日本国際医学協会と いう会があります。自分も知りませんでしたが、明治時代からの歴史もあるようです。
さて、その中で「東京における小児救急医療の現状と今後の体制」で帝京大学医学部小児 科教授の柳川先生と「日本の小児医療崩壊を防ぐためにできることは何か?」というタイトルで国立生育医療センター病院長の松井先生が講演をされていまし た。
医師が医師の団体の中だけで、こういうお話をするだけでなく、もっと世の中に向けて広く知ってもらうしかありません。
そういう意味では「広報活動」の拡充が医師会、医学界、大学、病院・・・などもう少し力を入れなければなりません。
国民が「医療」について不満をもらすのは、がんばっている医師の姿が見えず、たまに出る「バッシング報道」だったりするからです。
いずれにせよ、人口が減少しているからではなく、安心して子育てができる社会を作らねば、老人だけの国となってしまいます。
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第383 回 国際治療談話会例会
時/平成20 年3 月27 日(木) 所/神田学士会館(本館)
司 会 日本国際医学協会常務理事 柳澤正義
《第1 部》=小児医療体制の再構築=
【講演】東京における小児救急医療の現状と今後の体制
帝京大学医学部小児科学教室主任教授 柳川幸重 先生
【講演】日本の小児医療崩壊を防ぐためにできることは何か?
国立成育医療センター・病院長 松井陽 先生
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東京における小児救急医療の現状と今後の体制 帝京大学医学部小児科学教室 主任教授 柳 川 幸 重
東京都の現状
現在,東京都を含めた全国において救急医療を担当する医師,小児科医が不足している.この現象の現れるきっかけの一つは,平成16年度に発足した新医師 臨床研修医制度であると言われている.それまでは大学医局が新卒業生を受け入れて,適切な時期に僻地を含めた「関連病院」へ送って臨床修練を受けさせてい た.
これは必ずしも若い医師に歓迎される制度ではなかったが,研修の名のもとに半ば義務づけられていた.また,そのための「医局」の強制力は大きい必要があ り,その弊害も指摘されてきた.新制度下では新国試合格者は大都市の市中病院を志向するようになり,大学に残って研修する医師数は激減した.
この傾向は,「僻地医療」を必ず経験させられることになる地方で強いが,東京都内でも大学に残らないという点では似た傾向が見られている.東京都の全体 の医療施設の医師数は増加傾向があり10 年前と比べてその数は15%増加している.これは都会志向の表れとも言えるが,その中で小児科・産科医数は増えていない.
医療現場の問題
医療現場に適合していない医師の勤務体制も問題である.医療法では昭和23 年に病院における適性医師配置数を定めているが,医療は高度化・複雑化し医療ニーズは増加し,医師の仕事は圧倒的に増加しているのは,多くの医療関係者が認める事実である.
小児科を見ると,核家族化によって相談できる身内が減り,とも働き世帯の増加と女性の社会進出によって時間外患者数が増加し,救急病院への患者の集中化が起こってきている.
小児科医,産婦人科医数を減らしているもう一つの要因は医療訴訟の多さである.医療には元来不確実性があり,必ず期待通りに行くわけではないが,医療への過大な期待が医療訴訟を増加させ,訴訟されただけで医師としての生命を絶たれる仕組みになってしまっている.
小児科はとくに訴訟される率が高いことも小児科医を萎縮させている.これらの悪条件のもとでも,小児科医は,極限に近い状態で働いているが,限界に近くなっているのが現状である.
今後の対策
期待される今後の対策には,医師の過剰な負担のない勤務環境整備がある.
現在見られていて,医師不足を起こす一つの誘因となっている,
「一人の医師の離職は他の医師のさらなる過剰労働を生む」という連鎖を断ち切る必要がある.このためには,
1. 長時間労働の是正として交替制の導入,
2. 短時間勤務の導入,ワークシェアリング,
3. 文書作成など事務業務負担の改善,
4. 施設の改善(当直室の改善,仮眠室など)がある.
また医師,とくに女性医師の再就業への支援として,
1. 出産,育児で離職しても再就業しやすい支援の確立,
2. 院内保育所の整備,
3. 勤務形態の多様化が検討されている.
また,勤務医の過剰労働と救急医療を本当の救急患者のためのものとするために以下のことが検討されている.
1. 開業小児科医の一次救急への参加を促して一次救急医療機関の整備をする.この目的で東京都及び区が小児科医会の先生の病院への参加を促すような予算処置を行い,既にいくつかの区で夜間小児科クリニックが開始されている.
2. 病院の機能別の棲み分けも指導されつつあり,一次,二次,三次医療機関としての指定も行われる予定である.
