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 社会保険庁の不祥事は確かに問題がありました。もっとも、現場の人たちは大変だったと思います。先輩たちや天下りされたえらい人たちの尻拭いさせられるのは、やっぱり現場の方々です。
 もちろん、年金の問題は「国民のお金を食い物にしやがって・・・」だけではなく、感情論では済まされません、構造的に日本の役所がおこしやすい問題です。 おそらく、この構造はほとんどの天下りの外郭団体は同じだと思います。道路財源を流用されて購入したマッサージ椅子みたいなものはいっぱいあると思いま す。

 ま、その中で、「日本年金機構」へと改組になる社会保険庁。モチベーションや士気が下がるほど現場へのバッシングが報道がなされましたが、ほとんどは過去の責任者たちの問題 だったと思います(ま、未納の時に、有名人や議員さんの閲覧などで問題はあったと思いますが・・・あの政治家でも収めてない・・・そんな年金の未納問題点 が明らかになった効用はあります)。

 国会で、舛添大臣を一方的に非難されるのは責任者なので仕方ないのです。しかし、現場の職員に膨大な量の年金記録についての調査業務を求められましたが、 このような不祥事が起きた場合、報道で現場の怠慢な状況証拠も大切でしょうが・・・イージーに流れないよう。きちんと根深いのは再発防止のために何をすべ きであったか?学ぶ必要があると思います。

 がんばって仕事にいそしんでドロッポしない人を「叩く」ことはあんまり意味ないと思います。もちろん、足りなくなった人を補充できるのならいいのですが、年金の制度がここまで複雑なんだから、過去のことを知っている人やきちんとできる人が残ってくれた方がいいと思いました。

 こういうときは、優秀な出来る人から戦線離脱しやすいことは・・・想像に難くありません。誰ですか?あとになって「社保庁を逃げ出した役人が悪い!」って おっしゃいますのは?それは国民の勝手な言い草。

 むしろGJ!!的な仕事ぶりだったと思います。彼らには通常の仕事もあったのです。そういう努力に「いつまでも非 難」よりは、もっと前向きな報道もほしいな・・・ってダメかな?。ぽち

  なかのひと

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社保庁:自己退職者が過去最高の702人 07年度

毎日新聞 2008年4月15日

 社会保険庁(定員1万6822人)は15日、07年度の自己退職者が過去最高の702人に上り、定員の4.17%に達したことを明らかにした。社保庁は、相次ぐ不祥事への批判がやまず、勤務意欲を失った職員も多いとみている。

 07年度の自己退職者数は、06年度(391人)より311人増え、03年度(139人)の5倍となった。退職理由として、「窓口業務が苦痛」などを挙げる人が多いという。

 自己退職者急増の背景には、10年1月に社保庁が非公務員型の日本年金機構に移ることもあるとみられている。公務員の身分を失うことに対し、職員 の不安が広がっているという。社保庁は、07年度は当初予算で退職金を賄えないと判断し、補正予算に8億円の退職金経費を追加計上していた。

 一方、日本年金機構への移行に際し、計400人程度を今年秋以降、外部から先行採用する方針も示した。【吉田啓志】

産経新聞 2008/04/15

 社会保険庁解体後の年金業務を引き継ぐ「日本年金機構」の職員採用について、社保庁正規職員約1万6000人のう ち、移行できない人は500人程度にとどまる見通しであることが15日、社保庁がまとめた新機構の採用計画案で明らかになった。計画案通りに職員の大半が 移行すれば「看板の掛け替え」との批判が出そうだ。

 計画案は同日の政府の有識者会議「年金業務・組織再生会議」に示された。

 これよると、新機構は発足時(平成22年1月)の正規職員数を約1万2500人とし、このうち約97%の約1万2100人は社保庁から移行させる。民間採用者枠はわずか約400人。

  現在、社保庁の正規職員は約1万6000人。新機構に移る約1万2100人と、政府管掌保険(政管健保)業務を引き継ぐ「全国健康保険協会」(協会けん ぽ)に内定した1800人、厚生労働省本省や地方厚生局などが受け入れる約1300人を除く約800人は、現時点では移行先が決まっていない。

