日刊薬業2007/05/28
文部科学省は、大学での医学教育の指針となる「医学教育モデル・コア・カリキュラム」を改訂し、医学部を持つ全国の国公私立大学に通知した。地域での医師不足対策が政治課題の1つに挙がる中で、へき地や離島などでの臨床実習を新たな項目に盛り込んだ。専門的な診療科ごとではなく、総合的な診察能力を身に付けることを求めている。
これまでのカリキュラムは、臨床実習の項目は内科系、外科系、救急医療などに限定されていたが、改訂版では新たに「地域医療臨床実習」の項目を新設した。
一般目標には、へき地や離島を含む地域社会で求められる医療や保健、福祉などについて学習することを明記。さらに具体的な到達目標も定め、地域のプライマリケア、病診連携や病病連携、地域の救急・在宅医療などを体験するよう求めている。実習場所には、大学病院では経験できない症例を扱うことができる地域の病院や、保健所、社会福祉施設などを想定している。
改訂版ではまた、医師としての基本的な資質の1つに、地域での医療・保健・福祉などの連携をはじめ、医療をめぐる経済的な側面などを理解することも掲げている。医師の義務や倫理を守り、絶えず患者本位の立場に立つことも求めている。
モデル・コア・カリキュラムに法的な拘束力はないが、文科省高等教育局医学教育課は「各大学の参考にしてもらいたい」としている。
政府・与党が31日の医師確保対策に関する協議会で決定する医師不足対策の原案が27日、明らかになった。対策は6項目で、地方の医師不足を招いたとされる臨床研修制度に関し、研修医が集中する大都市圏の定員を減らし、若手をへき地勤務へと誘導することなどが目玉。6月に決める「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」(骨太の方針)に盛り込んだうえで、与党の参院選公約とする。
臨床研修制度は、研修医と厚生労働省の指定病院の双方の希望が一致して研修先が決まる。昨年の場合、定員1万1306人に対し、研修先が決まったのは8094人。受け入れ枠が上回り地方には1人もいない指定病院もあった。このため、大都市圏の枠を減らす案が浮上。政府・与党はへき地の研修医に対し、将来進みたい分野に行けるよう留学の機会を与えたり、収入加算などの優遇措置を設ける意向だ。
医師、看護師、助産師の業務分担の見直しも打ち出した。日本医師会などの反発を避けるために明記は避けたものの、医師の業務の一部を看護師らに権限委譲し、医師の負担軽減を図る。また、医師が集中している地域の拠点病院に医師バンクを設置、都道府県に医師不足地域への医師派遣をさせる一方、対応できない県の救済のため、国レベルで全国に医師を派遣できる体制を整備する。
このほか、大学医学部定員の「地域枠」拡充、女性医師の働きやすい環境整備なども盛り込んだ。【吉田啓志】
【医師臨床研修制度】 医師免許取得後2年間の初期研修を終えた研修医を対象に04年に導入。それまで若手医師は所属大学病院の医局の指示で地域内の病院で研修し、地方の病院は研修医の受け入れで要員を満たしていた。しかし、病院が医局の派閥に組み込まれたことや勤務条件の過酷さが問題化し、研修先を原則として選べるようにした。このため、都市部に研修医が集中、地方の医師不足が顕在化した。
◆政府・与党の「緊急医師確保対策」の骨子◆
・定年した勤務医らを登録し、緊急の医師不足時には都道府県の要請で国が人材を派遣するシステム構築
・勤務医の過重労働を解消するための勤務環境の整備(交代制勤務の導入▽医師、看護師、助産師らの業務の分担の見直し)
・女性医師の働きやすい環境の整備
・研修医の都市への集中の是正
・医療リスクに対する基本体制の整備(訴訟率の高さが医師不足を招いている産科で、医療事故補償制度を創設▽診療にかかわる死因を究明する制度をつくる)
・医師不足の地域や診療科で勤務する医師の養成の推進(大学医学部定員の地域枠を拡充、国が奨学金を支給)
毎日新聞 2007年5月28日 3時00分
