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 今回のテーマは医学的に濃いお話です。医学研究に関する話題で、研究しない人には関係ないように見えますが、実は医療水準の進歩と関連しており、国民全体に関連がありますのでとりあげてみました。(前回は[臨床研究の危機?]臨床研究に厳しい監視下へ・・・)

 

 昨年末、下記のような質疑応答(Q&A)が出たようです。

> 臨床研究に関する倫理指針質疑応答集(Q&A)の周知について

ここでの「臨床研究」というのは「医療現場」で行われ、製薬企業からの資金面の全面的なサポートがある臨床試験(治験)と違って、大学病院や各医療機関の医師たちが行う自主的な医学的な臨床研究を差します。

 今後の最新の医療機器や医薬品による福音を広げる可能性を探索するのが目的で、かなり資金的にも厳しいのが現状です(健康保険にて償還されないため、福島県立大学の人工血管グラフトでの患者さん側からの寄付について報道されたのは記憶に新しいことです)

患者が保険外費寄付 福島県立医大 “全額負担”回避目的か

産経MSN 2008/10/22

 

 

 これも、医療保険のカバーされない部分を医学部が独自で資金調達ができないため、地方大学が苦心している姿なのですが・・・なかなかマスコミさんは「不透明」なことを問題視しています。

 

 先日の国立循環器病センターの人工心臓の事件のように、臨床研究について、どっかの週刊誌が書いたみたいに「人体実験」と書きたてたがる向きもあるかもしれません、そういう性質のものとは違います。科学的なアプローチを行います。慶応義塾大学クリニカルリサーチセンターの一般向けのページによれば

 

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臨床研究とは

 患者さんにご協力頂き、病気の原因の解明、病気の予防・診断・治療の改善、患者さんの生活の質の向上などのために行う医学研究を指します。新しい 薬が政府 の承認を得て一般の診療で使えるように、客観的なデータを集める目的の臨床研究は、別に臨床試験あるいは「治験」と呼びます。

治験(臨床試験)

新しい薬や医療機器を実用化したり、あるいは従来使われている薬の新しい使い方を検討するために、厚生労働省の定めに従って行う臨床研究をいいま す。治験 で集めたデータは、新薬の効果と安全性を検討する資料としてまとめられ、国の審査を受けます。国の承認を得て初めて、新薬が一般の治療に利用できるように なります。
治験の第1段階では、薬がどのように人体に吸収され、効果を発揮し、代謝されて体外に排泄されるかなどを健康なボランティアの方で調べます(「第I相試 験」)。第2に、少数の患者さんで、新薬の安全性、効果、最適な使用量・使用方法などを調べます(「第II相試験」)。第3段階(「第III相試験」)で は、多数の患者さんで、長期間にわたる安全性と有効性などを調べます。

その他の臨床研究

治験のほかにも、よりよい診断や治療のために医学的なデータを得るさまざまな臨床試験(自主臨床試験)があります。自主臨床試験によって得られた知見は、学会や専門雑誌への発表を通じて、医学の水準向上に役立ちます。

 

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 今後、倫理指針が導入されることで、大学病院や病院によっては大変になりそう(去年の夏のセミナーで、「これからはお金がないところは研究ができなくなります」とある先生がおっしゃってた通りになります)。

 



「補償」 は「文書による同意必須」となっています・・・。

これまだ不明朗な「治療を受けるにはこちらにサインを・・・」みたいに気軽に大学病院などで患者さんに説明して開始されていた臨床研究には大変になりそうです。 新たな研究は、これからしばらくは滞るように思います。

しかし、もしも臨床研究の同意をする患者さんにとってみると、介入試験を含む臨床研究によって「悪い結果」になったら補償されるということですが、それこそ今まで「はい、治療には必要ですから、ここにハンコを押してね」なんて同意じゃダメよーんということです。


  http://www.jmacct.med.or.jp/report/files/qa081226.pdf
>
> 医政研発第1 2 2 6 0 0 1 号
> 平成2 0 年1 2 月2 6 日
> 厚生労働省医政局研究開発振興課長
> 臨床研究に関する倫理指針質疑応答集(Q&A)の周知について

 Q2-4 臨床研究のうち、医薬品・医療機器を用いる介入研究については、被験者に生じた健康被害の補償のために保険その他の必要な措置を講じることとされているが、具体的にどのような補償内容にすればよいのか、また、保険があるのであれば、加入方法について教えてほしい。(第2.2 研究責任者の責務等)

A2-4 補償内容としては、既に治験において実績があると考えられる医薬品企業法務研究会(医法研)が平成11 年3 月16 日に公開した「医法研補償のガイドライン」程度の内容であれば問題ないと考えられます。なお、重篤な副作用が高頻度で発現することが予想される抗がん剤等 の薬剤については、補償保険の概念に必ずしも馴染まない場合も想定されます。このような場合には、臨床研究で使用される薬剤の特性に応じて、補償保険に限 らず医療給付等の手段を講じることにより実質的に補完できると考えられますので、実際の補償に係る方針や金銭的な事項について被験者に対して予め文書により説明し、同意を得ておくことが必要だと考えます。
なお、保険商品については、現在、関係保険会社が商品認可取得のための手続き中であるとのことですので、別途ご紹介することとします。

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 要は、「保険料」やら「治療費」を含め、健康保険や病院の持ち出し負担なんてありえないから、研究資金を集めることができる一部の医療機関じゃないと介入試験が行うのが大変だよ!ということです。

 そのかわり、出てくる臨床研究の結果がNEJMやら世界レベルに日本発の研究がぞくぞく♪ということにあればいいかもしれませんが、医師不足に悩み、さらに研究資金調達が困難な大学医局だと科研費などの「米びつ」が厳しい状況ですから、危ぶまれます(論文発表や臨床研究が出ない大学医局には、また人材が戻らなくなりますよねぇ・・・汗)。

しかし、これも時代の流れです。患者さんサイドにとってみれば、「医学研究」にて、万が一不幸な経過となった場合のセーフティネットでもあります。

 

 さて、研究ことだけに話題を集めると、何が問題だ?ということになるので、実際に日本の医学研究水準の成果をみるために、論文数などがわかりやすいとおもいます。

 

 新薬開発に関連して政策研というシンクタンクの報告によると、臨床研究の論文数で、中国にもう抜かれています(一流雑誌に出られなくなっている・・・つまり日本の医学が世界水準から遅れていき、新薬の開発や新しい技術導入が遅れ、患者さんにとっては新しい医療の進歩の恩恵にあずかるチャンスが減ることを示します)。

 

 今回の倫理指針が実際に導入されると、臨床研究が減り、日本の論文数は「減少」になっちゃうかもです。もちろん、逆に質が上がって、日本発のすぐれた論文が増える素地になるためには「お金」が必要になりますし、多施設共同で行う枠組みが必須になると思います。

 

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主要医学雑誌の論文数からみる日本の現状

JPMA Newsletter 2008.11

「基礎研究分野で日本は1998年以降、米国、ドイツに次いで3番目に多く論文を出しています。それに対して臨床研究分野では、2002年まで12番目であったものが2003年以降は18番目とさらに順位を下げています。日本とは対照的に中国が論文数を大きく伸ばしていることが注目されます。1997年以前は基礎、臨床いずれの分野においても25番目以下でしたが、1998年以降はいずれの分野でも論文数が増加しており、特に臨床研究論文では15番目と日本より上に位置しています。医学研究分野での中国の存在感が増してきているといえるでしょう。」

 

 

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