 ただ、約800人のうち約300人は定年退職するとみられ、実質的には約500人がリストラ対象として他省庁などに受け入れ先を探すことになる。

 社保庁によると、19年度の自己都合退職者は過去最多の702人。このペースで退職者が増えればリストラ数も少なく済むが、702人の半分は20、30代。機構は新卒採用者を大量に増やす必要もあり、最終的なリストラ数は流動的だ。

 

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かの国では、医療訴訟が4割減・・・

SkyTeam / 2008.04.17 09:00 / 推薦数 : 4

 日本の医療従事者の最大の懸念事といえば、医療安全調査委員会(仮称)です。今日はちょっと長くなりそうです・・・。

 

 その前に、医療訴訟大国といえば、アメリカですが、4/14の経済雑誌フォーブス誌の報道によれば、ペンシルバニア州では医療訴訟の件数が3年連続で減少です。
 医療訴訟の減少は、医師の賠償保険の上昇がおさえられ、州外へ立ち去る医師が少なくなるようなメリットもあります。2000年の2700件の訴訟から、2007年には1617件
と40%の減少だそうです。

 この原因として医療訴訟について、独立した医師や専門家による証明(Viability:訴訟の対象となる医療事故という証明でしょうね)が必要となったことや、経済的にも見合わない(勝訴しない限り弁護士には報酬がもたらされない)などの変化があるようです。

http://www.forbes.com/feeds/ap/2008/04/14/ap4887654.html
Pa. Medical Malpractice Suits Decline
Associated Press 04.14.08, 4:05 PM ET

↓当時のニュースです。おそらく他の州に先駆けたのだと思います
http://findarticles.com/p/articles/mi_m0843/is_/ai_101937880
Pa. malpractice reforms could set the pace for other states - Health Law

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 さて日本では?大野病院事件や奈良の大淀町立病院のように「努力」しても、限界なのを事情もろくにわからないまま、マスコミさんが一生懸命に「攻撃」して加速する医療崩壊。

 

 第三次試案について国は「これでフィニッシュ!」としたいらしく、内科学会、そして外科学会などに圧力をかけ、とっとと「完成」させたいようです。

 

 この問題については・・・安易にまとまるだろうという厚生労働省側の思惑が見て取れていますが、現場の離反を招いています。

 

 なぜなら、『厚労省試案の完成度は低く、この試案にもとづき法案が成立すれば、医療現場の崩壊は加速します。しかるに、日医、外科学会など主要な業界団体は賛同を表明しています。


 この動きを止めるのは、医療現場の個々の努力しかないと思います。この文章を読んで頂いた先生からも厚労省へパブコメを提出いただけませんでしょうか。また、周囲の医師、地元国会議員、メディア関係者に問題点をお伝えいただけませんでしょうか。
 ちなみに、当方が作成したパブコメを添付します。ご参考になれば幸いです。転送歓迎(東京大学医科研の上先生らによる)』とのことです。

 以下、そのまま転載しちゃいますが、ぜひお読みください。そしてパブリックコメントを提出してください。

 

 このまま、官僚や学会の偉い人たちだけに任せることは「ゆで蛙」になりかねません。

 ぽち

  なかのひと

 

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厚労省第三次試案に対する意見(ブレインストーミング) 

2 医療安全調査委員会(仮称)について

【委員会の設置】

(6) 医療死亡事故の原因究明・再発防止を行い、医療の安全の確保を目的とした、国の組織(医療安全調査委員会(仮称)。以下「委員会」という。)を創設する。
 

・そもそも真相に最も近く、原因究明を行うべき主体は、当事者である医療者であり、当事者の前に第三者が介入することは、むしろ原因究明を阻害する。まず当事者が医学的・科学的な真相究明を行い、それでも患者・家族の納得が得られない場合に、第三者の介入が必要となる。

・ひとつの組織が異なる2つの目的を持ち、いずれも達成されない可能性が高い。ひとつの組織にひとつの目的を持たせることが、制度設計の基本である。

・全国唯一の組織が「正しさ」を判断することは、医療の統制につながる。医療における判断・選択は、患者ひとりひとり、家族ひとりひとり、医療者ひとりひとりによって多種多様であり、「正しさ」の答えはひとつではないからである。全国唯一の組織が決める「正しさ」に、すべての国民が従わざるを得なくなり、患者・家族の自由な選択は阻害される。国の委員会に一元化することは危険である。

・医学的・科学的な真相究明を目的とし、複数の多様な委員会が、多様な専門家による多様な「正しさ」の判断を示せる制度とすべきである。多様な専門家による多様な選択が存在することを、患者・家族が知ることも、納得を得るために重要なプロセスである。 