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当たり前ですが、医師は医療のプロです。そして、腕を磨いて、専門医としての資格試験を受け、合格した末に標榜することが許される。あいにくと、自分は外科系ではありませんが、やはり一定の修行期間を経なければ、自分で専門医をとることも出来ません、自分も後期研修医の時に認定医を、そのあと大学院を卒業してから専門医を取得しました。
この晴天の霹靂のような、お役所の勝手な見直しは…いつもそうですが「現場無視」。研修医の研修方法以上に慎重に運ぶべきと思いますが。
むしろ、これを機会に「専門医」というのが尊重されるのならいいですが、今のところ専門医の資格を取るために努力をいくらしても、病院の給料は変化もないですし、資格を維持するために演題を年に何回も提出し、学会発表をしても評価されにくいシステムでは、学会の認定や専門医の標榜もむなしい限りです。やはり、ある程度はその辺を考えてほしいものですね。
個人的には専門医の資格をとるために、学会に入ってるのが当たり前ですし、医学の進歩に遅れないためにも必須だと思います。 しかし、総合医の資格認定があいまいなまま、勝手にお役所が作ったやり方に従来の学会への了承なしにやられたら、誰もが「何だそれ!?」でしょう。もっとも、学会が乱立しすぎてて、どれが必要なのかは問われるべき時代になっていると思いますが。
こういったらなんですが、厚生労働省が総合医を尊重するのは構いませんが、高度な医療は無理なので、お金がかからないように門番を作りました程度なのに、何で専門医の集団に断りもなく「総合科」を標榜させたりを決めようとするのだろうか?。
本来のプライマリーケアの意味以外に、総合医というのを新しく作り出して、既存の臨床系の学会にとってみると、会員数の頭打ちとともに、打撃になるかもしれません。僕は、心臓外科や産科医のように大変なお仕事をしている先生方を尊敬していますし、その人たちを守っているプライドや専門家としての立場を無視した今回のお役所の勝手な考えはどーかと思ってます。本当に総合医を作ろうというのであれば、現場の意見を元にお役所も動いてほしいのですが。
Japan Medicine 2007/05/28
厚生労働省の標榜診療科の表記方法に関する見直し案を受け、日本外科学会は24日、日本消化器外科学会・日本心臓血管外科学会・日本呼吸器外科学会・日本胸部外科学会・日本小児外科学会などの各代表者を緊急招集し、厚労省の表記案に原則反対する方向で合意した。6月早々に拡大会議を開き、標榜部会への対応を協議していく方針だ。一方、日本医学会の高久史麿会長は、本紙取材に対して日本医学会の中に設置した臨床部会の初会合でこの問題を協議していく考えを明らかにした。高久会長は、臨床部会の協議結果を厚労省や標榜部会で公表するという。
◎ 外科関連学会で診療科見直しプロセスに疑義
日本外科学会では、今回の厚労省の判断に対し、反発を強めている。当学会や日本内科学会など臨床現場に関係の深い学術団体に何の説明や意見の聴取をすることなく、標榜診療科名の見直しを進めようとする厚労省の判断に対して強い反対の意向を示している。
医療法第6条の6では、「厚生労働大臣は標榜診療科の政令の制定または改廃の立案をしようとする時には、医学学術に関する学術団体及び医道審議会の意見を聴かなければならない」と規定している。「医学学術に関する学術団体」が、日本医学会を指すのか、加盟の各学会までが含まれるのかは解釈が異なる。
日本外科学会は日本医学会の同案件に対する考え方を確認するとともに、個別学会に何ら意見陳述を求めないまま議論を進める厚労省の動きは、容認できるものではないとしている。
24日は日本外科学会の兼松隆之会長(長崎大教授)が緊急会議を開いた。会議後に本紙の取材に応えた兼松会長は、「診療科名の見直しは国民や医療現場に与える影響が大きい。この件は、性急に結論を求めねばならない事項ではない。患者・国民の声や医療現場の意向を十分に反映した上で、見直し作業を進めてもらいたい」と訴えた。
具体的には、日本専門医認定制機構の専門医の区分に基づいた基本的な領域と、サブスペシャルティーの設定を標榜科目に適用することは、その専門医の区分そのものがいまだ議論の途中であり、妥当ではないとしている。特に、専門医の区分では基本領域の外科と、サブスぺシャルティーの心臓血管外科や消化器外科などが、同等の格付けであるとした。
