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医療制度とビジネスについて考える

SkyTeam / 2007.05.31 09:00 / 推薦数 : 10

 昨日は、「異業種異文化交流日記~MD・MBAへの道~」ハーバードビジネススクールでMBAをとられたY先生の講演会を聞いてまいりました。医療ビジネスの可能性だけでなく、アメリカと日本の間の医療制度の違い、医療制度への提言、医師のキャリアなど盛りだくさんで、2時間の間飽きさせないお話でした。

 Y先生は東京大学の卒業後、実際に臨床を6年やられてからハーバードを選ばれたのですが、やはり医師としてしっかり自分の専門的な経験を元に留学されたということで、医療について、とてもよく整理されたお話をされました。

 

 最初に、あるべき医療制度とビジネスモデルとしては、ベネフィット(健康で長生き)を提供する側である医療提供者である医師や病院が正当な対価(お金、評判、権威、やりがい)を受け取れる形が持続可能(sustainable )であることが求められるが、現状の日本のように、さまざまな制度疲労もあって、持続が難しくなっているという現状があります。

 医療のプレーヤーとしては、患者さん、保険者(保険会社)、病院、政府、製薬・医療機器メーカーなどがあり、日本では患者さんがフリーアクセスで病院を選べる一方、保険会社を選べない(逆にアメリカはアクセスできる病院が収入や契約している保険内容によって制限を受けている)。アメリカではさまざまな保険が保険会社によって提供され、患者さんが選べるが、保険会社は病院に対して、医療の内容について請求書をチェックしたり、内容を元に値引きをさせたりする強力な力を持つ(間接経費が高い)が、日本では保険者はほとんど病院の行う医療について口を挟むことは難しく、ほとんどお金を言われたまま払うので間接経費は低い(保険会社がもうけに走ることはほとんど不可能)。

 アメリカの病院の場合、保険会社との関係を尊重せねばならず、日本のように患者さんだけを診ることに専念できない。製薬企業や医療機器産業に対して規制をかけるのはアメリカも同じだが、日本のように規制が強すぎて産業として衰退(国内の市場は成長がほぼとまっています)するようなことはなく、また業界から政府に対して働きかけをすることで変革もされるが、日本の場合、産業育成の目からみると価格を管理され、製品の世代交代や技術導入が遅れるほど問題になっている。また政府の機能としては日本の場合、医療の価格を決めるのは政府であるが、アメリカは競争で病院と保険者の間でかけひきの上で決められ、政府の役目は弱者救済が主体となる。

 日本の場合、人口あたりのベッド数が多いのに、働き手である医師の数は少なく、看護師も少なくはないがベッド数が多すぎて十分なマネージメントがなされていないなど、医療の環境がアメリカとは異なる上、さらに根本的に異なる文化であり、アメリカで成功しているからといって日本で行えば大成功とは行かない。

 

 ありがちな医療ビジネスの失敗例として

「医療制度の根本を無視した誤解」

 医療ビジネスはもうかるはず、アップサイド(成功した場合の利益)は莫大なはず…仕組みがわかっているつもり

 

「医療のあり方、業界のタイムスケールに対する無知」

 誰の利益の最大化なのか(儲からない患者さんを見捨てられるのか)

 投資回収機関が従来の業界より長い(不動産投資とかと違います)

 利益相反、倫理問題が常につきまとう

 

 これらを元に、医療ビジネスの切り口として…どのプレイヤーへ働きかけるのか(医療機関、保険者、患者さん)、どの医療フェイズにかかわるか(治療、予防、健康増進など)、どう参入するか(既存業界か、新規創出か)があるとのことでした。

 このあと、医療ビジネスについてさまざまな具体的な事例が紹介されていましたが、医療の3大要素である「質、コスト、アクセス」についてどれも全てを求めず、ひとつかふたつに絞ったものが成功するように感じました。

 アクセスとコストを選択したMinute Health-Wal Martの事例では、患者さんの待ち時間を短縮のために、立地をショッピングモール、対象疾患の絞込み、医師ではなく看護師とし、プロセスを簡素化。逆に高額な医療機器を入れて失敗したHealth Stopのように同様な業態を目指しても、三つとも成り立たせようとしても結果は厳しい。

 

 また質に特化してHospital for Special surgeryとしては股関節疾患と内科にのみ特化し、低侵襲手術を開発し、病院の入院期間短縮、リハビリ期間の短縮、チームワークと個人の役割などを明示するなどで、継続的な改善を行い、NYで始まったビジネスだがイギリスでも展開しているものもある。しかしカテーテル治療に特化した病院の場合、難治症例は断り、簡単な症例ばかりを集めて他の医療機関の不興を買い、その州ではカテーテル治療のみに特化した医療施設の開設は許可されないような規制がかかった例もあった。

 

 他にもオペレーションの改善、財務体質の改善などさまざまなアプローチが紹介されていました。究極なビジネス?としては肥満ビジネスも紹介されていました(アメリカですからね)が、患者さんにがんばってもらえば成功しますし、必ずリバウンドするので、リピーター率も高いとまで言ってましたが…自分もY先生と同様にあんまり儲かってもなぁ的なビジネスでもありました。

 

 医療ファンドや医療REITについてもお話がありましたが、日本国内でも設立されていますが、病院に資金を投入してきちんと行えば保険から払われるので取りこぼしは少ないが、逆にいうと過剰利潤は難しく、また回収期間が長い(10年以上)ことを考えると、不動産業とはちょっと異なるのではないか…ということでした。質疑応答では、東京近郊でも100床レベルの病院や施設などが売りに出されているが、老朽化した設備などで買い手がつきにくい状況だというお話がある方からありました。

 

 あとで懇親会でお会いした方のお仕事の内容を聞いたところ、医学生さんや研修医の先生(徳洲会の病院で今日から沖縄で離島勤務だとか)、小児科の先生、美容形成外科医の先生、看護師さん、薬の卸業者さん、法科大学院生、シンクタンク…などさまざまな方が出席されていて楽しかったです。

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 いずれにせよ、今後、こういう人材を日本も育成するべきだということには賛成しますし、日本医師会も小額でもいいので奨学金とか出してもいいと思うのですが(慶応大学のMBAのコースは400万円ですが、ハーバード大学の学費は聞きそびれました)。

 長文でまとまりのない報告となってしまいましたが、日本の医療の可能性を考えたりするには良い機会を下さった、Y先生ありがとうございました。ぽち→ 

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