(7) 委員会は、医療関係者の責任追及を目的としたものではない。
 

責任追及を目的としないと明記したことは評価できるが、制度上の担保は何も示されていない。

・委員会は、責任追及の機能をもつ。(井上清成弁護士 「4つの原因究明」―死因究明制度・厚労省第二次試案の法的「目的」は?― MRICメルマガhttp://mric.tanaka.md/2007/12/25/vol_66.html

・全国唯一の組織が「正しさ」を判断する結果、民事訴訟・行政処分・刑事処分すべてが増加する可能性が高い。 

(13) 中央に設置する委員会、地方委員会及び調査チームは、いずれも、医療の専門家(解剖担当医(病理医や法医)や臨床医、医師以外の医療関係者(例えば、歯科医師・薬剤師・看護師))を中心に、法律関係者及びその他の有識者(医療を受ける立場を代表する者等)の参画を得て構成することとする。

(27)③ 診療録等や解剖結果に基づき臨床医等の医療関係者がとりまとめた臨床経過の評価を基に、解剖担当医や臨床医、法律家等からなる調査チームが、死因、死亡等に至る臨床経過、診療行為の内容や背景要因、再発防止策等についての評価・検討を行い、調査報告書案をとりまとめる。

 

・「法律関係者」「法律家」を入れるのはなぜか。法的判断つまり責任追及をするためであろう。

・「医療を受ける立場を代表する者」を入れるのはなぜか。患者・家族の判断・選択は多種多様であり、それを第三者が代表することはできない。ひとりひとりの多様な選択を尊重するためには、当事者である患者・家族本人が、その希望によって入るか否か選択できるようにするべきである。

・医学的・科学的な真相究明を目的とし、医療の専門家によって構成すべきである。患者・家族の希望がある場合は、患者・家族が参加できるものとすればよい。 

(14) 調査対象となる個別事例の関係者は、地方委員会による調査に従事させないこととする。なお、委員会が適切に機能するためには、何よりも国民の信頼を得るものでなければならず、委員には中立性と高い倫理観が求められる。
 

・当事者を調査から排除するならば、ますます真実から遠ざかり、医学的・科学的な真相究明は不可能となる。この委員会が原因究明を目的としているとは考え難い。 

【医療死亡事故の届出】

(16) 医療死亡事故の再発防止、医療に係る透明性の向上等を図るため、医療機関からの医療死亡事故の届出を制度化する。
 

・透明性の向上とは何か。医療者が患者・家族に十分説明し、当事者間で話し合うことではないのか。第三者が介入する前に、当事者間の対話を促進する院内医療メディエーター(後述)を置くといった措置が必要である。当事者間で十分対話を行い、それでも患者・家族の納得が得られない場合に、第三者の介入が必要となる。

・「制度化」は「義務化」を意味することは、西島英利議員の発言からも明らかである。(西島英利議員インタビュー "医療事故調"の自民党案と厚労省案は別 ソネット・エムスリー聞き手・橋本佳子http://www.m3.com/tools/IryoIshin/071219_2.html 

(17) 届出義務の範囲については、死亡事例すべてとするのではなく、現行の医療事故情報収集等事業における届出範囲を踏まえ、図表のとおり、明確化して限定する。

結果として、死亡事例すべてを届出ざるを得ない(後述)。

・現行の医療事故情報収集等事業は、匿名・免責だからこそ、曖昧な届出範囲でも成り立っている。医療機関名や個人名を明記し、責任追及と連動する委員会への届出に、現行の医療事故情報収集等事業における届出範囲を用いることは不適切である。

・現行の医療事故情報収集等事業の届出範囲には、「医療機関内における事故の発生の予防及び再発の防止に資する事案」という項があり、委員会が再発防止を目的とするならば、この項をこそ届出範囲とすべきだが、「①過失」と「②行為と死亡との因果関係」という法的責任の構成要件を届出範囲としており、この委員会が責任追及の機能をもつことは明らかである。(井上清成弁護士 「4つの原因究明」―死因究明制度・厚労省第二次試案の法的「目的」は?― MRICメルマガhttp://mric.tanaka.md/2007/12/25/vol_66.html

