お休みに合わせたかのように体調不良ということで寝込んでまして、ブログの方、お休みしました。たぶん年末年始は肝臓も休みたいということでしょうか(名古屋、銀座、渋谷、青山一丁目での飲み会は終了。年内はあと六本木と上野、高円寺で飲む予定が入っているようです)。
さて、クリスマス休暇に入る頃ですが、ヨーロッパとかアメリカの医療状況についてまとまって情報を集めてみました。NHKの番組もあることですし、ぜひお時間があればお付き合いください。
『周産期医療の崩壊をくい止める会』のワンクリック募金もよろしくです
http://lohasmedical.jp/fund/
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【医療再建/医師の偏在 どう解決? 】
12月21日(日) 午後9時00分~10時48分 NHK総合テレビ
http://www.nhk.or.jp/special/onair/081221.html
「必要な時、必要な場所で、必要な医療が受けられない。」救急や産科、小児科、外科など、特定の診療科で深刻化する医師不足。地方と都会で広がる医療格 差。夜間に頼れる医療機関がない在宅の患者たち。そして、過酷な病院勤務に見切りをつける医師たち。
今、日本の医療が崩壊の危機に瀕している。こうした事 態に、政府は医師の増員を打ち出したが、医師の数が増えても、診療科や地域など「医師の偏在」の問題に取り組まないと現状は変わらない、という声が医療現 場や専門家から相次いでいる。“必要な時に必要な医師がいる”安心をどうしたら実現できるのか。番組では、妊娠中の女性や救急患者が受け入れを断られて亡 くなるケースが続出する東京都の医療現場や、崩壊の危機に直面し医療体制の全面的な建て直しに乗り出している地方の模索など、全国各地の医療現場の最前線 を取材。
医師を計画的に配置しているヨーロッパの事例などを交えながら、「医療再建の処方箋」について徹底討論を通じて考える。スタジオには、厚生労働行 政の代表、日本医師会の代表、全国各地の患者、医師、行政担当者など。司会は、高橋美鈴アナウンサー。
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日本の現状はもちろん、英とドイツの実情も詳細に紹介されるそうです。楽しみに・・・していますか。少なくともEU諸国では鶴亀松五郎先生の情報によると
「最 長で週48時間までの欧州労働時間の議決が2008年12月17日(現地時間)、フランス・ストラスブールの欧州議会で可決されました。オンコール時間も 待機中、活動中にかかわらず、労働時間に組み入れられることになりました。あわせて、労働時間延長の例外規定も3年間以内に廃止となります。」とのことで す。
欧州議会のプレス・リリースから
Working Time Directive: No exceptions to the 48-hours maximum working week and opt-out scrapped after three years say MEPs
Employment policy - 17-12-2008 - 15:39
http://www.europarl.europa.eu/news/expert/infopress_page/...
日本じゃ、呼び出し待機時間は当直料の支払いもないですし、当直時間さえ労働時間に入れていない病院がほとんど(少なくとも墨東病院ではそのように感じま す)。ヨーロッパは医師の労働時間を守らせながら医師を配置しているんだ、そういう文脈では絶対に「NHK」は語らないでしょうけどね・・・。
そうそう、アメリカの医療改革については否定的なお話がながれてきました。
「オバマ次期大統領の選挙公約は本当に守られるのでしょうか」
堀田佳男の2008アメリカ大統領選ウォッチ
ブッシュ政権のつけを払いながら国民皆保険をしようにも医師不足が露呈しているのはアメリカの厳しい現状です。
さて「ゆりかごから墓場まで」と言われたイギリスの医療状況がお寒いことは、だいぶ国際常識になりつつあると思いますが、フランスの状況は案外知られていないので、フランスにおける医療制度一般、社会保障制度、医療政策動向に関する報告書の執筆、資料検索、現地通訳アシスタント、コンサルタント等をされている「奥田七峰子」さんのホームページから引用してみます。