◎ 6月早々に拡大会議開き対応を協議
兼松会長は、「標榜科目の見直しが必要な部分もあるだろう。しかし、高い専門性を持つ診療科については、カッコではくくれない部分がある」と強調。小さく雑多に書き込む表記法が、患者にとって分かりにくくなるとの見解を示した。
さらに「今日の協議結果を各学会に持ち帰り、6月早々の会議まで議論を深めてもらう」とも付け加えた。日本外科学会では、次回会合までに、日本内科学会などと会合を持ち意見交換をしていきたい意向。そのほか、患者にとって分かりやすい診療科名の表記の在り方についての考え方や、必要に応じてその代替案を検討していく。
◎ 厚労省案は「煩雑で分かりにくい」 高久日本医学会会長
一方、日本医学会の高久史麿会長は、標榜診療科名の表記案に対して「厚労省から十分な説明を聞いていないが、新しい案では基本診療科から外れた学会から反発があるだろう」と語った。
ただ、厚労省側の第1回会合ではサブスペシャルティーの部分について、「厚労省は、当てはまるものは何でも書き込んでいいとの回答だった。それでは煩雑となり、患者・国民にとって、むしろ分かりにくくなるとの危ぐを持っている」ともコメント。厚労省が掲げた患者・国民に分かりやすい標榜科診療科名の表記見直しの目的達成には、距離感があるとの認識を示した。
また、同提案では学会関係者の理解を得ることは厳しいと認識していることも明らかにした。
さらに、同会長は総合科の標榜提案について、行政が個別審査によって標榜資格を付与することに医師側からの反対が大きいだろうと述べた。「最終的に医師会・学会が認めた者を国が追認していく形であれば理解できる」とし、総合科の定義を含め慎重に検討すべきとの考えを示した。
同会長は、今後の対応について日本医学会臨床部会で議論していく方針。その結果は、標榜部会に報告していく。
次回の標榜部会は、6月初旬開催で調整中。今回の提案に対して厚労省は、不退転の決意で臨んでいるともいわれる。
この提案が強行突破されるとすれば、基本診療科とサブスペシャルティーの診療科では、対応に温度差が出ることは必至。学会が一枚岩になることは難しいと考えていることが予測される。つまり学会が試されているともいえる。そのためには、反対のための反対では社会的に理解が得られず、学会が検討に入ろうとしている「代替案」の提示は不可欠だ。
「患者・国民」にとって分かりやすい標榜診療科名の表記がどういう形なのか、本当の意味で熟考するチャンスともいえる。学会独自で考える標榜診療科の在り方に対する提案が注目される。
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Japan Medicine 2007/05/25
標榜診療科名の表記の見直し案が21日開催の厚生労働省・医道分科会診療科名標榜部会に提示されたことを受け、複数の学会に“戸惑いと不信感”が広がっている。日本外科学会の兼松隆之会長(長崎大教授)は、厚労省案は課題が多いとし、関連学会と対応を協議する方針を明らかにした。一方、基幹学会として関連学会などとの意見交換に追われた日本内科学会の永井良三理事長(東京大教授)も、同案の内容について問題点を整理することを必要とし、学会内の内部委員会で対応を検討していきたい意向だ。ほかの学会からも「唐突すぎて、厚労省の真意が分からない」との声が出ており、学会置き去りの動きに反発が出はじめている。
標榜部会は、標榜診療科の表記の見直しの審議を21日からスタートさせた。初会合では、診療科名の表記の見直しに対して、強い反対意見もなく議事が進められた。
今回の診療科表記見直し案は、第5次改正医療法による「患者などへの医療に関する情報提供の推進」への厚労省としての取り組みの一環。そのほか、医療機能情報提供制度の創設や、医療機関による広告規制を大幅に緩和した。
広告可能な診療科としての標榜診療科については、患者・国民にとって、より分かりやすく選択しやすいようにするために必要な見直しを検討することになっている。
● 医療法施行令の33診療科(医科)を20診療科(医科)に減少