・届出範囲を限定するとあるが、法令上の条文を個別ケースに適用するか否かは、法的判断をする者が個別に判断することであり、限定することを約束したことにはならない。委員会の結論が警察、検察に対して拘束力を持たない以上、その結論を尊重するといっても、具体的事件においては無視される可能性が高い。(元東京地検特捜部長 河上和雄弁護士 医療事故調に対する見解 MRICメルマガhttp://mric.tanaka.md/2008/03/26/_vol_33.html) 

・現に、厚労省は、犯罪等に適用されていた医師法21条を、医療にも拡大して適用した。(現場からの医療改革推進協議会 医師法21条の歴史と矛盾http://expres.umin.jp/genba/kaisetsu01.html) 厚労省が医師法21条の適用範囲を元に戻さない限り、法令の適用を「限定する」と言っても、信用できない。 

(19) 医師法第21条を改正し、医療機関が届出を行った場合にあっては、医師法第21条に基づく異状死の届出は不要とする。
 

・この改正案では、医療機関が委員会へ届出なかった場合は、医師法21条に基づく警察への届出義務があるため、上記の届け出範囲を「限定する」制度上の担保は存在しない。

・医療機関が委員会へ届出なかった場合は、医師法21条に基づく警察への届出義務があるため、死亡事例すべて届出とならざるを得ない。 

(21) 医療法では医療機関における医療安全管理の責任は、その管理者にあることを踏まえ、届出範囲に該当するか否かの判断及び届出は、死体を検案した医師(主治医等)ではなく、必要に応じて院内での検討を行った上で、当該医療機関の管理者が行うこととする。
 

・管理者が委員会へ届出なかった場合は、医師(主治医等)に医師法21条に基づく警察への届出義務が発生する。責任を問われる者が、管理者と医師(主治医等)に分かれているという法的なねじれ構造を、厚労省は十分説明すべきである。 

(22) 届出範囲に該当すると医療機関の管理者が判断したにもかかわらず故意に届出を怠った場合又は虚偽の届出を行った場合や、管理者に報告が行われなかった等の医療機関内の体制に不備があったために届出が行われなかった場合には、医療機関の管理者に、まずは届け出るべき事例が適切に届け出られる体制を整備すること等を命令する行政処分を科すこととする。このように、届出義務違反については、医師法第21 条のように直接刑事罰が適用される仕組みではない。

(27)⑤ 地方委員会(調査チームを含む。以下同じ。)には、医療機関への立入検査や診療録等の提出命令、医療従事者等の関係者からの聞き取り調査等を行う権限を付与する。

 

・P.10【行政処分】参照。 

(23) 医療機関の管理者が、医師の専門的な知見に基づき届出不要と判断した場合には、遺族が地方委員会による調査の依頼を行ったとしても、届出義務違反に問われることはない。
 

・この場合、管理者が届出義務違反に問われることはないが、医師(主治医等)が医師法21条に基づく警察への届出義務違反に問われる危険性が高い。 

(29) 医療機関からの届出又は遺族からの調査依頼を受け付けた後、疾病自体の経過としての死亡であることが明らかとなった事例等については、地方委員会による調査は継続しない。(この場合には、医療機関における説明・調査など、原則として医療機関と遺族の当事者間の対応に委

ねることとする。)

 

・無責任に途中で投げ出し、患者・家族の不信・不満を煽るような、第三者介入の制度をつくる意義は何か。そもそも当事者間の対応が基本であり、当事者間で十分調査及び対話を行い、それでも患者・家族の納得が得られない場合に、第三者の介入を可能とする制度とすべきである。 

【院内事故調査と地方委員会との連携】


(33) このため、一定の規模や機能を持った病院(特定機能病院等)については、医療法に基づき設置が義務付けられている「安全管理委員会」の業務として、地方委員会に届け出た事例に関する調査を行い再発防止策を講ずることを位置付ける。

(35) 一定の規模や機能を持った病院(特定機能病院等)については、安全管理委員会に、事故調査委員会を設置するなどして医療事故調査を行うこととし、①当該医療機関以外の医師や弁護士など外部の委員の参画、②調査結果の患者・家族への説明を行うこととする。なお、その具体的な運営の在り方については、引き続き検討する。また、中小病院や診療所については、自施設での医療事故調査には様々な困難があることから、その支援体制についても併せて検討する。

