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Doctors Blog

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 8/20は、福島大野病院事件の判決だけではなく、とても勉強になった日でした。医師が国政を目指す。というブログをやってみえる富塚太郎先生による「英国の医療制度改革と日本への示唆」という講演を拝聴したからです(黒川清先生が代表理事の日本医療政策機構が主催)。

 当日は、都市センターホテルの会場は超満員(200名を超えていたとか)。機構の方がおっしゃってたには、この人数は予想しないほど盛況とのことでした。

 イギリスに留学中の富塚先生、そして3年間イギリスで医療・福祉制度の研究のために滞在された武内和久氏の追加スピーチもあり、10年以上にわたるト ニーブレア首相の医療制度改革の「概要」をつかみ、その要点から、今後日本で必要な医療制度を行うための視座を与えてくれるようないい企画でした。

 少しだけさわり・・・の予定でしたが、やはり長文となり、しかもメモが不完全ですが、報告させていただきます。多少、当日、説明が省かれたところは拙ブ ログや他のリンクも参考にして補足させていただきました。未熟な報告ですが、少しご興味がありましたら、おつきあいください。

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 当日は、日本医療政策機構の小野崎耕平氏より「主要先進国の医療制度」という医療について先進国での国際的な比較の上の日本とイギリスの位置についてわかりやすく示していただき、本題の富塚太郎先生のお話に入りました。

1.イギリスの医療制度NHSの歴史的な背景

2.ブレア政権による医療制度改革の三つの視点
 a)ターゲット政策
 b)規制政策
 c)患者中心政策

3.日本への示唆
 a)医師・医療従事者へ
 b)国民・患者へ
 c)行政担当者・政治家へ

 この流れで1時間弱、数々のデータの提示、具体的な事例が入っており、わかりやすかったです。

 おそらく、富塚先生から資料のスライドが提供され、医療政策機構からも議事録が発表されるかと思いますが、少しだけかいつまんで?紹介します。
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1.イギリスの医療制度NHSの歴史的な背景



 1948年に始まったNHSは、「全国民が対象(留学生も含む)、必要とされる医療は提供され、そして患者負担は無料」の原則、それを60年にわたって守ってきたイギリス政府と、国民がこの制度を圧倒的に支持して、成り立っています。

 NHSは保守党党首のサッチャー(1979-1990)、ジョン・メージャー(1990-1997)の保守党政権下で 、サッチャー首相が断行した「小さな政府」および「市場メカニズムの活用」をテーマに、構造改革で、格差が目立つようになり、国の公共サービスが受けられ ない層が目立つようになり、NHS制度自体も制度疲労が目立つようになっていた、1997年、18年にわたる保守党政権が敗北。
 変わりに政権与党となった労働党のブレア首相がとった「第三の道」 とよばれる、従来の社会主義政策でもなく、小さな政府による保守党がこれまで行ってきた規制緩和・市場化一辺倒の流れではなく、市場の効率化を重視しなが らも政府によって補完する公正さを確保する動きで、トニーブレア首相は教育と医療への予算を増額に乗り、医療改革に乗り出しました。


2.ブレア政権による医療制度改革の三つの視点
 a)ターゲット政策
 b)規制政策
 c)患者中心政策



 医療については、医師増員、医療費増加がメインの対策となりました。これにより9.1兆円の医療費は20.8兆円と増額(年7%増加)。となりました。

 具体的な話は62項目について、それぞれターゲット(目標)を決め、全国でその項目ごとに監視し続けること。

 たとえば家庭医(GP)が紹介した病院に受診できること13週間以内、入院が26週間以内。という項目です。待機患者は1997年から2005年までに120万人から80万人まで減少しました。
 しかし、ターゲットを決めると、それにひきよせられるように、逆に悪化してしまったこともあるそうで(救急車は8分以内と決めると5分とかにあったピークがみんな8分以内でいいと逆に伸びた)、これをターゲット効果と呼ぶそうです。

 結局、今はイギリス全国で行っているのは62 項目ではなく、20項目に減らし、地域ごとに指標と項目は任せるようになったとのことです。

 このほか規制政策で、内部の規制から外への規則へと。医療事故がイギリスでも連発するなど、医療の質について「国が責任を持つ」ことになり、公的監査機関を設けたということです。
 二つ紹介されていました。Healthcare  Commision(保健医療委員会)とNICE(国立最適医療研究所)の二つ。それぞれ役目があり、予算も人員もしっかり配分されています。
 具体的にはMedicalNewsJapanで紹介していますが・・・(すみません誤訳いっぱいあったかも・・恥)

↓Healthcare Commision(保健医療委員会)の具体例

イギリス:開業医の診療サービスに満足できるか?