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フランス医療制度
http://naoko.okuda.free.fr/medical1.html
フランスの医療制度の特徴は、従来、皆国民健康保険の原則のもとに、
①患者の医師及び医療機関の選択の自由、
②医師の収入は診療報酬の出来高払い、
③病院勤務医師と自由開業医の二形態があり、いずれへのアクセスも自由であることなど、医療活動の制限が大変少なかった。
そこで政府は、2004年8月13日法により「かかりつけ医制度」を制定、イギリスのゲート・キーパー制度を改良輸入し、患者のドクターショッピング、これに起因する重複処方・検査をコントロールする事に成功した。
現在のフランス公的医療保険(一般制度)による医療費の償還率は、医師の診察料の70%、看護婦・リハビリ技師・矯正士による治療費の60%、また採血・画像診断等の臨床検査は60%、眼鏡レンズは65%、歯科治療に関しては一般的な治療が70%、義歯・セラミック・冠歯治療に関しては患者の加入している疾病金庫へ治療事前申請を行い、認可を受ける必要がある。入院医療費用に関しては基本的には80%と言われているが、長期入院および疾患による自己負担免責措置が非常に多くなっている。
医薬完全分業のため、外来処方はなく、患者は医師の処方箋を持って薬局で薬剤を購入するが、薬剤費償還率は100,65,35,0%となっている。但し、これらは全てセクター1の保険協定医により処方され、協定医療機関を利用した場合の償還率で、混合診療を行うセクター2の可超過報酬協定医の場合、保険協定料金を超過した分は自己負担となる。セクター3という非保険協定医の場合は、公的保険償還は皆無に等しい。上記のように協定料金以上を請求できる医師や医療機関が数多く存在する等自己負担分があるため、公的疾病保険だけでは十分とは言えず、私立の共済保険に加入する者が多い。
薬剤費に関しては、薬価が低いにも関わらず、総医療費予算の実に2割弱を占め、ヨーロッパ第一位の消費大国となっており、医療政策の焦点として、その分析解明、薬効による償還率の変更が急がれている。
また、鎮痛剤、酔い止め等の医師の処方箋の必要ない薬剤に関しても調剤薬局での購入ルートしか存在せず、他のヨーロッパ諸国のような雑貨屋、スーパー、ドラッグ・ストア等でのユーザーフレンドリーな購入方法は認められていない。
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かかりつけ医制度導入4年後の考察
http://naoko.okuda.free.fr/2008-12-08-02.html
フランスにおいて、16歳以上の全ての国民にかかりつけ医(Medecin
Traitant)登録の義務化が2005年より施行されて以来4年経った。本レポートは、2008年11月20~24日に行った、フランス保健省(行政)、疾病金庫(保険者)、フランス最大手医師組合(ロビー)へのインタビューをベースとする。
根拠法:2004年8月13日制定医療保険改革法。ゲートキーパー機能としてのかかりつけ医制度と、保険償還自己負担増によって国民ひとりひとりに医療支出に対する責任感、コスト感を持たせる事が、その冠たる目的。
例外措置は、産婦人科、眼科、小児科、26歳未満の精神科の専門科と、救急またはかかりつけ医不在時は、かかりつけ医を通さず直接アクセスする事が可能。
その法文によると、患者の自由意思によってGPまたは専門医を選択、疾病保険より国民に送られてくる申請用紙に、両者(患者・医師)の同意・署名を返送し、かかりつけ医登録する。
注意されたい点としては、日本で紹介されている「かかりつけ医は、病院の専門医はなれない。」、「かかりつけ医は、GPでなくてはならない。」と言うドイツ・イギリス式のかかりつけ医ではなく、フランスでは、より緩やかな解釈がなされており、病院勤務医や専門医も、かかりつけ医として選択されている。これは、制度導入前より、自己の持病理由等から、病院勤務医や専門医との信頼関係が構築されている患者が、制度のせいで医師を変更する事無く、継続できるように配慮したものである。