現在の標榜診療科名は、一般的な診療科と専門性の高い診療科が混在しているとの指摘もあり、分かりづらい。このため、21日に厚労省が示した見直し案では、基本領域の診療科名に対して、専門性の高いSubspecialtyの領域を組み合わせるという表記を提示した。さらに、麻酔科に加えて厚生労働相が許可する診療科名として「総合科」の新設を提案している。
これにより、見直し案では現行の医療法施行令に限定列挙している33診療科名(医科)を20診療科名(新規2診療科含む)まで減らすことになる。なお、専門性の高いSubspecialtyの領域とされたのは、循環器科・心臓血管外科・呼吸器外科・リウマチ科・アレルギー科など。
対して、専門学会からは「国民に分かりやすい診療科の表記にすべき」という改正目的に一定の理解が示されたが、「見直し案は、むしろ国民が混乱を来す可能性が高い」との見方も出ている。
● 日本循環器学会・山口理事長 標榜診療科名の表記は問題あり
日本循環器学会の山口徹理事長(虎の門病院長)は22日、今回の見直し案について本紙の取材に応じ、「確かに、標榜科目や専門医制度などを整理すべき時期に来ていることは事実」との認識を表明。一方で、厚労省の見直し案には、問題があるとの基本的考え方を示した。
日本専門医認定機構の専門医制度の基本領域、Subspecialtyの領域の分類がそのまま採用されている点についても指摘。「患者に分かりやすい診療科名の表記と、診療の質的担保とは異なる」とした。また、専門医制度とも関連させて、診療の質的担保を含めた診療科名を検討する時期に来ているのではないかという。
総合科の新設に対しては、「総合医という考え方については理解できる」とした。しかし、現在提示されている総合科案については、内科および外科のSubspecialtyの方向性との整合性も含めて、今後、日本専門医認定機構なども含めた検討が必要なのではないかと指摘した。
さらに、山口理事長は今回の厚労省見直し案が標榜部会で提案されたことについて、唐突な感じが否めないと続けた。「極めて残念だ。内科学会、外科学会という基幹学会に提案し、意見集約を図っていく手順が必要だったのではないか」と述べ、拙速に結論を求める動きをけん制した。
また、「今後、時間が許す限り、本当の意味で国民にとって必要な情報を提供する診療科名の表記とはどういう形なのか、学会間で協議を深めていくことが必要だ」とも強調。学会不在の行政主導で進められる審議の行方に懸念を示した。
一方、日本心臓血管外科学会の高本眞一理事長(東京大教授)も22日に本紙取材に応え、診療科名の表記の見直し案に対して、学会として賛同できないとの見解を示した。
基本診療科の下にSubspecialtyの領域を表記するとの案については、診療所の場合は混乱なく受け入れられると考えられるが、大病院については、むしろSubspecialtyの領域の記載が煩雑となり、分かりにくくなる可能性が大きいと述べた。
● 日本心臓血管外科学会・高本理事長 会員が納得できる表記を
特に、今回の見直し案で心臓血管外科はSubspecialtyに含められる。実は、日本心臓血管外科学会は専門医の数的絞り込みなどの検討に入っていた。日本の専門学会では、専門医を増やす方向が一般的だが、同学会では専門医の絞り込みを学会自ら手がけていこうとしていたのである。
さらに、「日本成人心臓血管外科手術データベース」事業を推進。中医協の分科会で、心臓バイパス手術では症例数が多い施設ほど治療成績が良いことが分かったと報告するなど、学会として社会に発信できる体制基盤の強化を進めていた。
その意味でも、今回の診療科名の表記見直し案は、同学会に衝撃を与えたようだ。高本理事長は、学会会員の主張を踏まえ、他学会とも連携しながら情報収集を進め、会員が理解・納得できる診療科名の表記について検討していきたいという。
専門医制度とリンクした標榜診療科名に改正するには、患者・国民はもちろんだが、当事者である医療関係者の一定の理解と納得が必要と考えられる。
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