ただ,地域では解決不能の問題が本質的な解決を阻んでいる.それは,
医療費削減の方向性 である.とくに,医療報酬制度上小児科は不採算部門であり,ほとんど全ての病院で小児科は不採算部門になっている.このため,小児科部長が自殺へ追い込ま れた不幸な例もある.また,補助金なしでやっていける「こども病院」はないが,このたびの「こども病院」への診療点数の増加により,赤字幅は減
少することが期待されている.
安全にはコストがかかることを社会が自覚する必要がある.飛行機の安全性の例をとるまでもなく,安全にはコストがかかる.しかし,日本は社会主義的医療 国家であり,コストを利用者に転嫁できない.つまり,医療に市場経済原理主義は合わないことを,社会が理解する必要がある.
また,国が勧めようとしている包括医療の推進(診断名別のまるめ)も,潜在的に問題を含んでいる.その良い点は合併症が少ないと利益がでるので,背伸びした医療は行われなくなることである.
一方,悪い点は合併症の起こりやすい難しい症例には手を出さなくなることである.同時に,病院は経済原理に立って判断すると,難しい患者をとらなくなる傾向が起きる.
医療はうまくいって当たり前と言われる社会では,医師の英雄的行動は病院にとって迷惑である.多くの病院当局は,「火中の栗を拾うのは辞めて欲しい」と いうのが本音であろう.なぜならば,難しいケースであっても,そんなことへの配慮は,家族にも,社会にも,マスコミにもなく,医療側としては「一所懸命頑 張ってみてもやっただけ損!」となりつつあるように思える.
この問題の根は深い.なぜなら,これは経済的問題でもなく,制度的問題でもなく,心の問題であるからである.
社会やマスコミに一度でも袋だたきにあった部門は萎縮するからである.
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日本の小児医療崩壊を防ぐためにできることは何か? 国立成育医療センター病院長 松 井 陽
小児救急の現場から小児科医の不足が叫ばれ,小児医療崩壊の可能性が示唆されている.しかし一方では,小児科医の絶対数が不足しているのではなく,医師 配置が都市部に偏在しているのだという反論が聞こえる.そこで日本小児科学会は,小児救急の主力である病院勤務医の勤務実態を調査して2005 年からその結果を発表してきた.
その結果をまとめると以下のごとくである.
1)病院小児科勤務医の長時間労働は,良質な医療の提供・医療の安全性等の観点からも,早急に是正される必要がある.
2)女性小児科勤務医師の割合は急増して20 代では40%に達した.子育ての時期は休職又は労働時間半減が一般的である.
3)一部の大学小児科では急速な小児科志望者数の減少が認められる.
4)一般病院小児科の医師空席について,充足困難な状況が常態化しつつある.
5)病院小児医療環境を改善して若手医師の志望者誘導を図らなければ,いっそうの労働条件の悪化による医師確保困難の悪循環がさらに進行するおそれがある.
以上の結果に基づいて,日本小児科学会の対策案を以下に示す.
(1)小児医療提供体制の構造改革が焦眉の課題である.その基本方針は
病院小児科の集約化である.それによって必要最小限の医師数増加で,提供できる医療内容の向上,医師労働条件の改善を図ることが期待できる.
(2)病院小児科を中心とする
小児医療提供体制の改革は,三次医療圏における 病院小児科ネットワーク・広域小児救急システム・新生児医療システム・医師の供給・各段階の教育-研修-研究等を含む.その企画立案・実施・評価の全過程 において,地方自治体・関係諸団体と共に,日本小児科学会・同地方会及び医療・労働を提供する主体である大学・病院小児科医の参画が不可欠である.
(3)改革と並行して着実な
病院勤務の小児科医の増加が必要である.少なくとも1000 名の純増が必要で,退職を考慮すると,毎年各大学小児科に3 割増の志望者(従来440 名,3割は132 名)が10 年続く必要がある.現在の志望者が各大学で5 名平均とすれば,2 名の純増で7 名の志望者が必要である.
加えて,私案として以下を提案する.
(4)こどもは24 時間,365 日,すべて小児科医が診るべきだという考えを,小児科医も,国民も,政府もやめる.
(5)小児時間外診療体制の中に,総合医,家庭医,開業医の参加機会を増やす.
(6)小児専門看護師の日常診療への主体的な参加機会を増やす.
(7)小児専門病院は3,4 を実現するための教育,養成機関として機能する.
最後に強調したい.
子どもを大切にしない社会に未来はない.
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自分もそう思います。子供を育てる親御さんが「大変」な状況、ですが彼らが安心して子育てでき、いつでも診察を受けられる状況ではありません。
やはり政府もそろそろ考えてほしいですね。