島根県の厚生連の破たんのニュースの余波が続いています。少なくとも戦後、経済復興で取り残された農村部を中心に設立された厚生連の病院は周辺自治体との広域医療圏に合わせた「病院の再編」が必要です、しかし折悪く医師の不足によって赤字経営が先に見誤ったのがあります。
主たる第一次産業が衰退し、農村部からは人口流出が続き、中国山地は集落が消えたり廃村になったところがいくつもあります。このあたりを出身とする有力政治家が「竹下元総理」だったり亀井静香氏(広島6区)、平沼赳夫氏(岡山3区)などだったりします。
公共事業の分配システムを使い、日本の政府は国土全体に工事を続けました。残念ながら従来のシステムでは持続不可能となりました。
現在のままでは、全国各地にある自治体病院というインフラを全て残すのは困難です。稼働率が落ち、採算が悪化したまま放置せず、施設集約化を進め、出来るだけ支えないと農村部で少ない貴重な雇用の場すら失いかねません。
そういう意味では最終的に、本当に必要な医療サービスは何か?見極めが必要になります。都市部と違い、代りに受け持ってくれたり経営移譲の引き受け手とな りえる民間医療機関が少ないのも困難にさせています。いずれにせよ、病院の稼働率が70%を切った場合は、総務省からも「統廃合」も含めた再編が指示され ています。補助金行政から脱却し、地域経済の規模に合わせた病床の再編を行うなど自律的な運営に乗り出さないと、医療が赤字を生み続け、地域住民にとっては「負担」となってしまいます。
医師不足というのもありますが、都市部からの供給ルートがない今、早急に行うのは、各地での病院事業の選択と集中かと思います。
基本的に総合病院が生き残るには人口10万人以上必要です。それ以下ではやはりリストラとなります。もっとわかりやすくいえば、県庁所在地でも大手百貨店がどんどん撤退しているのを考えてください。一定の人口や購買力がないところでは、経営規模が大きい箱モノほど「固定費」がかかります。
補助金行政が小泉政権の時に否定されていますから、それを考えると、間違いなく、今より良くはなりません。早めに動くこと・・・これだけにつきます。
あと覚えておいてくださいね「「公立病院の二〇〇七年度決算では全国六百六十七の病院企業会計の四分の三が赤字を計上し、累積欠損金 は計二兆円を超えた。」
すくなくとも安 易に支えようなんて思って借金を埋め合わせようと思えば2兆円のお金がかかります。病院の経営規模を縮小することがすべてではないのですが、持続可能な運 営単に地域ごとに医療再編が必須なのです。来年は国政選挙です。それまでに病院破たんが続くようなことはないと思いますが、やはり国民はもっと知っておく べきことでしょう。
『周産期医療の崩壊をくい止める会』のワンクリック募金もよろしくです
http://lohasmedical.jp/fund/---------------------------
地域医療/医師不足の解消が急務
日本農業新聞 2008-12-24
島根県の石西厚生連が破産申告したニュースは、地元だけでなく全国の地域医療に携わる人々に動揺を与えた。時に報じられる都会の民間病院の廃院などと は、インパクトが違う。特に厚生連の経営陣や病院長らは、一様に「対岸の火事ではない」と受け止めている。問題の根の深さを考えると、既に厚生連や病院な どの自助努力に頼るには限界を超えている。地域住民の命を守るため、国に政策変更を迫る時にきている。
石西厚生連は、1919年に当時の産業組合が、旧日原町(現津和野町)に診療所を設けたことに端を発して活動してきた。農村医療の原点とも言うべき地で あり、全国の厚生連活動の象徴的な存在ですらあった。貧困にあえぐ「農家組合員の命を守る」という理念の下に、度重なる苦難を乗り越えてきた。しかしつい に、苦渋の決断を迫られる時を迎えてしまった。
全国に117ある厚生連の病院は、その半数以上が人口5万人未満の医療圏に立地する。石西厚生連もそのうちの一つだ。周辺は中山間地で、高齢化や過疎化 が進み、集落自体の存続が危ぶまれるところもある。もし撤退したり、廃院したりすると、無医地区になる可能性があり、不採算ではあっても続けなければなら ない状況にある。
こうした地域での病院経営は、困難を極める。約7割の厚生連病院が赤字といわれる。残り黒字3割も「診療だけでは赤字。診療外の収入で補っているから何とか成り立っている」(中国四国地方の厚生連病院長)という。
