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 医療事故について、対話の場がないため、訴訟になっている可能性はあります。医療訴訟は患者さんサイドにとっても、大変な時間と労力(とくに民事訴訟は立証責任が患者さんサイドに課せられます)がかかります。

我々医療従事者にとっても、そういう場を設けることで、患者さんサイドの理解を助けることが出来るといいですね。もちろんこの機関が万能とは言いかねますが、機能していってくれるといいですね。ぽち→ 

 

医療事故、対話解決促す・被害者遺族ら参加し調停機関

日本経済新聞2007/06/15 夕刊 

 医療事故を巡る紛争のより良い解決を図ろうと、医療従事者や弁護士、研究者に加え、被害者遺族も運営に参加する「医療事故紛争処理機構」が近く設立される。医療訴訟は件数増加や長期化で、当事者双方の負担の大きさが問題となっている。機構は対話を重視し、双方が納得する解決策を提示、迅速な和解へと導くことを狙う。

 機構は4月施行のADR(裁判以外の紛争解決)法に基づく認証機関として申請する予定。被害者側も理事として参加する医療版のADR機関設立は初めて。17日に特定非営利活動法人(NPO法人)の設立準備総会を開く。  (19:14)

 

 機構は当初、関東地方の病院と連携し、医療紛争の解決モデルの構築を目指す。茨城、愛知、福岡などでも紛争解決機関設立の動きがあり、機構は将来的には広域連携も市兄入れている。

 最高さによると、医療訴訟の提訴件数はこの吸うんん1千件前後で推移し、十年前の約二倍。平均審理期間も二年超と長期かも課題だ。こうした訴訟リスクが産科などで医師不足の一因となっている。

 こうしたなか、機構は被害者側と医療者側双方に負担の少ない解決法を築くことを目指す。

 まず機構が派遣する仲介役(メディエーター)を交えて、被害者側と医療者側が対話。感情的な対立を取り除きながら「何が起きたか」という事実関係を整理する。

 次に事故のないように応じ、その分野に詳しい医師や弁護士を審査委員とする「中立評価パネル」を機構が設置。因果関係などの評価を加え、賠償案などを提示する。双方が納得すれば和解に至る。

 対話のカギとなる仲介役は、厚生労働省や日本医師会などが出資する財団法人「日本医療機能評価機構」や早稲田大学紛争交渉研究所などが実施している専門セミナーを受けた医師や看護師、弁護士などを活用する。

 寄稿の代表理事に就任予定の和田仁孝・同研究所長は「医療事故の真相を究明し、過ちは認め、再発を防ぎたい思いは被害者側も医療者側も同じ」としたうえで「原告と被告と言う立場で感情的な対立が強まる裁判ではなく、被害者遺族の超えも生かした対話重視の解決が重要」と話している。日本医学会の高久史麿会長ら医療関係者やADRに取り組んできた弁護士らが顧問などを務める。

 

☆ADR法

 司法制度企画の一環で今年四月に施行。裁判以外の方法で紛争解決を促すため、弁護士以外でも政府の認証機関になれば、和解の仲介(調停やあっせん)が可能になった。裁判より時間と費用をかけずに、より専門的見地からの解決が期待されている。

 競技スポーツの代表選手選出トラブルなどを扱う日本スポーツ仲裁機構がまず申請。また、認証機関の仲介では提訴期限である「時効」が中断する。弁護士法の仲介ではこの時効の中断がないため、大阪弁護士会も認証に名乗りを上げている。

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[崩壊進む医療制度]小松先生に聞く

SkyTeam / 2007.06.16 07:20 / 推薦数 : 36
 「医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か」で警鐘を鳴らし続けている小松先生の新刊が6/18に出版されるようです。また、長文のインタビューが業界紙に掲載されていました。ぜひ、読んでください。ぽち→ 

新潮新書 「医療の限界」

小松秀樹:著 
 医師のミスは「犯罪」か? 患者は消費者か? 『医療崩壊』の現場から鋭く問う!