  • 「安全管理委員会」の業務は、安全管理つまり将来のすべての患者に関する再発防止であり、調査業務つまり過去の一人の患者に関する真相究明とは異質のものである。「安全管理委員会」と真相究明を行う院内の委員会とは、連携は必要だが、独立のものとすべきである。
  • 厚労省は医療費抑制を優先するあまり、医療者の雇用を増やさずに兼任で新たな業務を法的に課すばかりでなく、十分な安全管理及び真相究明に取り組める雇用を増やせるよう、十分な財源措置を講ずるべきである。

【捜査機関への通知】

(39) 医療事故による死亡の中にも、故意や重大な過失を原因とするものであり刑事責任を問われるべき事例が含まれることは否定できない。医療機関に対して医療死亡事故の届出を義務付け、届出があった場合には医師法第21 条の届出を不要とすることを踏まえ、地方委員会が届出を受けた事例の中にこのような事例を認めた場合については、捜査機関に適時適切に通知を行うこととするが、医療事故の特性にかんがみ、故意や重大な過失のある事例その他悪質な事例に限定する。

(40) 診療行為そのものがリスクを内在するものであること、また、医療事故は個人の過ちのみではなくシステムエラーに起因するものが多いこと等を踏まえると、地方委員会から捜査機関に通知を行う事例は、以下のような悪質な事例に限定される。

① 医療事故が起きた後に診療録等を改ざん、隠蔽するなどの場合

② 過失による医療事故を繰り返しているなどの場合(いわゆるリピーター医師など)

③ 故意や重大な過失があった場合(なお、ここでいう「重大な過失」とは、死亡という結果の重大性に着目したものではなく、標準的な医療行為から著しく逸脱した医療であると、地方委員会が認めるものをいう。また、この判断は、あくまで医療の専門家を中心とした地方委員会による医学的な判断であり、法的評価を行うものではない。)

 
  • 「責任追及を目的としたものではない」ならば、行政処分機関にも捜査機関にも通知すべきではない。
  • 「重大な過失」は刑事責任を問われるべきと断定しているが、「重大な過失」か「軽度な過失」かという判断は、医学的判断ではなく法的判断であり、委員会がこのような法的判断をする機関であるならば、法的責任追及を行う機関であるといえる。
  • 現状において、「軽度な過失」でも処罰されており、「重大な過失」か「軽度な過失」かという判断は、運用によってどのようにでも解釈し得る。(井上清成弁護士 刑事司法が再び“暴走”する危険はないのか ソネット・エムスリーhttp://www.m3.com/tools/IryoIshin/080214_1.html
  • 悪質か否かも、運用によってどのようにでも解釈し得る。例えば、証拠隠しをしたものに限らず、営利目的、実験的、名声追求の利己目的、説明不足でも、どのようなものでも悪質というレッテルを張られかねない。つまり、運用に歯止めがない。(井上清成弁護士 刑事司法が再び“暴走”する危険はないのか ソネット・エムスリーhttp://www.m3.com/tools/IryoIshin/080214_1.html
  • 現状において、薬剤や患者の取り違いといった、単純ミスは「重大な過失」とされている。死亡という重大な結果だからこそ、「重大な過失」とされ業務上過失致死罪が適用されている。(井上清成弁護士 単純ミスは「重大な過失」か ソネット・エムスリーhttp://www.m3.com/tools/IryoIshin/080115_1.html
  • 現状において、刑事司法は結果の重大性に着目しているが、その取り扱いを変更することについて、何の権限もない厚労省の一検討会が記載したに過ぎず、警察・検察の公式見解は書かれていない。
  • 業務上過失致死傷罪の“暴走”が続かないという保障はどこにもない。(井上清成弁護士 刑事司法が再び“暴走”する危険はないのか ソネット・エムスリーhttp://www.m3.com/tools/IryoIshin/080214_1.html
 

3 医療安全調査委員会以外での対応(医療事故が発生した際のその他の諸手続)について

 医療安全調査委員会は、医療死亡事故の原因究明及び再発防止を目的としたものであり、その業務は調査報告書の作成・公表及び再発防止のための提言をもって終了する。医療死亡事故が発生した場合の民事手続、行政処分、刑事手続については、委員会とは別に行われるものである。
 