この最大の原因の一つとして、現場は「新臨床研修制度にある」ととらえている。医師自らが研修先を選べるようになったことから、待遇が良く、設備が整う 都市部の大病院は人気の的だ。多くの症例に触れることも可能で、技術や知識を得たい研修医にとっては、そちらを選びがちになる。勤務条件がきつい大学に 残って研修する医師が減って、大学自体が医師不足になると、これまで派遣を受けていた厚生連病院などからは派遣の引き上げという事態が待っている。
石西厚生連もそうしたあおりを受け、医師が減った。98年に20人いた常勤医がこの12月には8人になっていた。救急指定病院の返上や病床数の削減などを行ってきたが、負の循環に陥ってしまった。
厚生労働省と文部科学省が先ごろ制度の見直し案をまとめた。必修科目の研修期間を短縮するという内容だが、スピードアップにはなっても、現場が求める医師の偏在の解消にはならない。どこか的外れの感がする。
政府が主に進めてきたのは、国民医療費の削減と市場原理の導入であり、その裏で弱い立場の地域医療が窮地に立っている。自らの経営改善もしなければならないが、地域医療を守るための国民運動へ声を上げていこう。
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中国新聞2008/12/20
▽医師不足で赤字に拍車
農村医療の先駆けだったJA石西厚生連(島根県津和野町)が自己破産を申請した。過疎や高齢化が進む中、経営体質が弱くなり、国の臨床研修制度による医師不足や診療報酬の引き下げが追い打ちを掛けた。各地で医師不足が深刻化する中、中山間地域の医療が抱える課題を探る。
「退職者が相次ぎ、資金繰りが難しくなった」。破産申請した十二日、記者会見した同厚生連の青木和憲代表理事は説明した。八月、給与カットなどの合理化案を労働組合に提示後、退職者が急増し、将来の退職金が払えなくなったという。
十数キロ内に2病院
一九八九年に日原共存病院、九一年には津和野共存病院を移転新築。介護老人保健施設や訪問介護ステーションも開設した。その後、旧津和野町と旧日 原町は合併し、町の現在の人口は約九千人。過疎化に加え、十数キロしか離れていない近隣地に二つの病院を建てたことで借入金負担が重くのしかかった。
決定的だったのが二〇〇四年度からの臨床研修制度。医師不足に拍車がかかり、〇四年に十四人いた常勤医は八人に減った。日原共存病院を日原診療所にするなど経営改善に取り組んだものの診療報酬引き下げもあり、構造的な赤字に陥った。
町は〇五年から一億一千万円の融資や計約三億円の補助を実行。三月には四施設を約十三億円で買い取り、同厚生連は指定管理者として運営してきた。
しかし、四月から十月末までに看護師十一人を含む職員三十四人が退職。看護師不足による減収も見込まれ、このままでは機能できなくなると破産申請に踏み切った。全国三十六の厚生連で初の破産だった。
「全国で最も古い厚生連が幕を閉じることになり残念」と同厚生連理事でJA西いわみの橋本正嗣組合長は話す。前身は約九十年前、大庭政世産業組合 長らが設立した診療所。当時の農山村は貧しく、相互扶助の精神で農民自身が医療事業を始めた先駆的な取り組みは農村医療を全国に広げるきっかけとなった。
サービス維持願う
地域に根付いてきた同厚生連だけに衝撃は大きい。津和野共存病院は約六十人が入院、老健には約百人が入所している。母親がショートステイを利用し ている主婦は「ほかに行くところがない」とサービスの維持を願う。食品を納入する地元商店主も「いずれは自分も世話になる。つぶれたら困るから取引を続け る」と話す。
四施設は、町などが出資して設立した医療法人橘井(きっせい)堂が後継の指定管理者となる予定だ。橘井堂理事長に就任した日原診療所の須山信夫院長は「地域医療をストップさせないよう今の体制を維持させたい」と話す。
同厚生連から解雇され臨時雇用となった職員約百九十人を再雇用する方針を示し、新たに医師や看護師の募集も始めた。中島巌町長も「町財政は厳しいが地域医療の灯を消せない」と支援の意向だ。
その一方で、須山理事長は「私も解雇された一人。何人残ってくれるか分からない。集まった人数を見て今後の運営規模を考える」と破産申請後の急展開に戸惑いを隠さない。
橘井堂は本来、来年から日原診療所だけを切り離して運営するために設立された。四施設の運営を託された今、早くも経営戦略の練り直しを迫られている。(岡本圭紀)