また、かかりつけ医登録が義務であるとは言っても、かかりつけ医を通さずに専門医受診する事を禁止まではしない。公的保険からの償還率が悪くなり自己負担が増える経済的ペナルティを設けるに留まり、100%が私費医療となる訳ではない。(かかりつけ医を通した場合は、自己負担3割。通さないで専門医に受診した場合は、自己負担が5割となる。更には、現行の7:3の比率を反対にする案も出ている。)
この四年間を振り返ると、かかりつけ医の95%はGPが占め、国民の85%以上が、かかりつけ医にまず受診し、更なる専門医が必要な際は紹介を経た上で、アクセスするようになった。従来、政府が問題視していた専門医から専門医へと渡り歩くドクター・ショッピング傾向は解消された事になる。
イギリスに存在する(欧州では悪評高き)ゲート・キーパー制度とも取れるかかりつけ医制度だけに、制度導入には、多くの専門医ロビーが反対した。しかし、専門医への診療報酬上方改正と、イギリス程の厳しいアクセス・ブロックは無い事から、受け入れられた。また、諸悪の根源になり得ると考えられる「人頭払い制度」は導入せず、フランスは、「出来高払い維持」とした事や、かかりつけ医の変更に関する厳しい条件(継続期間や地域ブロック等)を無しとした事も、患者・医師両側から制度を受け容れ易いものとした。
経済効果
重複受診・検査・処方の削減と、かかりつけ医および紹介先の専門医による医療の適正標準化の総合効果によって、2006年からの3年間で、10億750万ユーロの節約成功が達成されたと発表されている。
医師側のメリット
制度導入による医師側への新たな経済的なメリットは皆無に等しい。かかりつけ患者に対するカルテ管理料等は、特定慢性疾患患者を除いては無い。(特定慢性疾患患者の場合は、1人年間40ユーロ。)予防給付も、現行の制度下においては、皆無に等しいが、例外として、乳がん検診、便潜血キット配布&説明等、各キャンペーン時に、包括報酬が支払われる。
GP側にとっては、従来より概念として存在して実践してきた「家庭医」としての役割や重要性が、制度上認められ、比較的好意的に見ている。一方、専門医の中にも、「より専門的な医療に専念できるようになった。無駄な部分が省略された。」と、その臨床内容の効率化を喜ぶ声も少なからずあった。
医師側のデメリット
4年を経て、専門医にかかる患者が減る現象が明らかになっている。特に、皮膚科、耳鼻咽喉科、内分泌科への受診患者は著しく減少し、深刻な打撃を受ている。
また、直接かかって良い専門にもかかわらず、産婦人科・眼科・小児科・精神科への受診も明らかに減った事が報告されている。これは、かかりつけ医との信頼関係が構築されて、問題の程度によっては、専門医に行く時間・専門医療費を省略できる為、便宜性を優先した患者の受診行動である。その他の専門科においても、おしなべて患者の減少傾向が見られる。
現在、来年度の診療報酬改正によって、特に経済的打撃を受けた科(皮膚科)によっては、損失補填係数措置を取る事が議論されている。
患者側のメリット、デメリット
制度導入当初、「フリー・アクセス」を重要な自由と権利と考えていた人々にとっては、本制度は受け入れ難いものであったが、4年の時間が経って、蓋を開けて見ると、国民の85%がかかりつけ医を登録し、85%がかかりつけ医受診後に専門医に受診するようになった。保険上のペナルティを除けば、すぐに専門医にかかれない訳では無いので、どうしてもかかりたい場合にはかかれる、と言う柔軟さが、フランスにおける本制度成功の秘訣にあるような気がする。従来より概念として存在する家庭医と比較して、大きなメリットは、特に語られていない。敢えて私見を述べると、日本で報道されている「コンビニ受診」は無論「たらい回し拒否」と表現されている問題には、日頃からのこうしたかかりつけ医・患者関係が基盤となった紹介ルートをネットワーク化する事が、最大のメリットとなるように思われる。また、もしも政策上今後より在宅医療が推進される場合には、この関係基盤が軸となった患者中心の医療環境形成を可能にするメリットが潜在する。
医師の偏在不足・女性化への影響