↓NICE(国立最適医療研究所)の具体例
東京日和2007/02/24
[分子標的薬の時代突入?]高い薬価は誰が負担するか?で紹介した・・英国NICEが分子標的抗癌剤・AvastinとErbituxの使用を却下 とかですね。

 いずれにせよ、医療の質、無駄がないかについてきちんとした調査を行い、公表するという基本概念になります。
 これらのデータはNHS choicesのようなウェブサイトで開示されるだけでなく、図書館に行くと分厚い本で誰もがアクセスできるようになって、情報提供。患者の医療経験、満足度調査も含めて行い、データの提供行われているとのことです。

 患者にはさまざまなデータが提供され、さまざまな指標(医療の質も含め)選択できるということです。選択がキーワードのように思いました。

 このあと、

3.日本への示唆

 a)医師・医療従事者へ
 b)国民・患者へ
 c)行政担当者・政治家へ


 となるのですが、これは「富塚先生」がそれぞれの方に向かって話していましたが、特に今回は会場が永田町・霞ヶ関中心であって、その行政担当者・政治関係者向けに


「医療や福祉で、国民を裏切り続けると、結局それは国の政治や行政に対する不信感を増し、かえって政策実現が困難になってしまうので、きちんと国民への情報開示が必要」

 というメッセージが心に残りました。

 メモが不完全なので、すみません(汗)

 このあと追加発言として、武内和久氏(元在英国日本大使館一等書記官、現 厚生労働省大臣官房)が3年にわたるイギリスの医療制度についての幅広い知識に基づくコメントがあり・・・キーワードを交えながらお話をしていただきました。

 戦略と決断、
 投資と抑制、
 可視化


 これらのキーワードについて、スライドもなかったので、きっちりとしたメモは書き残していませんが、非常に感銘を受けました。
 最後の「可視化」は特に国民に見えるような形で情報提供することが大切という点は、日本の医療・福祉政策の決定にはない(年金や医療について情報不足はいかんともしがたい)過程、それにイギリスのジャーナリストがきちんと専門性が高い情報を報道し続けることも含めて大切とのことでした。

 武内氏のウェブサイトをこちらにご紹介します。イギリスの社会保障についてはかなりまとめられています。

「英国社会保障事情」 週間社会保障:法研

 あとでお話をうかがいましたが、帰国直後に大臣官房に所属でご多忙の中、おいでいただいた上、すばらしいコメントをいただきました。


 質疑応答で「医師増員は具体的にどうやって、それと急増させることでのトレーニングは可能か?」というのがありましたが、イギリスは増員させる時に、 医学部を増やしただけでなく、国外からの輸入であてた(EU諸国の医師免許があればイギリス国内で診療可能、イギリスが旧宗主国のパキスタン、インドな ど)とのことです。
 そしてトレーニングは、やはり研修ポジションが不足して、昨年問題になった・・・ということで、これはこの東京日和「[英国テロ事件]待遇差別が招いた?」でもご紹介した・・

a legal alien in london

Saturday, June 09, 2007

MTASラウンド1の結果

 あたりに非常に詳しいです。

 あと、ブレア政権の医療改革について評価すると、構想の段階で90%、実施は70%、結果は50%であったことというコメントがあり、改革も長く時間がか かり、さまざまな政策を絶えず打ち出し続けたため、改革疲れがイギリスを襲い、特に現場の医療従事者側の反感があったとのことです。

 また、イギリスの政権与党は現在労働党政権(トニーブレアのあと現在はゴードン・ブラウン)のままですが、今年の5月に国会議員選挙で労働党が大きく敗北し、保守党が勝ったため、来年くらいに政権交代の流れが起きるのではないかという予想もありました。

↓ウィキペディアの記載「ゴードン・ブラウン」より
「5月の統一地方選では、労働党はロンドン市長の座を失ったのをはじめ、得票率で自民党を下回り第三党に転落するという過去40年で最大の惨敗」

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 講演と質疑応答で時間はおよそ2時間弱でしたが、日本の医療制度改革に欠かせない視点と包括的なイギリスの医療制度についての知識をいただきました。

 また、今後、引き続き、他の先進国の医療制度だけでなく、日本の各政党に医療政策の担当者の政党インタビューをウェブサイトに掲載するなど、医療政策機構は国民に医療についてさまざまな情報を提供したり、していくということで要注目ではあります。

 いずれにせよ、今後も、自分も勉強するのを続けたいと思いました。

  なかのひと

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