  • 既に述べたとおり、委員会は、原因究明の目的も、再発防止の目的も十分に果たすことはできず、責任追及のための委員会として機能するだろう。
  • 全国唯一の機関が、多様なはずの「正しさ」をひとつに決めてしまう報告書を公表することにより、民事手続、行政処分、刑事手続において、公式・非公式に報告書が利用され、多様な「正しさ」が、与えられたひとつの「正しさ」に合致しない場合には処罰されることになる。結果として、紛争が増加する、あるいは、紛争を回避しようとすれば、与えられたひとつの「正しさ」に従うため委縮医療とならざるを得ない。
 

【遺族と医療機関との関係】

(41) 一般に、診療行為に関連した予期しない死亡を始めとした医療事故が発生した場合に医療機関に対して求められることは、「隠さない、逃げない、ごまかさない」ことである。こうした初期の対応が適切になされない場合に、患者・家族と医療機関の意思疎通は悪化し、遺族の医療機関への不信感が募り、紛争に発展しているとの意見もある。医療事故の発生時には、医療機関から患者・家族に、事故の経緯や原因等について、十分な説明がなされることが重要である。

(42) このためには、日常診療の中で医療従事者と患者・家族が十分な対話を重ねることが重要であり、また、事故発生直後から医療機関内での対応が適切になされる必要があり、患者・家族の感情を受け止め、真摯にサポートする人材の院内の配置が望まれることから、その育成を図る。

(43) また、医療機関と遺族との話し合いを促進する観点から、地方委員会の調査報告書は、第三者による客観的な評価結果として遺族への説明や示談の際の資料として活用されることが想定される。これにより、早期の紛争解決、遺族の救済につながることが期待される。

(44) 医療機関と遺族との間では紛争が解決しない場合の選択肢としては、民事訴訟や裁判所による調停、弁護士会の紛争解決センター等の裁判外紛争解決(ADR)機関の活用等がある。いずれの場合においても、事実関係の明確化と正確な原因究明が不可欠であり、地方委員会の調査報告書は、早期の紛争解決、遺族の早期救済に役立つものと考えられる。

(45) なお、民事訴訟制度による紛争解決には、解決までに時間がかかる、費用が高い、経過や結果が公開される等、様々な制約もあることから、医療においても、裁判外紛争解決(ADR)制度の活用の推進を図る必要がある。このため、医療界、法曹界、医療法に基づき各都道府県等に設置された医療安全支援センター、関係省庁、民間の裁判外紛争解決(ADR)機関等からなる協議会を設置し、情報や意見の交換等を促進する場を設ける。

 
  • 【遺族と医療機関との関係】に述べられていることが、医学的・科学的な真相究明と同様、初期から取り組むべき重要なことであるにも関わらず、具体的な案が提示されていない。
  • 早稲田大学紛争交渉研究所や日本医療機能評価機構では、医学・心理学・法学等を組み合わせ、患者・家族と医療者の対話促進・関係再構築を支援するモデルとしてメディーション技法を開発し、平成16年から約700~800名の院内医療メディエーターを育成した実績がある。(下図:東京大学医科学研究所 医療崩壊の現状分析と対策に関する考察http://kousatsu.umin.jp/) 
  • 2008年3月7日に、日本医療メディエーター協会が設立され、さらに養成プログラム、研鑽・意見交換、普及・連携活動等を行っている。(日本医療メディエーター協会http://www.jahm.org/index.htm
  • 国は、これら民間の自発的な活動や弁護士会の裁判外紛争解決(ADR)機関等の活動を推進する環境整備や財政措置を講ずるべきである。
  • 国は、このような人材の院内の配置のため、病院が雇用できるよう、財源措置を講ずるべきである。

医療崩壊の現状分析と対策に関する考察http://kousatsu.umin.jp/ 

【行政処分】

(22) 届出範囲に該当すると医療機関の管理者が判断したにもかかわらず故意に届出を怠った場合又は虚偽の届出を行った場合や、管理者に報告が行われなかった等の医療機関内の体制に不備があったために届出が行われなかった場合には、医療機関の管理者に、まずは届け出るべき事例が適切に届け出られる体制を整備すること等を命令する行政処分を科すこととする。このように、届出義務違反については、医師法第21条のように直接刑事罰が適用される仕組みではない。

(27)⑤ 地方委員会(調査チームを含む。以下同じ。)には、医療機関への立入検査や診療録等の提出命令、医療従事者等の関係者からの聞き取り調査等を行う権限を付与する。