●クリック JA石西厚生連
1919年、農民運動から生まれた旧日原町の診療所が前身。全国に36ある厚生連で最も歴史がある。津和野町の津和野共存病院▽日原共存病院 (現・日原診療所)▽介護老人保健施設「せせらぎ」▽訪問看護ステーション「せきせい」を経営していた。構造的赤字が続いたため、今年3月、4施設を町に 売却し長期借入金を清算。公設民営方式に移行して指定管理者として運営を続けていた。
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中国新聞 2008/12/23
▽支え合い 乏しい余裕
JA石西厚生連(島根県津和野町)が指定管理者として運営する津和野町の医療・介護の四施設の一つ、津和野共存病院が一月末、一部病棟を休止することになった。
町によると、同厚生連の自己破産が原因ではなく、看護師の一人が産休に入るため夜勤のローテーションが維持できなくなったためという。新たな看護師が確保できるまで療養型病棟(四十九床)を休止し、入院中の三十三人は一般病棟(五十床)や老人保健施設せせらぎに移る。
「一部閉鎖」を示唆
同厚生連の破産を受け、共存病院など四施設の運営は町などが出資して設立した医療法人橘井(きっせい)堂が来年、引き継ぐ。橘井堂の須山信夫理事 長は「人員の確保が最大の課題」として約百九十人の職員の引き留めと新規募集に全力を挙げている。十七日の記者会見で、須山理事長は人員が確保できなけれ ば病棟の休止ではなく、一部閉鎖の可能性を示した。
今後、仮に運営規模が縮小となれば、受け皿となるのは同じ医療圏域の益田赤十字病院(益田市)と益田地域医療センター医師会病院(同)だ。しかし、いずれも全国的な医師不足などで余裕はあまりないのが実情だ。
益田圏域では、赤十字病院が集中治療の必要な患者を受け入れ、容体が安定すれば地元の病院に移している。赤十字病院の河野龍之助院長は「少ない人 員の中、支え合って医療を維持しているのが現状」と説明する。赤十字病院に長期入院患者が増えれば、圏域の医療体制に影響を与える恐れがある。
一方、医師会病院の狩野稔久院長は「無理をすれば十人程度の入院患者は受け入れられる」と話す。ただ、津和野共存病院からは車で一時間近く掛かる。「入院患者や家族のためにも身近な医療は守るべきだ」として医師派遣などの支援を続ける方針だ。
医療経営の逼迫(ひっぱく)は益田圏域だけの問題ではない。日本病院団体協議会が昨年、約二千八百病院に実施したアンケートで43%が赤字と回 答。三割強は医師数が二年前に比べて減ったと答えた。公立病院の二〇〇七年度決算では全国六百六十七の病院企業会計の四分の三が赤字を計上し、累積欠損金 は計二兆円を超えた。
〇四年度からの新臨床研修制度で、医学部卒業生は研修先を自分で選ぶことができるようになり、都市部の大病院に集中した。大学医局の医師の引き揚 げが相次ぎ、特に中山間地域の病院の多くが医師不足に陥っている。診療科の閉鎖などで患者が減り、経営が悪化するという悪循環が起きている。
三原でも再編計画
こうした中、各地で公的病院の再編計画も相次ぐ。三原市は昨年七月、市北部のくい市民病院と隣接する公立世羅中央病院(広島県世羅町)の再編協議 を世羅町に申し入れた。医師確保が難しく老朽化した建物の建て替えを迫られる中での決断だった。くい市民病院の診療所化も選択肢の一つに議論が進む。
「津和野町の財政も決して豊かではない。財源の手当てについて相談にのっていく」。島根県は県議会で支援を表明した。町は今年三月、石西厚生連か ら四施設を約十三億円で買い取る支援をしたばかり。これ以上の財政支援は難しい。中山間地域の医療をどう守るのか。取り組みは始まったばかりだ。(岡本圭 紀、金山努)
●クリック 二次医療圏
入院治療を主体とした一般の医療需要に対応するため設定する区域。主に病院の一般病床と療養病床の整備を図る地域的単位として設定する。島根県は 松江、雲南、出雲、大田、浜田、益田、隠岐の圏域に分けられる。益田圏域は益田市、津和野、吉賀町。面積は県の約20%で2006年の推計人口は6万 8280人。65歳以上は31・4%で全国平均に比べ10ポイント、県平均に比べ3・8ポイントそれぞれ高い。
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