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2007/08/24 読売新聞
過酷な労働環境に置かれた勤務医の負担を減らすため、厚生労働省は、交代制や変則勤務の導入など医師の勤務時間を短くする工夫をした病院を支援する制度を設ける方針を決めた。
補助金交付のほか、将来的には診療報酬で優遇することも視野に入れている。特に、夜間救急の多い小児科や産科では、医師の長時間労働が常態化し、過労死や医療ミスにもつながっているとの指摘もある。同省では、新制度により、医師の病院離れや医療事故を予防する効果も狙っている。
来年度、各都道府県2か所程度の病院を選んでモデル事業をスタートさせる。各病院では、昼と夜の交代制勤務のほか、子育て中で都合のいい時間帯だけ働ける医師や夜間だけ働ける医師など非常勤医師も組み合わせる変則勤務の導入などにより、勤務時間短縮に知恵を絞ってもらう。これに必要な経費は、国、都道府県、病院で3分の1ずつ負担する予定で、同省は国負担分として来年度の概算要求に約4億2000万円を盛り込む方針だ。
同省は、モデル事業の結果を分析し、具体的な制度のあり方を検討。制度の運用が本格化した後は、工夫をしている病院に診療報酬を手厚くするよう改定することも検討する。
同省によると、医師の勤務時間を短縮した先進例としては、2002年4月から交代制勤務を導入した「徳島赤十字病院」(徳島県小松島市)がある。同病院の小児科では従来、医師4人が平日の日勤をこなしたうえ、夜間の緊急対応のための自宅待機、土日出勤を交代で担当していた。しかし、この体制では、宿直勤務や夜間の緊急対応があった場合、連続36時間勤務となるほか、休日も月3~4日程度しか取れなかった。
そこで、常勤を3人、非常勤を1人増やして、朝から夕方までの日勤約8時間、夕方から朝までの夜勤16時間の完全2交代制を導入。勤務はどんなに長くても1日16時間に減り、週休2日が可能になった。
小児救急医療拠点病院として24時間の診療体制も確立され、受診患者数は2倍程度に増加している。
厚労省が、個々の病院で配慮すべき医師の勤務体制にまで踏み込むのは、勤務医の過重労働が、国としても見過ごせないレベルに達しているからだ。
今年2月、北海道労働局が時間外勤務が月100時間を超えていた男性小児科医(当時31歳)の突然死を労災認定した例など、勤務医の過重労働による死は枚挙にいとまがない。日本医療労働組合連合会の調査でも、1か月間休みなしの勤務医が3割近くいることが判明。病院から医師が逃げ出した結果、診療科が閉鎖され、地域医療が成り立たない事態も相次いでいる。
新制度にしても、そもそも増員分の医師をどこから確保するのか――など実現のために検討すべき課題は多いが、今、何か手を打たなければ事態の悪化は免れない。疲れ切った医師が治療に当たり、不利益を被るのは患者だ。医師の心身の健康を守るために、国を挙げて取り組む時が来ている。(社会部 岩永直子)
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