医学部2年生への進級定員制や、インターン研修枠の専門科別定員制などによって、医学生の数や配置には、ある程度のコントロールが効くフランスであるが、一旦、医師となった後の開業や勤務地のコントロール機能は皆無で、地方偏在問題は深刻である。更に、医学生の女性化は進み(医学部生の7割は女学生。)、抱えるテーマも日本と同様のものがある。(イラン国の医学部は、女学生枠を4割迄に制限したとの事!)これらに対して、当該地方自治体は、開業誘致、診療所の無償提供や補助金による助成制度を行い、国は、医学生定員増(専門別・研修地別)で対処している。
任地強制配置や、日本の自治医大のような制度も語られているが、現時点では、実現するのはほぼ不可能と考えられている。
医師過剰地域の医師による、過疎地域への医療活動遠隔参加(輪番制でのディスペンサー出張やテレメディシン)や、社会保障費用負担の増額等が、最も有力視されている。
かかりつけ医と教育
現行の医学部教育制度の上では、GPも専門医の一つにに格上げされ、インターン研修が必須となった。この研修のローテートに、町の開業GPの診療所(キャビネ)での研修があり、インターンを受け入れる指導開業医には、月600ユーロの報酬が支払われる。
指導医になる資格要件は、
①開業して3年以上のGPである、
②地方医師会から適任として承認を受けている
③医師生涯教育プログラムに定期的に出席している証明
で、医科大学と指導提携の契約を結ぶ。(期間3年間。更新可)?
根拠法:1988年10月28日省令
一方で、既に外科医等として長年の臨床経験がある専門医が、再教育を受けてGPに転進する事は、現行の制度においては未だ不可能であるが、いずれ検討したいテーマとの事。背景に、フランスの医学部教育での専門医と一般医間の優劣(選抜コンクール成績結果順に専門科を選択できる。=高得点合格者が、一般医を選ぶ事は珍しい。)があり、現在の専門科の変更不可と膠着の原因となっている。
医師組合としても、外科医に限らず、その経験と経歴による専門科標榜の柔軟性を「歩道橋制度」と銘打ち要求しており、特にかかりつけ医制度導入以降は、GPの専門医兼標榜希望(例:GP/小児科、GP/婦人科等)が増えている。
現状では、管轄省(教育省・保健省)、医師会とも例外を除き(HIV陽性外科医自らの手術拒否希望により、産業医への変更が認められたケース。)認めておらず、その実現成功の鍵を握るのは、「教育の質の担保」である、との声もあった。
フランスでは、医師の生涯教育は義務化されているが、免許の更新制はない。
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フランスの医学部教育
http://naoko.okuda.free.fr/educate1.html
フランスの高校生にとって日本の大学受験に値する、バカロレア(大学入学資格試験)取得後、大学医学部でまず第一サイクルと呼ばれる、最初の二年間(日本の医学部教養過程に等しい。)を修めます。
二度の再受験を認められていない、この課程の第一学年目を修了し第二学年に進級する事は大変難しく、その倍率は、1/10から1/20とも言われています。
次により専門的な医学教育を四年間修めます。この直後にインターン試験を受け、更にその後、前述試験成績順に、GPには二年半のレジデント実習、専門医希望者には四年間のインターン実習が待っています。従って、晴れて一人前の医師となる為に、フランスでは、卒後教育を含めて少なくとも八年間以上の専門教育が必要な訳です。
尚、この医学教育システムは、2005年より大きく改革される事が、既に、決定、2001年に厚生省・文部省共通省令で法制化されました。改革の目玉は、GP一般医制度を廃止、内科専門医として、専門科に格上げされます。フランスで遅れていた、ファミリー・メディシンの重要性が、やっと制度上でも認められた結果と言える大きな改革です。
インターンおよびレジデントの期間のカリキュラムは、六ヶ月毎にローテーションで動く事が決められていますが、その内の一単位は町の開業医の所で研修する事が必須となっています。(協力する開業医には、指導教官報酬が支払われます。)またこの期間の資格と所属は、医学生ではなく、医師として実習をする病院の職員として、病院から報酬として給与を得ます。初任給は約7,500フランと、決して高給ではありません。
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