが存命している場合には、生体解剖 をすることはできませんし、亡くなった後にご遺体を解剖しても形態学的な変化はわかりますが、機能的な現象は解剖しても解明することが難しいのです。医療 の場合には診療記録、カルテや処方せんなどの診療に関する記録がありますが、これらを調べても直ぐに原因が解明できない場合もあります。 


■「真相」が医療従事者側と第三者で食い違う場合がよくある
  真相究明の場合には、我々の経験では、臨床医が考える事故の真相と第三者が調査した真相が食い違うことがよくあります。やはり臨床医には、医療従事者側に とっても患者さんとご家族の側にとっても起こって欲しくないと思う気持ちがあるからでしょう。医療事故の真相究明は、第三者が種々の可能性を考えて実証し ていく作業ですから、そう簡単ではありません。一目見ればすぐにわかるものではなく、1年、2年かかかって真相が究明される場合もあります。

■全ての医療行為において事故が発生する可能性がある
- ニアミスが発生した時に予防対策を見直す - 
  医療の全てのプロセスにおいて事故が発生する可能性があります。つまり注射を1本するだけでも、予想外の反応が患者さんに起こり得るのです。そういう点 で、事故の結果の分析も大切ですが、全ての医療行為において事故が発生する可能性があるので、ニアミスが発生した時に予防対策を見直すことが重要です。

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■患者・家族と医療関係者・医療従事者の意識のズレが紛争の原因の1つ

  実際に予想外の出来事が起こった時の一つの大きな問題は、その予想外の出来事が本当に予想できないことなのか、ある程度起こるかもしれないがその可能性が 非常に低いものなのか、あるいは元々病気なのだから仕方がなく我慢してもらうことなのか、これらに関する医学知識の違い、あるいはそれを予測できてている かどうかに患者さんやご家族と医療従事者の間にズレが生じていることです。このズレが紛争の原因の1つとなっています。 
  自分の家族に何か予想外のことが起こると、医療従事者が何かミスをしたとまず疑う傾向がみられます。人はどう生き、最後にどのように死んでいくかというこ とについてもっと深く議論する必要がありますし、医療従事者は、一般の人に現場で起こっていることをもっと理解してもらうように啓発活動を行う必要があり ます。

■患者・家族に対して分かりやすく説明することが大切

 多 くの臨床経験をもち、臨床データを科学的に分析している医療従事者は、この患者さんにはこういうことが起こるかもしれないということをあらかじめ予測でき ます。できるだけ医療のリスクを事前に予測し、そのリスクに関して患者さんのみならずご家族にもきちんと説明をしておくことが大切です。

  予想外の出来事が起こった時に、患者さんやご家族はまず、真実を知りたいという想いから、その原因は何かという疑問を持ちます。医療従事者がその疑問に答 える過程において不誠実であると感じられる対応をすれば、「真実を述べていない、何か隠している」と疑いを持ち、紛争に発展しかねません。まず医療従事者 は、患者さんとご家族に対して、正確に事実を隠さずに、起こっていることについて分かりやすく説明することが大切です。 

医療過誤による損害賠償額について

 人身損害の場合の損害賠償額の算定は、交通事故を中心に裁判所で基準化されてきました。交通事故の場合は、元々病気を持った人が事故にあうことは少ないため、計算は比較的簡単です。

 一方、医療過誤による損害賠償額算定は交通事故基準に準じて認定されることが多くなっていますが、元々の病気のために何歳まで生きられるか、そして今回の事故のためにそれが何歳早まったかを判定するのは、交通事故に比べると遥かに難しい問題です。

 裁判官は健康な人、例えば会社員とか公務員は何歳まで給料がもらえると考えているかというと、67歳まで給料がもらえると昔から考えています。

 しかし、重篤な脳や心臓疾患の場合には手術がその時に成功しても何歳まで生存するか予測できない場合には、裁判官は現実的には1/2に考えることが多いのです。

■RとLの話し
  例えば右左を間違えて手術をしたケースがありました。患者さんを診察する時も、手術をするときも患者さんと向かい合わせになって、患者さんの右側は医療者 側からみると左側になります。向かい合っていることで思い違いが起こることがあります。実際に右左ということで起こる問題としては、まずレントゲン写真で 右手を撮影して欲しいと頼んで、そのレントゲン写真を見ると反対側の左手が写っているということがあり得るわけです。

 そ の理由としては、結局右、左という漢字は形が似ているので、早くスラスラと書くと右という字と左という字を区別できない場合があり、それを間違ってそれを 読み取ることが一つの原因です。もう一つは思い込みで右左を確認しないでレントゲンを撮る場合も考えられます。場合によっては、レントゲン写真は指示通り 左を撮っていても、写真には右と表示が出ている場合もあります。 
  実際に医療の世界で右左という字を漢字で書くと大きな事故につながることから、今の医学教育では、右の方を“R”、左の方を“L”で表示をするように教え ています。しかし、看護関係の会議でその話をした時に、挙手した看護師さんが「先生!Rは右ですか、左ですか」と聞かれ絶句したことがありました。

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written by 1000buzz / 2009.03.26 15:17
日本にはリスクはなく、デインジャーだらけです。
リスクというのは回避できるものですが、後出しじゃんけんや感情論、精神論が支配する日本は、あらかじめリスクをコントロールできるはずもなく、全てデインジャーになります。

 「OOO等の基準に適合する安全対策を行っていた」→「でも、患者が亡くなった。医者は素っ気なかった。安全対策とは名ばかり」で終わり。

 デインジャーだらけだから、医療でわかりやすくたとえるなら、日本ではミドリ十字もつぶれるし、ペースメーカーのような単純な機械すら作ることが出来ませんし、新薬の認可も遅れるし、海外からの薬も高くなります。

 医療事故がデインジャーである限り、日本は一歩たりとも進めません。
written by カテーテルカルボナーラ / 2009.03.26 21:09

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