(47) 地方委員会では、医療の安全の観点からの調査が実施されることから、医療事故に対する行政処分は、医療の安全の向上を目的とし、地方委員会の調査結果を参考に、システムエラーの改善に重点を置いたものとする。

(48) 具体的には、以下のとおりとする。

① システムエラーの改善の観点から医療機関に対する処分を医療法に創設する。具体的には、医療機関に対し、医療の安全を確保するための体制整備に関する計画書の提出を命じ、再発防止策を講ずるよう求める。これにより、個人に対する行政処分については抑制することとする。

② 医師法や保健師助産師看護師法等に基づく医療従事者個人に対する処分は、医道審議会の意見を聴いて厚生労働大臣が実施している。医療事故がシステムエラーだけでなく個人の注意義務違反等も原因として発生していると認められ、医療機関からの医療の安全を確保するための体制整備に関する計画書の提出等では不十分な場合に限っては、個人に対する処分が必要となる場合もある。その際は、業務の停止を伴う処分よりも、再教育を重視した方向で実施する。

(49) なお、医療事故に対する行政処分については、医療従事者の注意義務違反の程度の他、医療機関の管理体制、医療体制、他の医療従事者における注意義務の程度等を踏まえて判断する。このため、医道審議会における審議については、見直しを行う。

 
  • 「まずは・・体制を整備する・・行政処分を科す」とあるが、次はどんな行政処分を科すのか書かれていない。曖昧な届出範囲に該当するか否かは、法令を運用する者(厚労省等)が事後的に決めるのであるから、法令を運用する者の個別判断次第で、このようなケースが頻発することも十分考えられる。
  • 医療法に、管理者に対する新たな行政処分を設けようとしているが、既に存在する行政処分について、十分説明すべきである。例えば、現状において既に次のような行政処分権限が存在する。

    ○健康保険法 ほぼすべての病院に毎年1回立ち入る

     社会保険事務局が保険医・保険医療機関・保険薬剤師・保険薬局の指定・取消の権限をもつ

    ○医療法 ほぼすべての病院に毎年1回立ち入る(医療監視員)

     都道府県が医療機関の開設・休止・廃止、増員命令、医療機関の業務停止命令、施設使用制限命令、管理者の変更命令の権限をもつ。

     医政局指導課は特定医療機関に関してのみ権限をもつ

    ○医師法 

     医政局医事課が医師免許取消・医師の業務停止命令の権限をもつ

  • 医療法に基づく医療機関に対する処分権限は都道府県がもっているが(地方分権の流れになる前から、歴史的にも医療は県の行政)、重複して国が処分権限を持たなければならない理由は何か。国に新たな権限を創設するのではなく、県に任せるのが筋ではないか。ひとつの事案について、医療機関に対する処分と、医師(主治医等)への処分とが、両方発動される(厚労省が暴走する・単に処分が二重になるだけ)危険性が高い。
  • 現に、厚労省は、保険医取り消しの行政処分と、医業停止の行政処分を二重に行っている。医療機関や管理者に対する行政処分権限を創設すれば、医師(主治医等)に対する行政処分がなくなるわけではない。従って、「個人に対する行政処分については抑制する」制度上の担保は存在しない。
  • 個人の注意義務違反に関する判断は、医学的判断ではなく、法的判断である。「委員会の調査結果」に、このような判断が含まれるのであれば、この委員会は責任追及のための機関であるといえる。
  • 国が実施する再教育制度は、法制度上、明確な「不利益処分」であり、これを拡大・強化することは、国家による「ペナルティ」強化であり、萎縮医療につながる。現場の医師達が指摘している「再教育」、つまり、ある医師の将来のためを思い、その医師が診療する患者のためを思い、その専門性・地域性・診療内容に対応した「研修」「教育」とは、明らかに異質のものである。専門性・地域性・診療内容を考慮して、再教育の内容をひとりひとり個別に組むことは、医療の素人である役人には不可能である。もし本当に、目的が「ペナルティ」ではなく、「教育」であるならば、法律上 の「不利益処分(ペナルティ)」である再教育制度とは、明確に切り離す必要がある。本当の「教育」は、現場の医師達が主導で、各専門分野、各職場で行う以外に実現方法はない。病院長のリーダーシップや現場の専門家間の評価(Peer Review)をいかにうまく機能させていくか、各地で活発な議論が始まっている。

 

 

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