日本人は死生観を失った。リスクのない治療はない。患者は消費者ではない――。医療の現場を崩壊させる、際限のない社会の「安心・安全」要求、科学を理解しない刑事司法のレトリック、コストとクオリティを無視した建前ばかりの行政制度など、さまざまな要因を、具体例とともに思想的見地まで掘り下げて論及する。いったい医療は誰のものか? 日本の医療が直面する重大な選択肢を鋭く問う。

壊進む医療制度 社会的共通資本として保全を

農業共同組合新聞2007/06/14


虎の門病院(東京)泌尿器科部長 小松秀樹氏に聞く
聞き手:原田康本紙論説委員

 医療費抑制と安全要求。医療機関は2つの相矛盾する圧力にさらされている。患者は医療の安全・安心を求めるが、医療コストは抑制され、日本の医療費は先進7ヵ国で最低だ。今回は庶民大増税に伴う国保税や介護保険の値上がりの中で進行する医療危機の状況や対策などを聞いた。医療が進歩するほど新しいタイプの医療事故が登場すること、また、期待が大きくなりすぎて医事紛争が増えるという深刻な状況も語られた。聞き手は原田康本紙論説委員。 

 

◆医師不足

 ――医師不足がひどいのはどの分野ですか。

 「全国の病院で不足していますが、特に救急や、手術などを行う大きな急性期の病院から勤務医がいなくなり、楽で紛争のリスクの低い開業医へとシフトしています」

 ――勤務医が減って開業医が増えているのですね。全体としてはどうなのですか。

 「外国と比べて日本の医師数は少ないのです。人口対比で見ると、先進国からなるOECD(経済協力開発機構)30ヵ国のうち日本は下から数えて3、4番目です。30ヵ国平均の3分の2程度です」

 ――医療費抑制を緩和する必要がありますね。

 「医師を増やし始める政策への転換が求められます。日本の医療費は04年から先進7ヵ国で最低になりました」

 ――「医療崩壊」など先生の著書には英国の事例が紹介されています。

 「1979年に就任したサッチャー首相が医療費抑制政策をとり続けた結果、英国の医療は崩壊しました。日本でもすでに小児救急が崩壊し、産科診療でも崩壊が進んでいます」
 「英国では年間予算を使い果たした病院(予算制)が、患者がいるにもかかわらず年度途中で休院してしまうこともあるそうです。また英国の医師は大量に海外へ流出しています」

 ――サッチャー政権は市場原理主義の政策を実行しましたが、医療や福祉に市場原理を持ち込むのは間違いです。

 「日本の勤務医は手術の最中にこの材料を使ったら、いくらになるかなんてカネのことは考えません。どうしたら1番うまくいくかだけを考えています」
 「英国の医師たちは無理な仕事からは逃げてしまいます。困るのは患者たちです。ところが日本では悪化する労働環境の中でも、がんばって働く医師がおります。そこには、いささかの誇り・生きがい・価値観といったモチベーションがあります。日英の違いはそこにあると思います。大病院は勤務医の給料を抑えないと経営が成り立たないので、特に若い医師たちが不幸な状況にあります」

◆米国の実情

 ――米国はどうですか。

 「ひどいですね。英国以上の医療崩壊で、医療がカネもうけの産業になっています。カネのない人は医者にかかるなといった状況です。WHO(世界保健機構)も英国のほうがまだましだと評価しています」
 「保険会社も、もうけ優先で保険金を極力支払わないようにしています。保険料によるサービス格差が大きく、また保険が利くのは保険会社指定の医師だけです。指定専門医が200キロ先だったりします」

 ――保険に入っていても保険が利かない状況ですね。

 「年間家族を含めて約200万人が医療費支払いのために破産しています。個人破産全体の約半数に当たります。その人たちの75%は保険を持っていますが、患者負担分や例外規定があるため、破産に追い込まれたのです」
 「余談ですが、米国内で加入者とのトラブルに対応していては人件費がかさむので、一部では電話応答のセンターをインドに置き、インド人が一生懸命支払いを断っています」

 ――保険を持っていない人もたくさんいますね。

 「中間からやや下の層、約4700万人は保険を持っていません。医療にかかれない人が大勢います。米国の乳児死亡率は、貧しいキューバを上回っているのです」
 「私は6月に新刊本を出しましたが、その中の一部分を紹介します。ある日本人が米国へ行った時に病気で倒れ、最終的に亡くなられました。生存中に旅行者医療保険や自己負担で3300万円を支払いましたが、死亡後、2億円余の追加請求書が来ました。家族の帰国後、取り立て屋が通訳を連れて来日した、という話です」
 「米国では保険会社と病院の間には一定の価格帯がありますが、保険を持っていない患者は双方の顧客ではないため、その数倍の医療費を吹っ掛けるようです。もうけられる時にとことんもうけようというのが米国流の正義なのです」

◆医事紛争

 ――小泉内閣時代にはそうした米国モデルを日本の理想とする規制改革・開放などの議論がありました。

 「しかし米国の現実が余りにもひど過ぎるので最近は余りいわれなくなりました」

 ――さて、医事紛争が増えていますが、医療をめぐる医師と患者の考え方にはボタンの掛け違いというか齟齬があります。医師側は医療を常に発展途上の不完全技術であり、結果は不確実たらざるを得ないとしていますが、患者側は現代医学を万能視しがちだと、先生は書いておられます。

 「患者が死亡すると遺族は医療過誤があったのでは? と疑問を抱きます。メディアも警察も司法も患者・家族の側に立ちます。専門知識に乏しい警察官が捜査し、その発表を受けて、これまた医療のことを余り知らない記者たちが報道するという状況です」
 「以前の医療事故はほぼ民事事件扱いでしたが、02年前後から刑事事件として扱われるケースが増えました。医師が善意で医療をしても運が悪いと刑法の業務上過失致死傷で有罪になりかねません。また被疑者として報道されただけで社会的生命を絶たれたりします」

 ――医療ミスの判定は非常に微妙で困難です。

 「医療に伴う望ましくない結果(有害事象)は統計的に必ず数%は出ます。その中には白か黒かはっきりしないグレーゾーンがたくさんあります」
 「しかし裁判官は業務上過失致死傷罪という理念に基づき、えいやっと気合で白黒を判断します。医療は常に前進しようとして、もっと良い方法はなかったかと反省しますが、そうした記録を残すと、それが証拠となって犯罪の構成要件を充たすことになるのです。乱暴なやり方です」
 「科学の基本は帰納です。医療裁判でも医療の全体像を眺め、その上で理念が適切かどうかを判断すればよいと思います」

 ――「結果違法説」をとると普通の医師はみな犯罪者になってしまいます。

 「だから勤務医は医療事故のリスクを避けて開業医になっていくわけです。大きな対策としては、医療とはどういうものかを意識的に周知するような活動で社会思想を醸成していく必要があると思います」

◆「無過失補償」導入を

 ――「医療事故調査機構」設置についてはいかがですか。

 「公正取引委員会とか海難審判庁などという制度があるのですから医療事故に対しても専門的な機関が必要です。ただ政府は設置を急いでいますが、私は合意なしに拙速でつくるのはいけないと思います。この機構では何をやるのかよく議論すべきです」

 ――最後に「無過失補償制度」についてはどうですか。

 「スウェーデンやニュージーランドで実施されている制度で、医師の過失を証明することなしに、補償という形で被害者を救済しています。私はこれの導入を願っています」
 「私が考える導入目的は社会的共通資本としての医療制度の保全です。すべての医療過誤被害者を公平に救済して、患者と医療従事者の相互不信を解消しなければなりません」
 「一般には無過失といわれているものの、一定の条件、すなわち、標準的な専門医の水準に達していない医療によるもの、不可抗力であっても稀で重篤なものなどが補償されます。正確には『非対立性過失証明不要型補償』とでもいうべき制度です」
 「日本弁護士連合会も導入を主張していますが、被害者に補償はするが、医療事故が起きた以上は誰かが悪いはずだから、その責任は追及しなければならないということを前提としているようです」
 「これではスウェーデンの状況と基本的に違ってきて、補償を受けたあとも民事で争い続けることとなり、両刃の剣で日本の医療制度を破壊しかねません。導入に当たってはもっと総論的な話し合いをしないといけないと思います」

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インタビューを終えて

 小児科、産婦人科医の不足は患者、家族にとっては深刻な問題である。小松先生の表現によれば「立ち去り型サボタージュ」という現象は何故起きているのか。
 日本の医療の構造的な問題を象徴的に表している姿である。イギリスの“医療崩壊”では「医師は困っていない、割り切ったからである。困っているのは患者である」とのご指摘はショックである。日本では医師が頑張っておられるからまだ持っている。
 医療事故を患者と医師との感情的な対立、医師を刑事被告人として裁くことから専門的な立場からの原因の究明と解決をする機関をつくる構想について、政府は議論を急ぎすぎているという。権力を持った機構を拙速に作ることはとても危険である。
 医療問題は、大学の医局の封建制、日本医師会、マスコミの報道姿勢も問題である。小松先生の著書「医療崩壊」(朝日新聞社刊)を是非読まれることをお勧めしたい。(原田)

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